グランブルーファンタジー 〜伝説の蛇〜 作:JOKER1011
「みんな大丈夫?」
当初ルリア、ビィそしてカリオストロと研究施設に向かっていたが、それは帝国によるカリオストロをおびき出す為の罠だったらしく。パラケルスス達との戦闘でカリオストロが賢者の石によって弱体化してしまった。
グランがルリアとカリオストロを守りながら賢明に戦うも、カリオストロが弱体化した原因でもある賢者の石で錬成された、白い人型の塊・・・・・・ヘルメスの門と呼ばれる兵器には攻撃が効かず絶対絶命の危機だった。
そんなタイミングで最近グランの旅のメンバーに加わり、アウギュステにいるはずのディアンサが少女と共に現れ、窮地を救われ、この場所まで逃げてきたのだった。
「グラン、私は大丈夫です」
「オイラも問題無いぜ」
グランの問いに真っ先に応えてくるルリアとビィ。グランは一同を見渡す。
息を切らしている自分達を助けてくれたクラリスという少女。そして彼女に声をかけているディアンサ。
「す、すごいね、ディアンサちゃんは……ウチもう走れないよ」
「私は少し踊りの練習とかで体力が付いただけだよ」
クラリスと対照的にディアンサはあまり疲れている様には見えない。
そして最後の1人、グランから変わりデリフォードが今抱きかかえているカリオストロがいる・・・周りを見渡し全員無事に逃げられていることにグランはほっとする。
「オイ、おっさん。いいからもう降ろせよ。」
その声には恥ずかしさが混ざっており、頬も若干赤くなっている。
今のカリオストロの状態はお姫様だっこと呼ばれるものである。
デリフォードはゆっくりカリオストロを降ろす。
逃げながら途中、軽く自己紹介をするクラリスと、そんな彼女を警戒するカリオストロとの間で少しもめ事があったが、無事に解決していた。
グラン達はディアンサとクラリスが指定した場所に向かっている。そこに何があるのかは知らされていないが、ディアンサが行けば分かるとの事なので一同は歩みを進めている。
やがて、集合場所だと思われる広場が見えてくると、その場に立つ人影が見えてくる。
その光景を目にした途端、グランの脇をクラリスが走り抜けていった。
グラン達が近づき人影の正体が見えてくると、そこには、ディアンサが現れた時点で、いるであろうと予想していた人物がグランの到着を待っていた。
「お父様! お母様!」
「クラリス・・・・・・心配かけたようですね」
「すまないな、クラリス。お前に迷惑をかけてしまって・・・・・・」
「そ、そんなの気にしなくていいって!お父様達が無事なら・・・・・うち、それで十分だから」
プロメティアとハロルドの元に駆け寄ってきたクラリス。
その後、両親に何か言われたのか戸惑ったような表情を浮かべるクラリス。
家族の再会に水を指さないよう、少し下がったスネークはクラリスが走ってきた方向からグラン達の姿を確認し、葉巻を取り出した。
「おい、スネークじゃねーか!なんで、オメぇがここにいるんだよ」
「ビィ少し黙ってろ。家族の感動的な再会シーンだ。」
「あと、横の‥「ありがとう、スネーク。」・・・おい、グラン・・・オイラまだ話してんだけど。」
自分の抗議の声をかき消され少し落ち込むビィをおいて、話すスネークとグラン。どうやらスネークがジャミルを紹介しているようだ。
「いいってことよ……おお、ディアンサもお疲れさん」
「ははは、私は殆どなんもしていませんけどね……スネークさんはやっぱり凄いですね」
話すクラリス一家に目を向けディアンサが呟く。
「そんなはことない ディアンサの援護は助かった」
「そうですか……それなら頑張ってよかったです!」
少し落ち込む素振りを見せるディアンサにグランがフォローを入れる。
「いいか、ディアンサ、誰にも得意、不得意はあるんだ。完璧な人間なんてこの世にはいないさ。自分の出来ることをやればいいんだよ。」
「は、はい!!分かりました」
それから家族の再会を見守ること数分。
「さて、それじゃ、クラリスそろそろ始めるか」
「ううっ・・・・・・わかったよー」
カリオストロの声に嫌そうに反応するクラリス。
こうしてカリオストロによるクラリスの錬金術講座が始まろうとしていた。
集合場所から移動し、カリオストロがクラリスに講義をしている途中、他のメンバーは近くの建物に入り、現状の報告共有をしていた。
「錬金術の勉強・・・・・ですか?それも開祖直々の?」
「はい。クラリスさんにみっちり、教え込むんだそうです。」
プロメティアの疑問にルリアが元気よく答えている。
どうやら、逃げている途中にクラリスがグランの旅の仲間に加わりたいと言ったようで、グランが頷こうとする直前、加わる条件としてカリオストロがこの講義を提案したようなのだ。
外では、カリオストロの怒号とクラリスの悲鳴が聞こえている。
グラン達との合流前、コブラがカリオストロのことを軽く話していたおかげで、プロメティアとハロルドは開祖カリオストロを警戒はしているが敵視してはいなかった。
彼らは一通り内容を話したところで、カリオストロ達の場所に向かったのだった。
講義が進みカリオストロに教えられたとおりに、錬成をしていくクラリス。しかし中々思うようにいかず、失敗が続いていた。
そんな彼女達を遠くから眺めるスネークとディアンサ。
「クラリスさんは大丈夫ですかね」
「分からん・・・だが奴なら大丈夫だ。」
彼らが見守る先で再び爆発が起きる。
「ちっ・・・・・・また、失敗か・・・・・」
「・・・・・・ごめん。やっぱり、うちには・・・・・・」
錬成の失敗続きで元気がなくなっているクラリス。カリオストロが励ましていた。少ししてカリオストロがひとり、何かを考え込み始める。
そこにスネーク達と同じようにグランとルリアが近づいていく。どうやら2人も落ち込むクラリスを励まそうとしているらしい。
グラン達のおかげで元気を取り戻すクラリス。もう一度錬成に取りかかろうとした時―――
スネークがディアンサに呟く。
「・・・ディアンサ。俺の後ろに隠れてろ」
「スネークさん一体何を・・・・・・」
ディアンサを背後に回し、スネークはホルスターからm1911を撃ち放つ。
スネークの放った銃弾は物陰にいる何かに確かに命中し鈍い音が響く。
しかし、スネークの銃弾が効かなかったのか怯んだ様子は無く物陰の何かから光線が放たれる。
「しまった!!カリオストロ!クラリス!避けろ!!!」
スネークの声に反応してクラリスとカリオストロが振り向くが時既に遅く、光線がクラリスに迫っていた。
「え・・・・・・」
「チッ、何ボーっとしてやがる!」
反応出来ず、棒立ちのクラリスを守るためその身を盾にするカリオストロ。
「ぐはっ・・・・・・」
攻撃を代わりに受けたカリオストロは力なく地面に倒れる。
「まさか、ニグレドの奇襲に気がつく者がいるとは思わなかった、だが残念なことにニグレドには錬金術しか効かないことを知らなかったようだな」
物陰からニグレドを連れてパラケルススが現れる。同時に多数の帝国兵士が後方から駆け寄ってきてスネーク達を包囲する。
「今日の俺は運が良い。さぁ、ニグレド・・・・・チャンスだ。開祖を吸収しろ。」
「させるか!」
スネークがm1911の銃口をパラケルススに向けて放つ。
だが、その攻撃は近くの帝国兵士が盾となりパラケルススに届かない。
「こ何処からともなくゴキブリのようにゾロゾロと・・・・・ディアンサ俺の側を離れるなよ」
「は、はい!!」
ディアンサを抱き寄せるスネーク。この間にもグラン達とスネーク達の間に兵士が入り込んできて彼らと段々と距離を離され孤立する二人。
スネークは斬りかかってくる兵士にナイフと拳銃で応戦し、撃ち漏らした敵をジャミルが斬り伏せる。スネークは武器を一旦ホルスターに戻すと背中に背負っていた大筒を外し、構える。そして兵士達には銃口を向けず、真上に向かって撃ち放った。
スネークが最後に兵士と兵士との隙間から見えたのは吸収されていくカリオストロの姿と絶望するクラリスの姿だった。
大袈裟な身振りで喜びを表すパラケルスス。そしてニグレドの体にちりばめられた結晶が少しずつ輝きを放ち始める。
やがて閃光が収まると、そこにはカリオストロの容姿を模したニグレドの姿があった。
「あはははっ! これで開祖の知識と技術は私の――――なにっ!!?」
突如パラケルススは背後を振り向き手から障壁を展開し、迫るミサイルを防いだ。しかし―――。
「っ!!! なんだ、この攻撃の威力は!!」
迫る光弾を防いだパラケルススは息を切らしながら崩れるように、片膝をついた。
「あの眼帯の男・・・何者だ、まぁいい開祖は手に入れた。あの男は今、帝国兵と戦っているはずだ、こっちには来れまい」
パラケルススは体制を立て直し立ち上がった。
グラン達は帝国兵士達を捌きながら、各々に背中を預けていた。
「うちが・・・・・・うちがちゃんと出来なかったから・・・・・・」
「違うクラリス!!まだ何も終わって無い!!」
「そうです!クラリスさん、カリオストロさんも言ってました。まだ何か出来るはずです!」
「なに言ってんの!?そんなわけ・・・・・・」
「大丈夫、カリオストロはそんな簡単にくたばったりしない!」
グランの瞳がクラリスを見つめる。その目にはカリオストロの無事を確信しているように強く輝いていた。
「っ!!」
「私達はクラリスさんなら、なんとかできるって!・・そう信じていますから!」
ルリアの言葉に強く頷くグラン。
「もちろん、オイラも信じてるぜ」
グランとルリアが必死に声に反応するように、絶望しかけていたクラリスの瞳に灯りが点る。
グラン達に続くようにプロメティアとハロルドも声をかける。
貴方になら出来ると・・・・・それまでは私達、親が貴方を守ると。
一同は体制を立て直し、前にいるパラケルスス、そして何人もの帝国兵に向かって各々の武器を構える。
すると 突如、彼らの体を優しい力が包み込む。突然の状態に驚く一同。プロメティアとハロルド以外は全員この力が誰のものなのか知って居た。
グラン達が逃走している時、グラン達の心を支えてくれた力。
何も出来なかったと言っていた少女の人の精神力を底上げしてくれる優しい力。
この力こそが彼らが今も戦っていることの証明だった。
「そろそろ作戦会議は終わったか?」
余裕そうにグラン達を見据えているパラケルスス。その傍らにはカリオストロの姿を模したニグレドが圧倒的な威圧感を放っていた。