UA数が4000を超えお気に入り数も200を超えました。
さらに評価バーの色がいきなり橙に。
さらにさらに週間ランキングで120位に。
まだまだな結果かも知れませんが、自分にとっては大きな1歩です。
皆さん本当にありがとうございます。
これからも精進して行きます。
さて、今回から新章です。まだまだぎこちない文ですが楽しんで頂けると幸いです。
では第4話どうぞ。
8月、つまり霧嶺冬璃が『アイテム』に所属してから1年以上が経ったということになる。
今は仕事終わり、先程『アイテム』で内部から外部へと機密データを運び出そうとしていた組織を壊滅させてきた所だ。
今日はアジトではなく自宅に直接帰ろうと何となく思い、近道となる裏路地を歩いていた。
そう、歩いて
目の前で検査着を着た茶髪の少女が座り込んでいれば足も止まってしまうのも無理はない。
「何だお前……」
少女は答えない。言葉が理解できない訳でも、聞こえていない訳でもなくただ声を出すほど気力が残っていないらしい。現に霧嶺の言葉には視線をほんの少し動かす程度の反応はしている。
「まじかよ……」
自宅に帰って和菓子タイムを楽しもうも思っていた霧嶺だったが、そうもいかなさそうな事に頭を抱える。
誰にでも手を差し伸べる聖人君子のつもりはないが、敵対している訳でもなく、目の前にいるのなら多少手を貸すくらいには人間をやっているつもりだ。
何よりこのまま放っておいて死なれたら寝覚めが悪い。
「仕方ねぇか」
少女を負担のないよう抱き抱える。フレンダによくやるような肩に担ぐ感じではなく、膝と背中に手を回す所謂お姫様抱っこなのだが霧嶺はそれの意味をよく知らない。
少女を抱き抱え、出来るだけ早く運んでやるのがいいだろう、と霧嶺は能力を使用しビルより少し高い位置の空中に立つ。
そのままさらに能力を使用して自分が知る限り最も腕の良い医者のいる病院へと急ぐ。
ちなみに、やはりと言うべきか一瞬で高度が変化した事と高速移動により、病院についた頃には少女は気を失っていた。
◇
「全く、怪我人ならまだしも、病人ならもっと丁寧に扱って欲しいんだね?」
そう言って少女の寝ている病院から出てきたカエル顔の医者。この初老の男性が霧嶺の知る限り最も腕の良い医者だ。『患者に必要な物なら何でも揃える』をモットーとし、死んでいなければあらゆる手を駆使し患者をほぼ確実に治す超凄腕で、通称『
「急いでたんだよ。で、アイツは?」
アイツ、と言うのは霧嶺が先程運んできた少女のことだ。
「彼女のことならとりあえずは大丈夫なんだね?今は点滴を打って寝ている所だよ。尤も、意識はまだ戻っていないけどね?」
「そうかよ……」
意識が戻らないのには霧嶺のせいもあるのだろう、医者はわざとらしく霧嶺を見てくる。だが別に怒っている訳ではなく、どちらかと言えば呆れているようだ。
「しかし、君がここに来るだけでも珍しいのに、あんな子一体どこで見つけて来たんだい?」
「路地裏で倒れてたんだよ。目の前に居たら見捨てる訳にも行かねーだろ」
「君にも人並みの感性があって安心したんだね?」
「お前は俺を何だと思ってやがんだ」
そこで霧嶺が最近買い替えたスマホからメールを受信した音が鳴る差し出し人は麦野沈利。恐らく仕事の連絡だろう。
「俺はもう行く。アイツに何かあったら連絡しろ」
「それは構わないよ。そうだ、君の方は最近どうなんだい?」
そう言って去ろうとする霧嶺に
「……別に、至って健康体だよ」
「僕が一体何年医者をやっていると思っているんだい?そんな程度のことは見て直ぐに分かるんだね?僕が聞いているのは目では見えない部分、つまり君の
「分かってる。ンなこと俺が1番分かってる。昔の事も忘れてねぇ。無理な能力使用なんざしてる訳ねーだろ」
そう言って霧嶺は足早に
「分かっていても、君はいざという時に止まらないから僕は心配なんだけどね?」
その呟きは聞かせるべき相手には届いていない。
◇
「遅い」
「悪い悪い」
結局
いつものファミレスに着いた時には自分以外の『アイテム』メンバーは既に集合し、好き勝手に寛いでいた。
「で、また仕事なんだろ?」
「そうそう。今度はコンピュータウイルスをバラ撒いてるクソ野郎を始末しろだってさ」
どうやらあの少女を助けても助けなくても和菓子タイムには入れなかったらしい。
「また似たような……」
「文句言わない。とりあえず、とっとと殺れば早く終われるんだし、早いとこ済ませちゃいましょ」
「そういえば霧嶺は超どこか行っていたんですか?珍しく遅れていましたが」
「もしかして彼女って訳?」
「な訳ねーだろ。寝てただけだよ」
さらりと嘘をつく。こんな場面で少女を病院に送り届けてました、などど言ったら余計に面倒な事になるため真実は伏せておく。
「きりみね」
「あ?」
「どうかしたの?」
「どうもしてねーよ」
滝壺にまで言われてしまった。しかもガッツリ目を見て、そんなに自分は分かりやすいのだろうか。
「ほら、早く行くわよ」
麦野の後を追って店の外に停まったワゴン車に乗り込む。
◇
黒いワゴン車の中、運転席の後ろに取り付けられたモニタには『SOUNDONLY』の文字。つまりいつもの『電話相手』から仕事の詳細を聞いている『アイテム』の面々。なのだが、
『何でもそのウイルスは、感染したコンピュータのデータをコピーしてからコンピュータのメモリとかプログラムそのものを破壊するらしいわ』
「確かにウイルスは超大したものみたいですが…それだけで『
「そうそう、結局そんなものは私たちじゃなくてもいいって訳よ」
『コイツらと来たら……いちいちイチャモン付けて……』
納得いっていないのが2人ほど。『電話相手』もキレかけている。仕方なく霧嶺はフォローに回る。
「要はウイルスの性能じゃなく、ウイルスの使用目的だろ?ウイルスがそこら辺の誰かに使われるならわざわざ『アイテム』を使う必要は無い。つまり────」
「連中はそのウイルスを学園都市の重要なデータに対して使おうとしてるって事でしょ?統括理事会のの誰かの情報か、もしくは学園都市の秘密とかね」
『そうそう、そういうこと』
どうやら麦野も分かっていたようだ、『電話相手』も落ち着いたのか少しは上機嫌な声に変わった。
しかし不満を持つのが2人ほど。
「なるほど。というかそうなら最初から超言ってくださいよ分りづらい」
「そうそう、結局大事なことを言わないと意味無いって訳よ」
『この………』
何故一々煽るのか。しかし自分でも煽ることはあるので責めたりは出来ないが、霧嶺はつい呆れたように息を吐いてしまう。
滝壺は文句も言わずじっと聞いているのに、と思い目の前の少女を見ると。
「……ぐーすかぴー……」
寝てた。確かに滝壺は能力者相手でないと能力を存分に生かせないから、恐らく研究者か
『ま、そういう事だからちゃっちゃと終わらせて来ちゃってね』
それだけ告げると『電話相手』は一方的に通話を切った。
「で、そのウイルスをバラ撒いてる野郎はどこかに引き篭もってると……」
「大まかな場所は既に割れてるわ。後は少ない候補を虱潰しにしていくだけ」
「それなら大分超楽ですね」
大分なのか超なのかよく分からなくなるような絹旗の言葉を聞きながら『SOUNDONLY』から地図に赤い点がいくつか散らばった図に切り替わったモニタを見る。
「どうする?バラけて調べるか?」
「そうね、また二手に分かれてやりましょ。一人一人にするといざって時に心配だし。絹旗と滝壺は私と来なさい、フレンダは霧嶺と」
「はいはーい」
「超了解です」
「わかった」
「んじゃとっととやるか。行くぞフレンダ」
「ちょっ、待つって訳よ!」
近い方の目標から先に潰すため、霧嶺はフレンダを連れて一足先にワゴン車を出た。
◇
「さーって、まずはこっちか」
携帯の画面に映し出された先程と同じ地図を見ながら歩く霧嶺。
隣にはフレンダがいる。
「で結局さ、何で霧嶺はさっき遅れて来た訳?いっつも時間通りなのに」
「寝てたって言っただろ。寝不足なんだよ」
「そう言う割には元気そうだけど」
「お前それ以上追求すんならアイアンクローだからな」
「何で!?」
「ほら、着いたぞ」
「……うわぁ……なんかいかにもって場所な訳よ…」
フレンダの言うことも尤もである。何せそこにはコンテナが規則正しく置かれ、コンテナ自体も大分綺麗な状態を保っているのだ。
「確かにな。ここに居てくれりゃ楽なんだが……そういやウイルスの入ったデータとそれを作ってる奴の始末でいいんだよな?」
「そうそう、わざわざ製作者も殺す必要があるのか微妙な訳だけど」
「また作られてこっちが動かされるよかマシだろ」
「どうやってこの中から探す訳?数すっごく多いけど」
そう、コンテナが片手で数えられる数なら探すことに苦労はないのだが、それが100や200となれば話は別だ。
ならば、と霧嶺は迷わない。
「そりゃお前……」
言いながら彼の周りに10以上の光の球体が生み出される。
「こうすんだよ」
刹那、無数の光がコンテナを薙ぎ払うように伸びる。
ほんの数秒。たったそれだけの時間でほとんどのコンテナは貫かれ、中には真っ二つになってしまったモノもある。
「相変わらず凄い破壊力な訳よ。麦野程じゃないけど」
「うるせぇ」
そもそもあちらは破壊力にステータスを全振りしているのだからどうしようもない。こちらは光エネルギーだけに留めることで扱いやすさも重視されているのだ。
すると1つのコンテナの中から、学生服を着た少し小太りの男が悲鳴を上げながら出てきた。
「おーおー、こりゃまた」
「いかにもな奴って訳よ」
いかにもな場所にいかにもな人間がいかにもなリアクションで出てきたため、絹旗がこの前勧めてきた映画を思い出た2人だったが、直ぐにその記憶を振り払いコンテナから出てきた男に近づく。
「な、何だお前達!ぼ、ボクのじゃまをするのか!もうすぐで学園都市をめちゃくちゃに出来る所なのに」
「って、人の仕事増やした豚野郎が言ってるぜフレンダ」
「結局、当たりを引いたからとっとと終わらせるって訳よ」
そう言ってスカートの中から小型ミサイルを3つほど出したフレンダは、標的の男に向けて発射する。
「ヒィィィッ!?がッ────!」
「おい、終わってねーんだけど」
「そ、それはアイツが動いたのが行けないって訳……じゃなくてこれは霧嶺への華麗なパスって訳よ!」
「無理しすぎだろそれは……ほいっと」
フレンダの適当すぎる言い訳に呆れながら、霧嶺はレーザーを放つ。
先程のように細くして数を多くするのではなく、1つだけのかなり大きな光線。
「ぁっ────」
逃げようと向けていた背から光線を当てられた男は、学生服の破片を残して消滅した。
「んじゃ、後はデータか」
「そっちは私がやって来るって訳よ」
そっちは、と言った時点で先程のをただのミスにしてしまったフレンダだが、本人はそれに気付かず男の出てきたコンテナに入った。
フレンダが出てきた直後、そのコンテナだけが大爆発を起こした。
「火力だけならお前もそれなりだとは思うけどな」
「火力以外はダメみたいな言い方しないでって訳よ!」
「事実だろ」
「だうー……」
「…ほら帰るぞ。麦野達にはもう連絡してあっから」
「はーい……」
ショックを受けているフレンダを連れて歩く。
さすがに申し訳なく思ったので、この前フレンダの読んでいた雑誌を覗き見た時に書いてあったことを真似して頭をポンポンしてみる。
その後は嘘みたいに機嫌が良くなったていたので成功なのだと思う。
◇
結局『上』への報告やら何やらで帰宅できたのは夜遅くになってしまった。
霧嶺はシャワーを浴びてから和菓子タイム、ではなく今日助けた少女について少し調べようとパソコンを広げる。一応横には和菓子が置いてあるが。
「抱き抱えた時に分かったが、微弱ながら電気エネルギーを感じたな」
もともと霧嶺は能力の関係で、エネルギーに対する感受性が高い為、通常よりも数値が違っていたりすると直ぐに分かってしまう。
その為、少女の体内に少しばかり電気エネルギーが残留していたことに気が付いた。
「体内に電気となると、一応は
呟きながらさり気なくハッキングで研究資料などを調べていく霧嶺。軽く犯罪行為である。
と、ふと目に止まった資料があった。
それは、
「
「しかし、失敗に欠陥ね……随分と愛着の湧くフレーズなことで」
霧嶺は念の為
「確かによく似てるな……」
だがあの少女とは少しだけ違う。こちらの方が活気に満ち溢れている感じがするのだ。
「つまり、アイツは紛れもなくクローンだと……」
突然テーブルに置いていたスマホが鳴り響いた。画面を見ると発信者はあのカエル顔の医者。
霧嶺は迷わず通話モードにしてスマホを耳に当てる。
「なんだ」
『あぁ、良かった。まだ起きていたんだね?医者としては感心出来ないけども。そうそう、さっきあの子が目を覚ましたよ。いろいろと話すこともあるから明日の朝に来るといいんだね?』
「分かった」
どうやら件の少女が目を覚ましたらしい。この時間から病院に行くのは確かに不適切だろう。言われた通り明日まで素直に待つことにした。
◇
翌日、言われたとおり病院にやって来た霧嶺はとりあえず先に
スライド式のドアの前で2回ノックをすると、『どうぞ』と声が聞こえたのでそのまま入る。
「全く、診察していたらどうするつもりだったんだい?」
「だから人の居ねぇタイミングで来たんだろうが。…で、アイツは?」
「あぁ、彼女は昨日言った通り目を覚ましたんだね?今すぐにでも会わせてあげたい所だけど、言っておかなきゃいけないことがあるんだね?」
「アイツがクローンって事か?」
「何だ、知っていたのかい?」
「調べたんだよ。俺としては医者であるはずのアンタがそれを知ってるって事実にビックリだけどな」
「僕は患者に必要な物なら何でも揃えるんだよ?その為に必要なデータはどんな手段を使ってでも入手するさ」
「そりゃゴクローさん」
「でもそこまで知ってるなら話が早いんだね?彼女は今は培養機に入っているから、案内しよう」
「ありがとさん」
そう言って診察室を出る
「しかし、君が良い方向へ変わっていて僕は嬉しいんだね?昔の君からは想像も出来ないんだね?」
「誰目線なんだよ」
「もちろん、担当医としてなんだね?」
「はいはい、そーですか」
「さて、この部屋なんだね?僕は戻っているから、終わったらまた来て欲しいんだね?」
そう言って他の病室よりもドアの大きい部屋の前で止まる。
つまりこの先にあの少女が居るということになる。
「りょーかい」
霧嶺はゆっくりとドアを開けて、中へと入る。
◇
入って早々、霧嶺は言葉を失った。
目の前の培養機に入っている少女が全裸だったのだ。
いや、培養機の中は液体で満たされているのだから当然といえば当然だろうし、あの医者だってそれを理解していると思って言わなかったのだろう。
だが霧嶺は失念していたのだ。実験の事やクローンの事でいろいろと考え込んでしまったせいで完全に忘れていた。
「あなたがミサカを助けてくださってのですね、とミサカは念の為確認を取ります」
だから霧嶺はその問いに直ぐに答えることは出来なかった。
「どうかされましたか?とミサカは問いかけます」
「いや、何でもない。培養機にいるっての知らなくてな、見舞い用に少し果物とか買ってきたんだが、無駄になっちまったな」
「大丈夫です、とミサカは無駄になってしまったお土産を哀れみます」
「で、お前は一体何なんだよ」
「ミサカはミサカです、とミサカは至極当然のことを言います」
「そうじゃなくて、お前がどんな奴なのかって聞いてるんだが?」
「────ミサカの
いかがでしたか?
というわけで今回からは妹達編。
まだまだ地の文と台詞文がぎこちないですかね。
感想、お気に入り、評価よろしくお願いします。感想などは優しい言葉で書いて頂けると心が和らぎます笑
ご指摘やご質問などもして頂いて構いません。
前書きでも言いましたが、UAやお気に入り、評価など本当にありがとうございます。
これからもご清覧よろしくお願いします。
では次回もお楽しみに。