パラレル日本召喚 作:q1a-_
もちろん作者は同一人物なのでそこのところどうぞ宜しくお願いいたします。
『総力戦研究所(通称:総研)』
1918年12月の中頃に欧州大戦の勃発後の勅令により開設された。
史実より20年以上も早く開設されたこの組織は、大日本帝国の兵器開発や軍需物資の大量生産に貢献し、戦後は世界情勢の分析や仮想敵国の分析に注力していた。
国家規模の異世界転移によりこれまでの成果は台無しになったが、異世界の兵器や思想、世界情勢の分析に全力を注いでいた。
1938年3月22日
総力戦研究所第38代所長
異世界転移の混乱に加え、この世界における帝国の今後の戦略を殆ど総研に丸投げされ、総力戦研究所の歴史上稀に見ない量の仕事が与えられた。
「1ヶ月後に所長の座から退くのに今回の転移により来年に延期され、帝国の戦略はうちらに丸投げとは・・・」
「しっかりしてください所長、それだけ我が総力戦研究所は信頼されているんですから。
それに政府と海軍さんは経済の回復や戦力の配置転換で他に手がまわせないんですよ。
ですが、まあ。
陸さんよりはうちはだいぶマシな方ですよ」
寒河江の優秀部下であり友人である
(最も、彼にとっては慰めにもならないのだが。)
話しは変わるが、羽根田が言った通り陸軍は海軍や政府、そして総研よりも忙しい状況に陥っていた。
転移による影響か、大陸に展開していた陸軍約180万人のほか、戦車二千両、航空1800機など様々な兵器が国内に転移してしまったのだ。
だがこれらは帝国陸軍の総戦力の半数に相当するためこれは不幸中の幸いと呼べよう。
これにより陸軍は他組織より凄まじい混乱を招き、未だに収まることを知らない。
「そういえば所長、ロデニウス大陸の情勢なのですが・・・」
「ロウリア王国だろう?
最近かの国の軍隊が活発になってきていることぐらいはすでに聞いたさ。
それに大陸の大まかな情勢を聞いたときにいずれこうなることは予想できてた」
寒河江が言った通り、ここ一か月のあいだロウリア王国の動きがだいぶ活発になっていることをクワ・トイネ公国から伝えられていた。
ロウリア王国は人間以外の種族に対し迫害政策を行っており、どうしてもクワ・トイネ公国とクイラ王国との関係はかなり悪いことがわかっていた。
大日本帝国も転移当初は同国に使節団を派遣したが、クワ・トイネ公国と関係を持っていることを理由に門前払いされた。
「ロウリア王国の政策は目に余るものだ、不謹慎だがナチスのユダヤ人迫害が可愛く思えてくるほどに、な。
それにクワ・トイネとクイラ王国は異世界に飛ばされた帝国にとって数少ない友好国だ、あの二か国がいなければ帝国はこの世界に進出するのは二年後になっていただろう」
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ロウリア王国 王都 ジーンハーク ハーク城
「二か国を相手にして勝てるか?」
この国の長たる34代大王、ハーク・ロウリア34世は白銀の鎧を着用し筋肉が鎧越しでもはっきりと見えるほどの黒髭の男に尋ねる。
「片方は農民の集まり、そしてもう片方は不毛の大地に住まう小国。
我が国は6年ものあいだ大陸統一を目標に軍備を強化しました。
もはやこの大陸には我々の覇道を止められる者は存在しませぬ」
「そうか、宰相よ、一か月ほど前に接触してきたという大日本帝国の情報はあるか?」
ハーク・ロウリアは最近王国に接触してしてきた未知の新興国家に僅かな懸念を抱いていた。
「かの国の本土はロデニウス大陸の東方に位置するクワ・トイネ公国のマイハークから約1000kmも離れており、大陸における軍事的影響は考えられません。
そしてワイバーンすら知らぬことから、竜騎士すらいない蛮族の国家と思われます」
宰相の話を聞いたハーク・ロウリアは安堵する。
「そうか、しかし、このロデニウス大陸から忌々しい亜人どもを駆逐できると思うと私は嬉しいぞ」
「大王様、統一の暁には、あの約束もお忘れなく、クックックッ・・・」
黒いローブを身を包みこみ、この御前会議にそぐわない恰好をした男にこの場にいる出席者達は顔を顰める。
気持ち悪い声でハーク・ロウリアに囁き、ハーク・ロウリアは怒気を含む声で「解っておるわ!」と叫んだ。
西暦1938年4月11日午前 ロウリア・クワトイネ国境付近 ロウリア王国東方討伐軍 本陣
国の行く末を決める御前会議にてロデニウス大陸の統一を目的とした戦争が決まり、本陣ではクワ・トイネ公国侵攻作戦の最終確認を行った。
その間クワ・トイネ公国が国境から兵を引くよう何度も魔法通信で連絡してきた。
「明日、ギムを落とすぞ」
Bクラス将軍パンドールは東方討伐軍の40万の内の3万兵を与えられていた。
東方征伐軍の総戦力と比較して少ないものの決して、小さくない戦力はクワ・トイネ公国の名将モイジを討ち倒すことができるだろう。
先遣隊にワイバーン150騎はかなり嬉しい、空からの援護は今後の戦いに大きく左右されるだろう。
この明らかな過剰戦力にパンドールは満足していた。
「ギムの戦利品は如何いたしましょうか?」
副将アデムが醜悪な笑みを浮かべパンドールに聞き、パンドールはその笑みに嫌悪感を覚える。
アデムは非常に残虐な性格で有名だ、目的のためには手段を選ばず気に食わなければ味方ですら殺してしまうほどの人間なのだ。
「副将アデムよ、貴様に任せる」
それを聞いたアデムは、「ありがとうございます」と一言言ったあとすぐさま振り向き、控えの兵士に人間とは思えないような指示を出した。
その恐るべき指示の内容は、ギムでの略奪を許可し敵騎士団の家族がいた場合はなるべく残虐に殺し住民を100名のみ生かしそれ以外は皆殺しという内容だった。
それがロウリア王国の滅亡に繋がると知らずに・・・・・・。