僕の亀仙流アカデミア   作:怪獣馬鹿

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皆さん、新年初投稿です。
2018年には間に合いませんでしたが、景気付けに一発いきます!


己を信じよ!出久の悪夢!

2ヶ月、僕と上鳴君は、師匠のきつい修行に耐えていた。

初日に上鳴君は僕と同じ修行を全部浴びて死にかけていたが、死者すら生き返りそうな豆で強制的に回復させられ、あれから、一緒に修行している。

 

今は1日の修行が終わって、これからぐっすり寝ようとして、ベットの中だ。

 

はっきり言って、僕は上鳴君が好きではない。

かっちゃんよりもマシではあるが、好意的に見ていない。

修行の最中に常に軽口を叩くあの癖など、僕とは全てにおいての正反対。

性格・・・・そして個性

 

個性『帯電』

 

とてつもなく恵まれ過ぎているとしか言い様のないほどの良い個性だ。

 

個性を伸ばし続ければ最強に成るんじゃないか?

スタンガンな使い方だけじゃない、例えば雷を纏う個性だから、雷が進む速さに自分を乗せれるのかも知れない。

簡単に言えば、雷に近い速さでの高速移動。

まさに漫画上の業だ。

確か握力×体重×スピード=破壊力って考えがあったと思う。

握力と体重はわからないがスピードに関しては、最強になるから、破壊力も極限になると思う。

自分で仮定すると、5段階にして、

握力が3、体重は2、スピードは3だ。

3×2×3=18

上鳴君は、握力が2、体重は3、スピードが4だ。

2×3×4=24

僕より破壊力が上だ。

結局は仮定と推測の域を出ていないが、もしそうなったら、僕は彼に対して死ぬほど嫉妬して、自分がワケわからなくなるくらいに・・・

今、こうして考えている事すら駄目なんだ。

 

 

 

 

 

でも、彼を見てると思うんだ。

僕に着々と近づいてくる彼を見てるとホントに思うんだ。

自分は、無個性でも強くなれるのかと、強くなって個性を使ってるヒーロー達と並べるのか?

敵から皆を守れるのか?

 

 

 

 

 

最近は、そんな事をずっと考えてしまう。

実際に1ヶ月のうちにあった、僕と上鳴君の身体能力の差はほとんどない。

このままだったら・・・

 

[出久の夢]

暗い、夜とか暗闇とかそんなレベルじゃないってほどに暗い中で、師匠と上鳴君の前に座っている僕。

 

「じっちゃん、こいつ俺より先に弟子になったのに、今や俺よりも遥かに劣ってるぜ」

 

上鳴君、そんな事を言わないでよ。

僕がそんなの一番理解してんだから、言わないでよ。

 

「そうじゃのう・・・電気よ、ワシの心を1発で掴んだ処世術だけでなく、今までの弟子でもっとも早熟なお主の才能!これからは、主だけに集中しよう」

 

そんな!?

僕は、まだ強くなってないのに・・・

 

「し、師匠!」

 

何で、二人とも僕に背を向けるんだ?

お願いだよ。

頼むから、もう僕を見捨てないでくれ!

 

「去らばじゃ、最も何もない弟子よ」

 

そんな、そんな、そんな、そんな、そんな、そんな、そんな、そんな、そんな、そんな、そんな、そんな、そんな、そんな、そんな、そんな、そんな、そんな、そんな、そんな

 

 

そんなの嫌だーーー!!!

 

僕は、全力で二人を・・・師匠を追いかける。

 

でも全然、追い付かない。

 

嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ

 

そして、気づけば僕は、天井に手を伸ばしていた。

 

頭が急速に冷えていく。

もやもやしている、まるで酷い車酔いを味わってる気分だ。

自分が本当に嫌になってくる。

上鳴君は、全く悪くないのに・・・僕は本当に駄目だな。

何をしても、結局は誰かを妬んでしまう。

これは、僕の性分なのか?はたまた師匠がずっと言ってるように自分を信じてないから、人と比べてしまうのか?

僕にも何だかわからない。

とにかく、こんなんじゃ明日の修行に身が入らない。

今日はもう寝よう。

明日は学校がないから、思いっきり修行に専念できるし、師匠が新しい修行をするって言ってるんだ。

 

さっさと、寝ないと・・・

 

意識を手放して、僕は暗い眠りにつく。

悪夢すらみない暗い夢だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

●●●

燦々と照される太陽にとてつもなく青い空。

雲一つない、見事な青。

ここまで、青いのはなかなかない。

今は、3月。

出久も電気も二人とも4月から中学生に上がり、3年間を修行と雄英合格の為に全てを捧げるに近い3年を過ごす。

その為の足掛かり的な1日が始まる。

出久と電気、亀仙人の三人は、ある程度片付いている砂浜にいた。

二人とも以前とは比べ物にならない位に絞りこまれている体型になっており、無駄がほとんどない。

そんな二人に亀仙人は、サングラスをキランと耀かせて、二人を見る。

 

「出久と電気よ。二人ともこれまでの修行をよく頑張った。これより、修行は新しい段階に進むぞ。覚悟は良いな!?」

 

「はい!」

 

「おう!何でもかかってきて良いぜ!」

 

「では、電気には地獄が生ぬるい・・「すみません、調子にのりました」・・全く・・・・」

 

「上鳴君・・・」

 

調子に乗る電気に呆れる出久。

 

この二人は2ヶ月一緒に修行してきたが、だいたいこんな感じだ。ウマもそりもなかなか合わない。

 

亀仙人は二人を見ながら、口元を一瞬緩ますも、直ぐに元の険しい顔つきに戻す。

 

「二人とも、今日からの修行は、今までの修行に新たな修行を足すから、それまではいつもと同じじゃ、それじゃ行くぞ!」

 

三人はいつもの修行をする。

 

特に変わった事はないが、一つだけ違うのがある。

それは、出久が隣にいる電気を時々、焦っている目で見ている事だろう。

亀仙人もそれを見ながら、髭を撫でていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

●●●

上鳴君と共に修行を終えて今は午後3時。

互いに学校がないと、最近はこんな時間になっている。

昨日までは、これで修行が終わり、亀仙豆を食べて体を休めていたが、これからはどんどんきつくなると思う。

今は、体を休めて座って、海を見ていた。

師匠も上鳴君も近くにはいない。

多分トイレだと思うが、

これからを考えるよりも僕は別の事を考えてしまう。

 

僕の隣をずっと走っていた上鳴君。

間違いなく、僕より速くなっていた。

僕は彼より早くに鍛えていたのに何でなんだ?

体の動かしかたがまだ違うのか?

一体何で追いつかれたんだ?

考えても考えてもわからない。

どうして?

 

「悩んでおるようじゃの?」

 

僕は、慌てて後ろにいる師匠を見る。

何で?

さっきまでは人の気配が全くしなかったのに・・・

 

「お主ぐらいでワシの気配を気づくようになるにはまだまだ修行が足りん」

 

「す、すみません」

 

「で、何を悩んでおる?」

 

師匠にこの事は知られたくないな、人に対して嫉妬してるなんて事は知られたくない。

 

「ワシをなめるんじゃないぞ、お主の考えなんて手に取るようにわかる。話してみなさい」

 

げっ!?

何で詠むんだよ。

知られたくないのに・・・

 

「お主は今、自己否定に近いことをしておるからの。弟子のそのような事を止めるのも師匠の務めじゃ」

 

ああ、もうどうにでもなれ!

上鳴君はいないよな?

 

「電気はもう少しかかるぞ」

 

ちょっと安心・・・よし!

 

「上鳴君に対して嫉妬してます」

 

「それで?」

 

「焦りを感じております」

 

「そうか・・・」

 

「今日の修行で、上鳴君は僕の隣をいました。ずっと・・・僕は上鳴君よりも早くに鍛えていたのに追いつかれて・・・鍛え方が足りなかったのでしょうか?・・・それとも・・・「それ以上の悲観は、二度と戻れなくなるぞ」・・・すみません」

 

「人に対して嫉妬するなとは言わんが、嫉妬しすぎるのも自分を腐らせるだけじゃぞ・・・」

 

「はい」

 

「そして、自分を信じないのも駄目な事じゃ、それは業を鈍らせて本来の力を失わせる」

 

「はい・・・」

 

「自分を信じるのじゃ」

 

自分を信じるってどうすれば良いんだ?

どうしたら良いんだっけ?

 

「ワシが良いものをみせよう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

●●●

僕と電気君は、師匠に言われて、100M走の準備をしている。

何故か、師匠に自分の感情を暴露したあとにこうなってしまった。

何でも僕たち二人の地力を測るためって言ったけど、彼は僕よりも早い。

荷物の持ち方とか、そんなんで今まで僕は隣にいたけど・・・これで僕より速かったら、あの夢とおんなじになるかも・・・

そしたら、僕は立ち直れるかな?

明日も修行出来るのか?

 

「いやー、楽しみだな!?緑谷!」

 

「そうだね・・・」

 

相変わらず、元気だな。

 

ホントに根暗な僕とは正反対だな。

でも、僕だって今まで決して怠けていた訳じゃない。

必死に頑張って来たんだ。

意地でも敗けない!

 

「二人とも用意は良いか?」

 

師匠が、100M先にいる。

あそこまで、全力疾走。

頑張る。

僕にだって意地はある!

 

「よーい、どん!」

 

僕たちは、全力疾走で進む。

 

互いに互いを見る余裕なんて物はない。

敗けない!

そんな意地で、必死に走った。

 

そして、僕は上鳴君よりも先にゴールに着いた。

 

「8秒6」

 

師匠の声を聞いて、止まると

 

「10秒1」

 

「ぜぇぜぇぜぇ」

 

上鳴君が到着した。

 

「速いな、緑谷」

 

「あ、ありがとう」

 

上鳴君に褒められるとなんかむず痒いな。

 

僕は、思わず視線をそらすと、師匠がこっちに歩いてくるのが見える。

 

「よし、二人とも速いぞ」

 

「はい」

 

「やり~」

 

「ほっほっ、二人とも何故差が出来たのかわかるかの?」

 

「じっちゃん、教えて~」

 

「早すぎるぞ!電気!もっと頭を使わんか!」

 

「えー、まどろっこしいな」

 

「全く・・・・出久は?」

 

え?足場が砂浜なのが影響してるのか?

でも、それがなんか影響しているのか?

 

「考えは近くなったぞ」

 

「だから、心を詠まないで下さい」

 

「じっちゃん!個性の無断使用はダメだぞ」

 

師匠は目をそらすが、直ぐに戻して、

 

「出久が、電気より速かった理由は、下半身じゃ」

 

「カハンシン?」

 

「下半身・・・ですか?」

 

「そうじゃ、全ての武術の基礎は下半身にある。何故なら人は昔から二足歩行じゃから、武術も自然に下半身が重要になってくるのじゃ・・・主たちの下半身は、常人よりも強靭になってきているが、出久は電気より1月早くに鍛えていたその成果が出たのじゃ・・・このような砂場はそれを測るにもってこいじゃしのう」

 

成果がでた

 

出ないと思っていたのに・・・

 

「予想もせぬところで成果が出る・・・これが修行じゃぞ・・・出久」

 

「・・・はい・・・」

 

もう、僕は迷わない!

僕は自分を信じる。

上鳴君が何だ!

僕は僕なんだ!

 

 

●●●

どうやら、殻を破ったようじゃのう。

出久よ、他人は結局、どこまで行っても他人なのじゃ。

悟空とクリリンのような友でも己の道を歩み続けておる。

他人と比べるのは決して悪いことではない。

そうすることで実力以上の力を出す者もおる。

じゃが比べすぎるのも己を見失うのじゃ、確固たる自分を信じた上で比べないと、己が崩壊するからの・・・

しかし、出久はともかく電気はかなり速かったのう

 

●●●

砂浜にいる三人。

出久と電気は座り、亀仙人は二人の前に立っている。

出久はノートをいつでもとれる体制で、電気はリラックスした状態でだらんと座っている。

 

「お主達にこれから教えるのは、自らの力を引き出す術とでも言おう。それの技術があれば、人よりもさらに強靭になる。また拳や蹴りに載せれば、とてつもなく強い。ワシの知っている者達は、長い年月をかけてこれを無意識のうちにできるに至るようになっており、ワシの他の弟子達にも長い年月をかけて、そのようになったがお主達には時間がない。戦っている最中に出きることになる可能性はあるが、一つ間違えれば死を招く生き方には向いておらん。よって、ワシがこの三年でお主達を徹底的に鍛える!覚悟は良いな!?」

 

出久と電気は、それぞれ正座に座り直して

 

「「はい!」」

 

勢いよく返事をする。

 

「よし!・・・二人とも、とりあえずは楽な姿勢になりなさい。これから行うのはかなり、辛いのでのう」

 

出久と電気は、正座から胡座にして、深呼吸したあとに亀仙人を見る。

亀仙人は、亀の甲羅を脱ぎ、二人の前に胡座をかき、両手を出す。

 

「よく見るのじゃ」

 

亀仙人の出した両手から、光が出て、それが徐々に輝きが大きくなる。

この不可思議現象に出久も電気も言葉を失う。

 

「これは気じゃ」

 

「キ?」

 

「キって木か?」

 

「上鳴君、何考えてるかわからないけど、とりあえずそれは違うと思うよ」

 

「この光は己の生命力を表しておる。光が大きく強く輝けば輝くほど、己の力を引き出す」

 

亀仙人は、そういい、両手の中にあった輝きを消し、二人を見た。

 

「これからが本当の始まりじゃぞ」

 

「「はい!」」

 

「(もう僕は迷わない!)」

 

出久は亀仙人に対して今まで以上に決意のある目で彼を見るが、電気はそんな出久に対して、拳を握りしめていた。




という事で、出久の内面がどんどん出てきますね。
出久のこの悩みを書こうと思ったのは、出久の元々の性格とドラゴンボール超の漫画版の8巻を見ていけると思ったのでやりました。
因みに、補足ですか、二人ともやっと悟空とクリリンの初期の運動神経になりました。
こっから先は、敢えて悟空やクリリンとは違う道に行きます。目指すものが二人と違うので・・・
それでは皆さん!今年も良い年にしましょう!
次回は上鳴編です。

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