プリキュアDOOMSDAY   作:宇宙とまと

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第10話【親指トム】

  【親指トム】

 

 ~1943年11月23日。マラッカ海峡アンダマン海側出口~

 

 トーマス・フィリップス大将――背が低かったため《親指トム》と渾名されていた。

提督は、数年間海軍作戦部長の、ダドリー・パウンド大将の下で作戦部次長を務めていた。しかし、本年9月に脳腫瘍が悪化したパウンド提督は退任し、後任は英本国艦隊司令官の、ジョン・トーヴィ大将に交代した。同時にフィリップスは大将に昇進し、英極東艦隊司令官に着任した。

 

 フィリップス提督率いる英極東艦隊は、21日にセイロン島トリンコマリーを出港し、ベンガル湾を東に向かいニコバル・アンダマン諸島の間を抜け、アンダマン海に入り針路を南東に転じた。

「間も無くマラッカ海峡に入る。ここから先は、船の往来や沿岸漁船も増える。見張りを怠るな」

 

 《プリンス・オブ・ウェールズ》の艦長ジョン・リーチ大佐は、貨物船や、多数の英領マレーやオランダ領インドネシアの沿岸漁船が、多く航行する海の難所たるマラッカ海峡に入ったので、衝突を避ける為に水上見張り員を増やす事を命じた。

 

「長官、明後日の夕刻までにはシンガポールに入港できるかと」

 参謀長パリサー少将の報告に対し、フィリップス提督は鷹揚に頷いただけで、直ぐに右手に見えるスマトラ島の海岸線に視線を移した。

 艦隊旗艦《プリンス・オブ・ウェールズ》は、大英帝国の誇る新鋭戦艦キングジョージ5世級戦艦の2番艦で、1941年1月に完成した。排水量36727トン、全長227メートル、速力28ノット、主砲は14インチ砲10門だが、そのうち8門は、列強戦艦では珍しい4連装砲塔だ。(時々故障するのは機密事項であった)(1)

 就役した直後に、独戦艦《ビスマルク》迎撃に駆り出され、デンマーク海峡で巡洋戦艦《フッド》と共に、《ビスマルク》と交戦した。しかし、《フッド》が弾薬庫への直撃で轟沈(1)し、《ウェールズ》も3発被弾し退避した。しかし、《ウェールズ》の砲弾は、《ビスマルク》の重油庫に命中し重油漏れを起こさせた。漏れ出た重油の痕跡は、遠くからも良く見え英海軍の追跡を受け続ける。その後英海軍の集中攻撃を受けて沈む事となった。

 

 後続する巡洋戦艦《レパルス》は《レナウン級》2番艦で、排水量32000トン、全長242メートル、速力29ノット、主砲は15インチ砲6門で、砲弾は一発あたりの破壊力なら、キングジョージ5世級戦艦より勝っている。

 完成は1916年8月。(何と第一次世界大戦の海戦に参加し、ドイツ帝国海軍と戦った事もある)

 既に艦齢27年に及び、装甲の薄い巡洋戦艦なので防御に不安もあるが、乗員による手入れは行き届いていて、油断できぬ力を持っている。

 後方5000メートルには、空母《インドミダブル》、《アークロイヤル》が続いている。

 

 《インドミダブル》は世界初の装甲空母で、航空機格納庫の天井部分に装甲を施している。500キロ爆弾に耐えられる能力があり、実際にイタリア軍機の爆撃で効果を証明した。

 しかし、装甲のせいで搭載できる航空機は、他国の中型空母程度の50機弱しか搭載できない。

 《アークロイヤル》は戦前から残存している貴重な大型空母で、装甲空母では無いが搭載機は《インドミダブル》よりも多い。

 

 《アークロイヤル》は、1941年11月10日にスペイン南部沖で独潜水艦《U-81》に捕捉され攻撃目標にされた。

 しかし、ジブラルタル基地から飛来した飛行艇《サンダーランド》に発見された。

《サンダーランド》が対潜爆弾を投下寸前に、《U-81》は慌てて魚雷を発射して潜航して逃げた。

 《U-81》が慌てて撃った魚雷は一本も、《アークロイヤル》に命中させる事は出来なかった。

 《アークロイヤル》は開戦以来、大きな損傷も無く、他の乗員達の間では幸運艦として羨ましがられていた。(2)

 

「長官! ロンドンの海軍軍部より電文です」

 通信参謀からの電文を受け取り、目を通すフィリップス提督。

 フィリップス

「諸君! 我らが友人(米国)は遂に対日全面戦争を決めたぞ」

 参謀長

「開戦ですか?」

 フィリップス

「数日以内には、駐米日本大使に宣戦布告同然の最後通告が出るそうだ。米国政府の宣戦布告と同時に、我が国も日本帝国に宣戦する。我が艦隊は、12月4日までにシンガポールを出港し南シナ海に進出。開戦の場合、香港やフィリピン攻略を目論む敵を粉砕せよと言う、ありがたい命令だ」

 




 1 生存者僅か3名
 2 チャーチル首相曰く「戦艦の様な物」フランス海軍の4連装主砲は、故障は少なかったそうな。戦闘する機会が少なかったから当然・・・
 3 史実ではこの日魚雷が命中し、救援作業もむなしく喪失


明日また投稿します。
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