とある科学の力学支配(オーバーフロー)   作:甘党もどき

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どうも、大学のレポートがあるのについつい小説に走っちゃう甘党もどきです。

UA数とお気に入り数が少しずつ増えてきて、結構モチベーションが上がったりしてます。
嬉しい限りです。

第2話が昨日の夜で、今回は結構早い投稿になりました。意外と書けてしまうものですね。

さて、正直前書きで書くことを思いつかないので、後書きの方に労力を回してそろそろ本編に。

それでは第3話、どうぞ。


組織

 

気温30度。

7月初めにも関わらず、かなりの猛暑日となった今日。

そんな暑い日も霧嶺冬璃は相変わらず街を歩いている。

そんな彼は汗ひとつかいていない、理由は簡単。周りの人が暑さに打ちひしがれる中、彼は1人超能力者(レベル5)としての能力を存分に使って暑さを完璧に凌いでいた。

 

「あー…暑い」

 

嘘だ。能力で都合よく熱だけを消しているので夏の生暖かい風も、彼にとってはむしろ心地が良い。1人だけ春を体感しているようなものなのだから。

なぜ彼がわざわざ能力を使ってまでこの暑さの中を歩いているのか、原因は昨日の夜、いつもの電話の女から告げられた言葉にあった。

 

 

 

『そうそう、あなた明日から暗部組織の方に所属してもらうから。あ、でも別に個人で仕事が回ってこない訳じゃないから安心して』

 

『は?』

 

 

 

いきなり電話が掛かり、何かと思えば仕事ではなく突然の組織入り。

その後所属する組織についてのデータを受け取り構成員を調べてみた。

組織の名は『アイテム』。構成員の名前は、フレンダ=セイヴェルン、絹旗最愛、滝壺理后。

そしてその3人を纏めるリーダー、麦野沈利。

そう、つい3ヶ月前に研究所の地下で戦った女子4人組のことだった。

 

(アレがアイテムだったとはね……)

 

メンバーの名前しか分からなかったため、彼は独自のルートでそれぞれの能力等について調べあげた。中でも一際目を引いたのが、

 

「滝壺理后、能力は『能力追跡(AIMストーカー)』ね……記憶したAIM拡散力場を何処までも追跡する、か。だからあの時……」

 

3ヶ月前の戦闘中に、完璧と言えるほど身を隠していた霧嶺に対し麦野が正確に射撃してきた光景を思い出す。

あれは恐らく、というより間違いなく滝壺理后が麦野沈利の照準をサポートしていたからだろう。麦野沈利の能力、『原子崩し(メルトダウナー)』、脅威的な威力の代わりに照準を合わせるのに時間が掛かるというデメリットがある。

現に麦野は、光線3本を囮にして霧嶺を誘導し、わざわざ移動先に置くように残りの光線を放ってきた。わざとかもしれないが、そうせざるを得ないという方が可能性がある。

加えて麦野には相手を感知する能力はない。だからこそそのサポートとして滝壺がいるのだろう、実に連携の取れた布陣だ。

 

「威力だけ見りゃ麦野が圧倒的だが、脅威として考えると滝壺か。AIM拡散力場を追う時点で逃げ場はねぇし、本当に追う『だけ』なのかも気になるしな」

 

長考している間に目的地である第七学区のファミレスが見えてきた。

昼時より少し前、比較的空いている時間帯のこの店に先程の4人の少女は集まっているらしい。

 

仕方がない、と霧嶺は腹を括る。

超能力者だろうが上からのお達しには拒否権などない、今更どうこう言える訳が無いのだ。

意を決して、店に入る。

 

 

 

暗部組織『アイテム』、4人の少女達で構成されるその組織は現在第七学区のファミレスでたむろしていた。

 

「そういえば今日、アイテム(ウチ)に新入りが超来るんですよね」

 

フード付きの半袖パーカーの少女、絹旗最愛はC級映画のパンフレットを読みながら斜め前でシャケ弁を食べている麦野沈利に聞く。

 

「そうそう、昨日いきなり言われてさー」

 

「一体超どんな人なんでしょうか」

 

「聞いたところによると、男らしいわよ」

 

「男ですか…これは身の危険を超感じますね」

 

「結局、絹旗のお子様ボディじゃ誰も欲情しないって訳────」

 

絹旗の目の前に座りサバ缶をフォークでつついていた少女、フレンダが絹旗をバカにしようとした瞬間、目の前の絹旗がフレンダの頭をアイアンクローしていた。

 

「超何か言いましたか?フレンダ」

 

「何も…っていたたたたたたたた、わ、割れ、割れるからぁっ」

 

ミシミシ、と凡そ人の頭からは鳴ってはいけないような音を響かせながらフレンダは、絹旗の腕を叩いてギブアップする。

 

「全く、そんなだからフレンダはいつまでも超フレンダなんですよ」

 

「ちょ、それどういう意味……」

 

「大丈夫だよ、ふれんだ。私はそんな超ふれんだなふれんだを応援してる」

 

「だからどういう意味!?」

 

他の3人がファミレスで好き勝手やっているなか、何もせずただ手足を投げ出していた少女、滝壺理后がフレンダを慰め(?)る。

 

「……北北西から信号がきてる……」

 

フレンダに慰めになるかどうかも分からない言葉を掛けると、いつも通りの脱力系に戻る滝壺。

よよよ、と涙目になりながらサバ缶を再びつつくフレンダ。

そんな2人を他所に、麦野は続ける。

 

「もうすぐ時間だと思うわ」

 

時間とは、恐らく新入り到着の事だろう。

そして、彼女達の視界に人影が映り、

 

「よぉ、久しぶりだな」

 

3ヶ月前に聞いた声と同じものが聞こえた。

 

 

 

ファミレスに入り、店員に待ち合わせの旨を伝えると、霧嶺は焦ることなく店内を見回しかつて見た顔を探す。

 

「お、いたいた」

 

どうやら窓側のソファ席らしい。かつて見た4人組を見つける。迷うことなく霧嶺は席に近づき、

 

「よぉ、久しぶりだな」

 

声を聞き、霧嶺を見た少女達は愕然とした表情を見せる。

 

「お前……!」

 

奥側の席に座っていた少女、麦野が感情を露わにして霧嶺を睨む。

対する霧嶺は、

 

「そう邪険にすんなよ、これから一緒に仕事していく仲だろーが」

 

「……へぇ、なるほどね。ならそういう事にしといてあげるわ」

 

「そりゃどーも。さて、自己紹介はいるか?」

 

「簡単なものならね、わざわざ能力やら何やらを事細かに言い合う必要は無いでしょ霧嶺冬璃(オーバーフロー)?」

 

その一言で彼女達が自分の事を多少なりとも調べあげた事を理解した霧嶺も同じように返答する。

 

「そうだな麦野沈利(メルトダウナー)。じゃ名前だけ、霧嶺冬璃だ」

 

続いて絹旗とフレンダが名前を言う。麦野は恐らく今の会話で要らないと判断したのだろう。そして最後、

 

「滝壺理后、よろしくね」

 

滝壺理后、あの能力追跡(AIMストーカー)だ。手足を投げ出して、無気力な目で霧嶺を見つめながら淡々と自己紹介をする。

この少女が脅威的な能力持っているとは、などと珍しくそんな事を思う霧嶺も、ついつい滝壺を見つめ返してしまった。

 

「おや、霧嶺的には滝壺さんが超タイプでしたか?まさかの超一目惚れ?」

 

「会って早々狙うなんて、結局霧嶺も中身はケダモノって訳よ」

 

会って早々いきなり呼び捨てな事には何も思わない霧嶺だが、言われた内容については別である。

いきなり一目惚れとケダモノ判定されるなどあってたまるか。

 

「な訳ねぇだろ。能力についても調べてあるから気になっただけだ」

 

「またまたー、それがその内恋に超発展しちゃうんですってば」

 

「このクソガキ……」

 

巫山戯た事を抜かす絹旗を前にギリギリと拳を握る霧嶺。しかし、ここで手を出したら何故か負けた気がしそうなので我慢する。霧嶺冬璃はしっかり我慢の出来るジェントルマンなのだ。

 

「結局ー、超能力者(レベル5)は性欲も超能力者(レベル5)級って訳よ」

 

何故かフレンダ(コイツ)は殴ってもいい様な気がする。そんな直感を頼りにフレンダの頭頂部に拳骨を食らわす。

 

「んぎゃっ!?」

 

「やっぱりフレンダはどうあっても超フレンダなんですね…超ご愁傷様です」

 

「大丈夫だよ、ふれんだ。私はそんな可哀想なふれんだを応援してる」

 

涙目の金髪少女を2人の少女が慰めている、何ともシュールな光景の出来上がりである。

そんな惨状を作り出した張本人、霧嶺はとりあえず座ろうと思いスペースの空いていた絹旗の隣に腰掛ける。

 

「ハッ!?まさか、本当の狙いは超私!?」

 

「それこそ1番ねーな、第二次性徴期超えてから出直せ小学生」

 

「超殺す!」

 

煽りに煽りで返したら勝手にキレた絹旗を能力で無視する。

丁度昼時に差し掛かったので店員を呼び、カルボナーラを頼んでおいた。

絹旗はまだキレている、年齢はまだ許せるが体型は許せない、大きいだけが全てではないというのは彼女の持論。

 

 

 

頼んだカルボナーラが運ばれ、フォークに巻きながら食べているとファミレスにも関わらずコンビニのシャケ弁を食べていた麦野が口を開く。

 

「私ら『アイテム』の存在意義は上層部や極秘集団の暴走を防ぐこと、よく覚えておきなさい」

 

「りょーかい」

 

「そうそう、早速今日も仕事あるから」

 

「そいつはご苦労な事で」

 

「アンタも来るのよ」

 

「分かってるっつの」

 

「今日は武装して廃ビルに立て込んで学園都市に反逆しようと企ててる武装無能力集団(スキルアウト)の排除。私らの管轄から少しズレるけど、簡単なゴミ処理ね」

 

スキルアウトを当然の様にゴミ扱いする麦野に見えないよう、少しばかり怪訝な表情をする霧嶺。

麦野は続ける。

 

「今回のメインは拠点の壊滅。武器やらその他の設備やらを破壊すればオッケーね。まああまりに抵抗してくるなら殺しちゃってもいいみたいだけど」

 

「なるほど、拠点は1つか?」

 

「2つよ、だから私達も二手に別れて動く。フレンダは私と。霧嶺、アンタは残りの2人と行きなさい」

 

「いいのかよ」

 

不満がある訳では無い。これはただの確認なのだから。

 

無能力者(レベル0)相手だと滝壺は能力を使えないし、戦力的には五分よ。フレンダじゃアンタの監視なんて出来なさそうだしね」

 

「酷くない!?」

 

珍しく上がるフレンダの抗議の声。しかし、麦野には届かない。

 

「監視って、ンな堂々と言っていいのかよ」

 

「別に、監視って言ってもあんたがどんな奴なのか見るだけだし。頼んだわ絹旗」

 

「超任せてください。滝壺さんが襲われないように超見張ります」

 

「まじでスクラップにしてやろうかこのクソガキ……」

 

初対面という訳では無いが、初めてまともに話した相手に対する発言ではないだろう。

この短時間でそれにも慣れた霧嶺はすぐに握り拳を解いて、カルボナーラの最後のひと口を頬張る。

 

「簡単に言えば、施設破壊を最優先に邪魔をするなら排除って事でいいんだな?」

 

「その認識で間違ってないわ。ま、何なら廃ビルごと潰しても問題無いしね」

 

「了解。今から行くのか?」

 

「ええ、善は急げって言うでしょ?」

 

流石に善とは呼べない気がする。しかし早めに終わらせる方が楽なのは確か、席を立ち店を後にする麦野達に続いて霧嶺も店を出る、はずだった。

テーブルに残された伝票を見るまでは。

 

恐らく、新入りのお前が払えということなのだろう。霧嶺のカルボナーラだけでなく彼女達のドリンクバーもあるのだが。

全く、と霧嶺はため息を吐く。

金額に対してではない、そもそも超能力者である彼は学園都市からかなりの額の奨学金を貰っているし仕事で稼いだ分もある。だがそうではない。

霧嶺は握りつぶす様に伝票を持ち、素直にレジに持っていった。

 

 

 

ファミレスを後にし、麦野とフレンダと別れ武装無能力集団の拠点の1つである廃ビルの近くに来た霧嶺。

隣には半袖パーカーの小柄な少女、絹旗最愛。

移動中も何度か揶揄ってきたが、もう慣れてしまった霧嶺はずっと軽くあしらっていた。

 

「どうやら麦野達も目的地に超到着したようです。時間になったらタイミングで超乗り込むよう指示がありました」

 

「そーかい、なら素直に時間を待つとするかね」

 

「そのようですね」

 

そんな霧嶺でもまだ慣れていないものがある。それは、

 

(さっきからずっと見られてんなァ……)

 

霧嶺の後ろでファミレスを出た時からずっと彼を見つめている滝壺理后。

今回は無能力者(レベル0)が相手のため戦力には数えられていないものの、大能力者(レベル4)能力追跡(AIMストーカー)のいう強力な能力を持っている。

そんな滝壺が何故霧嶺をずっと見ているのかは、彼女しか知らない。

本当に自分を見ているのか気になった霧嶺は、試しに左右に動いて見たが彼女が霧嶺から視線を逸らすことは無かった。

 

(やりづれぇ……)

 

自分に挑んでくる能力者(バカ共)に囲まれたりする事はあっても、他人にこうも凝視される経験はほとんどない為、少しばかり居心地の悪さを感じる。

 

「時間ですね、超乗り込むとしましょう」

 

「あ、あぁ……」

 

滝壺の視線に戸惑いながら絹旗に続いて廃ビルに入っていく。

 

 

 

廃ビル突入の数分前。

霧嶺達と同じく、ビルの近くで待機していた麦野とフレンダ。

 

「結局、麦野はアレで良かった訳?」

 

「どういう事よ」

 

「霧嶺のこと、1回は殺し合ってる訳でしょ?」

 

「さぁ?別にいいんじゃない?私らが何と言おうと上は考えを変える気はないんでしょう」

 

「それはそうだけど…」

 

「別に私はあの時の事をそこまで気にしてないし、いい戦力が手に入ったと思えば得した気分じゃない」

 

「麦野がいいならいいけど」

 

「ほーら、置いてくぞフレンダ」

 

どこか不安そうな表情を見せるフレンダ、しかし麦野は時間が来たためそれを無視してビルに入ろうとする。

 

「あっ、待ってよ麦野ー」

 

これから仕事なのだから、余計な事を考えてはいけない。

フレンダも小走りで着いていく。

 

 

 

結局武装無能力集団(スキルアウト)の拠点潰しは10分足らずで終わった。

武装していれば確かにその辺の能力者相手でも戦えるだろう。しかし大能力者(レベル4)超能力者(レベル5)が相手となれば、能力者対策を万全にしていない限りは話が変わってくる。

 

「…シケてたな…」

 

「まあ、超同感ですね」

 

「『アイテム』ってのはいっつもこんなつまんねぇ仕事してんのか?」

 

「いえ、他にもいろいろと超やってますよ。今日が特別超退屈だっただけです」

 

「なーるほどね、それなら安心した」

 

「というかやっぱり超すごい能力ですね、『力学支配(オーバーフロー)』」

 

「あ?なんだいきなり、俺については調べたんじゃねぇのかよ」

 

「載っていたのは超概要だけでした、詳細については超分からないようになっていましたし」

 

「そうだろうな、俺についての研究資料は最低限しか載せられてないみたいだし」

 

「以前の戦闘時も姿を消したり空中に立ったりで驚きましたが、まさかビームも出せるとは超思いませんでした。エネルギーだけでそこまで超可能になるんですか?」

 

「まあな、一口にエネルギーつっても色々種類があるからな。光エネルギーを操作すれば勝手に光子も操作出来るようになる、そこに熱エネルギーも収束すればレーザーの完成って訳だ」

 

「なるほど、超便利そうですね」

 

「否定はしねぇな」

 

霧嶺は背後にいる滝壺に目をやる。実は配備に入ってからも終始霧嶺の事をずっと見つめていたため、物凄くやりづらさを感じていた。

一応霧嶺は隣の絹旗に聞いてみる。

 

「(俺ずっと見られてんだけど、何あれ)」

 

「(超知りませんよ、実は昔会ってるとかじゃないんですか)」

 

「(な訳あるか、叩き潰すぞ発展途上)」

 

「(また言いましたね!今度こそ超殺す!)」

 

結局聞いたところでまともな答えが帰って来なかったので、絹旗の頭を押さえながら滝壺(本人)に直接聞いてみる。

 

「お前さっきからずっと見てるみたいだが、俺になんか用かよ」

 

「ううん、少し気になっただけ」

 

「何がだよ」

 

「大丈夫」

 

だから何がだよ、と霧嶺は呆れた。

恐らく彼女自身何となく見ていただけかもしれない、と勝手に結論づけて息を吐く。

 

「で、これからどうすんだよ」

 

絹旗の頭からは手を離して聞く。

 

「とりあえず麦野からはアジトで集合しろと超言われています。なので超案内してあげます」

 

「アジトねぇ……」

 

「今日案内するのは1つだけです。そこで他のアジトについても超説明されるはずですから、残りは自分で行くか私達が使う時に一緒に来ることを超オススメします」

 

「はいはい、りょーかい。んじゃ早速案内してくれ」

 

「超了解です」

 

絹旗の返事を皮切りに、彼女の後を追う霧嶺、そしてその後ろで霧嶺を見つめながら着いてくる滝壺。

未だ慣れない視線は浴び続けている。

 

(悪くねぇ…)

 

話を聞かされた時こそ嫌気がさしていたが、一緒に行動してみると意外と退屈はしなかった。

 

(いいねぇ、面白くなりそうだ)

 




第3話、いかがでしたか?

霧嶺、アイテムに所属&軽く初仕事回でした。

アイテム各メンバーの口調、こんな感じで大丈夫でしたかね。麦野とフレンダが結構心配なんですよね。禁書原作と超電磁砲を時折読みながら確認してました。

この章はあまり長引かせるつもりは無いので、次回は主人公霧嶺の簡単なプロフィール。それと一緒かその次の話でアイテムでの日常的な話にして序章完結にしようかと。
まだ構想の段階ですが笑

というわけで、第3話も読んで頂きありがとうございました。
感想、お気に入り、評価をして頂ければ幸いです。


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