グランブルーファンタジー 〜伝説の蛇〜 作:JOKER1011
第23話
アウギュステ列島
「へ〜 ここがアウギュステなんですか!」
ディアンサはキラキラした目をしながら窓から眼前に広がる海を見る。
どうやらディアンサは海を見たことがないらしい。
「ふっ、かなり夢中で見ているようだな。どうだ?池なんか比べ物にならないだろう?」
「はい!すごいです!」と窓から目を離さずに答える。
そう話していると運転手の老人が俺たちに言ってきた。
「眼帯の旦那!発着場の所に瘴気が立ち込めてやがる!これじゃあ着陸は無理だ!」
スネークはすぐに窓から外を見る。
発着場に瘴気が立ち込めていた。そして発生源を双眼鏡で確認すると海からだった。
「いつもあんな感じで海って荒れるんですか?」とディアンサが聞く。
「お嬢ちゃん、そんな事はないんだよ。この海はリヴァイアサンの加護があるからな。」
「な!?グラン!」
スネークは双眼鏡越しにグラン達を発見した。
「よし!あれを使おう。こういう時の為に用意しておいた。ディアンサ何も言わずにこいつを背負え。」
「何ですか?これ。リュック‥?」と言われるがままに背負う。
ディアンサは気づいていなかったのだ。これから自分に起こる出来事を。
「運転手。悪いがディアンサの荷物は後から届けてくれ。」と言いながら壁に付いたハンドルを回して入り口を開けた。
バガっと開いた入り口から風がゴオッ!と吹き込む。
「よっと!」とディアンサを脇に抱えて入り口近くまで歩く。
ディアンサは今になって、これから自分に降りかかる災難に気づいた。
「ヤダヤダヤダ!!!絶対嫌です!冗談ですよね‥?ね?スネークさん?」とひどく怯えた顔をしながらいう。
その顔を見たスネークはニコッと笑い、聞いた。
「お前、鳥って好きか?」
「え、ええ‥好きです‥」
「鳥みたいに飛んでみたいと思った事は?」
「ありますけど!今は!嫌です!!!」
「そうか‥分かった。」
その言葉にディアンサはホッとする。
しかしスネークの次の言葉に絶望した。
「よし!鳥になってこい!幸運を祈る!」と空に放り投げた。
ディアンサが悲鳴をあげながら落ちていく。
それを追うようにスネークも飛んだ。
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!ショロトル様助けてぇぇぇえええ!!!」
ディアンサは風でめくれ上がる自分のスカートのことなど考えることが出来ないようで、悲鳴を上げながら海面に向かって落ちていた。
ディアンサを信奉するイクニアの人達が見ていたらどんな反応をするだろうか……とりあえずスネークは襲われるであろう。
しかし彼女は偶然だが落下耐性の姿勢をとっていた。そんな彼女の元に空に放り投げた人物が上から近づいてくる。
「ほう、教えてもないのに落下姿勢を取れるとはな‥いいセンスだ。そして大丈夫だディアンサ、そいつはパラシュートだ。地上に近づけば勝手に開く」
そう言い残しディアンサと同じスピードで落下するのを維持していたスネークは、直立不動の姿勢をとり、どんどん加速し瘴気に向かって猛スピードで突っ込んでいった。
やがて、弾丸のように濃い瘴気の中に突入し海竜……リヴァイアサンと戦うラカムとカタリナの姿を確認したは、アサルトライフルを抜き、構えた。
パラシュートを開いてからマガジン一本分を撃つ。
自分の上でディアンサのパラシュートが開いたのを確認し、笑う。
が、スネークは気がついていなかった。海の中からこちらに放たれた水の弾丸に。
時は少し遡る。
グラン達は、アウギュステ列島に到着し浜辺で水遊びをしていた所、警備隊をしていたオイゲンと遭遇する。
その後帝国の兵器開発により汚染された海を取り戻すため協力し、施設を無事沈黙させた。
そしてグラン達はアウギュウステの兵士と帝国軍が衝突するザニス平原に向かった。
向かう途中オイゲンに一同はルリアの秘密を教え、グランの覚悟を知ったオイゲンが旅に同行することになった。
ザニス高原でアウギュステの兵士と帝国軍が衝突し、クラン達は暴走するリヴァイアサンを沈めるため、海岸に向かう。
しかし、リヴァイアサンの元に辿り着く直前、ポンメルンとフィリアスに遭遇し、ラカムとイオ、そしてカタリナがリヴァイアサンの元に向かいグランとルリア、そしてオイゲンが魔晶の力によって変身したポンメルンと戦っていた。
ポンメルンと戦っていたグラン達は劣勢だった。なぜならグラン達の周りはポンメルンだけではなくフィリアスの部下の帝国の兵士がグラン達を包囲していたためだ。
さらに、兵士たちは陰湿でグラン達よりもルリアを狙うため、オイゲンとグランは攻勢に踏み出せないでいた。
そんなグラン達を遠くからフィリアスが笑いながら眺めている。
ポンメルンの攻撃をなんとか反らすことで耐えたグランだが、既に体力は限界のようで膝を着く。
膝をついたグランに向かって帝国の兵士が剣を振りかぶり迫る。
「グラン!前です!」
ルリアの声で危険が迫ったのを悟ったグランは素早く立ち上がり迫る剣を弾き、自分の剣を帝国兵士の首元に突き刺した。
その光景を見て一瞬怯んだ周りの帝国の兵士の隙を見逃さず、オイゲンの大砲のような銃弾を直撃させ、周りの数名の兵士をはじき飛ばした。
「大丈夫かグラン!」
「オイゲンさん僕はまだ戦えます!!」
オイゲンがグランに走り寄る。二人は軽く言葉を交わした後、自分達の目の前に佇んでいるポンメルンに目を向ける。
「その絶望しない目つき!!生意気ぃ~ですネ!!」
魔晶の力で変身したポンメルンはまだまだ余裕がありそうに佇んでいる。一方……。
「俺はコイツの目が気に入ったがな? 真っ直ぐでいいじゃねーか!」
既にグランもオイゲンも息が上がり体力の限界は近かった。
「ふん、どこまで威勢を張っていられるか楽しみですネ!!」
再び迫る攻撃……しかしルリアが呼び出したコロッサスが攻撃を受け止める。
「ッ!!」
突然出現したコロッサスに攻撃を防がれ、ポンメルンは驚くが直ぐさま後方に飛び一度距離をとった。
「私も、戦います!守られるだけは嫌なんです!」
「嬢ちゃんがいれば百人力だな」
「分かったルリア・・だけど無理はしないでね」
息を整え終えたグランが剣を構え、コロッサスが出現していた間に銃に火薬をつめたオイゲンはグランを援護するようにポンメルンに向かって銃を構えた。
その時、どこからか少女の悲鳴が響き渡る。
グランとオイゲンは悲鳴が聞こえ一度足を止めた。
悲鳴はどこから聞こえてくるのか探す二人は自分達のはるか上空から聞こえてくることに気がつく。
グランとオイゲン、そしてルリアは空に目を悲鳴の主を確認しようと上を向き―――。
そしてこの世界の銃では聞かないタイプの銃声が鳴り響く。
グランはこの音の正体を知っていた。
グランは走り出した。
そして何かがリヴァイアサンに当たり、痛みに悶える。
その何発かが目や鼻などの生物の急所に炸裂したようでリヴァイアサンは耐えきれず倒れこむ。
その様子を信じられないといった感じで、ポンメルンも例外ではなかった。
その隙を逃さずグランがポンメルンに斬りかかる。ポンメルンも気がついたがグランの渾身の一撃の方が早かった。
それが決定打となりポンメルンは変身を解除され帝国兵は撤退を余儀なくされた。
そしてそのあと何かが海へ落ちて水しぶきが上がった。
戦いが終わり剣を納めるグラン、そしてグランの元に駆け寄るオイゲンとルリア。
「やるじゃねーかグラン!!不覚にも俺は突然どこからか聞こえた聞きなれねえ銃声に驚いちまって動けなかった」
「グラン!!凄いです格好良かったですよ」
「オイゲンさんは仕方ないですよ、僕は似たような音を聞いていたから動けただけです」
オイゲンは驚く顔をする。それに対しルリアは何か分かったように笑顔を見せる。
「あ、じゃあやっぱりあの銃声はスネークさんだったんですね!」
オイゲンはスネークという名前を聞き、グラン達の仲間で今は別行動している人物がいる話しを思い出し、その人物に興味をもった。
一撃でリヴァイアサンを沈める人物……ただ者ではないと。
「こいつはたまげたぜ、グラン、そのスネークってやつはすげぇな」
そんな彼らの元にパラシュートがポスッと地面に落ちる。降りてきたパラシュートの真ん中で何かがもぞもぞと動いており、誰かが近くに降りたったのを理解したグランは剣を再び鞘から抜き、オイゲンは銃を構える。ルリアはその二人の後ろに隠れ、顔をのぞかせていた。
やがて何とかパラシュートから抜け出してきた人物。その姿はこの場に似つかわしくない格好をした少女だった。
「い、生きてる!! ……やった、私生きてるよ!!ショロトル様!!ありがとうございます!!」
突如現れ、自分の生還を大声で叫ぶ少女。その姿を見て危険はないと判断したグランとオイゲンは武器を降ろした。
「あの~貴方は~?」
そんな叫んでいる彼女に向かってルリアが近づいて声をかけるルリアをグランとオイゲンは見守っている。
すると、遠くからリヴァイアサンと戦っていたラカム達がこちらに向かって駆けてくるのが目に入り、二人はやっと戦いが終わった事を理解して安堵の表情を見せるのだった。
前に言ってた騎士はアウギュステが終わってからにします。