指揮官とリアンダーがいちゃいちゃしている横から、飴を持った睦月が飛び込んできた。
「おねえちゃん、これお礼!アメさんあげるね!」
睦月は飴を差し出した。
「あらら、ありがとうございます。」
「あ……睦月、じゃましちゃだめだよ~?」
リアンダーが飴を受け取ったのと同時に、水無月が睦月を止めに来た。指揮官とリアンダーから溢れるムードを感じ取ったのだ。
「そ、そういう訳じゃない。」
指揮官は顔を真っ赤にして否定した。
「ほんとに~?しきかん、かおあかいよ?」
水無月はさらに突っ込んだ。そして、他の睦月型の子たちも集まってきた。
「ほら、リアンダー、そろそろ視察に行かなくては……申し訳ないが、遊ぶのはまた後だ。」
指揮官は逃げた。リアンダーも睦月達に手を振って指揮官を追いかけた。
2人は先ほどの木のあるところからだいぶ離れた位置まで来た。
「ふふふ、睦月さんたち、可愛かったですね。まるで指揮官様と子どもができたみたいですわ~。」
「こ、子ども……?」
指揮官は自分とリアンダーの子どものことを想像してしまって再び顔を赤らめた。
指揮官はリアンダーに顔を見せないように、執務室に戻るように歩き始めた。
「あ、指揮官様待ってくださーい。」
リアンダーは急に歩き出した指揮官を早歩きで追いかけた。すると、指揮官は突然彼女の目の前から消えた。それから、彼女自身もまた浮遊感を感じた。
2人は落とし穴に落ちたのだ。穴の深さは2メートル程度で、指揮官は穴の中で膝を立てて横になる形で、リアンダーは指揮官に覆いかぶさらないように、地面に手をついてギリギリ耐えている形である。
「いたた……リアンダー!大丈夫か!?」
「私は大丈夫ですわ。それより指揮官様こそ、大丈夫ですか?」
2人は揃ってお互いを心配し、そして互いの無事を確認した。脱出不可能なほど深い穴でもないが、砂に手足を取られるため、簡単には脱出できない。
「ひゃんっ……指揮官様、動いては……いけませんっ。」
指揮官が脱出のために体を動かすと、膝がリアンダーの股に触れる形になってしまった。
「す、すまない……わざとじゃないんだ。」
(しかし、膝とは言えリアンダーの股に……。今はこんなことを考えている場合ではないが、こう近いと体温や匂いまでわかって意識せざるを得ない。さっきのパンチラなんて可愛いものだ。)
「いえ、それはわかっていますわ。それより脱出方法を考えませんと……。」
「そうだな。」
指揮官は1分ほど考えた結果、リアンダーを肩車して先に出てもらうことを提案した。
「肩車ですか?わかりました。」
2人はどうにか態勢を整えて、指揮官は一旦しゃがんでリアンダーを肩に座らせた。
(やばい、この太ももはやばい。)
少し土の付いた、白くて柔らかい太ももが指揮官の首に触れる。
「指揮官様、重いと思いますが、少しだけ耐えていてくださいね。すぐ出ますからね。」
指揮官はどうにか中腰に立ち上がり、穴からリアンダーは半身以上が出たため、なんなく脱出した。そして指揮官に手を差し伸べて、指揮官は土壁に手を取られながら、どうにか脱出した。
2人が穴に落ちて脱出するところを横から見ていた者がいた。指揮官は脱出するときにちらっとその人物の色を見た。ピンクだった。
「助かったリアンダー。」
「いいえ、私も指揮官様がいないと大変でしたわ。」
「それはそうと、今ピンク色の何かを見たのだが……このようないたずらをする人物と考えると、サラトガあたりだろうか。もしそうなら、これはやりすぎだ。流石に注意が必要だな。」
指揮官は辺りを1度見回したが、既に彼女の姿は全く見えない。
「まだ遠くには行っていないと思いますが、流石に逃げたようですね。」
リアンダーは苦笑しながら言った。
指揮官がどうやって探し出すかを考えていたとき、サラトガもう1人のピンク色のKANSEN……彼女の姉であるレキシントンに捕まっていた。
「うわあああああ。」
サラトガの声が響いた。指揮官とリアンダーはその声の元へ向かった。すると実際にレキシントン姉妹がそこにいた。
「サラトガさん、本当にあなたなのですか?」
リアンダーは相手を刺激しないように、ゆっくりとした声で聞いた。
「ごめんね指揮官、サラトガちゃんったらまたいたずらして……。」
指揮官とリアンダーは、姉に捕まっているサラトガが哀れに感じた。
「はぁ……流石にこのいたずらは度が過ぎる。誰かが怪我をしたらどうするんだ?穴は早急に塞いでおくように。」
指揮官は簡潔に言いたいことを言って、リアンダーと一緒に着替えのために屋内へ戻った。
(でもリアンダーと密着できたのは少し嬉しかったな……。)
雑念は捨てきれない指揮官だった。ちなみに、サラトガも面白いものを見れたと満足したのだった。