オールドサラ=空母《サラトガ》もう古いからそう呼ばれていた。一番古いのは《金剛》かなあ?
「金剛はおばあさんじゃありませーん!」
攻撃隊から詳細情報が伝えられた時、ハルゼー艦隊はそれに取り合っている暇は無かった。
午後2時45分
ハルゼー艦隊上空に到着した、攻撃隊は先ず一隻だけ速度が遅い、《ワスプ》に襲い掛かった。
《ワスプ》ぱ、1940年4月に完成した中型空母だ。排水量14500トン、全長219.5メートルと《ヨークタウン級》よりも小型で、なぜこんな中途半端な性能になったかと言うと、
米海軍の偉い人
「ワシントン軍縮条約の枠内で、《ヨークタウン級》3隻建造したら、ちょうど枠が14500トン残っているから、中型空母を建造する」
搭載機数は、日《飛龍》より多い76機(84機説も)だが速力は、やや低速の27ノットしか出ない。
《ワスプ》は開戦直後、トーチ作戦の支援任務に従事していた。一度だけ仏領モロッコ奥地にある、ヴィシーフランス空軍の空襲を受けている。空襲と言っても旧式戦闘機10機と、年代物の爆撃機5機だけだったのだが。
無論仏攻撃隊はあっけなく全滅した。戦闘機により全機撃墜され、《ワスプ》対空砲は一発も射撃する必要は無かった。
敵機編隊も乱れていて、爆撃機もふらふら飛んでいた。仮に爆撃する所まで行けていても恐らく命中弾は皆無だっただろう。
2月半ばまで、北アフリカで航空支援に従事し3月初めごろに本土に帰還し、補給と休養の後艦載機を新型機に交換し、パナマ運河を通り太平洋に向かった。
他の艦の乗員等から、敵搭乗員の優秀さやプリキュアの恐ろしさは聞いていたが、新型戦闘機《F6Fヘルキャット》が有ればプリキュアにも勝てるだろうと考えていた。しかし、襲撃してきた日本機はモロッコ沖で見た仏植民地空軍機とは違い、整然と編隊を組み向かって来るではないか。
やがて敵編隊から戦闘機が分離し、迎撃に出た《ヘルキャット》との戦いに向かう。《ジーク》は《ヘルキャット》に比べ最大速力で30km/hほど劣るそうだが、フランス植民地空軍と違い一方的な戦いにはならなかった。
戦闘機同士が戦っている間に、急降下爆撃機と雷撃機が迫って来る。
ヴィシーフランス軍の爆撃機は、第一次世界大戦の頃の外見が残っている古めかしい機体だったが、帝国海軍の攻撃機は、非常に洗練した外見を持っていた。
《彗星》と《天山》は、《ワスプ》に同時攻撃を仕掛けた。《ワスプ》や周囲の護衛艦の対空砲火で数機が撃墜がされたが、残りは動じることなく突入して、信じられない様な低高度で爆弾を投下した。自分の船が狙われていないのに、周囲の船の乗員の中には、思わず身を伏せる者もいた。
一番機の爆弾は惜しくも外れ、巨大な水柱が《ワスプ》の姿を隠した。護衛艦乗員の多くが、その水柱の影でピカピカッと光る閃光を数度目撃した。
水柱が消えると、《ワスプ》艦上の複数個所から黒煙が上がっている。《彗星》が離脱するのと、ほぼ同時に《天山》隊が超低空から攻撃を開始。《天山》隊は、恐ろしいほど低空で突入して来る。
「連中、高度10メートルも無いぞ! クレージな奴らだぜ!」
《天山》隊、護衛艦の乗員がひやりとするほど至近距離から魚雷を発射した。命中した爆弾の爆発音も収まらぬ内に、《ワスプ》の右側に、3本の水柱が上がった。
魚雷命中を示す水柱が収まる前に、《ワスプ》で新たな爆発が起き、右舷側に20度以上傾いた状態で停止してしまった。近くの駆逐艦艦長が、救助と消火支援を命じようとマイクを掴もうとした瞬間、誘爆が起きたのか空気を切り裂く大爆発が発生。
轟音が収束した時、《ワスプ》の船体はほぼ海に引きずり込まれた後で、煙突の先端等が僅かに見えただけだった。
「見ろよ、《ワスプ》が海底に旅立つぜ」
その光景を見た乗員の誰もがこう思った。《ワスプ》乗員でなくて良かったと……
空母《エセックス》
「敵急降下爆撃!」
「右舷より雷撃機接近! 10機以上です!」
ジョセフ・クラーク大佐(『エセックス』艦長)
「面舵一杯! 雷爆同時攻撃とは日本人めやりおる!」
27100トンの船体が右に回り始めるとのと同時に、5インチ両用砲及び多数配備された、40ミリボフォース対空機関砲が激しい弾幕を張った。
「敵機1機撃墜! 更にもう一機撃墜!」
数機の《彗星》が、炎上し金属が破壊される音を響かせながら墜落していく。操縦手が射殺された機は炎上も、黒煙も出さずに原型のまま海面に突入した。
「被弾した 敵機が突入して来ます!」
炎上した一機が、死なば諸共とそのまま墜落して来る。
「突入を許すな! 撃って撃って撃ちまくれ!」
40ミリ機関砲が必死に、炎上しながら突入して来る《彗星》に銃弾を浴びせる。
「くそっ! ダメだ、全員伏せろ!」
機銃員や甲板員が、退避しようとした瞬間、突然操縦不能になったのか、《彗星》の針路が突如ずれて空母から15メートルの水面に墜落し、爆発した。
「敵機爆弾投下!」
大半は32.9ノットの高速を生かし回避したが、3発が命中した。2発は甲板に命中し内部で爆発した。1発は前部兵員室、飛行甲板後部に命中した1発は甲板を貫き、格納庫内で爆発し予備の《アベンジャー》数機が炎上。
3発目は、煙突を直撃し貫通後前部ボイラー室で爆発した。前部ボイラー室は破壊され、機関員は全員が死傷。更にボイラーの破壊で、機関出力が半減した為最大速力は大幅に低下。つまり、爆撃や雷撃を回避する事は困難となった事を意味している。
「雷撃機接近!」
「魚雷を発射していない機を狙え。魚雷を持っている機は炎上させても油断するな!」
クラーク大佐は、魚雷を発射済みの敵機は極力放置する様に指示。
《エセックス》と護衛艦は、健在な全対空砲で弾幕を張る。炎上した雷撃機も魚雷を投下していない機は墜落するか、粉々になるまで撃ちまくる。
数機の《天山》が炎や黒煙を吐き出しながら、海面に激突する。そのまま沈んで行く機もあれば、墜落の衝撃で
燃料タンク、魚雷が爆発したのか粉々に爆散して海面下に消える敵機もいる。
「魚雷命中します!」
「全員衝撃対応せよ!」
クラーク大佐が艦内マイクで命じた数秒後、魚雷二本が続けざまに命中した。激しい振動で艦橋でも、何人かの士官や乗員が転倒した。
「状況を報告せよ」
「前部兵員室浸水!」
「後部格納庫で火災発生!」
「応急隊消火作業を開始せよ!」
米海軍の強さの一つに、優秀な応急修理能力が数えられる。史実では戦争後半、神風特別攻撃隊等の攻撃で、米海軍主力空母が大破した事は何度かあるが何れも、優秀なダメージコントロールで沈没は免れている。(尤も、それらの艦は損傷があまりに酷く、戦後早い時期に退役している)
応急隊だけではなく、手の空いている乗員も応援に駆け付け消火や、浸水阻止作業を開始した。しかし作業開始の報告は、見張り員の絶叫にかき消された。
「ら、雷撃機接近! 左舷距離900!」
仰天して左舷側を確認すると、5、6機の《天山》が左舷から接近して来る。右舷側からの攻撃や、被弾への対応で乗員達が、気を取られている間に接近されたのだろう。
「時間差攻撃か!」
「取り舵一杯!」
《エセックス》乗員が知る由も無かったが、数機の《天山》雷撃機が、これまた数機の《F6Fヘルキャット》戦闘機に迎撃された。米戦闘機の数は少数だったので、喪失機は出なかったが逃げている内に、米艦隊の艦列の上を通り過ぎてしまった。
ほどなく護衛機5機が援護に来たので、少数の米戦闘機隊は慌てて逃げ出した。
《天山》小隊の隊長は、あまり長時間重い航空魚雷を抱えて戦場に留まるのは危険だと判断し、再度米艦隊の右舷側に回る事はせずに、このまま左舷側から雷撃を行う事にした。
幸い米新型空母は、右舷側からの攻撃や被雷対応で左舷側の見張りが疎かになっているのか、接近しても左舷側の対空砲が全く撃って来ない。
魚雷を投下した瞬間、ようやく左舷側の対空機関砲が射撃を開始したが、慌てて撃ってるのか銃弾は全て見当違いの方向に飛んで行った。《天山》隊数機が、《エセックス》の上を飛び越えた数秒後2本の命中を確認した。
「毎回こんな風に楽だと、良いのだがな。新型空母と言えども魚雷4本も命中したら海の藻屑だろう」
オマケ
《加賀改二》遂に艦これ実装(5月20日)
《加賀》だけ何故28ノットしか出ないの? 他の大型日本空母は30ノット出ます。
実は《加賀》はスクラップになる予定でした。ワシントン軍縮会議で、主力艦の保有制限が決まり八八艦隊(戦艦8・巡洋戦艦8)は中止になりました。
しかし、建造中の天城型巡洋戦艦(41200トン 速力30ノット)の2隻《天城》《赤城》は、空母転用を認められました。
だが、1923年9月1日の関東大震災で横須賀の造船所にいた《天城》は船体が修復不能の被害を受け廃艦。代わりに《加賀型戦艦》1番艦《加賀》の空母転用が認められて、空母に改造されました。しかし《加賀型戦艦》は、最大速力28ノットで30ノット出ないので、空母になっても他の大型空母より低速になってしまいましたとさ。
艦これの低速と高速の境界線は、27ノットらしいですよ。27ノットの《大和》が低速枠で、《加賀》が高速枠なので。
「大岩一課長」5月末で撮影分無くなるそうな。「麒麟がくる」が6月7日、「エール」は6月末まで。