プリキュアDOOMSDAY   作:宇宙とまと

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第26話【被害甚大】

  【被害甚大】

 

 コックリル大尉率いる隊が対潜艦隊に攻撃を開始したのと同時刻に、フレッチャー艦隊も、小沢中将の第一航空戦隊艦載機の空襲を受けていた。第一次攻撃隊は、航空母艦に攻撃を集中して来た。

 

 ラムソンが、敵攻撃隊の動きを確認し報告する。

「左舷30度、距離2000、高度10に敵雷撃機6機」

 ケリーも、部下達に指示を出している。

「良く引き付けてから撃て。それと、魚雷を発射していない機から優先的に撃て!」

 ケリー達は接近して来た《天山》に、20ミリ機関砲を発射する。

 まず一機が火だるまになって墜落、更にもう一機が操縦手を射殺され海に突っ込む。

 残りの《天山》が魚雷を発射するが、全て《ヨークタウン》の後方に流れて行く。

 《ヨークタウン》は、名艦長フレデリック・シャーマン大佐の巧みな操船で反撃を開始して行く。しかし、遂に第三波の雷撃機の投下した魚雷1本が、ノイマン達の直ぐ近くに向け突入して来る。

 

 ケリーの怒号が飛び、機銃員達は慌てて伏せる。

「命中するぞ! 全員伏せろ!」

 

 しかし、あと5メートルまで来た時、その魚雷を発射した《天山》が被弾して、偶然にも自分が発射した魚雷に激突した。大きな水柱が発生し、機銃座や甲板に甲板に伏せていた乗員に降り注いだ。

 

「直撃……じゃないですね?」

ノイマンは、魚雷が暴発した海面を指さしながら、ラムソンに説明した。

「その寸前に墜落した雷撃機が魚雷の上にドスンで、信管が作動してしまったんだろう」

「レディーYには、ツキ(運)があるぞ」

 ラムソンが異常に気付く。どうやら僅かに速度が低下している。

「あれっ、速度が落ちてませんか?」

「直撃はしなかったけど、3メートルか5メートルくらいで爆発したからな。ある程度の浸水は仕方ないよ」

 

 浸水の影響で、《ヨークタウン》は32ノットから25ノットまでしか出せなくなった。この影響が操舵に影響したのか、とうとう、《彗星》の500キロ爆弾一発を被弾してしまった。飛行甲板の前方に穴が開き、艦載機の発進は困難になった。

 《ホーネット》も懸命に回避したが、爆弾3発に魚雷3本が命中し、船体は大きく傾いた。必死にダメコン隊が対応するも、浸水は止まるどころか、ますます酷くなった。

 午後2時20分に総員退去命令が出され、乗員が退去した後に、駆逐艦の魚雷で処分された。

 

 同時刻、キンメル艦隊も攻撃を受けた。大西少将率いる第6航空戦隊の装甲空母《大鳳》、《白鳳》から発進した50機が襲来した。大鳳型装甲空母は、1943年6月に完成した新型装甲空母だ。(排水量29200トン 速力32ノット)

 大鳳型装甲空母は、急降下爆撃機の500キロ爆弾に耐えられる設計となっている。設計時にガソリン漏れの危険性が指摘され、米空母のような対策が施された。

 搭載機は英装甲空母と同様にやや少なく、60機となっている。

 大西艦隊から飛来した《彗星》は、キンメル艦隊に4隻配備された、《ボーグ》級護衛空母をまず血祭りに挙げた。

 日本側の護衛空母と似たような性能で、搭載機は24機となっている。こちらも、500キロ爆弾1から2発の直撃を受け、海の藻屑となった。

 

 

 ~1943年12月9日、午後3時~

 

 スミス少将達の太平洋艦隊参謀陣は、キンメルに対し撤退を具申していた。

「残念ですが、今回は、退くべきではないでしょうか? 《レキシントン》、《エンタープライズ》、《ホーネット》を失い、《ヨークタウン》も艦載機発進不能になりました。これ以上の犠牲が出る前に、撤退するべきです」

「しかし、間もなく《サラトガ》も到着する。戦艦は未だ全艦健在だ。砲撃戦なら、まだ勝ち目はある」

 更に参謀長が何か言いかけた時、大編隊の敵機を探知したとの知らせが入った。

 

 

 ~同日、午後3時半~

 

 まず血祭りに挙げられたのは、最後尾にいた戦艦《アリゾナ》だ。高度3000メートルで、接近して来た天山編隊の水平爆撃を受けた。

 水平爆撃に使用されたのは、戦艦《長門》の41センチ主砲弾を改造した800キロ爆弾だ。水平爆撃の命中率は低く、命中したのは1発だけだった。

 しかし、そこは弾薬庫の真上で、命中後、一瞬、茶色の煙が上がった瞬間、《アリゾナ》はヴェスビオ火山のように大爆発を起こし、海面下に消えた。

 飛散した破片で、周囲の護衛艦にも死傷者が出るほどだ。

 《アリゾナ》は戦隊指揮官アイザック・C・キッド少将及び、艦長フランケン・ヴァーグ大佐以下全乗員が戦死し『米海軍最大の悲劇』と呼ばれる事になる。

 

 後続する姉妹艦《ペンシルヴァニア》の対空射撃で、《アリゾナ》を轟沈させた天山隊の一機が操縦不能に陥り、《ペンシルヴァニア》の近くに不時着水した。

 

 《ペンシルヴァニア》の艦長、モーガン大佐は不時着機を銃撃する様に命令した。

「機銃で始末しろ」

 副長は、慌てて反対意見を述べる。

「しかし、彼らはもう戦えません」

「奴らは降伏していない。撃っても問題無い!《アリゾナ》の仇討ちだ」

 

 副長は、この戦争狂野郎! と思ったが命令には逆らえない。

 しかも、艦長の言にも一理あるのも確かだ。降伏していないのは事実であり、国際法上、違法とまでは言えない。

 止むを得ず副長は、対空機関砲に銃撃を命じた。《天山》は穴だらけにされ、乗員諸共沈んで行く。

 沈没を確認し、満足そうに笑う艦長を見て、副長は本気で殴ろうかと考えた。

 それを見たキュアマリンの目に、憤激の色が浮かぶ。

「なんて事を……海より広い心を持つあたしも、許しちゃ置けないな」

 

 

 ~その直後~

 

 戦艦《ペンシルヴァニア》

 

「敵機接近! 噂の飛ぶ連中です!」

「日本人の癖にキラキラした服を着やがって。対空砲で叩き落としてやれ!」

 

 モーガン大佐は、にやにや笑いながら攻撃を命じたが、10秒もたたない内に、余裕の表情から驚愕のそれへと変わった。

 4人の謎の空飛ぶ少女(ハートキャッチチーム)は、いとも容易く対空銃撃を回避して急速に突入して来る。

 モーガンが懇願するが……

「ま、待て……」

 キュアサンシャシンは、無視してモーガン大佐を睨みつける。

「今更、手遅れです。向こうの世界で反省してください」

 

 光が集まり、その光が二つに別れ、第三帝国空軍機を超える速度で《ペンシルヴァニア》を直撃した。

 光は第一主砲と艦橋後方の煙突を直撃し、装甲を貫き、艦内まで突入した。直後、第一主砲の弾薬庫が爆発し、副長は意識を失った。

 気が付くと、艦長は何か大きな破片を受けて死亡していた。艦橋要員も助かったのは数名だけだ。

「前部砲塔、通信途絶!」

「機関室、死傷者多数。救援を……」

 

 《アリゾナ》の様に瞬間的な轟沈は免れたが、艦の前部は激しく炎上している。艦首部分は既に沈没しかけていた。

 副長は直ちに指揮権を引き継ぎ、全乗員に退艦命令を出した。

 凄まじい光景を目にしたキンメル大将以下の太平洋艦隊司令部要員は、全員、衝撃で色を失った。

 謎の空飛ぶ敵に、主力艦を沈める力は無い。という予測が、単なる願望に過ぎなかった事に気付かされた。

 

 衝撃が冷めやらぬ内に、帝国海軍機と謎の空飛ぶ敵は、今度は戦艦《テネシー》、《カリフォルニア》に襲い掛かった。

 《テネシー》は爆弾4、魚雷4本を被弾し大破し停止した。

 《カリフォルニア》は別の空飛ぶ敵のチームに、《光の様な》攻撃を受け、こちらも大破して機関停止してしまった。

 

 謎の敵(プリキュア)の恐るべき戦闘能力を見せつけられたキンメル大将は、作戦中止命令を出した。

 《天山》、《彗星》と空飛ぶ兎は嵐の如く襲い掛かってくる。まず輪形陣外側の巡洋艦を攻撃した。

 最新鋭重巡《ボルティモア》(12000トン)も、スクラップ運搬船の如く、ぼろぼろにされた。

 衝撃で第4次ティアマト星域会戦の、ロボス元帥みたいに椅子からずり落ちるキンメル提督。(1)

 

 『最早、これまでか』

 と米兵の誰もが絶望を感じていた。

 




1 銀河英雄伝説劇場版「わが征くは星の大海」ネタ ドクター・トラウムの中の人が、
ラインハルト艦隊参謀長メックリンガー少将役で出演。

本編では、愛崎えみるの祖父が猛将ビッテンフェルト提督役で出演。106話か107話辺りではメックリンガー提督との、罵倒合戦が見れます。
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