指揮官はリアンダーの太ももで「お寛ぎ」した後に、1人で購買部に出向いた。明石がいつも通り商売をしていた。怪しい機材が並んでいる。
「指揮官かにゃ?そういえば指揮官、最近リアンダーと仲がいいようだにゃ。」
指揮官はドキッとしたが、ひとまずポーカーフェイスを装って話を聞いた。
「リアンダーと外に出るのを見たこともあるにゃ。」
明石の指摘は正しい。そしてそれは一回や二回ではない。何度か既に夜のお散歩をしている。
「そ、それは彼女の心のケアのためでだな……決してやましいことはないし、彼女以外でも必要ならそうする訳であってだな……。」
実際指揮官は嘘はついていない。
「確かに指揮官は優しいからその通りかもにゃ。あ、そっちのは非売品にゃ。」
指揮官が珍しいものを触っていると明石はそう言った。
「でも指揮官はリアンダーのことが好きだにゃ。」
明石は目を輝かせ始めた。
「何故そう思うんだ?」
いたって冷静に指揮官は問い返した。
「指揮官は真面目で怖い顔をしているけどにゃ、結構顔に出てるからわかるにゃ。それにいつもリアンダーをちらちらと見てるにゃ。」
「な……か、仮にそうだとしたら、何かあるのかい?」
「まあ落ち着くにゃ。指揮官はKANSENとの結婚システムの話にはもう目を通したかにゃ?」
(そういえばそんな話が最近上層部からメールで送られてきていたな。)
明石はそれから指揮官に背を向けて、倉庫に向かっていき、戻ってきた。
「そこでだにゃ……これを見るにゃ。」
明石はそう言って艶がなく高級感のある黒くて小さい箱を机に出した。
「これはもしかして……。」
「そうにゃ、これは結婚指輪にゃ!」
明石は指揮官に指輪が見えるように蓋を開けた。
「いやいやいや……まだリアンダーとはそんな関係では……。」
「まだ……にゃ?」
指揮官は口を滑らせた。これではまるで、いつかそういう関係になるかのようだ言い方である。
「ああそうだ、私はリアンダーが好きだ!」
指揮官はついに認め、声を荒らげた。
「でもまだ付き合ってすらいないし……いや、そもそも上司が部下と付き合うのは大丈夫なのか?仕事は割りきってもやっぱり……。」
指揮官はそう言って今度は考え込み始めた。
「でも上層部からそういう話が出ているんだから、別にいいんじゃないかにゃ?それに指揮官もリアンダーも真面目だから安心にゃ。そして何より明石のお金になるにゃ。」
(最後以外どうでもいいにゃ。)
「最後のが本音だろ。」
「にゃっ!?」
明石はその指摘に驚いたふりをしたが、すぐに元の顔に戻った。
「それで指輪はどうするにゃ?」
(リアンダーと結婚かぁ……。毎日おはようとかおやすみのキスをしたり、「あーん」させあったり、膝枕もまたしてもらえて……それにベッドでも……あああ、いいなぁ……。)
「あ、なんだっけ。」
指揮官は妄想の世界に入ってあまり話を聞いていなかった。
「凄いだらしない顔をしていたにゃ……。指輪のことにゃ。買うのか買わないのか。」
「いやまだ付き合ってもいないし流石に買わないよ。」
「それじゃ指揮官がリアンダーとくっつくのを明石は祈ってるにゃ。」
指揮官は苦笑いをして元々の買い物の用事を済ませることにした。
リアンダーは偶然廊下で赤城と出くわしていた。2人とも比較的大人であるため、以前のリアンダーの言葉を元に喧嘩をしたりはしない。
「リアンダー、指揮官様の様子はいかがですか?」
「いつも通り熱心に仕事なさっていますわ。」
「指揮官様が倒れたりしないようにしっかり見ていてくださいね。そうでなければ……うふふ……。」
赤城は質問の返答のあとに、少しだけ含みを持たせて忠告した。
「はい、ご忠告ありがとうございます!」
リアンダーは笑顔で返事した。
(こ、この子なんだか調子が狂いますわね……純粋すぎますわ……。)
リアンダーは赤城すら困惑させ、2人は別れたのだった。