とある科学の力学支配(オーバーフロー)   作:甘党もどき

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お久しぶりです、甘党もどきです。

約2ヶ月ぶりの投稿になります。
いやもう本当に、遅くなってしまって申し訳ない。
だと言うのにいつも間にかUA数が40000を超え、お気に入りも1000件を超えていました。
本当にありがとうございます。

今回の話、本当はもっと早く投稿出来れば良かったんですけどね、
中々上手く進められず、といった感じです。
それなのにいざ書き終えると何故か文字数がいつも通りに…

では早速、幕間をどうぞ。


幕間-お肉と幼女と超能力者

『アイテム』のメンバーは、いつも通り第三学区の個室サロンに集まっていた。

いつもならそれぞれが好き勝手しながら過ごしているはずなのだが、今日は違った。

何故か全員がソファに向き合う形で座っている。

『何の会議だこれ』と霧嶺は不可解そうな表情を浮かべる。

麦野がわざとらしい咳払いをして、他4人の視線が集まる。

 

「とりあえず、今日の夜霧嶺の奢りで焼肉行くんだけど、どこがいいかしら?」

 

「…………は?」

 

「何よ」

 

「俺の奢りってどういう事だよ」

 

霧嶺が抗議の声を上げれば、何を言ってるんだお前は、と言わんばかりの視線が全員から注がれる。

麦野が呆れた調子でため息を吐く。

 

「この前サボったこと、まさか手土産程度でチャラになると思ってるのかにゃーん?」

 

「ああ、なるほど……」

 

霧嶺にも事情はあるのだが、口答えするだけ無駄だと言われなくても分かった。

眉間を押さえながら霧嶺はため息をつく。

こればかりは自業自得だ、どうしようもない。

 

「分かった分かった。分かりましたよー」

 

「じゃあ改めて店を決めましょう」

 

「折角なら良いモノを食べたいです」

 

「でも食べ放題とかも良いって訳よ」

 

「私はどっちでもいいよ?」

 

霧嶺は話し合いに参加する気はなかった。

いい店を知っている訳でもなければ、他人に奢る店をわざわざ自分から率先して選ぶのも気が乗らない。

不味いのは勘弁だが、それなりの店を選ぶだろうという予想くらいはできる。

しかし気づけば『量にしか目がいかないとは舌も超フレンダですね』『は、はぁーー!?絹旗みたいなお子ちゃまには良いお肉の区別なんてつかないって訳よ!!』という喧嘩が始まっていた。

 

「アホかよ」

 

と当人達には聞こえないくらいの音量で呟いた霧嶺は、冷蔵庫から水ようかんを取り出してきて和菓子タイムをスタートさせる。

ぎゃあぎゃあ騒ぎ立てるフレンダと絹旗の声を遮断しつつ冷たいようかんを頬張る。

 

 

和菓子タイムを満喫していた霧嶺は、ふと話し合いの進捗に目をやると、

 

何故かフレンダと絹旗が取っ組み合いを始めていた。

 

訂正。

アホではなく馬鹿らしい。

霧嶺は既に6個目のようかんへ突入しているので、少なくとも5分は経っている。

にも関わらず、何一つとして話が進んでいない。

というかヒートアップし過ぎた2人には周りの事など見えていないらしい。

現に麦野も頭を抱えているし、ただでさえ感情の起伏が少ない滝壺の顔からも心なしか感情が失われている気がする。

 

「いい加減にしろ」

 

と。

霧嶺は2人の頭へ能力を使用したチョップを叩き込む。

ドスッ、と頭から鈍い音を出しながら2人は撃沈した。

そこまで強くはなかったのか、一瞬で復帰した2人は霧嶺を睨みつける。

 

「超邪魔しないでください!」

 

「そうそう!これは私たちの戦いな訳!」

 

「別にどっちかにしなきゃいけない訳でもねーだろ」

 

「そうそう。どうせ払うのは霧嶺なんだから。むしろ単品で食べまくればいいのよ」

 

霧嶺にとって聞き捨てならない麦野の言葉に、2人は『その手があったか』と顔を合わせる。

もう霧嶺は諦めた。

そしてふと今の光景を前に、

 

(こうしてりゃあそこら辺の仲良しグループにも見えなくもないな)

 

どう取り繕った所で、暗部の人間である事には変わりない。

人は殺すし、手など真っ赤に染まっているだろう。

それでも、今この瞬間だけはそんな殺伐とした雰囲気などどこにも見えない。

彼女達が暗部に身を置いた経緯は知らないが、これだけ見ればどこにでもいる学生と見間違えるかもしれない。

 

そこまで考えた所で頭を振る。

当てられたかな、と先日出会ったツンツン頭の無能力者(レベル0)を思い出す。

もしも自分が彼のような人間だったなら?

一方通行(アクセラレータ)があんな風にならずに済んだ?

妹達(シスターズ)を犠牲にすることは無かった?

こんな事を考える時点で、思っていた以上に追い込まれているのは明白だった。

 

「きりみね?」

 

横にいた滝壺からの声で、体が一気に冷えた気がした。

血の気が引き、思考が一気にクリアになる。

 

「大丈夫?」

 

滝壺はいつもと違う霧嶺を心配して声を掛けただけなのだが、霧嶺は目を見開いていた。

これを鳩が豆鉄砲を食らった、と言うのだろう。

 

「あぁ、大丈夫。で、話は進んだのか?」

 

すぐに滝壺から目をそらす。

何故かは分からない。

彼女に顔を見られたくなかったのかもしれない。

またはその逆も。

全てを見透かされてしまいそうな気がした。

 

「?もう決まったよ」

 

『何言ってるの?』と言外に語る表情に、霧嶺はため息をつくしかなかった。

 

 

 

いろいろあったが、今夜はお高い焼肉である。

結局行くことになった焼肉屋は、意外にも滝壺提案の店だった。

統括理事会の人間も御用達の店で、質の良い肉を置いていながら食べ放題メニューも完備しているらしい。

所謂VIP向けなので当然高額でもある。

 

「へぇ……結構いい店じゃない」

 

感心するように麦野は呟く。

店の佇まいこら高級感が溢れている。

とても気軽に行くような店ではないだろう。

 

「確かに、奢らせるにはこの上ない店だな」

 

ため息混じりに霧嶺は返しを入れる。

滝壺も意外といい性格をしているのかもしれない。

いろいろと思う所はあるがとりあえずガラス張りのドアを開ける。

レジには真面目そうな大学生店員が霧嶺達に反応して『いらっしゃいませ』『何名様でしょうか』とマニュアル通りの対応を完璧にこなす。

VIP御用達でも完全予約制ではないらしい。

 

「門前払いされる方が気が楽だな」

 

「何言ってんのよ。とっとと行くわよ」

 

「はいはい」

 

結局何も問題なく席に案内された。

普通なら喜ぶべきなのだろうが、霧嶺はやっぱり気が乗らないでいた。

原因は『今日は超ツイてる日ですね』『結局お肉は人のお金で食べてこそって訳よ』と、後ろで騒いでいる2人にあるに決まってる。

 

(もう1発殴ってやろうか)

 

と、こめかみをこっそりとピクピクさせながら席に座る。

テーブルはよくある網がはめ込まれているタイプで、真上に排気用のダクトがある。

こういう部分は外部と大差ない。

 

「さてと最初は何を食べようかしら」

 

「カルビ!」

 

「いやいや超ハラミで」

 

「私は何でもいいよ?」

 

相変わらず団結力があるのかないのか分からないが、各自が好き勝手にタブレット端末で肉を注文する。

『勝手にしろ』と言っていた霧嶺も、せっかくなので色々と頼むことにした。

 

 

食事を初めて10分。大体皿が3回回収された頃。

特上カルビを頬張っていた絹旗が、そういえば、とテーブルに身を乗り出す

 

「根本的な疑問なんですが、そもそも霧嶺はなんで仕事を超サボったんですか?」

 

「そんなに気になることかよ」

 

「超気になります。だって霧嶺、何だかんだで仕事はちゃんとやってるじゃないですか」

 

「……野暮用だよ」

 

と、適当に霧嶺が答えると絹旗はあからさまに『超納得いきません』と言いたげな顔をする。

 

「何だよ」

 

「ちゃんと答えてくださいよ」

 

「ふっ……やっぱり絹旗はお子様な訳よ」

 

絹旗の隣に座ってサラダを食べていたフレンダがやれやれといった調子で呟いた。

 

「超どういうことですか」

 

「何の連絡もなしにサボり……これはもう、女しかないって訳よ!!」

 

フレンダがドヤ顔を晒した辺りで、両隣に座っている絹旗と麦野が同時にため息をつく。

 

「フレンダ……あんたはそっち方面にしか回路が繋がってないのかしら」

 

「そうですよフレンダ。大体霧嶺に女なんて超出来るわけないです。どうせ年齢=彼女いない歴の童貞ですよ」

 

絹旗が食事の席に相応しくなさそうな単語を吐いたところで、霧嶺が口を出す。

 

「失礼なクソガキだな。居たことくらいはある」

 

「「「え゙」」」

 

淡々と事実を述べただけの霧嶺に、前3人が硬直する。

 

「……何だよ」

 

「いや……いやいやいや超嘘ですって」

 

「そ、そそそうそう。だってほら、霧嶺はヘタレで一生童貞だって……」

 

「お前のその情報はどこから来てんだ。変な電波受信してんじゃねぇ」

 

「ふーん。でも居たのは驚きね」

 

「そうか?」

 

別に霧嶺は世のモテない男子に喧嘩を売っている訳では無い。

断じて。

 

「ええ。あんたはそういうの興味ないと思ってた」

 

「ゼロじゃねぇだけだ。まあ他の奴よりも薄いのは認める」

 

と、隣から何故か悪寒を感じた。

振り返ると、

 

滝壺が霧嶺を見つめていた。

ホラーかよ、と心の中で呟いていると、

 

「今は」

 

「は?」

 

滝壺が突然呟く。

 

「いるの?」

 

意外な事に滝壺もそういう類の話には興味があるらしい。

やはり女子は恋バナが好きなのだろう。

 

「いねぇけど」

 

「そうなんだ」

 

そう返答して、滝壺はちまちまと肉を食べ始めた。

それで、と目の前の麦野は一呼吸置いて、

 

「上手くはぐらかしたつもりかしら?」

 

覚えてたか、と霧嶺は肩をすくめる。

 

「別に、軽く第一位と喧嘩しただけだ。てかこの前も話しただろ」

 

「無謀、というかただの馬鹿ね。死にたかったの?」

 

「ンな訳あるかよ。単なる意見の衝突だよ」

 

「そう。ま、精々死なないようにはしておきなさいよ」

 

はいはいと、霧嶺は適当に返事をしながら丁寧に焼いた肉を食べようとして、

 

何故か完璧な状態に焼かれていたはずの肉が何処にもなかった。

というか先程まで機能停止していたはずの目の前2人と隣の1人が食べていた。

 

「おい」

 

「超なんですか」

 

「どうした訳?」

 

霧嶺は大きく息を吐いて隣の滝壺を見る。

 

「お前は何故?」

 

「そこにお肉があったから」

 

「あぁ、そう……」

 

意味が分からん、と諦めて新しく肉を焼き始める。

『超隙あり!』とか『頂きって訳よ!』と狙われた肉は、これまた丁寧に炭に変えて差し上げた。

『こういうのも悪くないな』と思いつつ、

通称『霧嶺のお金で焼肉を食べに行こうの会』は霧嶺が10万近くの金額を平気な顔をしながらカードで支払って終了した。

 

 

 

9月10日、口座から10万円が飛んでから大体2週間が経った頃。

今日はちゃんとした休みなので、霧嶺が家で和菓子を堪能していたが突然の着信音によってそれも呆気なく終わりを告げた。

画面を見れば『カエル医者』の文字が。

 

「なんだ」

 

『大方僕の番号を登録しているみたいだけど、普通ならもう一言くらい挟むものじゃないかな?』

 

「知るか。お前は雑談の為に電話かけて来るような人間じゃねぇだろ。まあ要がないなら切るが」

 

『まあまあ、これは君にとっても需要な話だと思うんだね?』

 

興味を持った霧嶺はカエル顔の医者の言葉に耳を傾ける。

簡潔に言うとね、とカエル顔の医者は一言置いてから、

 

一方通行(アクセラレータ)が大怪我をしたんだね』

 

「…………は?」

 

思わず気の抜けた声が出る。

普通に考えてみれば、あの一方通行(アクセラレータ)が怪我をするというのはありえない。

幻想殺し(イマジンブレイカー)の存在によってその考えも100%では無くなったが、それでも大怪我という程の怪我を負うことはまずない。

態々カエル顔の医者が電話してくるということはかなり酷いのだろう、上条にまた殴られたという訳でもないらしい。

 

「どういうことだ」

 

『そのまんまの意味なんだね。詳しいことは資料も交えて話をするとしよう』

 

要するに『今から病院に来い』ということらしい。

医者は霧嶺と一方通行(アクセラレータ)の間にあった出来事を多少なりとも察しているはずだが。

 

「まさか俺と一方通行(アクセラレータ)を会わせる気じゃねぇだろうな」

 

『もちろん、そのつもりなんだね?』

 

「ふざけてンのか。今更そんなこと────」

 

『それでも、来てもらうよ。僕は患者の為なら何でもするし、必要なものは何でも用意するのがポリシーなんだね?そして今の一方通行(アクセラレータ)には君も必要だと思っただけなんだね?』

 

霧嶺は言葉を失った。

この医者はこういう奴だったな、と大きく息を吐く。

軽く舌打ちしてから、

 

「分かった。今から行くから待ってろ」

 

『ありがとう。到着したらまず診察室の方に来てくれ』

 

じゃあまた後で、という言葉を聞いてから電話を切る。

軽く息を吐いてから、霧嶺は家を出た。

 

 

気づけば10分程かかるはずの道を6分程で歩き、霧嶺は予定よりも早く病院に着いてしまった。

思わず大きく息を吐き捨てながら入口に向かう。

 

「意外と早かったですね、とミサカは待たされたお詫びを貰えなさそうな事を残念に思いつつ挨拶します」

 

入口には妹達(シスターズ)が1人立っていた。

霧嶺に関わって来るということは、大方19999号(霧嶺曰くミサカ)だろう。

 

「何でオマエが居るんだよ」

 

「貴方が来ると聞いたのでその付き添いに、とミサカは簡潔に答えます。というかミサカの本音は無視なのですね、とミサカは間接的に何か奢れとアピールします」

 

「そうかよ。奢るのは後だ、先にカエルの所に行くぞ」

 

「分かりました、とミサカは我慢出来る子アピールをします」

 

「いいから行くぞ」

 

病院内に入ってから受付をスルーして、ミサカを連れたままカエル顔の医者がいつも居る診察室へ足を運ぶ。

診察室のドア前に立ってから、念の為の合図としてノックを4回行い、『どうぞ』と聞こえてから中に入る。

 

「やあ、よく来てくれたね?」

 

「まあ、お前の性格はよく分かってる。あれで引かねぇなら諦めるしかないだろ」

 

「それは良かったんだね。それじゃあ早速話を始めようか」

 

そう言いながら医者はレントゲン写真やらカルテやらを取り出す。

簡単に出せる場所に置いてある辺り霧嶺が来る時間も分かっていたのだろう。

 

「とりあえずこれを見てくれ」

 

見せられたのは脳のレントゲン写真。

霧嶺は医学に長けている訳ではないので詳しいことは分からないが、ある一部分だけは理解出来た。

 

「見れば分かると思うけれど、前頭葉に弾丸の破片が突き刺さって傷になってしまっているんだね。これによって彼は言語能力と計算能力、この2つには影響が出るんだね?」

 

「それは……」

 

それはつまり、超能力自体に支障が出るということ。

一方通行(アクセラレータ)の様に高度な計算が必要な能力ならば尚更だろう。

 

「でも僕は患者の為なら何だって用意する質だからね。ミサカネットワークを利用して代理演算を行う為に、ネットワークと一方通行(アクセラレータ)の脳波の波長を合わせる変換器を作って何とかその2つを回復させたんだね?」

 

本当に目の前の医者は何者なのか疑いたくなってしまう。

とてもではないが医学の範疇を超えているだろう。

それでも目の前のカエル顔は飄々とした調子で語る。

 

「詳しい経緯は直接会って聞いた方がいいだろう。ミサカ君、病室まで案内してあげてくれるかな?僕はこれから診察だからね?」

 

「お任せください、とミサカは頼れるお姉さんを演じます」

 

では行きましょう、と今度はミサカに連れられながら診察室を後にした。

 

 

 

第七学区にある病院のとある病室、学園都市第一位の超能力者(レベル5)一方通行(アクセラレータ)は隣から聞こえる甲高い声に嫌気がさしていた。

 

「ねーねーお腹空いたのー!ってミサカはミサカは空腹を耐えながら抗議してみたり!!」

 

「うるせェ……勝手に食ってきやがれ」

 

一方通行(アクセラレータ)のよく知る妹達(シスターズ)と同じ顔ながら、彼女らと違い10歳前後の体、そして感情的な少女。

検体番号(シリアルナンバー)20001号、通称打ち止め(ラストオーダー)

彼女の見た目年齢相応の騒ぎ様に一方通行(アクセラレータ)は耳を痛めていた。

 

「だってミサカはお金持ってないから何も買えないじゃん!ってミサカはミサカは当然の事を言ってみたり!せめて飲み物でも買いに行こうよー、ってミサカはミサカはジタバタさせて猛抗議してみたり!」

 

「うるせェって言ってンだろォがァァァ!!ちったァ大人しくしてられねェのかクソガキ!」

 

「だったらミサカの要求を飲むのだー!ってミサカはミサカはあなたのお腹にどーん!」

 

と、勢いよくダイブしてきた小さな体は確かな威力を持って一方通行(アクセラレータ)の腹、さらに言えば鳩尾をゴスッ、という音とともに的確に沈みこんだ。

 

「ッ!?!?このクソガキィ!いい加減にしやがれ!!」

 

一方通行(アクセラレータ)は腹の痛みになんとか耐えながら打ち止め(ラストオーダー)を掴みあげる。

そのまま彼女の頬を抓りながら、

 

「いいかクソガキ、俺は怪我人だって言ってンだろォが。あの医者に言われた通り黙って大人しくしてろ」

 

「い、痛い痛い!ってミサカはミサカは痛みからの解放を懇願してみたり!」

 

「チィッ、分かったらいい加減に────」

 

瞬間、病室のドアがゆっくりと開かれた。

そこには診察室から真っ直ぐ向かってきた霧嶺とミサカ19999号。

2人は中の様子を確認して、

 

「………」

 

「ぶふぉっ、とミサカはネットワークでも見た光景に敢えて態とらしく吹き出します」

 

霧嶺は無言、ミサカは思い切り吹き出していた。

というか後者は確信犯だった。

 

「オマエ……」

 

意図せず打ち止め(ラストオーダー)を解放した一方通行(アクセラレータ)は、霧嶺を見て硬直していた。

何故ここにいるのか、その思いだけが頭の中を巡る。

それに対し霧嶺は重い口を開き、

 

「……まあその、あのカエル野郎に言われたからな……」

 

「そォかよ……」

 

この空気を良くも悪くも取り払ったのは痛む頬を真っ赤に染めた打ち止め(ラストオーダー)だった。

 

「あ!あなたはもう1人のヒーローさん!ってミサカはミサカは驚きの視線を向けてみたり」

 

「何だこのガキ?」

 

「ミサカの検体番号(シリアルナンバー)は20001で、コードは『打ち止め(ラストオーダー)』なの、ってミサカはミサカは簡潔に自己紹介をしてみたり」

 

目の前の幼女がクローンだということはよく分かったが、彼女がここにいる事が霧嶺にとっては疑問だった。

その中である一つの可能性に気づく。

 

「大怪我したって聞いたが……そういう事か」

 

「ンだよ、文句でもあンのか」

 

「ねーよ、驚いただけだ。まさかオマエが妹達(シスターズ)を助けるとはな」

 

「コイツらにだって命があンだろ。俺はもう傷つけねェって決めたからな」

 

もしかしたら、あの時も本当は止めて欲しかったのかもしれない。

だからこそ、霧嶺は思う。

 

変わってないな、と。

ぶっきらぼうで口も目付きも悪い癖に、その裏に妙な優しさを備えていた少年のままだ、と。

 

「そうか。……なあ一方通行(アクセラレータ)、俺は」

 

「分かってる。今更どォにも出来ねェだろ」

 

『分かってる』と霧嶺は反射的に答える。

 

「戻れないってのはよく理解してる。戻る気もねぇ。だからここが再スタート(・・・・・)だ」

 

そう言って霧嶺は右手を上げる。

別に挨拶のつもりではない。

 

「ハッ、そォかよ。……悪くはねェな」

 

つられるように一方通行(アクセラレータ)も右手を上げ、

パチッ、と軽く。まるで将棋の駒を置くような軽さで、互いの掌を合わせた。

昔のように、

いつも通りに。

その柔らかい2人の表情は、傍に居た2人の少女しか知らない。




罰ゲームと一方通行&打ち止め回でした。

今回はどちらかというと後半がメインのつもりで書きました。
次回からは大覇星祭編に入るつもりです。
前回の後書きとか活動報告の方で大覇星祭編か残骸編で迷っていましたが、とりあえずは大覇星祭の方にします。
所々超電磁砲や一方通行の要素も盛り込めればなと思っています。

それと、先日エンドゲームを見てきた時の感想を活動報告の方に書きました。
ネタバレと、感動の余り語彙力を失っているので注意しつつ、興味のある人は是非り

感想、評価の方も良ければ是非お願いします。
他の活動報告ももし良ければ。

ではまた。
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