指揮官とリアンダーは演習の視察に赴いていた。基本的にどこも普段通りだった。
「次は重桜の方々の演習ですね。大戦時の彼女たちの戦いの気迫はとても恐ろしい物でした。」
リアンダーは過去の記憶を思い起こしながらそう語った。彼女はあの神通とも戦っているため、その恐ろしさはよく知っている。
演習海域では赤城が中心となって訓練をしている。それはひとえに指揮官の役に立ちたいためである。
重桜の演習はいつも以上に激しく行われていた。ともすれば怪我人が出てもおかしくない状況だ。既に疲労困憊で動くのもやっとなKANSENも少なくない中演習は続いていた。
(赤城はあれでいて公私は分けている。このような無茶なやり方をするとは……何かあったのだろうか。)
「指揮官様、私、ちょっと行って参りますわ。」
リアンダーは指揮官が様子を観察している間にそう言いながら赤城の方に向かっていった。
「赤城さん、熱心なのはとても素晴らしいことですが……そろそろ怪我人が出てしまってもおかしくないぐらいでしてよ?」
リアンダーは物怖じせず、真っすぐに赤城を見つめながら言った。
(ちっ小娘が……。しかし指揮官様も見ていますし、ここは言うことを聞いておくべきですわね。)
「ごめんなさいリアンダー。私としたことが、つい力が入りすぎていましたわ。」
「いえ、わかっていただけて何よりですわ。」
リアンダーは今度は柔らかい笑顔を赤城に向けた。
(まさかあの姉様に意見するものがいようとはな……。)
横で様子を見ていた加賀は内心驚いていた。
(私も怖がって赤城を避けているようではダメだな。言うべきところはしっかりと彼女のように言わなくてはいけない。それにしても、ああいうところも素敵だ。)
指揮官はリアンダーが赤城に抗議する様子を見て自戒しつつ、リアンダーの凛々しさに惚れ直していた。
リアンダーは海域を離れて指揮官のところに戻った。
「ありがとうリアンダー。君のおかげだ。」
指揮官は皆のため、そして自分のためとなってくれたリアンダーに感謝した。
「うん、私たちが怪我をしてしまっては意味がありませんから……。」
リアンダーは当然のことだといった顔だ。
「それより指揮官様、そろそろ次の視察に……。」
「そうだな。」
リアンダーに促された指揮官は仕事に戻るのだった。
「リアンダー……あなたの名前は忘れませんわ。」
赤城が危険な演習を行ったのはリアンダーへの反感からだった。しかも本人に咎められたことは自分への情けさ、悔しさなどの感情を多く伴うことだった。
何度も言いますが、赤城を貶めるつもりはありません。キャラストーリーから、感情が揺れて演習に力が入ることを参考に書いてみました。