グランブルーファンタジー 〜伝説の蛇〜 作:JOKER1011
島に降り立ち、ディアンサとクラリスが帝国兵とパラケルススに追い詰められていたグラン達を助太刀に入った事でピンチを脱出。賢者の石の影響で弱体しているカリオストロをグランが担ぎ、撤退している最中、男の姿はとある施設にあった。
葉巻を咥え、とある施設を双眼鏡で見つめるスネーク。彼が調べた結果、すでにクラリスの両親は囚われているらしく。軟禁されている目の前の施設には多数の錬金術師と帝国兵の姿があった。
スネークは冷静に施設を警備する兵士を確認するが、如何せん人数が多く正面突破は余り良い選択とは思えなかった。
「なるほど。ここの警備は少しはまともか。」と葉巻を消す。
「待たせたな。今からクラリスの両親及び捕虜の確保を開始する。」と独り言を言い侵入した。
並大抵の人間では、近づく事すら出来ない警戒状態だが、スネークにとって潜入は本業に近い。
そして監視カメラや金属探知機などがないセキュリティが薄い場所を瞬時に見抜き潜入することなど造作も無い。
兵士達の視線が逸れたタイミング。または話してる隙に、物陰から物陰に素早く移動。そして時には石を投げて気をそらしたり、警備を絞め落として物陰に隠すなどして着々と進んでいった。
スネークはあっという間に、誰にもバレることなく施設内部に潜入することに成功したのだった。
少し進んだところで何者かの気配を感じた。スネークは咄嗟に物陰に身を隠し覗こうとした時、第六感が働き首を引っ込めた。
するとそこを短剣が通った。
「何者だ。帝国兵か?」とその男はスネークに問う。
「違うな。俺は任務でここに囚われている人達を助けに来た。」と銃とナイフを構えながら物陰から出る。
その瞬間、短剣で切りかかってきた。
それを躱す。が男が猛攻を仕掛けてきた。こいつ‥隙が見えん。
しかし一瞬の隙をつき、男の腕を掴み地面にねじ伏せる。
「くっ‥不覚を取ったか。答えろ。降参だ、殺せ。だが最後に聞かせてくれ。お前は帝国の敵か?」
「だったらどうする。」
「志は同じようだな。味方だ。」
スネークは拘束を外し話を聞く。
この男、名はジャミルというらしい。どうやら帝国が王国だった時代から一族で仕えていたが帝国になってから悲惨な目にあっていたらしい。
とりあえずこの男と行動する事にしようか。
「しかし主君はどこで習ったのですか?その腕は?」
「スネークだ。これは若い頃だ。」
話している内に途中の警備室から施設全体の見取り図を盗み進む。
しかしスネークには気になる事があった。見取り図がまるでついさっき取られたような痕跡を見つけた。1枚か。自分以外にも忍び込んでいる者がいる事に気付き、より警戒しながら進んでいった。
しかしそれを物陰から見ている事には気づいていなかった。
?「ええ‥気づかれてんじゃん。」
そうとも知らずに遭遇する帝国兵や錬金術師を上手く絞め落とし、施設の奥へと進んでいたスネークとジャミル。
「ここだな」
「ええ、そのようですね。」
施設の最奥の部屋、扉は鋼鉄で出来ており見るからに無骨で頑丈、鍵穴が見受けられるが、スネークはここに来るまでにこれほどの物を見つけられていない。
「主k‥いえ、スネーク。ここは私が。」とジャミルがピッキングを始めた。
「!? 誰だ。そこの物陰から見ている奴は。」と銃を構える。
ジャミルも作業を中断して短剣を抜く。
すると女が現れた。
「スネーク、屠りますか?」
「待て。女、答えろ。お前は誰だ。」
「わ、私は名乗らん!」
「ふっ、足が震えているぞ。ルーキー。」
「私はルーキーじゃない!私は潜入に長けたベアトリクスだ!」
「ベアトリクスというのか。」
「あ!しまった!」
その時スネークとジャミルは思った。こいつ馬鹿なのかと。
そしてスネークはベアトリクスの服装に気づいた。
「そうか、お前がゼ‥何とかが言っていた仲間か。」
「な!?お前ゼタに会ったのか!っていうか、どうして仲間だと‥!」
「簡単だ。お前の服装が似ているからだ。それに今お前はゼタとはっきり言った。本当に潜入が得意なのか?」
「くぅ〜!私をいじめるな!」
「まあ、いい。ジャミル。こいつは敵ではない。おそらく仲間だ。」
「まあスネークが言うならそうなのでしょう。」とまたピッキングに戻った。
そして鍵が開いた。
「・・・・・・な、何事です!?」
中から狼狽する女性の声が聞こえ、スネークは銃をしまい部屋の中に入っていった。
「さがっていろ、プロメティア!」
スネーク達が部屋に入ると、中にいたのは2人の男女。彼らはスネーク達の姿を見て警戒をあらわにする。
男が、女を庇うように前に出る。
「何者だ」
「俺か?俺の名はスネーク。アンタらの娘に助けるように言われて来た。」
スネークの言葉に2人が反応する。
「く、クラリスは無事なのですか?何か怪我とかは・・・・・・」
「安心しろ。元気にしてると思うぞ。今は別行動中だがな」
少し安心した素振りを見せる2人。やがて女性が口を開く。
「そ、そうですか申し遅れました。私はクラリスの母でプロメティアと申します」
「父のハロルドだ、感謝する」
「挨拶は後だ。とりあえず今は脱出が優先だ」
スネークがそう言って自分が入ってきた方に目を向ける。
「スネーク。最短の脱出経路を確保した。」
「分かった。それで行こうか。」
「スネーク!残りの捕虜は開放したぞ!褒めてくれ!」
「よくやった。」
「へへへ、だろ?」
「ついて来るんだ。余り音を立てるなよ。」
斥候にジャミルを立て、ベアトリクスが前、スネークが後ろに着き、進む。
進む道を見るとジャミルがやったのか帝国兵が転がっていた。
結局最後まで帝国兵士や錬金術師は気がつかれることなく、スネークは2人を施設から盗みだしていったのだった。
帝国兵達が牢の錠前が大半は壊されていたものの捕虜が全員逃げ出している事、そしてプロメティアとハロルドがいなくなっていることに気がつくのはもうしばらく先の事。