とある科学の力学支配(オーバーフロー)   作:甘党もどき

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どうも、大学が一限からあると電車の中で憂鬱になってる甘党もどきです。

今回は幕間として『アイテム』メンバーとの日常パートです。
ヒロインはフレンダ(誤解)。

主人公の簡単なプロフィールは最後の部分に入れています。

では序章ラスト、どうぞ。


幕間-裏側の日常

 

霧嶺冬璃が暗部組織『アイテム』に所属して早3ヶ月、霧嶺自身大分『アイテム』での生活に慣れてきた。

それは他の『アイテム』メンバーも同じようで、

 

「霧嶺ー、シャケ弁買ってきてー」

 

「私はサバ缶って訳よ」

 

「映画のパンフレットを超お願いします」

 

「……ぐーすかぴー……」

 

これである。目を開けて寝ている滝壺以外のメンバーは霧嶺がまだまだ新入りなのをいい事に度々パシリとして扱われている。

とはいえ霧嶺も丁度和菓子を買いに行こうとしていたため、ついでならば断ることもしない。決して彼がパシリであることを受け入れている訳ではない、決して。

 

「はいはい……」

 

彼女達の態度に呆れて息を吐きながら、アジトを出る。

十数分後には既に霧嶺はレジ袋を2つと紙袋を1つ持ち、脇に映画のパンフレットを挟んで帰ってきた。遅くなると特に麦野が不機嫌になる為、霧嶺はわざわざ能力を巧みに使用して買い物を済ませる。

しかし1度高速移動だけで買い物を行い、ぐちゃぐちゃになったシャケ弁を出したら麦野が大分キレたので早急かつ丁重に。

 

「今日もシャケ弁は崩れてないわね、許す」

 

「おぉ、ちゃんと最新の物を持ってくるとは、超許します」

 

とりあえず2人からは許しを得た。あと一人は、

 

「これサバ缶じゃなくてツナ缶なんだけど!」

 

不満だだ漏らしである。それも当然、霧嶺はわざとツナ缶を買ってきたのだから。

 

「あぁ、魚ならなんでもいいかと思ったわ」

 

「いい訳無いんだけど!?」

 

「後はフレンダだったから、かな?」

 

「私の扱い酷くない!?」

 

何故だかフレンダに顎で使われるのは気に食わない霧嶺だった。

 

「……ぐーすかぴー……」

 

これだけ騒いでも起きない滝壺は一体何者なのだろうか。

 

 

 

『今日服を買いに行くから、付き合いなさい』

 

それは突然だった。アジトとしている個室サロンのソファで寝ていた霧嶺を見下ろす形で、麦野は告げてきた。

 

現在彼がいるのは第七学区にあるショッピングモール、セブンスミスト。

 

「しっかし意外だな」

 

「何がよ」

 

麦野と並んでセブンスミストの中を歩いている霧嶺、端から見ればまるでカップルのようだが全くもって違う。

お互いの関係性も、感情も恋愛からは程遠い。

 

「いんや、お前はもっと高級な所で買うもんだと」

 

「気分よ気分、大量に買うならこっちね」

 

「そうかよ……」

 

呼ばれた理由は概ね彼の予想通りだった。せっかく男手があるのだから確かに使わない手はないだろう。

理解していても納得はしていないが。

 

「まずはここね」

 

そう言いながら麦野が足を止めたのは、まさかのランジェリーショップ。

まだ霧嶺は焦らない。

 

「そうかよ、んじゃちゃっちゃと選んでこい」

 

超能力者(レベル5)の第八位、ランジェリーショップ如きでは焦らない。

そう思っていた、

 

次の言葉を聞くまでは。

 

「何言ってるの、アンタが選ぶのよ」

 

「………は?」

 

「まさか荷物持ちだけだと思っちゃったかにゃーん?」

 

「いやお前、何言ってんだよまじで」

 

「4月、アンタにコケにされた事をこれでチャラにしてやるって言ってんのよ、むしろ感謝しなさい」

 

「それお前が勝手に根に持ってるだけだろーがよ」

 

「これでアンタの戸惑う顔が見れると思うと清々するわ」

 

「無視かよ」

 

麦野は霧嶺の反抗を完全無視しながら店に入ってしまう。別に麦野を無視して外で待ってもいいのだが、それはそれで麦野がまた五月蝿くなるだろう。仕方が無いので霧嶺は腹を括って店に入る、そして後悔する、

 

(棚が微妙に低い…)

 

自分の背を。

霧嶺の身長よりも低い陳列棚、丁度霧嶺の顔が出てしまうくらいには低い。

だからこそ時折チラチラと店内の女性達に見られているという事実を自分でも理解してしまう。

 

(早くしやがれ麦野………)

 

最初こそ霧嶺にどっちがいいかを聞きに来た癖に、それを聞いていなかったのか無視したのか、ひたすら2つの商品で迷っている麦野に忌々しそうな視線を向ける。選ぶ意味はあったのだろうか。

わざと迷って霧嶺へ嫌がらせしているのではないかと思うくらいには長い。

 

「よし決めたわ」

 

「そうか、ならとっとと買って来やがれ」

 

「…まあ、もう大分憂さ晴らしは済んだし、いっか。先に出てていいわよ」

 

その言葉を聞いた瞬間の霧嶺の行動は早かった。

麦野が言い終える前には早歩きで店の外に出ていた。

 

この後も麦野のショッピングは続き、結局霧嶺は20を超える数の紙袋を持ってアジトに帰った。

 

 

 

「水着を買いに行くって訳よ!」

 

「あ?」

 

麦野に連れていかれたショッピング(拷問)から2日後、アジトで行きつけの店の羊羹(数量限定)を楽しんでいた霧嶺に、今度はフレンダが大声で宣言した。

 

「水着を買いに行くって訳よ!」

 

2回言った。大事な事なのだろうか。

 

「そうか、行ってら」

 

塩対応の霧嶺、むくれるフレンダ。

 

「じゃなくて!霧嶺も一緒に来るって訳!」

 

「誰が行くか。麦野でも誘ってろ」

 

「麦野はシャケ弁買いに行ってるからいないって訳よ」

 

「絹旗は」

 

「映画見に行ってるって訳」

 

「滝壺」

 

「目の前で寝てるじゃん」

 

「残念、1人で行ってこい」

 

「だーかーらー、霧嶺しか残ってないって訳よ」

 

「見りゃわかんだろ、今は和菓子タイムだ」

 

「後一口分しか残ってないって訳よ」

 

「………冷蔵庫に第2、第3の羊羹がな…」

 

「他の羊羹は昨日既に食べてるのは調査済みって訳なんだけど。結局、霧嶺は私と一緒に行くしか選択肢はない訳よ」

 

「ふざけんな、誰が行くか。ましてや水着、そもそももう季節外れだろーが」

 

「学園都市のプールなら年中やってる訳よ」

 

しまったもう打つ手がない。素直にそう思った霧嶺は流石に折れる。

そういえば最近はフレンダに塩対応ばっかりだったため、少しは優しくしてやろうというジェントルマンな霧嶺だ。

 

「ハァ……仕方ねぇな。つーか水着のセンスなんざ俺に求めんじゃねーぞ」

 

「そんなこと言って結局、実はセンスも超能力者(レベル5)級って訳なんでしょ」

 

「だから何なんだよ超能力者(レベル5)級って。いいから早くしろ、置いてくからな」

 

「え、今って私が主役じゃないの!?」

 

フレンダは慌てていつものベレー帽を被り霧嶺を追いかける。

せっかくのメインなのに何故かリード出来ない事に不満を持つフレンダだった。

 

「またここか……」

 

2日前と同じセブンスミスト、この季節なのに水着も売ってるのはやはり学園都市ならではといったところか。

 

「ふっ、結局セクシーな水着を来た私の脚線美で霧嶺も悩殺されるって訳よ」

 

「水着関係ねぇじゃねーか」

 

「じゃあ早速。この水着どう?」

 

先ず持ってきたのはパレオ付きの黒いビキニ。霧嶺はてっきり派手な色を持ってくると思っていたため少し驚く、しかし意外とギャップが合って悪くない気がする。

 

「あぁ、いいんじゃねーの?」

 

「じゃあこれは?」

 

次に見せてきたのはどう見てもスク水だろ、という物。

何故最初に選んだものとこんなに違いが出るのか。

 

「お前バカなの?」

 

本気で思ったことを言ってしまった。

だがフレンダは止まらない。

 

「じゃあじゃあ、これは?」

 

赤のスリングショットだった。

 

「お前バカだろ」

 

自問自答でフレンダを罵倒してしまった。だが霧嶺は悪くない、全ては途中からアホな行動をしだしたフレンダが悪い。

 

「試着してくる!」

 

1人テンションの上がっているフレンダは、霧嶺の罵倒を気にせず試着室へ飛び込んだ。

ハァ、と霧嶺は頭を抱える。次出てきた時はまだしも、その次、その次となれば頭痛モノになるのは間違いない。

霧嶺の口からは最早ため息しか出なかった。

 

結局、フレンダは1番最初に手に取ったパレオ付きのビキニを買った。

というのも霧嶺がスク水とスリングショットを見せた時に真顔になっていた上に、スリングショットに至っては『絶壁が調子乗るな』の始末。

流石にショックを受けたフレンダは素直に諦めたのだ。

散々な言われようだったが今の彼女はそんなこと無かったかのように、

 

「これでプール楽しめるって訳よ!」

 

いい笑顔を浮かべていた。

 

(ハァ…ったく随分と嬉しそうなこって)

 

そういう霧嶺も実は笑顔になっていたのだが、それは本人も気づいていなかった。

 

 

 

二度あることは三度ある。

 

「霧嶺、超映画を見に行きましょう」

 

2日前にも見たような光景が目の前に広がっている。

だが霧嶺は動じない。

 

「断る」

 

この一言である。とはいえフレンダの時のようにただ面倒臭いだけではない、ちゃんとした理由があるのだ。

 

「何故ですか!?」

 

「お前の見る映画なんぞ一緒に見てられるかよ。あんなC級(残念)映画のどこがいいのか俺には分かんねェ」

 

「なっ、バカにしているんですかバカにしているんですね超殺す!」

 

「ンなことで一々殺されてたまるかっての。つーか、今日は麦野もフレンダもいるしなんなら滝壺でもいいじゃねーか」

 

「それは超ダメです。麦野とフレンダが霧嶺と出掛けたというのに、私は行ってないだなんて超納得いきません!」

 

「滝壺もだけどな」

 

「滝壺さんはいいんです」

 

「ちなみに聞くが、何を見に行くつもりなんだ?」

 

霧嶺は知っている。目の前の少女、絹旗最愛はハリウッド超大作などには興味がなく、所謂B級やC級といったマイナーな映画を好む。さらに言えば、制作段階からC級の匂いがプンプンするものでは無く、本気でハリウッドに挑んだが結果的にC級となった天然モノが好みなのだ。

 

「これです!」

 

見せてきた映画のパンフレットには『ヒトデvsナマコ』の文字。間違いなく映画のタイトルなのだろう。この時点でもう残念な気しかしない。

 

「…………」

 

最早掛ける言葉も見つからない。顔を顰めるでもなく、ただただ微妙な表情を見せる。

 

「いや、これどう見てもダメなやつだろ。なんだよヒトデvsナマコって、何でこいつらを戦わせようと思ったんだよ。てかそもそもこいつらって戦うのかよ……」

 

「というわけで超行きますよ」

 

腕を引っ張られ霧嶺はされるがままに映画館へと連行された。

 

 

「…………………」

 

結果的に言えば、少なくとも霧嶺にとって『ヒトデvsナマコ(アノ映画)』は最悪だった。

終始ヒトデとナマコがべちゃべちゃ絡み合う図が続いただけだった。最早誰得なのかすら分からない。そもそも映画館はスッカスカで霧嶺と絹旗以外で見ていた客など1人もいなかった。

ならば、と霧嶺は自分を誘った絹旗を見やる。

 

「うーん……やはり超ハズレでしたか」

 

(ぶっ潰してやろォかこのクソガキ……)

 

自分ですら納得出来ない作品を他人に見せるな、素直にそう思ってしまう。

結局、二人共どこか不満顔でアジトに戻った。

 

 

 

絹旗と見たC級(クソ)映画から2日後。きんつばを食べていた霧嶺は目の前で座っている少女、滝壺理后を見る。

 

「どうしたの、きりみね」

 

「別に、なんでもねーよ。ここ最近、1日置きに他の3人から連れ出されたからな、お前も何かあるんじゃねーかと思ってよ。ま、お前は外に行くようなタイプでもないか」

 

「私も行くよ?」

 

「………そ、そうか」

 

霧嶺にとっては意外な発言だった。普段からただボーッとしているだけなのでほとんど外に出ることはないと思っていた。

 

「うん。だから今日はきりみねと一緒にジャージを買いに行く」

 

「はぁ、ジャージねェ。今着てるのじゃダメなのか?」

 

「少し小さくなっちゃったから」

 

どこが、とは言わない。だが霧嶺には分かってしまった。彼女の胸の辺り、確かに大分形がハッキリしている。4月に戦っていた時はそんな印象は受けなかったが、どうやらサイズが合わなくなったのは本当らしい。

 

「じゃあ、行くか……」

 

「うん」

 

付き合いたてのカップルみたいにぎこちない会話をして、霧嶺冬璃はここ最近で潜り慣れた玄関をまた出ていった。

 

 

「お前はセブンスミストじゃねーのな」

 

「うん。ここのジャージがお気に入りなの」

 

前の3人に比べると大分会話は少ないが、一々それを気にする2人ではない。

 

 

滝壺の買い物は直ぐに終わった。というのも、彼女はただサイズが合わなくなっただけで別にデザインの違う物を買いに来た訳では無いのだ。ただ同じものを5着くらい買ったが。

合計で大体50000円、麦野の時よりも数が少ないから安いのは当然だがジャージ1着1万と考えるとそれなりに良いものなのかもしれない。

まあ本人が『最高』と言っていたので金額を気にする必要は無いのだろう。

 

「もういいのか?」

 

他の3人に散々連れ回されたせいか、少しだけ、本当に少しだけ物足りなさを感じてしまう。

 

「うん、満足」

 

「そうか。なら帰るぞ」

 

「きりみね」

 

「あ?」

 

「ありがとう」

 

「………おう」

 

初めてまともに会話した彼女は、掴みづらかった。

 

 

 

 

 

 

-プロフィール-

 

霧嶺冬璃(きりみねとうり)

性別:男

身長:178

体重:67

出身地:日本

所属:科学サイド

強度:超能力者(レベル5)

能力:力学支配(オーバーフロー)

 

学園都市に住む少年。髪色はダークグレー。服装に強いこだわりはないが、それなりにオシャレで比較的楽な格好で過ごすことが多い。

超能力者(レベル5)の第八位で、エネルギーを自在にあやつる力学支配(オーバーフロー)という能力を有している。

第七学区にあるマンションに住んでいる。好物はスイーツ。特に洋菓子よりも和菓子。

普段は落ち着いた雰囲気だが時折口が悪い。意外と感情豊かな場面も見られる。

『研究所時代からの知り合いがヒョロヒョロのもやしで引いた』らしく、それなりに筋肉質な体をしている。

現在、暗部組織『アイテム』に所属。




いかがでしたか?

なんかヒロインが2人くらいいたような笑。
というわけでこれで序章は終了です。
次回からは原作のストーリーに沿わせていきます。

今回は幕間パートということなので後書きも短みにしておこうかと。
では次回もお楽しみに。
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