プリキュアDOOMSDAY   作:宇宙とまと

71 / 76

 こんばんわ 読んだ頂いている方ありがとうございます。甲子園最後までやれるんだろうか。来週木曜日まで雨予報。


20日から艦これ夏イベ

追加が確実視されているのは

英装甲空母《ヴィクトリアス》(作中で沈んだ《インドミダブル》の姉妹艦)
イタリア戦艦《コンテ・ディ・カブール》級2番艦《ジュリオ・チェザーレ》(改になると、低速から高速になる予感。艦名はジュリアス・シーザー すなわちユリウス・カエサルの事 戦後はロシアに賠償艦として引渡し)


第68話【独本土上空戦】前編

1944年5月1日

 

 

イングランド南部航空基地

 

 

「エンジンの修理は、間もなく終了します」

「お疲れさん」

 

 搭乗員達が、整備兵に一斉に敬礼をする。その視線の先では、彼らの《B-17》爆撃機のエンジン交換作業が行われていた。本来なら、今日行われる筈の西部ドイツ工業都市ドルトムント爆撃に参加する筈だったのだが、直前の点検でエンジンの一つに重大な不具合が発見され、参加は急きょ取りやめになった。

 

 

 

「数か月前に比べ、3つの環境が変化したな」

《B-17》尾部機銃員ジミー・フォスター少尉は炭酸飲料を飲みながら回想した。

 

 

 まず、海が遠くなった。3月まで彼は、英国南西部コーンワル半島のプリマス近くの航空基地に配属されていた。プリマスは港町なので、海へは直ぐに行くことが出来た。他の兵士と釣りに行った事もある。しかし今度の基地は、ロンドンの真北なので、海からは遠くなった。

 

 第二に、搭乗機が中型爆撃機《B-25ミッチェル》から、大型爆撃機《B-17》に配属替えとなった。

 

 第三に、裏方の部隊から、戦闘部隊に転属した。以前いた部隊は、英本土南西やアイリッシュ海の対潜哨戒部隊だった。他には、不時着した味方搭乗員や、潜水艦に撃沈された船舶の捜索任務もやっていた。洋上で漂流者を発見したら、無線で連絡を行い、救助用の船や飛行艇が救助に向かう。

 

 

(潮風を感じなくなったのも変化の一つだな)

 

 

 

 

「間もなく味方機が帰還する。消防隊や救急隊以外は滑走路付近より避難せよ」

アナウンスを聞いたジミー達は、急いで滑走路付近から離れた。

 

 

 程なく、東の空から帰還機と思われるエンジンの音が響いて来た。その音は何処か弱く感じる。東を見ると、整然と空爆に向け発信して行った編隊が、1機ずつばらばらに帰還して来る。更に機影も大きく減っている。

 

 

 最初に降りて来た《B-17》の音がおかしいと思ってよく見ると、エンジンの1機が損傷している。独軍戦闘機の銃撃のせいだろう。プロペラの回転もおかしい。その為に音が変だったのだろう。

 

他の搭乗員や、消防隊が不安の視線で見守る中、機長は巧みに操縦し無事に着陸した。それを見ていた兵士たちが拍手したり歓声を上げる。しかし、後続する爆撃機の姿を見るとすぐにしぼんでしまった。

胴体部に、機銃弾の命中した跡が複数あるのは未だ良い方で、エンジンの外側にあるカバーが吹き飛んでいたり、機銃座が丸ごと消失している機体もあった。無論その機銃座にいた乗員が、どうなったかは容易に想像できる。

 

 

 やがて、最後の爆撃機が着陸態勢に入る。その爆撃機も、多くの傷跡が見え更にエンジンの一基からは黒煙も引きずっている。ジミー達が固唾を吞んで、見守る中ふらつきながらもなんとか着陸……

 

接地した瞬間、左主翼下の脚(下にタイヤが)が折れて、機体が沈み込み主翼先端部が滑走路に接触し火花が散った。それを見た瞬間全員物陰に飛び込むか、身を伏せた。が、20秒経過しても爆発音や破壊音は聞こえてこない。後で知ったのだが、その機体の機長が万一に備え、最低限の燃料を残して残りを海上で投棄させていた。その為にガソリンに引火して爆発する事態は避けられた。

 

消防車が、火花が散った辺りに消火液を吹きかけ、その間に担架を持った救助隊が機体から乗員を助け出している。

 

 

結局ドルトムント爆撃に参加した22機の内、12機が生還し10機が未帰還となった。生還機の内2機は、損傷が酷く海岸に近いイングランド東部にある飛行場に着陸した。生還機の中2機は損傷が酷く、修理不可能とされた。

 

戦死者は107名。《B-17》の乗員数は10名なので、未帰還機以外に生還した機体の中からも、6名の戦死者が出た事になる。無論他の基地から出た爆撃機や、護衛戦闘機の被害を入れると被害はその何倍にもなる。

 

(数か月に一度の被害ならまだしも……)

 

 

数か月ぶりの損害なら、戦争である以上時には大きな損害が出るのはやむを得ないと、諦める事も出来る。が、独本土への爆撃の度に毎回このような大きな犠牲を出している。

 

 

 

 数年前、第三帝国は今までの理論を一新させる墳進式戦闘機、すなわちジェット戦闘機の開発に成功した。最高速度は時速850キロに達する。

米英でも、同様の新型機を開発していたが、どちらも最高速度は650キロ~700キロ程度で、一部の従来機よりも遅い速度しか出ず、実験機か練習機にしか使えない代物だった。

 

ところが、ここで独裁国家の弊害がもろに出てしまう。ヒトラー総統が、せっかくの高速戦闘機を「爆撃機として運用せよ」と命令してしまった。この頃連合軍は《P-51マスタング》《P-47サンダーボルト》(米)《スピットファイヤ―17》(英)等の登場で、従来の爆撃機では、迎撃戦闘機の突破は難しく。その為には高速の爆撃機が必要だと考えた。

 

 

 空軍上層部は仰天し、何とか撤回をお願いするが総統の意思は固く、何とか製造ライン20の内、1ラインを戦闘機仕様の製造を認めさせたに留まる。これを知った英空軍上層部は狂喜した。

 

 

 しかし、

「爆弾を投下する際に、かなり減速しないとならないのか。その時に攻撃されたら簡単に撃墜されるかも知れない。やはり戦闘機として運用すべきかもしれぬ」

と、総統が判断した為に爆撃機転用は直ぐに中止となった。

 

生産ライン20の内、16が戦闘機仕様、残り1ラインが爆撃機仕様、3が夜間戦闘機仕様となった。残りも戦闘機仕様の《ME-262)にしたかったんだけど、

「全て爆撃機として、運用せよという考えは間違いだった。しかし、将来的に爆撃機も恐らくほとんどがジェット機になるだろう。ジェット機を使用した

爆撃機のテストや、一部訓練を行いジェット機を使用した、爆撃の問題点の洗い出しも必要であると考える」

 

 ヒトラー総統の発言は正論なので、空軍関係者もまあ受け入れた。将来は、総統の意見通り爆撃機も多くがジェット機になるだろう。自前で開発も出来ず、他国から買うのも難しい貧しい国以外は……(1)

 

 

 《Me-262》の夜間戦闘機開発も、反対は出なかった。当時昼は米陸軍の《B-17》が、夜間は英空軍の《ランカスター》重爆撃機が爆撃をしていた。

ドイツ軍の夜間戦闘機は、《He-219ウーフー》が活躍していたが、まだ数はそれほど多くなく、大半が重戦闘機や、中型爆撃機の改造機だった。活躍もしていたのだが、いかんせん元が大型機なので、重くて小回りが利かないという欠点があった。それに速度も600キロに達していなかった。夜間戦闘機部隊からは、速力と機動力に富んだ新型の夜間戦闘機を求める意見も多かった。

 

 

 ヒトラーの朝令暮改(独裁国家の利点が働いたともいえるが)は、プラスに作用して、米英爆撃機搭乗員の損失は増大した。

 

 

5月11日 午前8時

 

 

前日の夕方に爆撃参加の名簿が発表され、参加者は翌朝朝食後に集合した。基地司令より爆撃任務の詳細が発表される。

 

(いよいよ、ドイツ本土への爆撃参加か。サンドノメノショウジキというやつか)

ジミーは、東アジアにそういう格言があると言う話を、知人から聞いた事が有った。日本か中国かは知らない。(2)

(ギャンブルの勝ち過ぎを戒める格言かな?)

 

 今までの2回は幸運だったのも確かだ。1回目は4月の半ばで、フランス北西部ブルターニュ半島の港湾都市、ブレストの爆撃だ。独軍占領の後、港にはUボート補給基地が建造され、潜水艦を収容しているブンカ―と呼ばれる格納庫と、周囲の港湾施設が目標だった。

 

迎撃に出てきたドイツ軍機は旧型の戦闘機で数も多くは無かった。ジミーの《B-17》には敵戦闘機は向かってこなかったので、味方機を追い詰めていた独軍戦闘機を銃撃して

撃墜した。しかし、独軍のブンカ―は1トン爆弾にも耐えられる設計だったので、破壊する事は出来ず、周囲の港湾施設に若干の損害を与えただけに終わった。

 

 

2回目は、4月下旬で奇しくもプリキュアが、米本土上空で戦っていた日だ。この日は、同じく独軍占領下の港湾都市オランダ領ロッテルダムの爆撃で、ラル大尉の小隊は貨物駅の爆撃を命じられた。当日はドイツ本土は雨天だったので、敵の迎撃戦闘機は少ないだろう。

 

 しかし、離陸直後に入電した気象情報によると、予想より早く天候が悪化し、オランダ上空も分厚い雲に覆われていると判明した。攻撃目標が全く見えないとなると、爆撃任務も中止になるかもしれない。中止命令も出ないまま、オランダ上空に到達したが、周囲は既に雲に覆われていて降雨も始まっていた。爆撃を断念し、爆弾を投棄して引き上げる小隊も出る中、ラル大尉は一瞬の可能性に掛けた。

 

 偶然僅かな雲の切れ間から、ラル隊は目標の貨物駅を発見し爆弾を投下し、全機無事に引き上げた。後日反独レジスタンスから入った情報によると、貨物駅に大きな被害を与え、更に、偶然ドイツ本国からロッテルダム守備隊に増援されてきた歩兵部隊が、列車ごと吹き飛ばされ甚大な被害が出た上に、運ばれてきた武器弾薬等も消し炭になった。貨物駅空爆に参加した小隊には、金一封とビールが特別配給された。

 

 

 

「攻撃目標 デュッセルドルフ」

 基地司令官が、ボードに攻撃目標を記入する。攻撃目標は、ルール工業地帯に近い(南西)工業都市だ。ドイツ西部ノルトライン=ヴェストファーレン州の州都で、

人口はおよそ50万人。おもな産業は鉄鋼業、自動車生産、電気機械で、更に化学産業も豊富で、大きな精油場(石油精製)がある。

 

ラル大尉の小隊は、自動車工場の爆撃を命じられる。自動車会社も、戦時中は戦闘機や戦車……もしくはそれらのエンジンなどを生産しているので、重要な目標になる。(3)

 

 

 今回の爆撃機には《B-17》180機に、護衛戦闘機200機が同行する。が、本日のドイツ上空は好天との事、激烈な反撃を受けるのは避けられないだろう。

ドイツ空軍が、続々と新型機を投入して来るので、爆撃目標は、占領下のフランス北部や、ベルギーオランダを除いたドイツ本国では、ルール工業地帯や、中西部のフランクフルト海に面している、ハンブルクやブレーメンなどに限られ、敵の迎撃を長時間受ける、30年前までバイエルン王国の首都だったドイツ南東部のミュンヘン、東部の首都ベルリンや、工業都市ライプチヒ、シュテッチンや、ナチ党の聖地ニュルンベルク等はこの数か月以上爆撃を受けていない。

 

 

 

「敵ジェット戦闘機に、大砲までついていると言うのは本当ですか?」

「事実の様だ」

《Me-262》の爆撃機転用が中止になった際に、ヒトラー総統は「思い付きによる指示」を出した。

ヒトラ―は、ロンメル元帥やマンシュタイン元帥と違い、軍の士官学校は出ておらずまともな軍事教育は受けていない。

 

 第一次世界大戦は、下士官で伝令兵として活躍し、勲章も授与された。毒ガスの攻撃で目を負傷し入院している。その後戦後に、黎明期の国家社会主義労働者党の調査を命じられ、逆にその思想に深く共鳴し、「ミイラ取りがミイラになる」

の結果、政治家への道を歩む事になる。

 

ヒトラーは

「機種に、5センチ対戦車砲でも搭載して、爆撃機にぶち込んでみたら面白いのではないかな」

と言ってみた。言われた空軍長官のヘルマン・ゲーリング国家元帥は内心、大丈夫かなあと不安になったが、やらないわけにもいかないので、メーカーに伝えておいた。

 

 

 数か月後、取りあえずテストが開始されたのだが、不運にも実戦テストの生贄にされた《サンダーボルト》戦闘機は、文字通り木っ端微塵に粉砕され(地上に落ちた破片を探すのも困難なレベル)、頑丈さで知られる《B-17》も一撃で主翼が分断されて落ちて行った。

 

 

 そのニュースを思い出した、搭乗員達が不安そうな表情を浮かべる。

「この対戦車砲らしき、大砲を積んだ戦闘機は、まだ少数の運用に留まっている様だ」

それを聞いたジミ―達はやや安堵するが……

「でかい獲物だから、装弾数は1機当たり10発に満たないだろう。撃った時の反動も大きいと判断する。命中率もそれほど高くはあるまい。

まあ、当たらなければどうと言う事は無い」

基地司令は、某ロリコン仮面みたいなことを言うが……(4)

(10発の内、一発でも命中したら死ぬぞ)

 

 

「他に質問はあるか?」

「ドイツの援軍に、プリキュアが参加する可能性はありますか?」

誰も質問しなかったので、ジミーが思い切って質問した。

「確かにナチと日本は、同盟国だ。何人かが援軍に来る可能性は皆無では無い。しかし、現時点でその兆候は無い。ドイツ上空での目撃も無い。日本側の占領区域の最西端から、ドイツ側の支配地域まで数千キロはある。そこまで無着陸で来るのは流石に無理なのだろう。それに、知っているだろうが半月ほど前の、ハワイや本土での大規模戦闘に、プリキュアも多数参加したらしい。流石に今は休息中だろう」

「安心しました」

「まあ運悪く遭遇したら、ナチ野郎にやられるよりは10倍マシだと思うしかないな。何しろプリキュアは全員かなりの美少女らしいからな」

「ワッハッハ、確かに司令の言う通りですな。まあ美しさでは妻にはかなわんでしょうけどな」

ラル大尉の愛妻家なのは、部隊内でも有名だ。釣られて全員爆笑してしまい、出撃前の緊張は程よくほぐれた。

 

 

 

数時間後

 

 発進した、爆撃隊は北海に出た所で他の基地から出た《B-17》や護衛戦闘機隊と合流する。今回の作戦では、ある欺瞞情報が事前にドイツ側に流された。

英国側に寝返った二重スパイや、逮捕せずに泳がせている内通者に、

「爆撃目標は、ハンブルク及びドイツ占領下にある、コペンハーゲンの独軍飛行場」

という偽情報を流した。更に、少数の《B-17》と一部の護衛戦闘機がデンマーク本土近くまで飛行して、敵を牽制する。

 

しかし、多くの搭乗員は本当に敵が引っ掛かるか疑問を感じていた。

 

 

「確かに敵のジェット戦闘機は、速度も速く恐ろしい敵だ」

出撃前、登場する直前に機長兼主操縦士のラル大尉は、クルーを集めて訓示を行った。

「しかし、新技術にありがちな故障も少なくない。実際飛行中にエンジンの片方が故障して、速度が急激に低下した所を爆撃機の機銃に撃たれて、撃墜した事もある」

副操縦士で、下士官からの叩き上げのベテランクランプ少尉が、《ME-262》の欠点を説明する。更に、新型機と言えども

離陸や着陸時を狙われると弱く、戦闘を終えて油断したジェット機が、着陸しようとした瞬間を《マスタング》戦闘機に狙われて、あっけなくやられた事例も説明する。

「むしろ一番警戒しなければならないのは、《Fw-190》戦闘機だ」

 

《Fw-190》戦闘機は、時速640キロで、20ミリ機銃と、12ミリ機銃を各2丁装備している。主に、独本土やイタリア戦線で大活躍し、一部の機体は

500キロ爆弾や、対地ロケットを装備して爆撃機としても活動している。だが、最近どうもエンジンを新型に換装し、最高速度は700キロに到達している。

エンジンを換装した際に、全長が1メートル延びたために、将兵達は『長鼻ドーラ』と呼んで忌み嫌っている。

 

 

 太平洋の戦いなら、空母や陸上基地を離陸してしばらくは、気を休める時間はある(敵にプリキュアがいる時は別かも)。しかし、ドイツへの爆撃は

最低でも、海上に出た段階で独本土や占領地のオランダ、ベルギー、フランス北部に張り巡らされたレーダー網に探知され、大量の迎撃機が発進して来る。

 

 

 爆撃隊は、オランダの北沖を迂回して東進する。 ドイツ北西部の北で、牽制の為に一部ユトランド半島沖まで向かう少数陽動部隊と別れ、南下する。

「後50キロで、敵本土だ。念の為に機銃を試射しろ」

幸い北海上空には、敵戦闘機は出張っていなかった。この間にラル大尉は小隊の《B-17》に機銃の試射をさせる。ジミーも、発射しすぎないように加減してトリガーを引く。機銃は異常なく発射された。数秒後もう一度試す。

「尾部機銃異常ありません」

「上部機銃異常なし」

「前部機銃問題ありません」

 

「前方に島を視認! 東フリースラント諸島です!」

 航法士兼爆撃手のコズン曹長が、報告した。ドイツには島は無いと思う人も多いだろうが、いくつかの有人島が存在する。

ドイツ・オランダの国境線沿いから東に、本土海岸線に平行する形で、いくつかの島がある。北と東のフリースラント諸島はドイツ領で、西フリースラントはオランダに属する。

ジミーも島を見ようと一瞬思うが、最後尾の機銃座からは、島の上空に到達するまでは見えない。

 

「暗号無線を傍受しました!」

 無線手兼上部機銃員のタチ少尉が、急報する。有人島には当然レーダー施設もある。いくつかは事前に爆撃して破壊した筈だが、当然肉眼でも爆撃機は見える。

 

島には飛行場は無い様で、島の近くを通る際に旧式の対空砲が散発的に撃って来ただけだった。

 

「間もなく敵本土だ! 全員気合を入れろ!」

爆撃隊は、オランダ国境に近い小都市エムデンの東から侵入する。

「本土視認……」

コズン曹長が報告しようとした瞬間、無線から急報が入る。

「敵戦闘機発見! 数……20いや30……50機以上!」

 

「機種は判るか?」

「ジエット機では無い様です。《Fw-190》と《Bf-109》の混成部隊です」

ジミー達の爆撃機がいる、後方の集団には護衛戦闘機をすり抜けた《Bf‐109》が10機ほど向かって来た。

一瞬旧型機である事にジミー達は安堵するが……

「油断するんじゃない! 恐らく新型だ!」

クランプ少尉が厳しく叱責する。確かに《Bf‐109》は、初飛行は1935年2月で、初期生産型がスペイン内戦に投入されたのは、もう7年も前の1937年2月だ。

その後のポーランド侵攻作戦を皮切りに、序盤の主力戦闘機として大いに活躍した。しかし、40年7月から9月にかけての英本土上空戦では、欠点の航続距離不足によりロンドン上空には10分しか留まれず、爆撃機の護衛に失敗し、独軍敗北の大きな原因になった。

 

 

 やがて主力戦闘機の座は《Fw-190⦆に譲る事になるが、エンジン改良は続けられ最新のK型では、最高時速710キロで、30ミリ機関砲2問を装備している。

「後方より1機接近!」

ジミ―は急ぎ機銃を向ける。《Bf‐109》の方が先に撃って来る。が、何れも爆撃に到達する前に失速して落ちて行く。

(あいつは俺と同じで新兵だな)

爆撃機の大きさに惑わされ、未だ射程内に入っていないのに撃っているのだ。程なくしてそれに気付いたのか一旦射撃が止まる。

 

 今度はジミーの方が機先を制し、12.7ミリ機銃を発射。エンジンの辺りに命中したのか、煙が出ている。その後《Bf‐109》は、射撃不能になったのか

慌てて避難して行く。

「敵一機撃破!」

ジミーの報告に、一瞬歓声が起きるが……

「5番機被弾!」

慌てて5番機の方を見ると、マッテオ・リッテラ中尉が機長を務める《B-17》がエンジンの1基から激しい炎を上げている。エンジンには自動消火装置があるのだが、30ミリ機関砲弾で破壊されたのか、全く火が消える気配が無い。やがて速度が急激に落ちて後方に脱落していく。

「諦めるな! 最後まで踏ん張れ!」

タチ少尉や、他の機の無線手が無線で呼びかけるが応答は全く無い。消火されない事で、火は機体の右主翼全体に及んでいる。程なく負荷に耐えられなくなったのか、右主翼がぽっきりと折れて、リッテラ中尉の《B-17》は、垂直に落ちて行く。

脱出する乗員はいない。垂直降下する爆撃機から奪取する術は皆無だ。

 

 

他の中隊でも、被撃墜機が相次いでいる。爆弾個の爆弾に機銃弾が命中誘爆し一瞬で爆散する機体もあれば、エンジンが被弾して高度が下がったところに《Bf‐109》戦闘機が群がり、袋叩きにされて

落ちて行く機体もある。空中は黒煙と炎と、機体を放棄して脱出した搭乗員のパラシュートの花が多数浮かんでいる。

「護衛戦闘機隊は何をやっていやがる!」

コズン曹長が悪態をつくが、彼らもこの瞬間味方を守る為か、自分自身を守る為に死闘を繰り広げていた。

 

 

「間もなくデュッセルドルフだ! 爆撃用意!」

前方を見ると、南北に流れるライン川の東岸に、多数の工場や住宅街が見える。最初の集落が作られたのは、日本では飛鳥時代に当たる7世紀とされる。

「迎撃に出て来た、敵のジェット機の数は少ない様です」

「ふむ、欺瞞作戦が上手く成功したのだろう」

 

 通信を傍受していた、タチ少尉の報告を受けたラル大尉は、上層部作戦が久しぶりに成功したのだと判断した。

 

 

が、実は危なかった。確かにジェット戦闘機を集中配備していた、精鋭部隊は一旦は陽動作戦に引っ掛かり、ハンブルク方面に移動した。が、

「陽動作戦の可能性が高い」

と司令官が判断し、3分の2はドイツ西部の基地に引き返した。やがて予測通り多数の爆撃機が、対空レーダーで確認された。当時のジェット戦闘機は、とても燃費が悪い為急ぎ燃料補給が行われた。

 

しかし、5機目の《Me-262》が滑走路上でエンジン故障。後続機も身動きが取れなくなった。どうにもならない為、出撃どころか急ぎ機体を地下格納庫に収容せざるを得なくなった。この部隊には、例の《対戦車砲装備した奴》も数機配備されていたので、トラブルが無かったら甚大な被害が出ていただろう。

 

 

「攻撃目標発見! 前方5キロ! 針路このまま」

 爆撃手のコズン曹長が、目標の自動車工場を発見する。

市街地に近付いた時、突如敵戦闘機の攻撃が止まる。味方爆撃隊を追尾していた、迎撃戦闘機は急ぎ爆撃隊との距離を取るように離れる。安堵する暇も無く、市街地に大量に配備された88ミリ重対空砲の攻撃が始まった。ドイツ戦闘機は味方の誤射を避ける為に、一旦離脱したのだ。更に、戦闘機の機銃の流れ弾が市民を殺傷する危険性もあるので、市街地上空での戦闘は原則禁止されていた。

 

 

 ジミーの尾部機銃も、対空砲弾の炸裂で振動し周囲は無数の黒煙でおおわれる。

(運を天に任せるしかないなあ)

航空機の攻撃なら、機銃で対抗できる。しかし対空砲の弾を、機銃で迎撃は出来ない。ライフルでハエを撃つようなものだからだ。

(手柄欲しさに、誤射の危険を考えずに突入して来るドイツ野郎がいるかもしれないから、注意しないと)

 

 

「攻撃目標まで残り60秒」

「爆弾庫開け」

コズン曹長は、座席横にある開閉レバーを操作し爆弾庫を開ける。今からが最も危険な時間かもしれない。もしここに対空砲弾が直撃した場合、爆弾が誘爆して一瞬で全乗員が消し飛ぶ。その恐怖を感じた乗員の何人かが生唾を飲み込んだ瞬間、空中に閃光が走った。

 

 戦車工場を爆撃する別の小隊の、《B-17》の爆弾庫に、高射砲弾が命中。閃光が収まった後、他の機の乗員が目にしたのは僅かな残骸だけだった。

機体の最後尾にいるジミーからは、爆発は見えなかったが閃光は感じた。

(自分達の機隊でなくて良かった。いや、10秒後には同じ目にあうかもしれないな)

 

「コズン、針路はどうだ?」

「大尉、今の衝撃波で多少ずれましたが許容範囲です」

多少は工場の中心線からずれてしまったが、やり直す余裕はない。

「投下!」

 

 コズンが投下スイッチを押し、搭載して来た16発の250キロ爆弾が、自動車工場に投下された。直接見る事は出来ないが、投下時の振動と合計4トンの重量物が切り離された事で、機体が軽くなって少し浮き上がる感触を感じた。

 

恐らく30秒ほどで爆弾は地上に到達し爆発する。ジミーの座席からも直接見る事は出来ない。距離が離れれば黒煙は見えるかもしれないが……

 

(今の爆弾で、犠牲者は出たのだろうか?例えば、逃げ遅れた行員や避難誘導をしてた人……いや、工場には専用の防空壕があるだろう。工場の外に爆弾落ちて、民間人にも犠牲が出てしまっているのだろうか)

 

 その時、数日前基地に視察に来た参司令部付参謀、名前はカーティスなんだっけ? 1906年生まれだから38歳で大佐とは凄い出世だ。見た目は、軍人やって無かったらマフィアか、もしくは映画の悪役が似合いそうな感じの人だ。その大佐が爆撃隊員を集めて訓示を行った。

 

「君が爆弾を投下し、そのことで何かの思いに責め苛まれたとしよう。そんなときはきっと、何トンもの瓦礫がベッドに眠る子供の上に崩れてきたとか、身体中を炎に包まれ『ママ、ママ』と泣き叫ぶ三歳の少女の悲しい視線を、一瞬思い浮かべてしまっているに違いない。正気を保ち、国家が君に希望する任務を全うしたいのなら、そんなものは忘れることだ」 

 

 

(この殺人狂め、何なら代わってやろうか)

とその時は思った。しかしその後そのカーティス何とか大佐は、参謀であるにも拘らず、「爆撃の問題点を洗い出す」

為に、周囲の反対を押し切り爆撃に参加したらしい。

 

 更に、大佐に昇進し英国に赴任する前は、本国で新型爆撃機のテストパイロットをしていたらしい。新型機のテストパイロットは、名誉な仕事ではある。しかし、テスト中に

墜落したり、空中分解事故を起こす事も少なくない。《零戦》と《B-29》どちらも試験飛行中に、墜落事故や空中分解事故を起こしている。(5)

(相手国の民間人の生命を、路ばたの石くらいにしか思わない冷血漢……だが、臆病や怠惰とは無縁の人なのだろう)

 

「爆弾投下完了!」

「爆弾庫閉鎖」

 

「2番機より報告です。目標向上及び周辺の工場に着弾多数との事です」

「よし針路を北西に変更、ずらかるぞ」

 

 爆弾投下後、針路を北西に変更しオランダ東部から北海に抜け、針路を西に変更し帰還する。

 

「もう直ぐ市街地を抜ける。戦闘機の攻撃が再開されるぞ」

機体が市街地の外れに差し掛かり、対空砲の攻撃が散発的になって来る。

 

「ジミー、敵機は来ているか?」

「見えません大尉……」

その時背後から機関砲の発射音が聞こえ……

「4番機被弾墜落します!」

アルビン・ノーサム少尉が機長の4番機が、爆発しつつ墜落して行く。

 

「敵近。速度900……950キロ……彗星みたいに速い!」

 

「ジミー、敵はまさかプリキュアか!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 







チコ
「お金ない国どうするかって。まず練習機を購入します。それに機関砲や爆弾を装備します。それを攻撃機だと主張します」
もしくは、ロシア空軍の中古のミグ戦闘機か、《Fー5フリーダムファイター》の様な安いジェット機を輸入するか。

2 三度目の正直
3 例 ゼネラルモーターズ社は、《アベンジャー》雷撃機を生産
4 シスコンとマザコンも兼ねる
5 後者は、食品加工工場に墜落し全乗員12名+工場従業員20名の大惨事を引き起こした。

ひかる
「あれっ、プリキュアは?」
チコ
「作者は戦闘シーンがあるとしか言ってませんw」

後編20日まで完成するかなあ? 

ちなみに、《Me-262》艦載型が艦これに搭乗し、装甲空母になった《グラーフツェッペリン》に搭載する日を今か今かと待っています。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。