グランブルーファンタジー 〜伝説の蛇〜 作:JOKER1011
逃げる住人達を守るため、殿を務めるスネークは街の住人達を無差別に襲う魔物達を撃ち抜く。
「だんだん増えてるな。裁ききれるか?」
そのスネークの呟きに反して魔物達は消えた。
スネークは銃をしまい、段ボール支援を要請した。
街中に魔物が溢れて、最早魔物の巣窟と変わり果て始めた街を警備隊の人たちと制圧していくが、イタチごっこにしかならない。
大元を破壊すればと考えたが、祭司によりそれは止められた。
スネークは巫女達が宿泊しているホテルに帰る。
スネークがホテルに到着すると、ディアンサがスネークに気がつき駆け寄ってくる。
ディアンサの表情は今までの憔悴している顔から変化しており、多少元気に見えた。
「スネークさん!・・これ見てください」
「何か分かったみたいだな」
ディアンサは、年季の入った本のある一部を指し示した。
そこには書かれていたのは
金色の仮面の星晶獣・・・かつて島を滅ぼしかけた、暴食の獣。その力は万象の因果さえ歪める。
魔物を生み出す瘴気は空間の因果が歪んだ結果だと説明する。
巫女達の歌と踊り、そして巡業は金色の仮面の星晶獣を封じる儀式だったと・・・・。
「前に本で読んだんですが、とある島では狂暴な星晶獣を歌で眠りにつかせるとか・・・・」
祭司とディアンサが発見した内容から、もう一度イクニア達の巫女への進行を取り戻す策を練り始めた。
策を練る巫女と祭司、スネークもその話し合いに参加し対応策を話し合っていた。
対策を反している途中、静かにその場を離れていくディアンサ、スネークは直ぐさま小さい発信器を指で弾き、放れていくディアンサの襟元に付ける。ディアンサは自分の体に発信器が着いたことに気づいていない。
そして彼女を追いかけるように消えていくリナリアも同じく発信器を取りつけた。
スネーク以外の人達がディアンサとリナリアがホテルからいなくなったことに気がついた時、スネークの持つ無線機ではつい先ほどまで一緒にいたのだが、別々の方向に向かって移動を始めていた。
様子を見守っていたスネークだったが、ディアンサが大祭壇の方向の向かっているのに気がつくと直ぐさまホテルを飛び出し、ディアンサのいる反応がある方向に駆けだした。
リナリアと喧嘩別れに近い別れ方をしたディアンサは大祭壇に向かって足を踏み出した。
彼女の心の中は恐怖と罪悪感で満たされており、正しい判断が出来ない状態であった。
魔物を何とか偶然落ちていた段ボールを被って避けながらディアンサは大祭壇のある街にたどり着く。段ボールを脱ぎ捨て、満ちる瘴気と魔物にたじろぐも、勇気を振り絞ってさらに足を進めた。
「怖い・・・・でも、大丈夫・・・・」
公演前よりもさらに酷い怖さに必死に耐えるよう足を進める。
「♪願わく未来はいいことがいっぱいって――・・・」
(なんで歌ってるんだろう・・・私の行動をスネークさんが知ったら悲しむかな・・)
察しがいい人は気づいたかもしれないがディアンサは自らを生贄にして騒動を止めようとしていたのだ。
そしてディアンサは今の感情が公演前に近いせいだと自分で検討をつける。
(ふふ・・・・そっか・公演前の、祭壇に上がる時・・本当に、死ぬほど怖かったんだ・・・でもこないだ魔物に襲われて死にかけた時は歌わなかったな~あんなに一瞬を長く感じたのに・・・・何でだろう?)
ディアンサは気がついていない自分の歌う声が次第に大きくなっていること、その声を聞きつけて魔物がディアンサに迫っていることに。
ついにディアンサの視界に魔物が映る。
「あ!・・逃げなきゃ私は・・・祭壇からこんな遠い場所で死ねない」
ディアンサが後ろを向き駆けだそうとするが、足が止まる。
魔物はディアンサがここまで来るのを待ち構えていた。まるで狩りのように獲物が逃げられないタイミングまで待っていたのだ。
ディアンサは既に魔物に囲まれていた。逃げ場などない。彼女を助ける者はいない。
しかし、魔物達はディアンサを襲うことは無かった・・・出来なかったのである。
ゆっくりとM16を構えながら一人の男が歩いてきた。
「待たせたな。伏せろ!ディアンサ!」
その声にすぐ地面に伏せたディアンサの頭の上を銃弾が通る。
ディアンサを囲む魔物達に一斉に銃弾が命中し吹き飛ばす。
ディアンサはこの何日かでソレを何度も見ていた、自分の失敗したせいで街を走り回り街の住人を守ろうと戦う男の姿を。
男はゆっくりと近づきディアンサの元にたどり着き、手を掴み立たせる。怒られるとディアンサは確信していた。もしかしたら殴られるかも知れないと目をつぶる。
しかしそんな考えは杞憂に終わる。
男は依然、自分を褒めてくれた時と同じように優しく男は手を載せた。
「ダメだ、ディアンサ・・・命を無駄に散らすな。」
その一言、その行動で彼女の心を折れた。
ディアンサはとっくの昔にすでに限界だったのだ。彼女は罪悪感でここまで歩いて来た。
巫女であり、このような事態を引き起こした自分を生贄にすれば治るんじゃないかという思いを抱えながら。
そして恐怖を感じ、逃げ出したい気持ち、死にたくない気持ちを必死に押さえ込んで。
ディアンサはスネークに抱きつく。そしてダムが決壊したように泣き出した。ごめんなさいと何度も呟きスネークの服を涙で濡らす。
スネークはディアンサを慰めながら落ち着くまで胸を貸し続けた。
ディアンサが泣き止み、落ち着きを取り戻しかけていた時。スネークはディアンサを自分の背中に隠すように移動させる。
「さてさっきからこちらを見ているのは誰だ?いい加減出て来たらどうだ。」
「え・・・・」
スネークは物陰に向かってM16を構える。ディアンサもスネークが見ている方向に目を向けるがそこは暗がりで特に人の姿は見えない。
「どうやら気づかれていたようだな。」
男が一人物陰から出てくる。
その男はフルフェイスの仮面をつけ、ボロボロのマントを羽織っていた。それよりも目立つのは身の丈ほど、もしかしたらそれ以上の大きさの大剣を背中に背負っていた事だ。
「よせ。お前と戦う気はない。偶然この島を訪れただけだ。」
「なら、その仮面を取れ。」
「それはできないな。」
「なら名前を名乗れ。」
「それならいいだろう。俺の名はジークフリート。元黒龍騎士団長。」
さて、舞い歌う五花も、もうすぐ終わります!(次で終わります。)