グランブルーファンタジー 〜伝説の蛇〜 作:JOKER1011
スネーク、ディアンサ、スタン、アルメイダの4人は敵を倒しながら進んでいた。
そしてそろそろ休憩しようかと思った時に何者かが現れる。
「動かないで!動くと‥撃ちます。」
その女性は大きな砲身を構えてスネーク達に照準を合わせたまま、ジリジリと近づいてくる。
「待て。俺達は星晶獣に捕まった人を助ける為にここに来た。敵じゃない。」
そう言いながらも引き金に添えられている手を注視し、こちらもすぐ抜けるようにジェシカから死角になっている方のブーツに装着したナイフを握る。
双方の睨み合いが続き、ようやくジェシカが砲身を下ろす。
「貴方方も星晶獣ネフティス退治なんですね。」
「ネフリティス?そいつはネフティスというのか。貴方もということは‥」
「はい、私は弟が連れ去られて行方不明に‥」とジェシカは俯く。
「そうか。なら俺達と一緒に来い。」
ジェシカは驚いたように顔を上げ、スネークに尋ねる。
「いいのですか?私は貴方方に武器を‥」
「俺は構わん。戦場において、そんな事は日常茶飯事だ。」
「はい!ありがとうございます!では!」
「私はジェシカ。星晶獣ネフティスに連れ去られた弟を助ける為、旅をしています。よろしくお願いします。」
こうしてジェシカが仲間に入り、更に歩を進めた。
「私が調べ上げた情報ではネフティスの巣はこの先です。」
そう言い先頭を務め歩いていく。
ディアンサはふと気になることがあり、ジェシカに質問した。
「ジェシカさんってすごいですね。そんな大きな大砲を持って歩くなんて。重いですよね?」
「うーん、使い始めは確かに重かったですが、今となってはもう慣れちゃいました。それに‥」
「それに?」
「大砲って弾を使わなくても戦えるんですよね。」
「弾を?」
「はい、こうして、ここ持って殴れば鈍器になるんですよね。」
「「へ、へぇ‥」」
ディアンサと、それを聞いていたスタンは若干引き気味でジェシカを見る。
「ふむ。確かに射撃と近接を同時に行える点では俺と似通っているな。」
「ジェシカって言ったね。もちろんネフティスがアジトにいるんだろ?どうやって奪還するんだい?」
「いえ、ネフティスは捕まえて巣に持って帰りはしますが執着はしません。なのでほとんど巣にはいないかと。」
「それなら楽勝だな。」
「スタン‥油断はするな。''ほとんど''いないだけで絶対居ないとは限らないだろ?」とスネークはスタンの肩を掴んで言い聞かせる。
「うっ‥分かってるよ。」
「それにしても助かりましたよ。私一人だけでは不安だったんですよ。」
「いやー!分かるぜ!そんな一人で星晶獣倒してこいなんて言われたら俺だって無理だぜ。」
スタンは仲間がいたと喜ぶ。
「いえ‥別に一人では無理というわけではないんですよ。ただ‥その‥」
ジェシカが言いよどんでしまう。
それをスネーク、ディアンサ、アルメイダ、スタンは見る。
「私‥地図を読むのが苦手なんです‥ネフティスがいるこの島に辿り着いたのも艇を間違えて回り道をしてやっと辿り着いたんです。」
「でもそれならもう安心ですね。私達と一緒なら安心ですよ。」
ディアンサは笑顔を見せながらジェシカの横に並ぶ。
「ありがとう。その恩返しというわけではないですが‥魔物の相手は任せてください。まとめてズドン!と撃ち抜きます!」
その瞬間、スタンは悲しそうな顔をした。それをスネークは見逃さなかったが、敢えてその場では何も言わなかった。
そして一時、休憩となり一行は思い思いに休む。
スタンが一人で水筒の水を飲んでいるのをスネークは見つけ、近づこうとしたがそれより先にジェシカが声をかける為に近づいて行った。
「スタンさん。ちょっといいですか?」
「えっ?な、なんだよ‥」
突然話しかけられ動揺したが、スタンは少し横に寄り、ジェシカが座れるスペースを作った。
「スタンさんは星晶獣が怖いですか?」
「あ‥おれはジェシカやスネークみたいに特別な存在じゃねえから‥」
スタンは俯きながら弱々しく答える。
「いえ、私だって特別な人間じゃありません。私が産まれたのもごくごく普通の家でしたし。」
「え!?で、でも星晶獣を撃退したことがあるって!」
「強くなったんです。旅の中で‥星晶獣に負けないくらい。」
「スネークさんもそうですよね?」
ジェシカは後ろからその話を聞いていたスネークにも声をかける。
「気づいていたのか。ああ、そうだ。俺も最初はただの軍人だった。だがボスや家族が俺を強くしてくれた。」
「そうですよね。誰だって最初から強い人なんていません。」
その言葉にハッとしたようにスタンは顔を上げ、ジェシカの顔を見る。
「俺も‥なれるかな‥?今より強く。」
「なれますよ、スタンさんなら。誰も特別じゃありません。みんなおんなじ舞台にいるんです。」
「ううん、舞台なんて最初から一つです。だから逃げないでください。助けたい人がいるんでしょう?」
「俺に‥助けられるかな?アリーザお嬢様を。」
「ふふ‥大丈夫ですよ。スネークさんもそう思いますよね?」
「ああ、お前ならできる。俺たちはお前を信じてる。」
「おおーい!何してんだい?置いてっちゃうぞ?」
向こうからアルメイダが出発を促している。
「行くぞ、スタン。アリーザがお前を待ってるぞ。」
「やってやる!魔物なんか相手じゃねえ!俺は今よりもっともっと強くなるんだ!」
「おお!スタン君。やる気になったし、目も変わったな。なんかあったのかい?」
休憩後のスタンの変わりようにアルメイダは驚き、感心しスネークに聞いてくる。
「うん?ああ、この話は俺とスタンとジェシカの3人だけの秘密だ。悪いな。」
「むっ!ずるいですよー」
自分の行く先を覆い隠す闇をスネークとジェシカの言葉で打ち払ったスタンは堂々と歩き出す。
それは一人の男が迷いを捨て、立ち上がった姿に見えた。
それを応援するかのように日差しがスタンを包んでいるのをスネークは微笑ましく思うのであった。