70話に到達 読者の方々ありがとうございます。
長年、ルパン三世の次元大介役で知られる小林清志さんが、次元役を卒業されました。お疲れ様でした。
チコ
「と言う事で、小林清志さんの名台詞を載せてみました」
第一巻
「さて、誰が勝ち残るかな。帝国か、同盟か、地球か……それともおれか……」
いったい誰が勝者となるかと言う心の声。この時の表情はまさに大胆不敵。地球とは地球の復権を目指すカルト教団の事です(テロ集団です)
第3巻
「人間の心理と行動はチェスの駒よりはるかに複雑だ。それを自分の思いどおりにするには、より単純化させればよい」
「相手をある状況に追いこみ、行動の自由をうばい、選択肢をすくなくするのだ」
叛逆しそうもない人を、叛逆に追い詰める事は十分可能だと言う台詞
「現在の同盟の権力者どもにふさわしいやりかただな。口に民主主義をとなえながら、事実上、法律や規則を無視し、空洞化させてゆく。姑息で、しかも危険なやりかただ」
「権力者自らが法を尊重しないのだから、社会全体の規範がゆるむ。末期症状だ」
某なんとか家や、何とか庁に言ってやりたい台詞です(怒)
第4巻
「お前は私に悪いところが似すぎたな。もうすこし覇気と欲がすくなかったら、いずれ私の地位や権力を譲られんこともなかったろう」
「お前は何でも知っていたが、ただ、時機を待つということだけを知らなかったな」
銀河帝国軍がフェザーン占領しに来た際に、自分を殺しに来た実の息子を返り討ち(正当防衛)にした時の台詞
その後、学者でも志してくれれば、いくらでも金銭的援助をしてやったのに、とも言っています。
第7巻
「どうだ、ドミニク、ひとつ私の子供を産んでみないか」
愛人のドミニクさん(作者は六時間前まで、中の人は先代の峰不二子の人と勘違いしてた)
「貴方に殺させるために? ごめんこうむるわ」
ドミニクさん部屋を出て行く。その後閉められた扉に向け、
「……そうではない、ドミニク。私を殺させるためにさ」
まどか
「チコちゃん、次元さんの台詞が何も無いですよ」
チコ
「まどか、最初をよく読んで。次元じゃ無く小林さんの名台詞って書いてあるでしょ。これは銀河英雄伝説の重要人物……フェザーン自治領主アドリアン・ルビンスキーの名台詞集です。中の人は同じでございます。次元以上の大胆不敵な感じでチコのお気に入りキャラなの」
「敵船団針路に変更なし。護衛艦隊駆逐艦8 位置ウシシル・アイランドより南東30浬。巡洋艦以上の大型艦確認できず。針路40度輸送本隊は、その後方15浬 輸送船4タンカー2。護衛艦、小型駆逐艦4海防艦4商船改造の水上機母艦2」
「敵船団の目的地はやはり、北クリル諸島北端のシムシュ及びパラムシル島だな」
第8巡洋艦隊司令、カールトン・ライト少将は、旗艦《バルチモア》級重巡《ロサンゼルス》艦長チャールズ・E・ローゼンダール大佐の報告を受けた。情報は、哨戒中の潜水艦《スコーピオン》からの情報だ。
宇志知島は千島列島中部にある火山島で、北緯47度31分、東経152度48分にある小さな火山島だ。面積は僅かなので、居住者はいない。
敵輸送船団は千島列島北端の、パラムシル島とシムシュ島への物資輸送に従事しているのだろう。二つの島は、ソ連領に一番近くアメリカからの対ソ援助船団や、ソ連側を監視牽制するには最適の場所だ。二つの島には、海軍の小艦隊基地及び航空隊と海軍陸戦隊(一個連隊)があり、陸軍は第九一師団と、第一一戦車連隊(戦車60台)併せて2万3千名が配備されている。可能性は低いが、アメリカ側が千島列島経由で、北海道に侵攻する可能性と。万一ソ連が中立条約を破って侵攻してきた場合に備えていた。(1)
(大統領は局地的な勝利でも良いから、華々しい勝利を求めている)
合衆国最悪の日と称された4月末、ルーズベルト大統領に対する支持率は、本土への攻撃と海戦での大敗で支持率は40%まで暴落した。
更に、プリキュアにニューメキシコ州にまで侵入された事で、国民の間に動揺が走った。西部3州は、子供達を内陸部に疎開させる動きも出た。
ロスアラモスの科学者は「適切に救助され」放射能被爆者は出なかったのだが、近くにいた多くの野生動物が、急性放射能障害で人家の近くなどで多数が死んだために、露見してしまった。知識人を中心に、非人道的兵器反対運動も起きたが、それ以上に多かったのが、「原子爆弾を完成後、輸送中に爆発事故でも起きたら多数の犠牲者が出ただろう」
と言う怒りのコメントが多く新聞社に届いた。ワシントンやニューヨークでは、一部ルーズベルト大統領の辞任を求めるデモも発生し、共和党の政治家トーマス・デューイ(ニューヨーク州州知事)は、
「合衆国史上最悪の大統領」
とラジオや新聞で非難している。
その後ハルゼー提督の勇戦や、イタリアの枢軸国からの脱落で支持率は多少は持ち直すも、支持率は40%台を上下している。
トラック島
ありす
「最近何処からも戦闘のニュースが入って来ませんね」
マナ
「平和が一番! でも、アメリカもまだ反攻を諦めるとも思えないし」
真琴
「外国の……英国やアメリカの新聞が、今の何も戦いが無い(アジア・太平洋)状況を、第2次ファーニ―ウォーって書いているって聞いたけど、どういう意味かしら?」
六花
「まやかし戦争って意味よ。39年の9月末に、ポーランドがナチスに降伏してから、翌40年5月にドイツ軍が、オランダ、ルクセンブルク、ベルギーに侵攻を開始するまで、大規模な陸上戦闘は起きていないから、まやかし戦争やインチキ戦争と呼ばれていたのよ」
真琴
「ああだから、今のは第2次って付くわけね」
マナ
「39年の年末に、ソ連がムーミンもといフィンランドと戦っていたんじゃ?」
ありす
「シモ・ヘイヘと言う凄腕の狙撃手が活躍されましたわ」(2)
六花
「両国は、その時は第二次世界大戦自体にはまだ未参戦なのでノーカウントよ」
真琴
「そのヘイヘさん、戦ったら私達がプリキュアになっていてもやられそうね」
幸か不幸か、フィンランドは枢軸入りしていて、ドイツに味方をしてソ連とも戦っている。第一次のまやかし戦争では、独本土が英空軍の中型爆撃機の小規模な爆撃を受けている。これは39年の9月4日で、英仏が対独宣戦布告した直後の事だ。その後も小規模な爆撃は何度かあった。しかし太平洋では、日本本土所か重要拠点のトラック島にすら、敵機は一機も来ない。タイ北西部と英領ビルマ南東部の間で、互いに相手を爆撃したり、オーストラリア北部のダーウィンから、散発的に日本軍の基地がある、インドネシア南東部のティモール島や、スラウェシ島南部のマカッサルに《B-24リベレーター》が爆撃して来る程度だ。しかも、高度6000からの爆撃なので、命中弾は少なく被害は小さい。
マナ達は、トレーニングを兼ねてトラック島周囲のパトロールをしているが、プリキュアでも充電中の浮上した潜水艦ならともかく、海中に潜む潜水艦を探知する術は無い。
この世界の帝国海軍は、史実よりは対潜水艦に対し対策を講じている。史実より早くから、工期が短くて済む海防艦を大量に建造したり、資源輸送最重要海域の、南シナ海やジャワ海と外洋の間にある海峡に、機雷を設置して米潜水艦の侵入を阻んでいる。
ありす
「やっぱり中華民国と戦争になっていないのが、大きいですわ。戦争で一番必要なのは、お金です。軍艦を作るのにも、石油や天然ゴムを輸送するのにも、新兵器を開発するのにも、まず資金が必要です」
真琴
「プリキュアの敵は、超常的な力でそういうの解決してそうだけど、世の中やはりお金か」
六花
「それと、私達の世界より開戦が2年遅れたのも幸いだったのかも」
陸海軍とも、中国での戦いが無くなった事で、本来生じる筈だった莫大な戦費が浮き、それを有効に使う事に成功していた。
マナ
「それと、元の世界でちらっと本か何かで、『アメリカの魚雷は中盤まで不発が多かった』ってあったけど、本当の事だったね」
3日前、トラック島に一隻のタンカー《第三図南丸》が入港して来たのだが、その船体には10本の不発魚雷が突き刺さったままだった。12本命中し、爆発したのは2本だけで残り10本は爆発せずカンザシみたいに船体に刺さっていた。
この光景には、あまり驚いたりしないマナも、目が点になっていた。
ちなみにまだ魚雷は刺さったまま、タンカーは放置されている。修理するにはまず、刺さっている10本の魚雷を始末しないと修理作業も出来ないかららしい。
しかし、8月18日に土佐沖で訓練航海中だった、軽空母《龍驤》が、米潜水艦の雷撃を受け魚雷2本が命中し沈没。その一週間後に、パラオへの輸送船団を護衛していた軽巡洋艦《夕張》が、パラオ近海で米潜水艦《ブルーギル》の魚雷が命中し沈没していた。
六花
「直ぐに魚雷の信管を改良したのね、侮れないわね」
実は、不良品の信管を改良するのではなく、逆に第一次世界大戦の頃の、起爆システムに戻していたのだが……(故障は少なく信頼性は高い)
ライト少将は、ラハイナ泊地の仮司令部で、ニミッツ大将から北海道から、北千島に向かう輸送艦隊を撃滅する様に命じられた。
しかし、ニミッツ太平洋艦隊総司令官の発案では無く、大本は焦るルーズベルト大統領の指示のようだ。
潜水艦が日本海軍の中型空母1隻を藻屑にしたのは、大手柄だが潜水艦の戦果は、それほど国民の心には響かない様だ。敵の輸送船を沈めても地味なので大きく報道される事も少ない。
「とにかく敵の艦隊を沈めろ、巡洋艦や駆逐艦でも良い」
それを伝えられた、ニミッツは不快な気分になったが、無視するわけにもいかず、参謀達と共に作戦を考えた。
妥協の産物として、日本本土から北千島に向かう補給船団への攻撃が決定した。アラスカから、アリューシャン列島を経由して千島列島、そして北海道へと侵攻する案は検討された事はあるが、年間を通して天候に恵まれなく、航空機の行動が難しいと判断され断念された。
逆に、米巡洋艦隊が敵哨戒機に発見される危険性も低く、北千島に向かう輸送船団にプリキュアを護衛に付ける可能性は低いと判断された。
しかし、輸送艦隊に戦艦が同行していた場合や、空母を含む有力な艦隊が北西太平洋(北海道沖)に出現した場合は、直ちに作戦を中断し帰還する様に命じた。
9月3日午前1時30分
「敵駆逐艦隊発見 位置当艦隊右舷70度 距離2万」
先頭を行く《グリーブランド》級軽巡《ミズーラ》の、対水上レーダー(SGレーダー)が、接近してくる駆逐艦を探知した。
「全艦右砲撃戦用意!」
先頭艦《ミズーラ》に続き、重巡《ロサンゼルス》(旗艦)《セント・ポール》(《ボルティモア級》)軽巡《セント・ルイス》 《ナッシュビル》(ブルックリン級)
駆逐艦《フレッチャー》以下6隻が続く。
艦隊には、正確には先頭の《ミズーラ》と、旗艦の《ロサンゼルス》には秘密兵器が搭載されていた。射撃管制用装置《MK37 砲射撃指揮装置》で、
(艦これに、GFCS MK.37して登場)水上レーダーと連動して、自動的に主砲の向きや角度を調整する。よほどの悪天候でない限り、雨が降っていようが、夜だろうが、霧が出ていようが正確な砲撃が出来る……事になっている。
現在付近はかなりの濃い霧に覆われている。むしろ、新兵器の実戦テストに最適の環境だ。
「艦長、どうやら霧の谷間があるようです。この先このままだと敵艦隊10キロ手前で、霧が薄くなりそうです」
「そうか、濃い濃霧の中から一方的にレーダー管制射撃をやれたら、最適だったのだがな。まあ自然相手では仕方あるまい」
先頭を行く軽巡《ミズーラ》艦長カール・オリヴァー中佐は、航海長レネー・ ネルソン大尉の報告を受けた。
(新戦術のテスト結果は、やはり直接肉眼で確認したいものだ)
という思いもある。
「射撃目標、敵先頭艦! セオリー通りに行くぞ」
「了解!」
まずは教科書通り、艦隊は敵駆逐艦隊の先頭艦を全力で叩き、その後残りの船を各個に撃沈する。
「間もなく霧が薄くなります」
数分前まで、後続する《ロサンゼルス》の船体は全く見えなかった。しかし、今は船体の前半部は何とか視認できるまでに視界が回復している。
「敵艦隊、針路速度変わらず!」
「主砲レーダー連動完了! 射撃準備完了」
報告を聞いたオリヴァー中佐は軽く頷き、
「よろしい。砲撃開……」
中佐が砲撃開始命令を出そうとした瞬間、至近距離に水柱(義勇さんでは無いよw)が立ち、衝撃で艦が振動し艦橋にいた士官達が、よろめく。
「敵駆逐艦の砲撃か?」
「いいえ、敵艦隊は未だ砲撃をしていません」
確かに、敵駆逐艦は未だ撃っていない。しかも、今の水柱は駆逐艦の砲撃では考えられないほど大きい。
「よもや、護衛に戦艦が同行していたのか? レーダー室、反応は無いか!」
「駆逐艦以外の反応はありません」
島でも至近距離にあるのなら、島影から砲撃している可能性もあるが……(黎明期のレーダーは、島と船の区別は困難だった)
「右舷30度、鳥らしきものがいます……数5!」
「こんな深夜にか? 馬鹿な……ま、まさか!」
「ソナーより、艦橋へ! モーター音多数確認! 魚雷が来ます!」
なぜこんなことになったか……
およそ2日前東北から、北海道に向け飛行しながら自主的に訓練していた、キラプリチームは遂に北海道の北東部の根室まで到達した。
いちか達は、根室町(5)にある海軍の基地を訪れた。敵に知られるのを防ぐ為に、ラジオや新聞の天気予報は開戦の翌日から中止されている。
気象状況などを知る必要があった。
「遠いところ大変だねえ」
司令官の山谷義行少将は、山本大将の海軍兵学校時代の同期生らしい。去年まで広島県江田島の兵学校で教官をしていて、戦争が無ければ恐らくそれを最後に退役すると当人も考えていた。が、開戦により北海道北東部を管轄する、海軍根拠地隊の司令官に就任する事になった。
「ちょうど午後3時か、お茶でも飲んでいきなさい」
「ありがとうございます」
いちか
「北海道の東部はやっぱり涼しいですね」
ひまりん
「少し霧も出ていました」
ヒートアイランド現象が進んだ、現代の日本から昭和18年の東京に来てしまった、いちか達にとっては初めてのまなつ……もとい真夏だが、
まるで9月の中盤以降の暑さだった。北海道東部は更に涼しく感じる。
現代でも、釧路や根室は夏でも最高気温が10度台前半の日も珍しくも無く、住民は家にもよるが年中こたつやストーブが出ている家もある。(某ケンミンショーより)
「ああ、今日の気温は平年並みなんだけど、昨日までの一週間は妙に暑くてねえ」
山谷によると、数年に一度は物の弾みで(?)最高気温が20℃を超える事も稀にあるそうだ。しかし、それが一週間も続くのは異常で、その期間の内2日は夏日、すなわち最高気温が25℃を超えたらしい。
軍人なら訓練で体を鍛えているから未だしも、暑さに慣れていない地元住民が、かなりの数熱射病で病院に搬送された。
ゆかり
「明日からまた2.3日また気温が高くなるそうよ」
あおい
「いちか、もう少し北の方まで行ってみる?」
いちか
「じゃあ、千島列島の真ん中あたりまで」
一日休養して、英気を養ったいちか達は更に北東に向け飛び立った。歯舞群島と、色丹島を右手に眺めながら、国後島を飛び越え北方4島の中で最も広い、択捉島上空に差し掛かった。
シエル
「工事をしているわ……飛行場の滑走路ね」
択捉島の中央部で、滑走路の工事をしている。見たところほぼ完成に近い
あきら
「天寧と言う大きな村の近くに、滑走路を作って海軍の哨戒機を配備するみたいだよ」
万一北太平洋経由で、アメリカ軍が侵攻して来た場合への備えらしい。
工事と言っても、アメリカと違いかなりの部分は人海戦術の様だ。しかし、ブルトーザーも何台か動いている。
ひまりん
「開戦前に、ドイツから輸入していたみたいです。後は、占領したフランスやオランダから取り上げた車両も輸入しているそうです」
シエル
「インドネシアや、マレーシアで回収した英軍の車両も、再利用しているそうよ」
あおい
「陸軍さんは、旧式の戦車を改造して重機として再利用しているんだって」
いちか
「あっ、あれかな?……あの少し小さいやつ」
数時間後
いちか
「あれが、一番北の島に物資を運ぶ輸送船団かな?」
いちか達が近付くと、それに気付いた船員たちが一斉に手を振って来る。海軍は新聞やラジオでは公表していないが、噂は広がっていた。
輸送船団を超えると、ほどなく7,8隻ほどの駆逐艦が見えて来た。
護衛隊旗艦《長波》(《夕雲型》4番艦)
「あれが、連絡のあったプリキュア……確かアラモードチームだったかな?」
「確かその筈です」
駆逐隊司令田中頼三少将の問いに、《長波》駆逐艦長隈部中佐が答える。帝国海軍では、駆逐艦は巡洋艦以上の船より低く見られ、艦長も、「駆逐艦長」と呼ばれ、巡洋艦以上の船が、艦首に装着している菊の御紋章も無い。
しかし、逆に乗員同士の連帯感は強く、戦艦や空母では艦長は畏れられている存在だが、駆逐艦では乗員達は、艦長を「うちの親父殿」と呼んだりしている。
「しかしこんな北の果てまで、鍛錬に来るとは感心じゃないか。うちの若いやつにも見習ってほしいねえ」
田中少将は感心しているが実は、いちか達は……とくにゆかりが
「北海道の方が涼しそうだから」
というやや邪な動機で来ている事は知らない。
ゆかり
「温暖化が進んで居なくても、夏はやはり暑いのよ」
《長波》の乗員達も、いちか達に気付き手を振ったり声援を送っている。
「こらっ! 見張りを怠るんじゃない。時々この付近にも敵潜水艦が出没しているんだぞ」
艦長が乗員達を注意した直後
「《高波》から緊急通信! 敵みゆ右舷70度! 先頭艦は重巡級」
先頭の《高波》から敵発見の通報が入る。一気に緊張感の増した艦橋では、田中少将たちが双眼鏡で急ぎ右側を見る。
夜間で濃い霧の中、敵を発見できたのは、帝国海軍の秘密兵器「熟練見張り員」の功績だ。
エラー娘「ドヤァーー」
下手なレーダーより、優秀な見張り能力を持つ彼らの視力は3.0あったとか。昼間は赤い照明の狭い部屋で待機していたとか、ビタミンAが視力保持に良いとされ、ニンジンやヤツメウナギの蒲焼を食べていたとか。(6)
史実の第一次ソロモン海戦で、一方的に勝てたのは《鳥海》の見張り員が9000メートルの距離で、米艦隊を発見できたからとされる。
「右舷魚雷専用意! プリキュア達にも敵発見知らせるんだ」
しかし、同時にいちか達も霧の中から現れた艦影に気付いていた。同時にいちかのウサミミがピコッと反応して、敵の方を向く。
いちか
「おおきいですぞ。先頭艦は1万トンはありそうな」
ひまりん
「あの船の主砲は、4門……」
あきら
「間違いなく敵艦だ」
シエル
「ハワイ辺りから、わざわざ来たのかしら」
ゆかり
「2番艦は、主砲3基……」
聯合艦隊の重巡洋艦は、《青葉》《古鷹》《衣笠》は現在修理や対空砲の増設工事をやっている筈なので、ここにいる筈も無い。
《妙高型》《高尾型》《最上型》はいずれも、20.3センチ砲連装5基10門で、帝国海軍に主砲4基の船はいない。
(《利根型》は、主砲は全て艦の前部にあり、識別は簡単なので計算外)
数分後 重巡《ロサンゼルス》
「《ミズーラ》より緊急通信! プリキュア見ゆ! 魚雷多数接近!」
「《ミズーラ》に敵魚雷2本命中、プリキュアの攻撃らしきものも被弾! 航行不能です」
二つの報告は相前後して入った。
「待ち伏せか!」
「作戦中止、全艦取舵一杯! 霧に逃げ込め!」
ライト少将は直ちに、作戦中止と退避命令を出した。生還する一つだけの道は、《ミズーラ》が袋叩きにされている間に、今出てきた深い霧の中に逃げ込むしかない。
しかし、艦が転舵を完了した直後海面を青白い影が、艦首に吸い込まれるのが見え、直後今度は白い光が艦の後部に向かって来た。
「艦首に被雷!」
「プリキュアの攻撃で、第3砲塔大破!」
「提督が負傷した。軍医を艦橋に!」
しかし、船は辛うじて霧の中に逃げ込んで行く。
重巡《セント・ポール》は、後部に被雷し機械室浸水、更に破損した燃料タンクから漏れた重油に引火して火災も発生し、一時は艦の放棄も検討されたが、
辛うじて消火に成功し、喪失を免れた。
軽巡《ナッシュビル》も、艦首にいちか達の攻撃が命中し、艦首が丸ごと消失したが、霧のお陰でそれ以上の被害を免れた。
いちかは追撃しようとしていたが、
なお
「あの霧……ほとんど視界は、利かなそうだからダメだって」
ひまり
「流石に至近距離から、主砲で撃たれたら死んじゃいます」
《長波》
「敵艦航行不能……敵艦より信号! 敵艦長の名で、降伏を申し出ています」
「了承したと返信してくれ。敵潜水艦に警戒しつつ敵兵を救助せよ」
プリキュアも支援に駆けつけ《ミズーラ》は、戦死者58名以外は無事救助された。
大破した《ロサンゼルス》《セント・ポール》《ナッシュヴィル》は辛うじて、ダッチハーバーに逃げ帰った。
《ナッシュヴィル》は修理に3か月、《セント・ポール》は4カ月(戦死125名)《ロサンゼルス》は、さらにひどい被害で修理が完了するのは翌年春以降と判断された。(戦死者150名以上)ライト少将は、戦闘中に負傷して入院したが、
負傷を理由に陸上勤務に左遷され、二度と前線に戻る事は無く退役する。(1970年6月病死)
9月25日 午前4時30分
択捉島北端から南東に100浬の洋上
「敵艦隊発見! 例の警備艦隊だと判断します」
「敵の編成は?」
「重巡らしきもの2、軽巡3 駆逐艦6ないし7」
「全艦戦闘用意!」
(戦力は互角だ。プリキュアは確認されていないから勝てるだろう)
TF-16(第16任務部隊)指揮官チャールズ・マクモリス少将は、攻撃準備を命じた。
先日の敗戦に、激怒したルーズベルト大統領は、海軍に「復讐戦」を厳命して来た。
先日の敗北から24時間後、ハワイからジョンストン島に向け航行していた、輸送船団が潜水艦の波状攻撃を受け、輸送船2、タンカー2隻を喪失、更に護衛の旧式水上機母艦と駆逐艦1隻が沈没した。
更にその1時間後、オアフ島島北東200浬の洋上で、本土からハワイへの輸送船団が襲撃され、輸送船3隻が撃沈された。更に艦隊旗艦の旧式巡洋艦《ローリー》と、護衛空母《ビスマークシー》と《ホワイトプレーンズ》も魚雷が命中した。
《ホワイトプレーンズ》は、乗員の必至の消火作業と排水で、辛うじてラハイナに入港したが、《ビスマークシー》は、多数の乗員と共に沈没。旗艦《ローリー》は、魚雷が誘爆して、船団司令のフレミング少将以下、全乗員の生存は絶望視されている。
これにより大統領の怒りは更にマシマシになった。
再びニミッツ大将は困り果てたが、合衆国軍最高指揮官の指示をやはり無視するわけにもいかず、再び出撃を命じた。今度は、念を入れてプリキュアが北海道…東部や千島列島にいないか、潜水艦に念入りに監視させた。
プリキュアの奇襲を受けた事から、一時
「日本側に暗号を解読されているのでは」
と言う意見も出たが、
「皆無と断定はできませんが、その可能性は低いでしょう」
太平洋艦隊司令部情報部長、レイトン大佐は可能性は低いと述べた。
「仮に本当に、暗号が解読されていたとしたら、遭遇した敵戦力は中途半端です。プリキュアも他の2チームくらいは増援に出していないのはおかしいでしょう。
敵艦も駆逐艦だけでしたし、解読して待ち伏せるなら戦艦とは言いませんが、最低でも重巡の2、3隻くらいは派遣した筈です」
程なくアメリカ側も
「プリキュアに遭遇したのは、不運な偶然」
との結論に達した。
今回は、北東太平洋艦隊司令官のマクモリス少将自らが陣頭指揮を執る事になった。戦力は4カ月前に完成した、新型重巡《ソルトレークシティー2》に、先日の闘いで奇跡的に無傷で生還した、軽巡《セントルイス》、駆逐艦6。本当はハワイから一隻増援に巡洋艦を回す筈だったのだが、訓練中にハワイ近海で座礁事故を起こし
修理の為に中止となった。
日本側は、再び米艦隊の襲来の可能性に備え、細萱中将の第5艦隊に、千島沖の訓練も兼ねたパトロールを命じた。こちらは、重巡《那智》(旗艦)《足柄》(本来は《摩耶》が配属されていたが、4月に米本土沖航空戦で撃沈された為に、南方艦隊から《足柄》が増援に廻された)更に、軽巡《阿武隈》《多摩》《木曽》駆逐艦5が加わる。
旗艦《ソルトレークシティー2》
「大変です! 対空及び水上レーダーが突然故障しました!」
「本当か! 直ちに光学照準に切り替えろ」
マクモリス少将は、直ちにレーダー搭乗前の方法、すなわち人間の目視観測の頃に使用された方法に切り替えさせた。「《セントルイス》より信号! 我突如レーダー故障。原因不明との事です」
他の艦からも続々と、レーダー故障の急報が入る。
(全ての艦のレーダーが同時に故障した点を考慮すると、ヒューマンエラーでは無く何らかの自然現象だろうか?)
その直後、第五艦隊が攻撃を開始。第五艦隊も《那智》《足柄》に装備されたレーダーが同時に故障したが、幸か不幸か、今回も優秀な見張り員が同時に米艦隊を発見していた。
日本側のレーダーは、米英のに比べ性能が劣っていたた為、レーダーに半信半疑な士官や下士官は多く、細萱中将も、そういった考えの提督の一人だった。そのせいか、レーダー故障といった事態に却って冷静な判断が出来た。
TF-16は、一時間にわたり退避行動を続けたが遂に午前6時に、旗艦の第三砲塔に被弾した。更に同時に、何らかの故障で機関出力が急激に低下し、ほぼ停止してしまった。
「各艦は、旗艦に構わず退避せよ。士気は駆逐隊のラムステッド大佐が……」
そこまで命じた時、違和感を感じた。今まで激しく撃ってきた敵艦の砲撃が、突然散発的になった。しかも、距離を開き後退しようとしている。
「どうしたんだ敵は? 奴らは勝っていたではないか」
「数分前に、敵旗艦に一発命中弾が有りました。何か不測の事態が起きたのかも」
「不測の事態か……」
「こちら機関室、間もなく機関出力回復します」
「どうしますか、敵が逃げ腰なら攻撃を再開しますか」
マクモリスは数秒考え決断を下そうとしたが、その刹那艦内電話のベルが鳴った。
「潜水艦からの急報です。ネムロ南東40浬に、敵空母発見。敵は空母2及び巡洋艦1隻を含む。更に艦隊上空にプリキュアらしきもの。数5ないし6! 敵空母より艦載機発艦中!」
「作戦中止! 直ちに退避するぞ! 針路90度!……水平線付近には雲が固まっている。あの下に退避せよ」
真東の水平線上には、大きな雲が複数連なっている。上手く潜り込めれば攻撃を免れる事が出来るかもしれない。
結局正午に、戦闘配置は解除されレーダーは日没頃に相次いで復旧した。暑い雲に阻まれ、敵機はTF-16の発見に失敗した。と、思われた。
翌日
「またジャップに敗北したのか!」
「敗北では無く引き分けです。被害はほとんどありません」
ルーズベルト大統領が、海軍の不甲斐なさに腹を立て、フォレスタル海軍長官が必死に宥めている。確かに、TF-16の被害は、《ソルトレークシティー2》が、戦死者7名。他に駆逐艦2隻が至近弾で軽微な被害を受けただけだった。
「しかし、逃げ帰ったのは事実だ」
「空母から艦載機発進中の急報と、プリキュア発見ですから退却は妥当です」
大統領は、深いため息をつくとグラスの水を飲み干す。
「まあ、プリキュア相手では退却はやむを得ないか。マクモリス少将も被害は出さなかったんだから、処罰するわけにもいかんな。レーダーの故障も、全艦一斉に故障となると、人為的ミスでは無さそうだ。しかし、ジャップはなぜ突然攻撃を止めて後退したんだ? このまま突撃していたら完勝出来たのではないか?」
「敵旗艦に一発命中弾が有りました」
「もしや、その砲撃が敵旗艦の艦橋でも直撃して、敵の司令官が戦死でもしたのかな?」
「優勢だった敵が突如攻撃を止めたという点から、十分に考えられる可能性ではあります」
「としたら、この戦いは引き分けでは無く大勝利だよ。海軍長官! 敵の司令官を一人葬ったのだからな。大々的に報道し、マクモリス少将には勲章を授与したまえ」
「国防総省発表、9月24日未明(時差)択捉島北東沖で、マクモリス少将の巡洋艦隊が、日本側の巡洋艦と交戦。止む無く撤退の無念に至るも、敵艦隊は突如攻撃を中止、流れ弾が敵旗艦に命中し、敵の提督が、戦死もしくは重態に陥った可能性大と判断される。この海戦は南クリル海戦と命名する」
数日後東京
つぼみ
「じゃあ、細萱って提督さん解任されちゃったの」
ゆり
「なにがあったのかしら?」
えりか
「うーんとね、確か戦艦とかの主砲弾には、敵の装甲を貫通して、中で爆発して敵艦を破壊するのと、他には三式弾って、対空砲弾ってのがあるんだけど、これはみんな説明受けたから知ってるよねえ。
それと、敵艦に命中した時に爆発する弾があるんだよね」
つぼみ
「敵の乗員や、対空機関銃とかを破片で攻撃するんだよね」
いつき
「でも、えりかはこの世界に来る前から、妙に詳しかった気がするんだけど」
つぼみ
「艦これってゲームあるよね」
ゆり
「あれは18歳以下は禁止の筈よ」
つぼみ
「ほああああああ! え、エリ……えりか破廉恥ですっ! ダメです」
ゆり
「あ、そういうゲームでは無い筈よ。厳格な年齢確認があるはずでは無いから、こっそりとやっている高校生とかもいるかもね」
つぼみ
「本編はやってないよ。でも、アニメとか動画とかは制限無いし、その中に艦娘の音声だけを収録した動画とかがあるんだけど、3隻ほどお姉ちゃんにそっくりな声の船がいるんだ。それでいろいろ調べたら、攻略サイトに船とか兵器のかなり詳しい解説が書いてあったんだ」(7)
つぼみ
「ええと、対艦徹甲弾が残り少ないと報告したら、細萱提督が残弾無しと勘違いして、攻撃を中断してしまった」
いつき
「再確認すればすぐに、勘違いに気付いたんだろうけど」
提督の資質に著しく欠けると判断され、海戦の数日後に更迭され予備役送りになった。細萱中将の『海軍軍人生命』を終わらせ、ある意味討ち死にさせた事から、ルーズベルト大統領の喜びは糠喜びでは無く、半分は正解だった。
実は潜水艦が発見した空母は、正規空母では無く完成したばかりの択捉島天寧飛行場に、資材や航空機用ガソリンを運んでいた、輸送艦隊の護衛空母を勘違いしただけで、
「艦載機発進」
は、夜が明けたので対潜哨戒用の《九七式艦上攻撃機》を潜水艦対策に、発進させただけだった。米海軍がそれを知るのは戦後……数年先の事になる。
しかも、「プリキュア」は海鳥の群れを誤認しただけに過ぎなかった。(こちらの方は合衆国側が知る事は今日に至るまで無い)
そこまで話した時、玄関の外の道路から何人かの中年女性の声が聞こえて来た。
「明日から、学童疎開が始まるんだねえ。この辺りも寂しくなるね。この辺りの子は何処に疎開するんだっけ?」
「回覧板見てないのかい、確か山梨県だよ」
合衆国が、既に完成している《B-29》より一回り以上も巨大な爆撃機を開発していると言う断片的な情報は、プリキュアが来るよりも前から、ベルリンや、ローマや他に中立国のメキシコやスペインや、トルコ、スゥェーデンの駐日大使館を経由して入っていた。
昭和19年の年明けと共に、その巨人爆撃機が試験飛行に成功したと言う情報が届いた。春になると、断続的に正式採用を目指し、試験飛行が行われていると言う情報に接した。
小型機なら、合衆国市民に気付かれずにテストをする事も可能だが、全長49.4メートル、(30.18メートル)全幅70メートル(43.04メートル)重量73.017トン(32.43トン)
()内は、《B-29》
の巨人機の試験を市民の目から隠す事は不可能で、多くの市民がその存在を知っていた。独伊系の合衆国民は、ある程度はFBIに監視されていたり、一部は収容されていたが、大半が野放しだった。数百万いる独伊系市民の中には、ドイツのスパイも居て、独自に情報収集を行っていた。更に一部だがナチスの思想に共鳴するアメリカ人や、金目当てで情報や撮影してきた写真を売る市民も少数だがいる。
巨人爆撃機は、来年春には実戦配備に付き、アラスカ辺りに配備され、爆撃が開始される可能性が高いと判断し、東京、中京、関西の児童を地方に疎開させる事が8月上旬に決定した。9月中旬には板橋区の児童200名が第一陣として、群馬県に向け出発。
プリキュア達も交代で、近くの児童の学童疎開で品川駅までの引率のお手伝いをしていた。横断歩道で「児童横断中 止まってください」と書かれた旗を持っている人がいるが、あんな感じ。
手伝いと言っても、民間の車も含めてアメリカとは比べ物にならないほど少ないので、まあ別に手伝う必要は別になかったんのだがW(まてコラ)
えりか
「そういえば、里美ちゃんは何時頃疎開するんだっけ?」
いつき
「えりか説明を聞いていなかったの?」
ゆり
「その日は、えりかは風邪気味で寝ていた筈よ」
えりか
「フンッ」
いつき
「ごめんごめん」
つぼみ
「今は学童疎開で、バタバタしているからひと段落付いた、11月の終わり頃になるって言ってました」
いつき
「山形県の北部ってかなり寒いんじゃないかな? 大丈夫なのか?」
ゆり
「彼女寒いのはそれほど苦手でも無いみたいね」
えりか
「おじいさんの代まで、北海道の小樽に住んで居たと聞いた気が」
つぼみ
「ええと、遺伝と言うやつですか? あっ、この場合は隔世遺伝ってやつですね」
ゆり
「しかし、疎開先のご家族の写真見た時は驚いたわね」
疎開先は、最初にいちか達を不審者として拘束してしまった、憲兵隊長の親戚の家で、その家が本家で、当主は村長を務めているそうだ。(8)
村長さんとそのご家族には、ある程度プリキュアの秘密とかを話したのだが、陸軍の人がその村長さんの家族写真を見せてくれた。村長さんの奥さんは数年前に病死し、子供は全員女子で姉たちは既に隣接する新庄町や、南にある村山町の人と結婚し家を出ているそうだ。現在は一番末の娘さんが
家事をやって父親を支えている。その娘さんの写真を見た瞬間……
「あ、あゆみちゃん!!!」
と、彼女と面識があるプリキュア達は大騒ぎに。
いつき
「でもこのあゆみちゃん、僕たちより年長に見えるけど」
なんでも今年19歳で、来年1月には20歳になるらしい。
つぼみ
「そ、それは……多分私達より、何年も昔にタイムスリップしてしまったんですよ!」
ゆり
「もしかすると、年齢も巻き戻って村長さんご夫妻が、見つけて養子にしたのかも」
仰天した陸軍が、現地に調べに行ったのだが。
ゆり
「じゃあその山上あゆみさんは、村長さんの実子に間違いないと言う事なのね」
つぼみ
「他人の空似なんでしょうか? お母さんの写真にかなり似ていましたから」
村長さんの娘は全員母親似の美人だと言う事と、何処からか突然現れたりはしていない事が判明した。
「姉二人は、村から転居したので今は別の資産家の一人娘と共に、村の二大美人娘として有名らしいです。もう一人の方は、正に深窓の御令嬢と言う感じですよ。ああこの二人は親友らしいです」
と言う全く意味の無い余計な情報も付いていた。
六花
「見た目は坂上あゆみちゃんそっくりだけど、性格はマナみたいな人らしいわ」
ありす
「勝ち気で、坂本乙女みたいな人なのでしょうか?」
坂本乙女とは、坂本龍馬の姉で内向的な龍馬に学問や、剣術を最初に教えたりしている。(漫画龍馬が往くや、コー〇ーの幕末維新志士伝では)
真琴
「でもこの人、ご主人はあの戦いで戦死(4月末米本土沖)……状況から見て、生存している可能性もあるけど」
一応女性が戸主になる事も可能だが、田舎だとなかなか難しい。(世間体)だから子供が女子だけの場合は、結婚し婿養子を取る必要があった。(もしくは親戚か、嫁いだ姉二人のどちらかから次男以下の男子を、村長の養子として貰い受けるか)
ありす
「陸軍の方の話によると、わんわん号泣した後「泣いたらすっきりした」と言ったそうですわ」
真琴
「マナ王子がもう一人……あゆみ王子ね」
村の男性にとってはあこがれの存在なのだが、やはりマナや剣城あきら同様同性にもモテまくっているらしい。
ありす
「ここにもそのあゆみさんに墜ちかかっている人がいますわ」
六花が熱に浮かされた表情で、北の空を見ている。
数時間後
「うひゃあ」
帰ろうとしていた時、強い風が吹いて国民に節約を求めるポスターが剥がれて、つぼみの頭を掠めてどこかへ飛んで行った。
いつき
「朝から風が強いけど、フィリピンの辺りに発生した台風の影響かな?」
戦時中は、天気予報は軍事機密とされ報道されなかった。が、流石に台風となると簡単な発表は有った。(史実)
史実では、ラジオや新聞では詳細は公表されなかったが、この世界は戦況は史実よりかなり有利なので、大本営も心に余裕があったのか、台風や大雨などの大きな被害が出る危険がある場合は、ラジオや新聞での報道が許可されている。
つぼみ
「フィリピンの東岸って2000キロくらい離れているから、関係は無いと思いますよう」
午後6時のラジオニュース(チコちゃん「テレビ……戦前にある訳ないじゃん。ぼーっと生きてんじゃないわよ)で、この台風の事は報じられた。
「フィリピン東岸に発生した台風は、この後台湾の南で針路を西に転じ、大陸に向かい本土へ直撃する可能性は少ない。ただし、台湾南部は今夜半より、大雨暴風の危険アリ台湾や八重山諸島は、高い波にも注意されたし」
10月18日
ミッドウェー島は、真珠湾が甚大な被害を受けた後、再建を最優先にする為に戦闘部隊と航空隊は5月に撤収している。が、気象観測の場所として不可欠だったのか、
ごく少数の気象観測班(数十名)は、島に残留している様だ。水は海水から塩分を取り除く機械を使用して真水にする装置を修復し使い、食料と医薬品は10日に一度ほど、退役した旧式駆逐艦を改造した、高速輸送艦で夜間に運び込んでいるらしい。
聯合艦隊は、一週間に一度ほど潜水艦や、クェゼリンか父島から飛行艇で偵察飛行をして、ミッドウェー島を監視していた。少数の気象観測班を攻撃するのは、大人げないとか武士道に悖る(?)ので、直接攻撃はしないが、何もしないのもあれなので
「避難訓練代行」とか、「安眠妨害」と称して、ミッドウェー島の近くに小型爆弾を投下したり、潜水艦の備砲で2、3発威嚇射撃をするのが通例になっていた。
当時の潜水艦は、何処の国も甲板の上に12センチ程度の砲一門と、対空機関砲1~2門ほどを装備している。魚雷は一発1万円(現代の価格にすると1億円 ロシア製の巡航ミサイル1本分くらい)の高価な兵器なので、敵商船を攻撃する際には安全な時などは、浮上して砲で攻撃する事もあった。
潜水艦《伊―17》はミッドウェー偵察を命じられ、夜間浮上して確認後いつもの如く、「安眠妨害」砲撃を行い、3発ほど適当に撃ってから島を離れた。同艦は、それより前二週間ほどオーストラリアとハワイ間の輸送船攻撃を行い、タンカー1隻を撃沈している。その後帰還途中に、ミッドウェー島監視を命じられていた。
嫌がらせ砲撃の後、補給と休養のためにクェゼリン環礁に向かったのだが、ミッドウェー南西100浬に発達中の熱帯低気圧を目撃。艦長はその旨を、司令部に打電した。
48時間後、クェゼリンから確認に向かった《九七式飛行艇》が、熱帯低気圧が更に発達して台風になり、南西へ向かっているのが確認された。海軍当局は、マーシャル諸島やサイパン島等に警報を出した。しかし台風はマーシャル諸島には向かわず、10月23日にウェーキ島を直撃、その後速度を落として1日ほど停滞した後、針路を北西に転じ26日に南鳥島(マーカス島)付近を通過した。しかし翌日になって台風は、今度は北東に針路を変えまるで元のミッドウェー方面に戻る様な針路を取り、数日後に東経180度辺りで消滅した。
えりか
「変なルートを辿ってるね。頭混乱しそう」
つぼみ
「他にもこんなルートをたどった台風があるって、Yさんが言ってました」
いつき
「去年迷走した台風が、あった筈だよ」
ここで言う去年とは、1943年では無く2016年の事だ。
ゆり「リオ五輪の頃の台風ね確か……10号だったかしら」(9)
本州南岸や、九州南東沖で長時間迷走した後に北上し、岩手県に上陸した。岩手県や北海道で甚大な被害が出て、ジャガイモなどの農産物の被害も大きかった。
つぼみ
「この時に、迷走台風の事例がいくつか紹介されていたけど、今度みたいな道筋を辿った台風も紹介されてました」
ちなみに、日付変更線の東側で発生した台風が、変更線を超えて西側に来た場合は台風となり番号が付けられる。多くは日本本土まで来る前に針路を変えるか、消えるので本土に大きな被害が出る事は少ない。これらを越境台風と言う。(11)
今度の迷走台風も、本土への被害は皆無だったが直撃されたウェーキと南鳥島ではかなりの被害が出ていた。島に配備されていた、戦闘機や対潜哨戒機、水上偵察機などは事前にクェゼリンや、小笠原に退避して無事だったが、ガソリンタンクや食料、医薬品などを収蔵していた倉庫などが、暴風や高波で浸水破壊されて、多くが失われた。島に配備されていた部隊も、高波にさらわれたり、飛来物で負傷者が出ていて至急救援を送る必要があった。
両島に向かう補給船団は、度々潜水艦の襲撃を受け被害も出ていて、食料や医薬品は台風の直撃を受けるより以前から、やや不足している。速度の遅い輸送船では、時間がかかり過ぎる為に、駆逐艦での緊急輸送が行われる事になった。
聯合艦隊司令部は駆逐艦の予備魚雷を降ろし、空いたスペースにドラム缶に、食料や医薬品を詰め込み可能な限り搭載した。他に負傷者や犠牲者の穴埋めの補充兵も乗船している。ウェーキ島にはトラック島から、南鳥島には横須賀基地から向かう事になった。
慌ただしく慌ただしく準備が行われ、30日の早朝に輸送隊は同じ時刻に横須賀とトラック島を出港した。プリキュア達が、この救援艦隊の事を知ったのは出港して半日後の事だ。
数日後
つぼみ
「救援艦隊が帰って来ました」
えりか
「あれっ予想していたより早い」
いつき
「ちょっと待って、確か4隻で向かったって聞いたよ!」
だが、戻ってきた駆逐艦隊は……いや、一隻しか見えないので既に、艦隊と呼べる代物で無くなっていたが。その頃トラック島でも同じ光景が発生していた。
両艦隊は、米駆逐艦隊の「レーダー射撃」による完璧な奇襲攻撃を受けて、壊滅していたのであった。
遂にあゆみちゃんぽい人が重要役で登場。本家ではハブられていて可哀想な彼女に救いの手を。声と外見がそっくりですが、性格は本家とは逆。
彼女はプリキュアではありません。つぼみみたいに祖母やご先祖がプリキュアでもありません。プリキュアではありません。大事な事なので2回言いました。
それと村長さんの実子です。
戦闘初戦は、日本が完勝したルンガ沖夜戦。2戦目は引き分けのアッツ島沖海戦が元ネタ。(細萱中将が更迭されたのは史実)
第2章は残り2話で終了の予定。
1 史実では日本帝国最後の戦いシムシュ島の戦いで、ソ連軍と激戦。
2 WW2人外4人衆(プリキュアにインチキ無しで勝てそうな)
1 シモ・ヘイヘ 冬戦争で活躍したフィンランドの狙撃手
2 ヴァシリー・ザイチェフ スターリングラード攻防戦で活躍した、
ソ連の狙撃手。映画「スターリングラード」では主役。
3 船坂弘 アンガウル島の戦いで活躍。
4 ハンス・ウルリヒ・ルーデル 世界で最も戦車を破壊した男。新米なのに一撃でソ連戦艦を大破着底させたり、30回撃墜されるもその都度生還したりと、嘘のような真実のエピソードがだらけ。5人目に英国のジャック・チャーチルを入れても良いかも。
「長弓」でドイツ兵を狙撃していたらしい。
5 市になるのは昭和32年。
6 科学的根拠は無いらしい
7 姉に声がそっくりな艦娘 米空母《サラトガ》(2016年秋イベ最終面突破報酬)2 《神風型駆逐艦》2番艦《朝風》同じイベントのドロップ。3 《神風型》4番艦《松風》2017年冬イベント(2月11日)E2クリア報酬
8 昭和29年12月に最上川北側の村と合併し、町に昇格。
9 N〇Kの朝ドラにも登場している。
10 平成9年台風19号は、越境台風としては、珍しい本土上陸をし、かなりの被害が出ている。ハリケーンだったのはわずか数時間との事。