プリキュアDOOMSDAY   作:宇宙とまと

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 念願のフレッチャーを入手(艦これ春イベ)他の新規レア艦……そんなものありましたっけ? 《宗谷》は何に使うんだろう? タロとジロを救出する(昭和基地から)任務でも増えるんですかな。


第67話【ボランティアでは無いので、給料は支払われます】

 

テキサス州南西部

 

「後始末も、これで完了だな。おーい最後にお茶でも飲んでいってくれ」

この家の家長の、ジェイク ・ ディルクに呼び止められた、パーティの参加していた、ご近所の人たちが集まって来た。この日、ジェイクの息子の生還記念昼食会が開かれ、近所の知人達が参加した。次男のトーマスは、北アフリカの戦場で負傷し、

入院していた。

 

 一命は無事取り留めたが、怪我の程度から

「戦闘の可能性が高い、最前線の軍務は困難」

と軍医から判断され、来月からは隣の町にある飛行場の警備をしている部隊に転属となった。飛行場は、新兵の訓練用に建設された大規模な飛行場で、

一応「安全の為」陸軍の連隊が配備されていた。

 

 

「うちの息子は無事帰って来たが、皆の所は無事か?」

「おれの所は、モロッコの確か……カサブランカって都市の警備部隊だ」

「フロリダの警備部隊だ」

「長男は、戦闘機のパイロットで確かチュニジアの基地に、転属に決まっていたんだが、ほら4月にジャップとプリキュアが西海岸を襲ったよな。

それで、部隊は急遽モンタナ州に配備が変更されたと手紙が。あっちの守りもバカにできないらしいって事だ」

 

ご近所さん達の子供は、最前線には一人もいない様だ。

 

 「じゃそろそろ帰るよ」

数分後お茶を飲み終えた、知人達が挨拶をして帰ろうとした。

「おう、また今度な……」

その時、ジェイクはテーブルがかすかに揺れている。

「誰だい。テーブルを揺らすなよ」

「いや誰もやって無いぞ」

 

その時、壁と床が激しく揺れ出した。

「外に逃げろ!」

誰かが叫び、全員は慌てて外に飛び出した。揺れは20秒ほど続き、最後の一人が飛び出したころには徐々に落ち着いていった。

 

「近くに、訓練中の爆撃機でも墜落したのか?」

「貨物列車が脱線事故でも起こしたのかな?」

「いや、これは地震と言うやつでは無いのか?」

 

 日本と違い、大きな地震とは縁が無い住民達なので、直ぐには地震と気付かなかったのは致し方ない。しかし、地震と言う存在は知っていた。

1906年に、発生したサンフランシスコ大地震は学校で習ったし、隣接するメキシコは地震が多い国なので、仕事などで入国するメキシコ人から、地震の事は聞いていたりする。しかし、これほどの激しい揺れは全員初めての経験だった。

 

 

 ジェイクは、一度家の中に戻ってみた。幸いガラスが割れ足り家具が転覆していたりと言う被害は無かった。しかし、さっきまでいたリビングではカップが全て

床の上に落ちて割れていた。その後再び玄関から外に出た時、どおおおおと言う音が響き、それが収まった時50メートルほど離れた場所にあった、民家が倒壊していた。

「直ぐに助けなければ」

何人かが、慌てて救助に向かおうとする。

「おいおい、あそこはもう20年も空き家だぞ」

「ああ、そうだった」

倒壊した民家は、もう20年以上放置されていてかなり壁がボロボロになっていた。役場によると所有者と連絡が付かないので、放置せざるを得ないらしい。

 

 

 全員で近所を一回りしてみたが、他に倒壊している家は無かった。しかし、屏やフェンスや門扉が傾いたり、亀裂が入っていた家は数件見つかった。

「爺さんが、地震で転んでけがをしたから医者を呼んでくる」

「隣の集落で、水道管が破裂して水浸しだ」

「あっちの水道管はかなり古くなっていたからな。俺達の集落は先月交換しておいて幸運だったな」

「この地震の震源地は何処なんだ」

「そりゃメキシコじゃないのか?」

「メキシコの北東部辺りで大地震が起きて、その揺れがこっちにまで来たのでは」

「なるほど」

 

「パパ、それは違うわよ」

「違うって何がだ?」

ジェイクの娘エイミーは、異論を唱える。

「地震が起きた時、まず家の東側から揺れ始めたわよ。メキシコが震源地なら、家の南か南西の方から揺れると思うわ」

「家の東の方が揺れが、大きかった気もするなあ」

ジェイクが感心していると、

「地震が発生する10秒ほど前に、庭の木から鳥が一斉に飛び立ったわ」

「鳥が、うるさく鳴いていたけどそれが原因だったか」

「ジェイクよ、お前の家の庭木だけでは無いぞ」

 

「爺さんか、怪我は無かったかい」

「ソンムの戦いに比べれば、地震なんかたいした事は無い。ドイツ帝国軍の砲撃に比べればそよ風じゃな」

「まあ、そりゃそうだ……おいおい、ソンムの戦いにアメリカ人がいる筈も無いじゃないか」

 

 ソンムの戦いは、1916年7月から11月中旬にかけて、フランス北西部で発生した激戦だ。合衆国が参戦し、部隊とスペイン風邪のウィルスがフランスに到着したのが18年の春だ。戦争の後にアメリカに移民した人を除けば、アメリカ人がいる筈も無い。

ちなみに、英国153万、フランス144万、ドイツ帝国150万が参戦し、犠牲者は英国456000、フランス20万、ドイツ最大50万

秦国に、長平の戦いの恨みを千倍返ししてやるマンとして有名な、万極将軍ですら唖然とするような犠牲者が出た。

 

 爺さんは、フランスには出兵しているが、後方の警部部隊に配属だったので、ドイツ軍と戦った事は無いらしい。

 

「お前さんの家だけじゃ無く、町中の木から鳥が西に向け飛び立った。一本の木から一斉に飛んでいく程度なら、見た事はあるがな。町中から一斉に飛び立つ光景は初めて見た」

鳥や獣は、人間には無い能力があると言う。渡り鳥とか、鳩が正確に目的地に来るのはそういった能力らしい。

 

その時、上から鳥の鳴き声が聞こえた。上を見ると数羽の鳥が家の屋根を飛び越え、庭の木に降りた。空を見ると数羽ずつ鳥が、宿り木に降りてきている。

 

 

 

 翌日午前9時

ワシントンDC ホワイトハウス

 

「テキサス州で、かなり強い地震が発生したが幸い甚大な被害は無かった。と言う事だな?」

「はい、震度は4程度だったのが幸いしました」

ルーズベルト大統領に対し、側近のハリー・ホプキンスが昨日の地震の被害を報告している。

「現状、犠牲者は0人です。入院している一部重傷者の症状が悪化して、今後出る可能性もありますが。何分地震に対する備えなど、全く存在しない地域ですので」

犠牲者はいないが現在106名の負傷者が出ている。その内24名は重傷だ。階段から転落したり、家具が倒れて巻き添えになって、搬送されている重傷者が複数居た。

屋外でも、道路に亀裂が生じ不運にも走行していた車のタイヤが、亀裂に嵌り横転し運転手が負傷と言う事故も起きていた。

 

「やはりメキシコが震源地では無いのだな?」

「駐メキシコ合衆国大使館に確認しましたが、メキシコで大地震は起きていません。メキシコ北東部の一部では、テキサスからの地震で多少揺れたそうですな」

 

 

 実はテキサスでも、一度だけ大きな地震が起きた事がある。1931年8月16日に、テキサス州西部の町バレンタインにM6.7の地震が発生した。

バレンタインの町では、家の壁に亀裂が入ったり、教会の壁が崩れるなどの被害が出た。しかし、この地震死者どころか負傷者すらも0人だったので、

バレンタインの町以外の住民は、数年もせぬうちに地震の事を忘れてしまっていた。

 

「大地震の前に、本震より弱い地震が起きる場合もあると聞く。念の為にいつでも救援物資を送れるように準備させておくのだ」

 

 

数時間後

 

「おや、今僅かに揺れなかったか?」

「いや、風では」

大統領が窓の外を見ると、確かに風が吹いて木が揺れていた。が、大統領が食後の珈琲を飲み終えた直後……

「大統領、アラスカ北西のジュノーで強い地震が。かなり被害が出ているとの事です」

「テキサスに続いて、アラスカで大地震か。異常な事態だ」

「落ち着いてください。アラスカでは今回のような地震は過去に何回も起きています」

「ああ、そうだったな。直ぐに救援隊と救援物資の手配をせねば。隣接するカナダ政府にも要請しよう」

 

 

強い地震と言っても、アラスカもまた面積は広くても人口密度は低い。しかし、ジュノー空港の軍用機が格納庫の爆発事故で、20機以上鉄とアルミニウムの化合物

になってしまい、大統領の胃にダメージを追加した。

 

 

 

8月25日

 

東京 陸軍参謀本部

 

 

「君達がいた世界では、戦時中にテキサスで今回の様な強い地震は起きていないのか」

「メキシコでは、大地震が起きた事は聞いた事はありますが、テキサス州で強い地震が起きたと言う話は聞いた事が……」

「そうか、未知の地震と言う事になるなあ。幸か不幸か大きな被害は無かった様だ」

 

 地震発生数時間後、中立国メキシコの駐日大使館は「テキサス州で大地震が起きてかなりの被害が出た」と言うニュースを聞いた。

そこで駐在武官をメキシコ北東部の町に派遣して、情報収集をさせた。が、その結果多少の負傷者が出ただけだと言う事が判明した。

仕事でテキサスに行っていた、メキシコ人が噂に尾ひれを付けまくって、メキシコ国内で騒いだのが原因だった。

 

 しかし、内陸部で震度4程度といえども地震が起きるのは極めて稀なので、石原参謀総長はマナ達を招請して、世界Bで同様の地震が起きていないか

聞く事にした。

 

「私達の世界では、地震の事を隠蔽していて実際は怒っていたんじゃ?」

真琴は、実は世界Bでも地震は起きていたが世論の動揺を防ぐ為に、隠していた可能性を主張するも……

「関東大震災のような大きな被害が出ていたら、隠すかもしれないけど。民主国家なんだから隠すのは無理よ」

六花は、民主主義のアメリカで大地震の隠蔽は無理だと答えた。ちなみに、近くでそれを聞いていた、参謀本部勤務の瀬島少佐は、遠回しに非民主国家である大日本帝国を非難されたような気がして、微妙な表情を浮かべた。

 

 

「実は今日来てもらったのは、もう一つ確認したい事があるのだよ。一昨日オーストラリアでかなり強い地震が起きた様なのだ」

「場所は、何処ですか?」

「オーストラリア南東部の、ニューサウスウェールズ州にある、ニューカッスルです。位置は、シドニーから150キロほど北東……ここです」

瀬島は豪州の地図を広げ、場所を指し示す。

 

 

 無血占領した、オランダ領インドネシア東部にあるスラウェシ島南部の都市、マカッサルに陸軍は無線傍受局に一つを置いていたのだが、一昨日、オーストラリアのラジオ放送の中で、オーストラリアでかなり強い地震が起きたと言う事が判明した。

 

 同国で震度5の地震は全く前例が無く、更にオーストラリアに近いラバウルで、1月以降大規模な火山活動が続いているが、火山学者の中に、「ラバウルの火山活動は、日本での大規模地震の前兆現象の可能性あり」と主張している、人がいたので

それを知っていた石原は、急いでマナ達を招請して、プリキュア世界で同様の地震が発生していないか質問する事にした。

 

「私達の世界でも、その地震は起きています。30年前……じゃ無かった、今から40年後の、1989年の12月の終わり頃……確か午前10時半頃だと聞いています」

「何と」

それを聞いた、石原大将と瀬島少佐はかなり驚いた様だ。

「実は、ラジオ放送によると地震の発生は午前10時半頃との事だ。日付は違うが時刻は全く同じと言う事になるなあ」

 

「マナはよくその地震知ってたわね」

「私の実家の洋食屋の常連さんの一人に、オーストラリア出身の人がいて、日本人の男性と国際結婚したんだけど、5歳の頃にその地震に遭遇したんだって」

その地震が起きた直後は、誰も地震だとは判らず「ガス爆発事故」ではと勘違いしたそうな。

 

「死者の数は判りますか?大まかな数字で構いません」

「ええと、確か15人ほどだと……」

「こちらの地震は、死者及び不明者30人以上との事ですね」

「40年以上経過したら、住宅などの強度も違うだろう。その差が出たんだろう」

 

 

30分後

 

「何かの前兆なのでしょうか?」

「それは判らないわ。あのラバウルの火山噴火も私達の世界では、確か50年も後の事件だわ」

ラバウルは、某妖怪を主人公にしたアニメの作者が戦時中、出征していた場所なので割と知名度はある。

 

 

「考えても仕方ないわね」

「そういう時は体でも動かそう」

 

「8月でも、私達の時代よりは涼しいのは助かりますわ」

「逆に冬は少ししんどいけどね」

 

温暖化や、ヒートアイランド現象が無い上に、太陽光線を跳ね返す舗装道路や鉄筋コンクリートの高層ビル群も無いので、

70年後の夏よりは遥かに楽だった。逆に冬は温暖化が進んで無い分、気温が低くて体調不良になったプリキュアも数人いた。

 

 

「現代とは比較にならないくらい、緑が多いですね。生活や産業のためとはいえ、人類は傲慢な事をやって来たのでしょうか?」

「と言ってるけど、ありすの実家もそれに加担……」

「四葉財閥は最大限環境に配慮しています」

 

「ひまりちゃんが、マフティ―何とかが、テロを起こしたくなったのが少しだけ理解できました。って言ってた」

「ひまり、マフティ―の正体はハ……」

とゆかりがネタ晴らしをしようとしたが、あきらにより回避されたw

 

「そういえばいちかちゃん達は、北海道で訓練(自主的)とか?」

「ゆかりさんが、一番涼しい所で訓練したいとか言ったみたい」

 

 

 

 

 

8月28日

 

イングランド中部 航空基地(ロンドンより北に約50キロ)

 

 

「体調に異変を感じた人は、直ぐに近くの警備兵に申し出るようにしてください」

今日は滑走路周辺の草地の、定期的な草むしりが行われていた。定期的に除草しないと、例えば風が強く乾燥している日に、オーバーラン事故でも起きれば、あっという間に火が基地全体に燃え広がる危険があった。

 

 

 

 およそ50人以上が作業に参加しているが、3分の2は、委託した民間業者と、基地の施設保全隊に配属された軍人だ。残りの25%は、一般の兵士達だ。何か不祥事でも起こしても懲罰では無く、戦闘で(ドイツ本土への爆撃任務)負傷した兵士のリハビリを兼ねている。中には、爆撃任務から生還し生還祝いにパブ(酒場)に飲みに行ったら、運悪く酔っ払い運転のトラックが店に突入して負傷……等の運が無いのも混じっている。某五輪のボランティアとは違い、きっちりと給料は支払われている。

 

 

「そろそろ終了か」

「お疲れさん。基地司令からの差し入れだ。全員分有るから配ってくれ」

「ありがとうございます」

 

作業員達に、甘い飲み物が配られる。

「ぷはー、生き返ったぜ」

 

 

「おい、今日の夕日も妙に鮮やかだぜ」

「いや、昨日よりも鮮やかな気がするな」

「同感だ。また騒ぎになるな」

 

 一週間ほど前、アイスランド東岸の火山がおよそ130年ぶりに噴火した。風向きは西から東だったので、アイスランド島には被害は少なかった。

「何という、火山だったかな? 確か発音が面倒な名前だった筈だ」

リハビリ兵の一人ジミー・フォスター少尉が、同じリハビリ中の下士官に火山の名前を聞いた。

「エイヤ……なんとかかんとかです」

 

 

 まずはスコットランドの方から、この妙な夕日の話が聞こえて来た。その日はイングランドはあいにくの雨で、夕日を見る事は出来なかった。

そして、低気圧が北海に去り天候が回復した昨日、ロンドンの辺りでも鮮やかな夕日が目撃された。

 

 今まで誰も見た事が無い現象だったので、内陸部では「山火事が起きている」、海沿い(英国西岸)では、「洋上で船が燃えているように見える。独軍の攻撃では」

と夕日を火事と錯覚した、通報が相次いだ。子の基地でも、東側に住んで居る住民が

「基地で火事が起きている」と勘違いして消防に通報していた。

 

 

 

 やがて、その日のドイツ本土爆撃から帰還して来た爆撃機の姿が、何機かずつ東の空から近付いてきた。

(今日はいつもより帰還機が多いな)

「未だドイツ本土は雨天らしいですよ。だから上手く迎撃戦闘機が発進できなかったんだと思います。少尉殿」

どうやら、声に出ていた様だ。一等兵の階級章の警備兵が教えてくれた。

(しかし、こちらも爆撃目標を識別できなかったんじゃないかな?)

 

戦車工場を爆撃する筈が、大きく目標を外れ郊外のジャガイモ畑を耕していた。と言う事になっている気がした。

 

 

 

やがて最後の一機が近付いて来たが、エンジンから煙が出ている。

「爆発の危険アリ! 基地の外にいる兵士は、直ぐに安全地帯や防空壕に避難せよ!」

退避を命じる放送と同時に、サイレンが鳴り響いた。

 

エンジンから黒煙が出ていた《B-17》爆撃機は何とか無事に着陸し、直後乗員達が飛び出して来た。ジミーも彼らとともに、防空壕に逃げ込む。最後の一人が避難を終え、防空壕の扉が閉められた数秒後に爆発音が響き、防空壕が激しく揺れた。その後、金属製の部品とかが地面に落ちる音が何度か聞こえ、直ぐに消防車のサイレンにとってかわられた。

 

5分以上経過して、そっと扉を開けてみる。予想通り《B-17》は激しく炎上していた。

「草を取っておいてよかったなあ」

ジミーが安堵していると、

「おっ、ジミーじゃないか? もう退院できたのか?」

「今月の5日に退院できました。ラル大尉。今はリハビリ中です」

「無事でよかったよ。こっちは危うく蒸し焼きになる所だった」

「あっ、爆発した機体はラル大尉の機体でしたか」

 

 

大尉によると、やはり雨のせいで戦闘機の迎撃はかなり少なかった。ラル大尉の機体も、対空砲の至近弾で操縦席のガラスと、

エンジンに僅かな損傷を受けただけだった。大尉の機体の爆撃成果?

 

「雨で目標が識別できなくて、やむなく勘で投下した。雲の隙間から一瞬見えたが、どうやらライ麦畑の一角を穴だらけにした様だ」

 

その後、帰還していた時徐々に機内に卵が腐った臭いが広がり出した。そして、英本土まで戻って来た所で突如エンジンから黒煙が噴出した。

 

 

 

10日後

 

 

 事故が有った次の朝までに炎上した機体の残骸は撤去され、爆発で損傷した滑走路の修復工事も、空が白み始めるころには完了した。ラル大尉の機体から回収された、

エンジンの残骸から、大量の火山灰が検出された。他の帰還機からも数機エンジン不調の申告があり、エンジンを分解したところ火山灰が採集された。

 

 

 同じ日、イングランド北東部に示威(恫喝)飛行を兼ねているのか、一機の新型ジェット爆撃機が飛来した。中型機だが、最大速力は760キロに達し、

そ奴はとある飛行場を写真撮影すると、《スピッファイヤー》(時速715Km)を悠々と振り切り、離脱すべく進路を東に取った。が、海岸線に近付いた時

突如エンジンが爆発した。独搭乗員は直ちに生き残る為に、機体を放棄して脱出した。独新型機は海岸部に墜落し、搭乗員は拘束され捕虜収容所に送られた。

 

 

 このパイロットも従来通りの供述をした。突如機内に、変な臭いが立ち込めてその後エンジンが爆発したと。

ジェットエンジンだったので、従来のプロペラ機よりも遥かに速い速度で、火山灰を吸い込みエンジンが爆発したのだろう。

 

 チャーチル首相と、ヒトラー総統は偶然ほぼ同じ時間に火山活動が終息するまで、北海やノルウェー海方面への飛行を全面停止させた。

独本土爆撃や、少数での英本土への夜間爆撃も停止され、2週間ほどではあるが英独の市民は空襲に怯えずに済む日々を過ごした。後年「火山による休戦」として歴史に残る事となる。

 

 

 

「雨止まないな」

 ふと、足に痛みが走りジミーがモップ掛けの手を止める。

(雨が降ると古傷が痛むって本当だったな。後で軍医にも聞いてみるか)

爆撃が停止され、飛行場は静かだ。独軍機が火山灰を無視して爆撃を強行する可能性もあるので、戦闘機隊は何時でも発進可能な態勢を取っている。

イタリア方面は火山灰の被害は無い為に、通常任務だ。本土の基地から戦闘機隊の一部はイタリア戦線に増援に送られた。

 

「もうあの日から3カ月たったのか」

 

雨は次第に強く降ってきていた。

 





アイスランドの火山噴火の元ネタは、数年前に発生した噴火で、10日ほど欧州の国際線が全て運休に。直前に飛行機事故で死亡したポーランド首相の葬儀に、日本国とか多数の国がこの影響で参列できませんでした。


ひかる
「あれっ、確かイギリスにもニューカッスルって無かった?」
チコ
「良い質問です。と池○さんみたいに言ってみました。オーストラリアは、イギリスの植民地と言うか流刑地だったので、本土の町と似ている名前の都市が有ります」
ユニ
「他にもあるニャン?」
チコ
「スペインとかも、本国と植民地だった南米やメキシコで、同じ名前の町とかあります」
まどか
「昔、アメリカの家族が休暇でオーストラリアのシドニーに行こうとしたけど、航空会社の手違いで、カナダの人口数万のシドニーに到着するトラブルが有ったそうです。荷物だけは、本来のシドニーに到着していたそうですが」
オヨ
「悲劇ルン」

チコ
「ニューカッスル地震は、プリキュアの放映が開始された頃までは、番組改変季節の特番や、『世界丸○えテレビ特捜部」とかで放映される事もあったけど、最近は全然見ないわね」
えれな
「そんなこと知ってるのは、やっぱりチコちゃんは本当は5歳児では無いんじゃ」
チコ
「……」ササッ
プルンス
「あっ、逃げたでプルンス」


上に出ている独軍爆撃機(テスト中)は、《AR-234》艦これには出てません。
次回は久々に戦闘シーンが。

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