プリキュアDOOMSDAY   作:宇宙とまと

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 猛暑はやや収まりましたが、長期予報によると9月も平年より高温が続くそうです。未だ熱中症に気を付けましょう。

 艦これ夏イベ8月30日開始、ギリギリ夏ですw夏イベにしては珍しい小規模イベント。ボスゲージ4本とかそろそろ出そうな予感。


第39話【メザシ】

4月19日 午前8時

 

 

 

北緯30度51分 西経165度52分 オアフ島北西1050km

 

 

 

 

 午前7時にミッドウエー島を離水した飛行艇4番機は、90度即ち真東に向け飛行していた。

《PBYカタリナ》は、アメリカ海軍で愛用されている多目的水上飛行艇だ。速度は250kmと余り速くは無いが、4600kmの航続距離を持ち、偵察機や対潜哨戒機や輸送任務の他に、海上に不時着した搭乗員の救助機としても大活躍している。

 

 

 ミッドウェー島守備隊員は、日本海軍が北太平洋方面に出撃している事は知っていたが、本土が攻撃目標らしく島が攻撃を受ける可能性は低いと考えていた。万一ミッドウェー島が空襲を受けるとしても、敵が来るのは島の北から西だろう。

 

 

「機長!」

レーダー員マイク・スウィフト軍曹が、機内電話で機長兼操縦士のベネット・ オニール中尉に呼びかける。

「どうした」

「レーダーに反応です」

《カタリナ》には、英国が開発した機上レーダーが搭載されていた。機長が機上レーダー盤を見ると、確かに反応がある。 この当時の航空機搭載レーダーは、レーダー盤に〇や三角のシグナルが出るのではなく、地震計の様に、波みたいに反応が出る。

 

 

 機長は最初、日本本土沖に哨戒任務で出ていた潜水艦が、帰還途中に浮上航行しているのかと思った。しかし、レーダー反応は単艦の反応とは思えない。

今日はこの付近に、味方艦隊やミッドウェー島に補給物資を運ぶ、輸送船団が来ているという話は聞いていない。機長は、反応が大きくなる方向に機首を向ける。

 

 

 20分後

 

 

「レーダー反応恐らくこの近くです」

「雲の下に出て確認するぞ」

 

《カタリナ》は雲の間を降下して行く。雲の下に出た時、南東に向かう多数の艦影が見えた。

 

「敵空母艦隊だ!ハワイに向かっているぞ!通信を……」

その瞬間、雲の間から2機の戦闘機が襲い掛かって来た。鈍足の《カタリナ》は反撃する事も出来ずに、撃墜された。

 

 

20分後

 

 

ハワイ 真珠湾

 

 

 

「ミッドウェーから東方向に偵察に出た、《カタリナ》の通信が途絶したそうです」

「《B-17》を確認に向かわせよう」

 

 

キンメルは、陸軍のハワイ方面陸軍司令長官ウォルター・ショート大将(ハワイ陸軍航空隊司令兼任)に連絡を取り、ヒッカム基地から《B-17》数機をミッドウェー東方に偵察に向かう様に要請した。

 

 

「ミッドウェー北東沖を、有力な空母機動艦隊が航行中 正規空母5中型2小型3、戦艦6、針路南東速力18ノット」

 

 

 敵艦隊針路から考えて、真珠湾を目指しているのは明らかだ。

「本土攻撃は、フェイクだったのでしょう」

「敵は我々が暗号を解読している事に気付いていた。それを逆手にとってトラップを仕掛けたのだ。ウェーク島で撃沈した敵駆逐艦の残骸から、暗号帳を回収した事が露見したのだろう」

 

第一次ウェーク島攻撃で撃沈した、日駆逐艦の残骸から暗号ノートが回収され、数日後《カタリナ》飛行艇で、ミッドウェー島を経由して真珠湾に運ばれた。

極秘裏に進めた筈だが、その後占領され捕虜になった兵士の誰かがそれに気付いていて、日本側に話したのだろう。

 

「西海岸にいるハルゼー艦隊に、救援を要請してもまず間に合いませんね」

レイトン大佐の言う通り、ハルゼーに救援を命じても、真珠湾に急行するのに数日は必要だ。

 

 

 現状真珠湾に居る艦隊と、在ハワイ航空隊で対抗するしかない。航空兵力は陸軍機300機(戦闘機100爆撃200輸送機は含まず)+海兵隊航空隊200(偵察機除く)

ある。しかし、陸軍爆撃機の内半数は艦船攻撃は苦手な大型爆撃機だ。しかも、敵は連合艦隊だけでは無く恐るべき力を持つプリキュアもいる。

 

 

 

「艦隊は、準備完了次第出港する。湾内にいたら攻撃を受けた時ひとたまりも無いからな」

キンメルは、即座に出撃準備を命じた。上陸していた乗員にも即時帰還命令が出された。

 

 

 戦艦《ウェストバージニア》《[メリーランド》《ネバダ》《オクラホマ》及び護衛空母6隻を主力とする、キンメル艦隊が真珠湾と太平洋を繋ぐフォード水道を出た直後、ミッドウェー島が空襲を受けているとの緊急電が入った。

 

 

 

ミッドウェー島は正午過ぎに《飛鷹》《隼鷹》《飛龍》を発進した、80機の空襲を受けた。ミッドウェー航空隊は果敢にも、攻撃隊を発進しようとしたが運悪く準備が完了した所に、攻撃隊が殺到して来た。滑走路にいた《B-26マローダー》16機、《TBFアベンジャー》雷撃機、10機《SBDドーントレス》爆撃機14機が破壊された。戦闘機も10機が破壊された。

 

 

 

「サンド島(西の島)滑走路使用不能!」

「イースタン島(東の島)水上機基地破壊されました。攻撃には数名のプリキュアも参加している模様です」

 

 

 滑走路だけでは無く、燃料タンクや対空砲も破壊された。アメリカは滑走路を破壊されても、豊富な機械力で短時間で修復する事が出来る。

しかし、プリキュアに滑走路修復に使う重機類をついでに破壊されてしまった。機械が無ければ修復能力は、日本軍と同レベルに落ちてしまう。

 

ミッドウェー島司令部は、泣き言は言わず無線所が破壊される寸前に、

「司令部健在! 敵機7機以上撃墜確実」と通信して来た。

 キンメル提督は、オアフ島とカウアイ島の間にあるカウアイ海峡を抜けた所に、艦隊を展開させた。作戦としては、ハワイの基地航空隊と連携して戦う以外に方法は無い。

 

 

4月19日 午後3時

 

 

まず在ハワイ航空隊が、先手を打った。《P-38ライトニング》F型40機に護衛された、《B-26マローダー》35機、《B-25ミッチェル》』中型爆撃機20機

が攻撃を行った。未だ単発機の《F4Fワイルドキャット》《TBFアベンジャー》と、陸軍機の《P-40ウォーホーク》等は、航続距離が足りないので参加していない。

 

 

「プリキュアのお嬢さんたちに、カッコ悪いところ見せちゃならんぞ。《メザシ》は650kmほどでるそうだ。武装も強力だから、奇襲に警戒しろ」(1)

 

《ライトニング》は、機首に20ミリ機関砲1門と、12.7ミリ銃4丁を装備している。高速性を生かし、5丁の機銃による一撃離脱が《ライトニング》の得意技だ。

爆弾や対地ロケット弾も、最大1.5トンほど搭載できる。欧州でも大いに活躍し、北アフリカ戦線では戦闘爆撃機としても大活躍している。ドイツ側からは《双胴の悪魔》

と恐れられた。

 

一機の《ライトニング》が、横合いから仕掛けて来る。《P-38》の20ミリ機銃は、《零戦》64型に届く前に失速して落ちて行く。未だ距離が足りないのに、撃ってしまっているのだ。

 

 

 

 

「敵さん、未だ訓練が足りんかな? 温暖なハワイでついつい怠けてしまったか?」

 

 

 日本側は月月火水木金金で、厳しい訓練を行って来た。既に実戦経験があるという差も大きい。

逆にアメリカ側は、日本人は近視で戦闘機の操縦は難しい等と言った、根拠なき偏見で油断していた。

 

《零戦》は新米搭乗員が操縦する《ライトニング》の攻撃を回避し、上に回り込み20ミリ機銃を発射する。64型は、初期型の21型に搭載されていた九九式一号20ミリ機銃(60発)から、九九式二号20機銃2挺(125発)に変更している。

 

炎上した《ライトニング》』は、海面に突入してバラバラになった。一瞬だけ、敵搭乗員の冥福を祈りすぐさま意識を切り替える。

 

《零戦》と戦った部隊は、未だ勇戦出来たと言える。少なくとも6機の《零戦》を撃墜し、更に数機に損傷を与えた。

プリキュアに向かって行った、《ライトニング》は大損害を出してしまう。それは開戦冒頭の再現だった。

 

 

 

「速過ぎて、追尾できない!」

 

「オレンジの服を着たプリキュアが四つ葉の楯で、攻撃を吸収したぞ」(キュアロゼッタ)

 

 

「クローバの楯が飛んできた……ザーー」

他にも氷漬けにされ墜落したり、剣で主翼を叩き切られたり巨大なハートが……

 

 

中型攻撃機《B-25ミッチェル》《マローダー》も、《零戦》とプリキュアの攻撃を受けている。

 

「くそっ! 全く弾が当たらん」

ホールマーク中尉が、嘆きプリキュアを睨むが何の効果も無い。《ミッチェル》爆撃機は10丁以上の12.7ミリ機銃を装備しているが、全く命中しない。

 

 

 

「目で追うのもしんどいですね」

「ライフルで、蜂を撃ち落とせって言われてる感じだ」

某経歴不詳の某S級スナイパーなら、可能かもしれないが 

 

 

 

 爆撃機の旋回機関銃は、戦闘機の固定機関銃に比べ命中率が低い。無論未来のイージス艦みたいにレーダー連動や、高性能コンピューターも無い。射撃は全て機銃員の勘頼りだ。

普通の戦闘機を撃墜するのも簡単では無いのに、高速と変幻自在の動きをするプリキュアを撃墜出来るはずが無い。

 

 

「《マローダー》隊もやられています!」

通信を傍受していた、無線士のポール・アレン軍曹が報告する。

 

《マローダー》は故障による事故墜落が多い事から未亡人製造機と呼ばれていたが、今もまたその名の通り一機撃墜される毎に、7人前後の未亡人と戦災孤児を生み出していた。

 

 

「いよいよこっちも危ないですね」

「やられるんなら、ジャップ野郎が操縦する戦闘機じゃなく、美少女にやられたいですね」

「俺は長髪派だから、髪の長いプリキュアにやられたいな」

ホールマークはまどか派の様だ。

 

 

「敵機撃墜!」

味方機を狙っている、《零戦》に12.7ミリ機銃で攻撃し、左主翼が吹っ飛んだ《零戦》が、コマのように回転しながら落ちて行く。

 

乗員が歓声を上げた瞬間、無線機から退却命令が来た。周囲を見ると既に半数以上が撃墜されている。

「爆弾を捨てて退却!」

 

 残存機は、搭載していた250kg爆弾を投棄して逃げ出した。ろくに狙いも付けずに投下した爆弾の中で、命中しそうな爆弾はプリキュアが始末したのだが……

 

 

 

 ホールマーク中尉の《ミッチェル》が投棄した爆弾が、海面でバウンドして《朝潮》型駆逐艦6番艦《山雲》の機関室に命中し、航行不能になり自沈処分。

《山雲》被弾にプリキュアが一瞬気を取られた間隙を突いて、《マローダー》の投下した250キロ爆弾が、防空巡洋艦《吉野》の65口径10センチ対空砲に命中し、

火災が発生した。しかし航行に影響を与えるような被害では無い。更に《長門》に250kg爆弾が命中するも、装甲で弾き飛ばされ被害は皆無だった。

 

駆逐艦1隻撃沈、防空巡洋艦に軽微な損傷を与えたのと引き換えに、攻撃隊は半数以上の被撃墜機を出して撃退された。

 






1 《P-38》の機体の形が、鰯の保存食「メザシ」に似ている事から、《零戦》搭乗員等からそう呼ばれた。
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