グランブルーファンタジー 〜伝説の蛇〜   作:JOKER1011

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第18話

「だが、今は騎空士だがな。」

 

「ありがとうございました。それじゃあ私やることがあるので‥」

 

そう言うと更に奥の方へ行った。

 

ハリエと顔を見合わせてディアンサの行った方に歩く。

 

そこではディアンサが振り付けを練習している所だった。

 

「1、2、3、4!5、6!回ってパーン!回ってパーン!ステップ!ステッp‥‥えっ!?」

 

10分ほど眺めてようやくディアンサは気がついた。

 

「見てたんだったら言ってくださいよー!」

 

「すまない。あまりにも集中しているようだったからな。」と腰にぶら下げてたマテ茶を差し出す。

 

そしてディアンサが何か言おうとしていたが、決めたのか、話を切り出した。

 

「騎空士の話を聞きたいです!」

 

「そうか。別に構わんが‥それより俺の後ろにいる3人もこっちに来たらどうだ?」

 

そう言うと物陰からカンナ、リナリア、ジオラが出てくる。

 

「えへへ、バレちゃってた?」

 

「気配がダダ漏れだな。あれは隠れている内に入らないな。」

 

「あたしたちも騎空士の話は珍しいんだもん。ねえねえスネークさん。私たちも聞きたーい!」

 

「ぼー‥あ。あの雲。お魚みたい‥」

 

そこから騎空団の話をしだす。

 

ポートブリーズの時だけしか話すことがない為、すぐ終わってしまった。

 

それでも普段聞きなれない外の話に舞い上がり、はしゃぎ、みんな興奮して話を聞いていた。

 

こう見ると巫女と信奉されている彼女達も年相応の子供だな。と改めて思ったスネークなのだった。

 

そしてそろそろ出発する為にディアンサ以外の4人は荷物を取りに戻りスネークとディアンサだけ残る。

 

「まあ、あれだ。余計なお世話かもしれないが、無理だけはするな。」

 

「無理はしていません。私が頑張らないと‥私が失敗しちゃうとイクニアさん達の心が離れて‥私達は力を失っちゃいますので。」

 

俺が祭司から聞いていたように巫女達はイクニア達の信仰心によって力を身につける。

 

だから失敗など出来ず、努力し続けるのだ。

 

するとスネークはディアンサの頭に手を置いて言った。

 

「そうか。だがこれだけは言っておくぞ。お前は十分すぎるくらい頑張っている。人一倍にな。」

 

「え‥‥!」

 

ディアンサは意外そうな顔をする。今まで自分の努力を誰も褒めてくれた人はいなかった。それに自分がやっている事は努力ではなく、当たり前の事だと思っていた。

 

初めての事に驚き、ほんのりと顔が赤くなっている。

 

「どうした?」とスネークが顔を覗き込む。

 

「し、失礼します!」とピューと走っていった。

 

スネークもすぐにディアンサを追いかけ隊列に加わった。

 

スネーク達護衛は気を引き締めていた。

 

ここからは魔物や盗賊がよく出る街道らしい。

 

スネークも流石に武器を抜いたが、ナイフだけだった為、また他の護衛達に呆れられていた。

 

「あはは‥スネークさんナイフじゃん。」

 

「スネークさん、絶対護衛の仕事ナメてるよ。ナイフとあんなちっちゃい銃だけなんて。」

 

「こら、リナリア。そんな事言わないの。」

 

「それよりディアンサどうしたの?顔赤いけど?」

 

「え!?いや‥なんでも‥ないよ‥」

 

「敵襲!!」

 

そして案の定魔物が現れる。

 

列の先頭と最後尾を挟む形でウルフの群れに襲われる。

 

護衛達が巫女達の元へ行かせまいと必死に応戦する。

 

スネークも腰のハンドガンとナイフを構えて後方の戦闘に参加している。

 

スネークは戦いながら考えていた。

 

おかしいな。ウルフは確かに集団で狩りをする生き物だ。しかし、ここまで統率が取れた動きをするものか?

 

辺りを見渡すと少し遠くから何者かがいるのが見えた。

 

よく見ると指揮棒みたいなものを動かしている。

 

あいつか!

 

スネークはバックパックからモシン・ナガンを出し、膝立ちになり撃った。

 

弾は何者かの杖に当たり手から飛んでいく。

 

そいつはすぐに逃げた。

 

しかしウルフ達は指揮系統がなくなり動きに統制が見られなくなったが、それでも止まらない。

 

「おい!そっち行ったぞ!」

 

スネークが見るとウルフが5匹先頭の戦ってる護衛達の頭の上を飛び越え、こちらに走ってきていた。

 

巫女の近くにいた護衛が抑え込むが、その内の1匹に突破されディアンサに迫る。

 

「ディアンサ!」

 

ハリエ達は叫ぶがスネークの事をかんがえていたディアンサは眼前に迫るウルフへの対処が遅れてしまった。

 

「え‥‥」

 

あと数秒で牙がディアンサに届く。

 

このような事態を招いたのは護衛達の油断‥それ以外に考えられない。

 

私‥死んじゃうのかな‥

 

彼女の目には必死にこちらへ走ってきている護衛が見える。

 

せめて‥痛いのだけは嫌だな‥

 

そう思い目を閉じる。

 

そして走馬灯のように今までの思い出が駆け巡る。

 

ー 巫女として選ばれた日 ー

 

ー 初めて他の巫女と出会った日 ー

 

ー 初めての巡業で必死に覚えた踊りが、しっかり本番でできて嬉しかった日 ー

 

今までの思い出が現れては消える。

 

そして最後に映ったのは‥優しく自分の頭に手を置いた、眼帯をしてバンダナを巻いた男。

 

ー ーーそうか。だがこれだけは言っておくぞ。お前は十分すぎるくらい頑張っている。人一倍にな。ーーー

 

私‥動転してお礼も言えなかった‥嬉しかったのに‥死ぬならお礼言ってからにしたかったな‥

 

 

 

その瞬間、何かが自分の横を通ったような気がした。

 

 

ガッ!


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