指揮官の予定通り、クイーン・エリザベス主催のパーティは行われた。母港全体を巻き込む、非常に規模の大きいものだ。メイド隊などは大忙しである。
(さて、私はどうしようか。あまり騒がしいのは得意じゃないが……。一応、様子ぐらいは見ておくか。言い出しっぺだしな。)
指揮官も視察の意味で覗いてみることにした。
指揮官の目には正しく西洋のパーティーであるように見えた。皆豪華な料理を立食している。ロイヤル出身のKANSENなどは着飾り、踊っているものなどもいる。
「あら、遅かったじゃない。あなたも楽しみなさいよね。」
クイーン・エリザベスは指揮官をいち早く見つけて声をかけた。指揮官も頷いて、見て回ることにした。クイーン・エリザベスは自分の近くからあっさり離れたことに不満を持った。
指揮官は食事を取りながら、ぐるぐると会場を回っていた。
「あ、指揮官様~。」
リアンダーの声が指揮官の耳に入った。アキリーズとエイジャックスと一緒にいる。
(どうやら妹たちと仲良くなれたようだな。)
指揮官は安心しつつ、声の主の方へ近づいた。クロスの敷いてある料理の乗る机の近くで、美しいドレスで着飾っているリアンダー姉妹3人がいた。
(美しすぎる、まるでお姫様だ。)
「指揮官様、今日のパーティー……ありがとうございます。おかげで妹たちと仲良くなれましたわ~。」
リアンダーはほわほわとした雰囲気で指揮官にお礼を言う。
「君だけでなくて、私も丁度いいと思ったからだよ。」
リアンダーは本当に幸せそうにニコニコしている。指揮官もやった甲斐を感じた。
指揮官はリアンダーと話をしている途中に、エイジャックスがオクラホマに呼ばれるところを見た。その後、仲良さそうに話をしている。
「アキリーズ、彼女は人間関係の問題なんて本当に抱えているのか。」
指揮官はリアンダーとの会話をいったん中断し、アキリーズに近づいて話しかけた。
「あはは……アキリーズちゃん、間違っちゃったかな?」
ふざけてみせたアキリーズに指揮官は呆れた。
「まあでも問題がないなら、いいことだ。」
「そうだよね☆でも……ありがとね☆」
開き直るアキリーズに指揮官は再び呆れたが、悪い気はしなかった。
「そーれーよーりー、リアンダーとの話が途中だったでしょ?早く戻った戻った。」
(見たところ、2人は仲良しみたいだね。優しいお姉ちゃんなリアンダーにはリア充になってもらいたいな。)
指揮官はアキリーズに促されて、リアンダーの近くに戻った。しかし、指揮官は何を話せばいいかわからなかった。
「指揮官様、何のお話でしたの?」
「ちょっとエイジャックスのことでな……。」
「エイジャックスですか。時々よくわからない言葉を使いますけど、本当は凄く優しい子ですのよ。」
リアンダーは幸せそうに妹を自慢した。
「ところで指揮官様……、私と踊っていただけませんか?」
リアンダーは少しだけ顔を赤らめて、指揮官をダンスに誘った。もちろん指揮官はとても喜んだ。
「しかし私はダンスはよくわからないのだが……。」
指揮官は教養としてダンスを調べたこともあったが、特にしっかりと練習をしたわけではない。
「大丈夫ですわ。私がリードいたします。失敗しても笑ったりなんていたしませんわ。」
そう言ってリアンダーは指揮官に手を差し伸べた。指揮官は軽くその手を取った。
(今ダンスとはいえ、リアンダーの手を握っている……幸せだ。)
指揮官の体温は急上昇したが、どうにか平静を保った。
指揮官とリアンダーがダンスを始めると、エイジャックスがアキリーズのところに戻ってきた。
「あらあら、2人は仲良しですのね。」
エイジャックスは指揮官とリアンダーが踊る様子を見てエイジャックスはからかうような口調で呟いた。
「そうだね。2人はどういう関係なのかな?」
「リアンダーはそういうのには疎いですけど、指揮官の方はリアンダーに気があるように見えますわ。」
エイジャックスは指揮官を観察しながらそう言った。彼女の洞察力は本物である。
「指揮官はリアンダーと釣り合うでしょうか。」
「今のところ大丈夫そうだけどね☆」
「そうですわね。」
アキリーズとエイジャックスは指揮官とリアンダーの様子を見守っていた。
指揮官は会場の広場で、リアンダーに教わりつつステップを踏んでいる。そろそろ足並みも揃ってきている。
「そうそう、流石指揮官様です。」
「リアンダーの教え方がいいのさ。」
既に2人を見ているのは、アキリーズとエイジャックスだけではなかった。しかし2人はダンスに夢中で気づいてはいない。
(今まで必死で気にならなかったが、やはり距離が近い……。それに常に手を握っていられる……。)
指揮官は当然リアンダーと踊れることを喜び、リアンダーもまた楽しんでいた。
一通り教わり、踊り終わった。
「指揮官様、ありがとうございました。とても楽しかったです。」
リアンダーはにっこり微笑んだ。
「私こそダンスがこんなに気持ちのいいものだとは知らなかった。」
「気に入っていただけて何よりですわ。」
2人がまだ手を握ったまま話をしていると、同じように指揮官と踊ろうとする者が出てきて、指揮官はしばらくそちらに付き合うことになった。