更新が大分遅くなってしまいました。申し訳ございません。
大学の試験やら何やらでなかなか手をつけられない状況が続いてました。
ということで、お待たせ致しました。
第8話どうぞ
8月20日。
御坂美琴はSプロセッサ社脳神経応用分析所。美琴が昨日襲撃しデータベースを破壊した病理解析研究所とは別の、潰し損ねた一基。
「……のはずなんだけど」
ビルの上で双眼鏡を覗いていた美琴は、研究所の違和感を感じ取った。
警備ロボットをハッキングして研究所に近づく。
人の出入りがないだけならば美琴はそこまで違和感を感じなかっただろう。
しかし
「電気機器がひとつも稼働していない……!?」
罠の可能性は大いにある。それも危惧しながらも美琴は研究所の施設の中へと足を踏み入れた。
「やっぱり、誰もいない。データも全て消去済み?どういうこと……?」
無人の研究所、消去されたデータ。目の前の不可解な現実に疑問を抱く。
何があったのか、それを知るべく美琴は持っている端末でニュースを調べる。
1つの記事を見つけた、見出しにはこう書いてあった。
────『Sプロセッサ社破綻』。
そこには第七学区に本社を構えるSプロセッサ社が8月20日、つまり今日経営破綻、そして同学区内の水穂機構の業務撤退についてが書かれてあった。
美琴の考え得る可能性は2つ。昨日の攻防戦で継続を諦めた、もしくは一基のみでは継続が不可能のどちらかだろう。
(分からないけど奴らを撤退まで追い込んだんだ)
そしてそれはもう1つの現実を表す。
つまり
(やった……やった!)
それは美琴にとって光だった。提供したDNAマップによって生み出され、非人道的な実験に利用されるクローンを作る切っ掛けを作ってしまったことへの贖罪。
やるべき事など山程残っている。
それでも、と美琴は希望を見出す。
「『
研究所を出た美琴の足取りは、ほんの数日前よりも軽かった。
「これで…….」
もう実験は行われない、『
それだけで今は前に進める。
そしていつもの公園を通り掛かった時、聞き慣れた声が耳に入る。
「あれーッ!?おっかしいなぁ……もしかしなくても故障ですかぁ?俺の二千円札を返してーっ!?」
見慣れたツンツン頭の少年が自販機の前で叫び声を上げていた。
確かあの自販機はお金をすぐに呑み込んでしまうはずだ、美琴も経験はある。
大方彼もその被害者となってしまったのだろう。
彼相手にはいつも喧嘩腰になってしまう、だがそれは
しかし今の美琴は機嫌がいい。
こういう時くらい、と美琴は微笑む。
そして迷うことなく駆け寄る。
「ちょろっとー」
いつもの美琴らしく元気に声を掛ける。
彼はきっと何も知らない。それでも構わない。今だけはこの気持ちに付き合ってもらおう。
「買わないんだったらどくどく。こちとら一刻も早く水分補給しないとやってらんないんだから」
彼を両手で押して自販機の前から退かす。
そして、
「…あ!…あー、えっと……何だコイツ」
電撃が炸裂した。
◇
相変わらず『アイテム』のアジトである第三学区の個室サロンで霧嶺冬璃はパソコンを睨んでいた。
調べているのは
「なるほどねぇ……熱心なことで」
学園都市内にある、
「あれ?麦野は?」
個室サロンには麦野沈利が居なかった。『アイテム』のリーダーである彼女が。
「そういえば超見かけませんね。霧嶺、何か超知りませんか?」
「調整だとよ。ま、流石のアイツも
「
「少し気になったから調べてみたんだよ。そしたらほら」
信じきっていなさそうなフレンダに霧嶺はパソコンの画面に出た顔写真を見せる。
写真は
「ほんとだ……ま、まあ
「それなのに深追いしたのか……」
「まあフレンダなら超有り得る話ですね。結果、麦野が帰ってきたら超オシオキルートですし」
「う……」
調子に乗り出した途端に霧嶺と絹旗からダブルパンチを貰い、フレンダけ撃沈した。
霧嶺はそこでパソコンで新たに検索を掛ける。
内容は
ニュース記事には業務撤退と書いてあった。
しかし霧嶺冬璃はその内容が正しいとは思わない。
確かに襲撃された研究所は業務撤退を行っている、しかしだからといって実験が中止になったとは結論づけられない。
学園都市内であの非人道的な実験を行っていれば気づかれる可能性だってあるが、それは他のクローンを使って隠蔽しているのだろう。
ならば実験自体を見られていたら?そんなことは有り得ない、と思うかもしれない。見た人間は秘密裏に消されているかもしれない。
だが学園都市は違う。
そもそもの話、学園都市は衛星による監視が着いているのだ。衛星ならば学園都市全体を常に捉える事が可能なのだ。
その監視があってなお、なぜ実験が表に出されていないのか。
霧嶺が考えられる可能性は1つしかない。
(統括理事会がグルか……)
霧嶺にとって気になることはもう1つ。いや霧嶺はどちらかといえばこの問題の方が気になっていた。
それは、
(『
『
表向きでは学園都市内の天気予報を完全にするためのもの。その主目的は学園都市における様々な研究の予測演算だ。
しかし、
(7月28日に正体不明の高熱源体がおりひめ1号を直撃。それにより大破、
『
霧嶺はそう結論づけてパソコンを閉じる。
今日『アイテム』はオフだ。
リーダーがいないということもあるがそもそも仕事がない。
彼らとて四六時中働いている訳ではないのだ。
「あれ、霧嶺超どこか行くんですか?それなら私甘い物が超食べたいです」
「私サバ缶!」
「バーカ、今日はこのまま帰んだよ。そうでなくとも誰が買ってくるかアホ。自分で行きやがれ、特にフレンダ」
「なんで!?」
「お前はヘマしただろーが。こりゃ麦野にオシオキ追加をお願いするしかねーのかな?」
「や、やだやだ!それだけは嫌って訳よ!!」
「じゃ、我慢することだな」
本日2回目の撃沈をしたフレンダを尻目に、霧嶺はアジトを出る。
空は赤く染まりかけ、完全下校時刻に迫っている。
明日にするか、と霧嶺はそのまま自宅に向かった。
◇
8月21日。霧嶺冬璃は学園都市の第七学区を歩いていた。
霧嶺冬璃は普段この時間に街を歩き回ることなどしない。行きつけのカフェや和菓子屋に寄る程度だ。
霧嶺がそんな珍しい事をしている理由は1つ。
御坂美琴と話をするためだ。
霧嶺は美琴にた対して特別思い入れが強いということはない。
せいぜいDNAマップを悪用されて哀れだ、という程度。
だがそんな美琴だからこそ霧嶺は彼女と
だが、
(見つからねぇ……)
意外と。いや実験に加担している研究所を潰すくらいなのだから当然とも言えるくらいに美琴はアクティブだと霧嶺は思い知らされた。
どうしたものか、と霧嶺は頭を抱える。
御坂美琴の能力を考えれば、実験の現状については簡単に知ることができる。だからこそ霧嶺は美琴が既に実験が継続中である事を知っていると思っていた。
しかし、考えてみれば御坂美琴が行動を起こしていたのはほとんど完全下校時刻を過ぎてからではなかっただろうか。
そう考えると昼頃から今まで歩き回っていたのが馬鹿らしくなる。
時刻は午後3時20分。仕方なく霧嶺は近くのカフェで時間を潰す事にした。
◇
失敗した、と霧嶺冬璃は再び頭を抱えた。
完全下校時刻が近くなれば御坂美琴は行動を起こす。そう考えていたからこそ完全下校時刻の少し前には店を出てもう一度探し回るつもりでいた。
だが、霧嶺冬璃は誘惑に負けてしまった。
立ち寄ったカフェでは夏限定の和菓子セールが行われていたのだ。
だが、
(美味かった)
後悔は、ない。
霧嶺が気づいた頃には店を入ってから3時間以上が経過していた。時刻は午後6時40分。
御坂美琴が第七学区内にいるのならその気になれば能力を使って、最も電気エネルギーを保有しているものを追えばいいだけなのだ。
だが、もし美琴が学区外にいる場合、距離にも寄るが霧嶺でも見つけるのは困難になるだろう。
学園都市の終電終バスは基本的に6時30分。完全下校時刻に合わせて設定されているためそれ以降は大体の学生が学区を跨ぐ移動方法が徒歩になる。
御坂美琴が電車もしくはバスを既に利用していると霧嶺冬璃にとっては都合が悪いのだ。
だが、霧嶺冬璃はその可能性を捨てることになる。
完全下校時刻を過ぎたばかりだからだろうか、多くの学生が行き交う中、御坂美琴がそこにいた。
だが1人ではなかった、傍らにツンツン頭の少年がいる。
ツンツン頭の少年、上条当麻と会話している間、御坂美琴は空に浮かぶ飛行船を見ていた。
飛行船に取り付けられたモニターには明日、8月22日の天気予報が映し出されている。
後方で御坂美琴を見ていた霧嶺はその意図が理解できた。
(間違いねぇ……)
御坂美琴は実験が継続している事を知っている、霧嶺は確信した。
だからこそ、ツンツン頭の少年と別れ1人歩みを進めた美琴の後をを霧嶺は着いて行った。
霧嶺冬璃が美琴を追ってしばらくすると、美琴はバスに乗り込んだ。
恐らくは終バス。これを逃せば他の学区への移動が面倒になるだろう。
だが霧嶺はバスに乗らない。同じバスに乗り込み、同じバス停で降りれば御坂美琴の警戒心は跳ね上がり、話をする所ではなくなってしまう。
霧嶺は発進したバスの後ろ姿を見てから、バスの路線図を確認する。
(やっぱりな……第二十三学区、
御坂美琴の目的地は判明した
目的地が分かれば追う必要などない。目的地で待っていればいいだけだ。
ならば、と霧嶺冬璃は躊躇うことなく能力を使う。
(やっと、ご対面ってな)
◇
御坂美琴は第二十三学区の
美琴は
実験の引き継ぎ先は全部で183施設。今までの数を遥かに超えていた。
ここまで来ると美琴が直接潰しにいくことは不可能だ。そんなことをしている間に実験は終了し。2万体の『
(それだけは絶対に許さない)
だからこそ美琴は
誰にも止めさせない、そう決意した美琴は迷わない。
フェンスには近寄るなという清掃員の忠告も無視して、警備ロボットをハッキングしてから施設内を目指し能力を使い壁を走る。
(こんな小細工いつかはバレるだろうけど……その前に計画を破綻に追い込んでみせる!)
御坂美琴はあっさりと施設内に侵入できた。
だが彼女は違和感を覚える。
(おかしい)
美琴は
それでも、
(人の気配がない?)
その事実を理解するのは難しかった。
この施設は学園都市の頭脳である
にも関わらず、セキュリティどころか人が誰もいないのだ。
(ハッキングなんて無理だってたかをくくってるの?)
そして御坂美琴は施設の心臓部、交信室に辿り着く。
当然その部屋も人は誰一人いない、
などということはなかった。
「よぉ、待ってたぜ御坂美琴」
霧嶺冬璃がそこにはいた。
交信室の椅子に腰掛け美琴の方へと向く。
御坂美琴は目の前の少年を知っていた。
「ア、ンタ……なんでここに……」
それでもその少年がここにいる理由が分からなかった。
特別中が良い訳では無い。むしろ2日前には殺し合いレベルの戦いをしていたのだから悪い方だと言える。
そんな相手が何故美琴の目の前にいるのか、
「お前と話がしてみたくてよ」
目の前の少年は美琴の心を見透かすように告げた。
だが美琴はそれどころではなかった。
焦り。それは目の前の少年について知ったからこそ現れる衝動だった。
施設襲撃の後、美琴が調べた事実を口にする。
「あらゆるエネルギーを操る
「お、ちゃんと調べたんだな。優秀優秀」
美琴が捻り出した言葉も軽く返される。
さて、と霧嶺は仕切り直す。
「話がしてーんだけど、構わねぇよな?」
そうなれば
御坂美琴は霧嶺の言葉に頷くしかなかった。
◇
「で、第八位サマが何の用かしら?」
一旦落ち着くことで調子を取り戻した美琴は、できるだけいつも通りの口調で霧嶺に話しかける。
「だから話がしたいって言ってんだろーが。
美琴は驚愕した。何故それを知っているのか、表情だけで語れる程に分かりやすく。
「単純な事だよ」
霧嶺冬璃はいつも通りの口調で話す。
まるで当たり前の事を言っているかのように。
「この実験は俺にも責任があるってことだ」
理解、出来なかった。霧嶺冬璃は
「どういう、こと……?」
最早、一度取り戻した調子も崩れていた。
そうだな、と霧嶺はすこし間を置き、
「お前はDNAマップを提供し、『
霧嶺冬璃はどこか遠い所を見るような目で続けた。
「────
「────」
御坂美琴は言葉を失った。
目の前の少年は
まさか、と美琴は霧嶺冬璃を睨みつける。
「まさか、アンタが────!」
その先は言えなかった。
それよりも先に、
「まあ待てよ、別に俺は
「どういう意味よ、
「どうだろうな。俺はただ研究所でアイツと一緒に居たってだけだ。どちらかと言えば、腐れ縁だろうよ」
そういえば、と霧嶺はいきなり話題を変えた。
「オマエ、ここで何するつもりだったかは知らねぇが……そもそも、
「え────?」
「何だよ知らなかったのか?
それは、美琴の希望を打ち砕く真実だった。
つまり、嘘の予言を吐かせることは出来ない。
そして現状、美琴の打つ手は、無い。
「で、そろそろ本題に移ってもいいか?」
それでも霧嶺は話を止めることはしない。
霧嶺にとって最優先事項は御坂美琴ではない。
話し合いを進めることだ。
「
ということで第8話でした。
うん、今回は平和でしたね。
そういえば最近、すっごく今更感ありますけどSAOに軽くハマってきてまして。まあ小説とかを読んでる、という訳ではなく基本は二次創作ですけどね。
まあそこまで詳しくないですけどね。アニメも途中しか見てないですし。
でもいつかは番外編的な感じでクロスさせたり、別で書いてみたいなーとか思ってます。
ちなみにシノンが好きです。
感想、お気に入り、評価お待ちしています。
では次回もお楽しみに。