【決戦】
~1943年12月9日、午前10時30分 北緯15度57分、西経172度30分~
米空母《ヨークタウン》
甲板員達が、空を見上げながら話している。
「撤退命令などが出るかと思ったんですが」
「キンメル提督にも面子が有るだろうから、まだ、この時点で退くという事は無いだろう。パールハーバーから援軍も来るらしいぞ」
「キンメル提督は有名な大鑑巨砲主義者でしょ。巡洋艦や空母は所詮、『戦艦を補助する戦力』って発言した事もあるんじゃ?」
当時、海軍には日米とも、二つの大きな派閥が有った。戦艦と航空母艦(+航空機)、どちらが海軍の主力であるかで、二つに分かれている。
戦艦優先主義者
「戦艦こそが海軍の主力だ。空母や巡洋艦はあくまでも『艦隊決戦における、戦艦の補助戦力』でしかない。洋上を航行中の戦艦が、航空機単独の攻撃で沈んだ事は無い」
航空機優先主義者
「戦艦は既に時代遅れ。これからは空母の時代だ。戦艦は金と重油を無駄遣いするだけで、役に立たない」
結果は歴史を見ればわかるように、航空機優先主義者が正しかったが、当時は未だ戦艦優先主義も多かった。
確かに、洋上で戦艦が航空機の攻撃のみで沈んだ事は無い。戦艦優先主義者にとって空母は、その攻撃力はともかく、空襲を受けた場合は危険が大きいという懸念もあった。
キンメル大将も内心「作戦中止、撤退せよ」の命令を僅かには期待していたが、4時間前にワシントンから命令が届いた。
「日本海軍が、その様な高性能兵器を所持出来る可能性は無い。報告は、全て搭乗員の勘違いであると推測される。貴官は神のご加護を信じ、任務を遂行されたし」
要するに、日本人が米国やドイツも所持していない新技術を開発出来るはずがない。戯言を言ってないで作戦を継続しろとされた。キンメルも最早、早期撤退は不可能と判断した。
ほぼ同時に敵艦隊発見の報告が入った。
「敵の位置は!」
キンメルは、参謀に大声で敵艦隊の位置を聞いた。
「北緯14度52分、西経176度32分です。敵空母艦隊は2群で、それぞれ大型空母2、小型1を戦艦1、巡洋艦3から4及び駆逐艦が護衛しているそうです」
(およそ400キロか、先制攻撃可能だ)
数分後、無線室から続報が届いた。
「偵察機の連絡が途絶しました。撃墜された模様です!」
「敵戦闘機か、それとも……」
今まで敵を発見していたはずの偵察機が、撃墜されるとしたら可能性は2つだった。
偶然、エンジンが故障して墜落するという低い確率の事故を除けば、警戒中の戦闘機に撃墜されるか、敵艦に近付き過ぎて対空砲で撃墜されるかだ。
しかし、一昨日以降、第3の可能性『謎の空飛ぶ敵』に撃墜される。が追加された。
「敵戦闘機の攻撃を受けつつあり、という通信を受けています」
「フレッチャーに攻撃機を発進させるよう命じろ」
~同日、正午~
《ヨークタウン》、《ホーネット》から、敵高速機動艦隊に向け攻撃隊が発進した。
《F4Fワイルドキャット》20、《SBDドーントレス》20、《TBFアベンジャー》攻撃機14機。2艦合計で98機だ。
本来、もっと多くの機を出す筈が、前日のマーシャル諸島空襲で出撃機は壊滅的な被害を受けてしまった。生還した機も多くが修理不能な損害を受けていて、廃棄処分するしか無かったからだ。
「今度は大丈夫でしょうかね?」
「どうやら今度は、敵の発見を遅らせる為に、低空から侵入するそうだ」
「最低一隻の空母を血祭りに挙げろって、飛行長からの指示らしいです」
ノイマン達乗員が、発進する攻撃隊を見送っている。
合衆国と日本帝国の建造能力の差を考えると、仮に正規空母2隻ずつ沈んだとしても、生産力は合衆国の方が遥かに高いので米国側が有利だ。
米海軍では、本来、新型空母や新型高速戦艦は、その大半が既に1943年12月現在までに完成している筈だった。
しかし、日本帝国も必死に米側の挑発を躱し、参戦の口実を与えない為に我慢して来た。
更に1940年にルーズベルト大統領が、共和党のウェンデル・ウィルキー候補を破り3選目(1)を果たした際に、「世界大戦には参戦しない」との公約で当選していた。
ルーズベルトは新型艦は予定通り建造しようとしたが、野党共和党議員や参戦反対の市民の非難を受けた。
「ルーズベルト大統領は、戦争不介入と言いながら多数の新型艦を建造している。公約を破るのではないか!」
ルーズベルト政権は、渋々ながら新型艦の建造スケジュールを1年以上遅らせる事を余儀なくされた。
既に新型空母《エセックス》級(2)(27000トン、全長265メートル、速力33ノット、搭載機100機)の1番艦《エセックス》が11月に完成している。今後、多数の姉妹艦が完成して来る。(ちなみに艦これには3番艦《イントレビッド》が登場している)
護衛空母は、《カサブランカ》級の大量造船を開始している。カサブランカ級はタンカーの設計を流用した低速護衛空母で、7800トン、速力は18ノットしか出ない。(主力空母は30ノットは出る)
搭載機も《ワイルドキャット》戦闘機12機、《TBFアベンジャー》攻撃機の合計24機しかないが、姉妹艦は、50隻も造船が計画されている。
米日関係が急激に悪化する前の1943年8月から(開戦後の)1944年8月までに、50隻すべて完成させる計画だ。
来年2月以降、週刊誌みたいに一週間に1隻ずつ姉妹艦が増えて行くことになりそうだ。その反面、装甲は皆無なので、プリキュアの攻撃を喰らったら、一発で船体に大穴が出来てしまうだろう。
巡洋艦と駆逐艦は更に恐ろしい数が建造されている。
が、米海軍が十分な戦力を確保できるのは、まだしばらく先の話になる。
空母機98機に今回はジョンストン基地航空隊も加わる。
《ワイルドキャット》戦闘機10機に《ドーントレス》爆撃機12機、更に陸軍の中型爆撃機《B-26マローダー》12機が加わる。
《マローダー》は、初期型は故障率が高く『未亡人製造機』の汚名を甘受したが、改良されて事故も少なくなっている。
陸軍機だが、800キロの航空魚雷も装備できる。
しかし、残念ながらジョンストン基地は小さく、魚雷は無いので、500キロ対艦爆弾2発ずつを装備している。
《ヨークタウン》は攻撃機を発進させようとしたが、機体のトラブルで30分ほど遅れてしまった。フレッチャー提督は、止むを得ずホーネット隊を先に先行させた。
ヨークタウン乗員が不安そうに見守る中で、何とか30分でトラブルを解決し、ヨークタウン隊も出撃しホーネット隊を追った。
全機発進した数分後、案の定、対空レーダーが接近してくる敵機を捉えた。2機の《ワイルドキャット》戦闘機が迎撃に向かった。
フレッチャー艦隊上空に飛来したのは、艦上爆撃機《彗星》の偵察機版の《二式艦上偵察機》だ。(ちなみに艦これにも登場している《彩雲》と違いT字不利阻止できないので、使う機会は少ない)
速力は560キロと、《零戦》や《ワイルドキャット》戦闘機に匹敵する速力が出せる。
乗員達が見守る中、《ワイルドキャット》が必死に追いかけるも、追いつく事は出来ず取り逃がしてしまった。
1 2期までに制限されたのは戦後
2 名前の由来は、マサチューセッツ州の郡名から。R-18とは一切関係ないですw
艦これに出てる米軍機は、性能的に使えるのは《F6F》《TBF》だけで、後は使えないのが残念。そろそろ陸軍機も出そうよ運営山。マスタング戦闘機や、ミッチェル爆撃機とか。