歪んだ正義は正義のヒーローになれるのか   作:暗愚魯鈍

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新年明けましておめでとうございます。お久しぶりですね皆さん。完結して半年ぶりぐらいでしょうか?皆さんにお正月のお年玉の代わりとしてこの特別話を書きました。嬉しくなかったらごめんなさい

タイガも今年の3月に劇場版やるみたいだしタロウが闇落ちするらしいし、新たなウルトラマンも出てくるらしいし、ニュージェネ総集合らしいし本当に今年は楽しみですねぇ

さあ、タイトル通りに"あいつ"の登場です。ギャラクシーファイトの活躍を見て、どうせならパチンコ版の性格が良かったな〜と思いこの話を書きました。そしてあの悪役がゲストとして再登場。色々盛り沢山な話となっております。是非楽しんで読んでください


外伝 怨・念ダークキラー

宇宙空間を駆ける一筋の紫の隕石。それはある一点を目指し加速しながら地球へと迫る。この宇宙はかつてツツジ台と呼ばれる場所を舞台に正義のレイオニクスやヒーロー達が邪悪と戦った宇宙だった。

 

『あそこか……』

 

その隕石の中に潜む邪悪は地球を見るなりそう声を上げる。目的地が近づいた事で更に隕石の速さを加速しその目指す一点…ツツジ台へと向かう。

 

『待っているがいいレイオニクス。そして正義の怪獣共。我が貴様らに地獄を見せてやる』

 

そう言って隕石は真っ直ぐツツジ台へと落下して行く。隕石がツツジ台に到着するまで…後僅かだ。

 

 

 

ババルウとの最終決戦から早数ヶ月。もう少しで冬休みという時期だ。翔とアカネはツツジ台にある大型デパートに立ち寄り怪獣に関係する本を買っていた。

 

「それにしてもまさかウルトラマンの新しい映画が公開されるなんてね…「シン・ウルトラマン」…面白そうなタイトルだよね」

 

「マジでそれな。それに円谷も新作のアニメ 「アンドロアレス」ていうアンドロメロスの新作も出して来たし…いやぁ最近の円谷さんマジパネェっす」

 

あの一件以来付き合うようになった翔とアカネ。といっても何処ぞの(裕太)(六花)のバカップルと違い遊園地などにデートに行かず、こうして二人で怪獣のソフビを買いに行ったりしているだけなのだが。

 

「ねえねえ翔君、今度さ二人で東京に行ってさ、「かいじゅうのすみか」を体感しに行こうよ」

 

「お、いいなそれ。後、昨日さウルバトでUキラーザウルス手に入れたんだよ」

 

「え!?嘘本当に?!あー、翔君に先越されちゃったかー」

 

そう楽しげに怪獣の話をする二人。その話が怪獣の話ではなく普通の内容だったら普通のカップルに見えるのに…そうよく裕太と六花に言われている。

 

「お、そうだ翔君。今日もさ…翔君の家に行っていい?」

 

「アカネ…またかよ…親御さんと喧嘩したのか?」

 

「えへへ…うん、まあね…部屋の片付けがなってないて言われてさ…うっかり反論したら今日のご飯は自分で作れ、て言われてね」

 

ババルウとの一件以来、親と向き合うようになったアカネは父親と母親に自分の不満をぶつけた。最初は戸惑った両親だったがすぐに激昂し反論、アカネを叱りつけたが彼女は怯えず、粘り強く言葉を続け、更に六花や裕太、翔も呼び出し説得を続け等々親との関係の溝を埋める事に成功し、今では普通に食卓を一緒にし会話ができるほどまでの仲に修復されている。

 

だが、アカネも私生活全てが治った訳ではなく、怪獣オタクを両親は受け入れてくれたがゴミを捨てずに自室に放置する悪癖は許さず(まあ当然だが)叱りつけたりする。アカネもアカネで親の小言に毒で返し、激昂した母親に飯抜き…ではなく自分で飯を作れと罰を与えられる。でも自分で作れないので翔の家にやって来るようになった。将来ヒモにならないかギドラとイリスは心配していた。

 

「たく…アカネ、お前も自分でも作れるようになっといた方がいいぞ?そんなんじゃ嫁に誰も貰ってくれないと思うんだけどな」

 

「え〜?翔君が貰ってくれるからいいじゃん。私は料理が下手、翔君は得意。それでいいじゃん」

 

「良くねえよ」

 

そう夫婦漫才みたいな会話をする二人。それをバトルナイザー越しに聞いてバトルナイザーの中でクスクス笑うイリスとギドラ。ギャラクトロンも呆れていた。

 

「てな訳で晩御飯よろしくね♪あ、私炒飯が食べたいです」

 

「……はぁ、分かったよ。炒飯だな?」

 

「イェーイ、流石翔君話が分かるぅ!」

 

翔もアカネの上目遣い+胸を左手に当てる攻撃で顔を赤くしながらため息を吐く。ヒーローは色仕掛けに弱い。セブンの時から続くお約束なのだから。

 

「やったー♪翔君の料理て美味しいから私好きなんだよねー。やっぱりこれて単に味の好みとかじゃなくて好きな人が作った料理だからなのかな?」

 

「アカネていつもそうやって機嫌を取ろうとするよな…まあ、こっちも嬉しいからいいけど」

 

デパートから出て、翔の家に帰ってご飯を食べよう。そう考えていた二人…だが、ふと群衆の中からこんな言葉が聞こえてきた。

 

「ん?おい、アレ(・・)なんだ?」

 

一人の男性が指を空へと向けている姿が見えた。翔とアカネがその男性が指差す場所を見る…そして目を見開く。二人…いや、ツツジ台の人々がそれを目撃した。

 

『『『い、隕石!?』』』

 

そう、紫色の巨大な隕石がツツジ台へ向けて落下しているのだ。明らかに普通の隕石ではない。人々が唖然とした顔をする中その隕石は空中で静止(・・・・・)した。

 

「と、止まった?」

 

そしてその隕石に亀裂が走り、独りでに隕石が粉々に粉砕するとその隕石の中から巨人が現れた。

 

『………ここか』

 

その巨人は両足でツツジ台へと足を踏み入れる。グレーの体色に光の戦士(ウルトラマン)に酷似した姿。アイスラッガーに酷似した鋭利な武器が右腕と左腕に装着されており、右側はゼロのゼロスラッガーに、左側はセブンのアイスラッガーに酷似していた。カラータイマーとビームランプは紫色に輝き、その厳つい顔にはウルトラホーンに似た角を生やした巨人がツツジ台に君臨した。

 

『我の名は暗黒超邪 ウルトラダークキラー。ウルトラ兄弟に敗れた怪獣、星人達の怨念の集合にして宇宙を暗黒に包む者。我はウルトラ兄弟に敗れ、地獄に還った。だが我は蘇った。手始めにこの地球から闇に閉ざし、ウルトラ兄弟達への宣戦布告とする』

 

その巨人…ダークキラーの発言を誰もが黙って聞き入り…そして混乱が生じる。誰もがダークキラーを恐れこの場から逃げようと走り始める。

 

『愚かな、我からは決して逃れられぬ』

 

そう言いながらダークキラーは右手を頭上へと掲げる。そしてそこから紫色の靄を上空へと放射する。その靄には赤い目や黒に染まった口が見える…そう、これは単なる靄ではなく暗黒邪念体キラープラズマというダークキラーの分身でありながら正体でもあるヒトダマ怪獣なのだ。光の戦士に敗北した怪獣や星人達の怨念である蒸気型の生命体で、靄故の千変万化・変幻自在が可能。

 

今回はそれを暗黒の雲として顕身させ、かつて世界を闇に閉ざした暗黒の支配者(ガタノゾーア)闇の皇帝(エンペラ星人)の様に世界をキラープラズマで包み込む。その光景はまさに地獄。この世の終わりを再現するかの様だった。

 

『さあ出てこい正義の怪獣達よ。この我を倒してみせろ。貴様らの首をウルトラ兄弟への手土産にしてやろう』

 

「!あいつ…ギャラクトロン達が狙いか!」

 

ダークキラーの狙いはギャラクトロン達だと気づく翔。一体何故ギャラクトロン達を狙うかわからないが…どちらにせよウルトラダークキラーを倒さなければならない。翔は懐にしまっていたバトルナイザーを取り出し右手に握りしめる。

 

「悪いな、またお前らの力を借りるぞ」

 

(何を言ってるの翔、私達は貴方の相棒。力を貸すのが当然だわ)

 

《その通り、私達は貴様というレイオニクスの手持ちであり、家族。力を貸すのは当然の事だ》

 

【……悪は滅する。我が正義の名の下に…それが正義だ】

 

「……へ!そうだな、やっぱりお前らはそうじゃねえとな!」

 

翔は笑いながらバトルナイザーを頭上に掲げ、数ヶ月ぶりに相棒達を召喚する。

 

「さあ、いけギャラクトロン!イリス!キングギドラ!」

 

ーーーバトルナイザー・モンスロードーーー

 

三つの光がバトルナイザーから召喚され、ダークキラーの付近に三体の怪獣が召喚される。

 

一体は純白の機体に黄金のラインが走り真紅の宝玉が組み込まれたドラゴンを模したロボット…シビルジャッチメンター または悲歌慷慨超獣という別名を持つ正義の執行者 ギャラクトロン。

 

もう一体の怪獣は琥珀の如き黄色い単眼に禍々しく蠢く二対の触手に槍の様に尖った両腕と悍ましい姿をしていながらも、神の様に美しいフォルムでもある怪獣 邪神 イリス。

 

最後の一体は万物の長たる龍の首が三つ胴体から生え、身体は溶かした純金の如き神々しい金。巨大な翼を広げ血の様に赤い六個の瞳で睨む姿はまさに(キング)と呼ぶに相応しい怪獣 宇宙超怪獣 キングギドラ。

 

その翔の手持ちたる三体が現れたのに気づき、ダークキラーは不敵に笑う。

 

『来たか正義の怪獣達よ』

 

ダークキラーは三体の方へと向き直し、嬉しそうに両手を広げる。

 

【貴様の目的はなんだ?】

 

『知れた事、我は貴様らと戦いに来たのだ。我は怨念の集合体。光の戦士に敗れ去った敗者達の嘆きと憎悪と恨みの化身である。だが、貴様らは違う。ギャラクトロン、貴様は光の戦士に敗れた。だがその光の戦士に憧れ正義となった。イリス、貴様は守護神に敗れた。だが貴様は新たなる守護神となった。ギドラ、貴様は愛する者を失い邪に堕ちた。だが貴様は光になった。我は貴様らに興味がある。故に我は貴様らと戦いたい』

 

ダークキラーは正義の味方になったギャラクトロン達に興味を持っている様だ。だからこそギャラクトロン達と戦い、彼らの強さを知りたいのだとダークキラーは告げる。

 

『さあ、見せてくれ。貴様らの光とやらを。それを打ち破ってこそ我はタロウを、ゼロを超えられるかも知れぬ』

 

あくまでギャラクトロン達は前座、己が宿敵ウルトラマン……タロウやゼロを倒す為の踏み台でしかない。

 

「へ、ギャラクトロン達とはあくまで興味本位で戦いたいだけで、自分の眼中にないてか!ならその余裕面を崩させてやるよ!そうだろお前ら!」

 

【無論、私達の前に現れた事を後悔させてやろう】

 

(その通りよ、私達を舐めてると痛い目見るて思い知らせてやるわ)

 

《たった一人で我らに勝てるなど笑止。怪獣墓場に送り返してやる》

 

そう息巻くギャラクトロン達と翔。だがダークキラーは全く意に返さず両手にキラープラズマを収束させる。

 

『勘違いするなイリス、ギドラ。貴様らの相手は我ではない』

 

(《なに…?》)

 

ダークキラーは両腕からキラープラズマを大地へと放つ。すると地面に放ったキラープラズマがぶくぶくと膨れ上がり何かを象る。それは二つの巨大な怪物の姿となりそれぞれ異なる姿に変化し始める。

 

「な、なんだ……?」

 

翔もそれに戸惑いを隠せない。だがその異形に見覚えがあるのか心の片隅に引っかかる。

 

やがてキラープラズマは二つの怪獣を作り出した。一体はロボットの様なメカメカしい装甲で覆われた怪獣。両腕は鉤爪、尻尾は二股に分かれている。もう一体はギドラの様に三つ首に分かれ、まさに邪悪の化身 ドラゴンとも呼ぶに相応しい邪悪な顔つきの怪獣。

 

「あいつらは…グランドキング(・・・・・・・)デスギドラ(・・・・・)!?嘘だろ!あいつらは俺達が倒した筈!」

 

『その通り、だが怨念とは不滅。死した後も大地に根強く残っているのだ。特にこの二体の怨念は凄まじいものだ…イリス、ギドラ。貴様らの相手に相応しい敵だろう?』

 

ダークキラーが召喚したのはかつて翔達を苦しませた強敵…宇宙の帝王ジュダが誕生させし最強の怪獣 超怪獣 グランドキング。ギドラの妻 モスラ(レオ)に封印され、後にギドラ達によって引導を渡された邪悪な怪獣 宇宙超魔獣 デスギドラ…死してなおこのツツジ台に怨念というマイナスエネルギーを残し、それをダークキラーのキラープラズマで蘇生させられたのだ。

 

『ふははは!我はジュダ!帝王は決して死なず!あの時はよくもやってくれたな!あの時の雪辱は貴様らの死を持って果たすとしよう!』

 

『ギャハハ!皆さんおまた!御待望のデスギドラ様の復活だぜぇベイベェー!あの時の借り、百倍返しにして返してやんヨォ〜!!』

 

そう叫ぶグランドキングとデスギドラ。グランドキングはイリスへ、デスギドラはギドラへと突進していく。ダークキラーはギャラクトロンの方を向き笑みを浮かべる。

 

『これで三対三だ。卑怯も何もない。さあ行くぞギャラクトロン。貴様の強さを我に見せてみよ』

 

【……正義を執行する】

 

左腕のギャラクトロンブレードを展開し、右腕の砲塔も展開。ダークキラーへと突進するギャラクトロン。ダークキラーはキラープラズマを光弾の様に放つキラークラスタをギャラクトロンへと放つがギャラクトロンは魔法陣でそれらを防御。ダークキラーに接近しギャラクトロンブレードを横に振るう。

 

『甘い』

 

だがダークキラーは左腕に装着されたアイスラッガーの様な武器…デススラッガーを青色に光らせギャラクトロンブレードを防ぐ。そして赤色に光る右腕のデススラッガーでギャラクトロンを斬りつけ、ギャラクトロンの機体に火花が散る。

 

ーーーキィオォオォン!ーーー

 

『ヌゥ……!』

 

ならばと目から赤い光線 閃光光線を発射するギャラクトロン。ダークキラーの身体に小さな魔法陣が出現し爆発が起こる。数歩後ずさるダークキラー。その隙を逃さずギャラクトロンは右腕から雷撃を放ち更にダークキラーを後退させる。

 

『舐めるな!』

 

二つのスラッガーの力を一点に集め、紫の怨念光弾にしギャラクトロンへと投擲。ギャラクトロンは魔法陣を展開して防ごうとするが呆気なく破壊されギャラクトロンを大きく吹き飛ばす。

 

ーーーキィオォオォン!?ーーー

 

『そんなものなのかお前の正義とやらは?さあ、もっと見せてくれ。お前の光を』

 

 

ーーークウウウウゥゥゥ!!ーーー

 

イリスはオーバーブースト・プラズマや超音波メス、シャドウミスト、悪魔の虹、冷凍光線、コロナービームを4本の触手から放ちグランドキングを攻撃する。だがどの攻撃もグランドキングの装甲を傷つけることは叶わない。グランドキングもただ攻撃を受けるだけでなくグランレーザーを放ち、イリスはテレポートで回避する。

 

『無駄無駄無駄無駄無駄!!我肉体にその様な攻撃は一切、通用せぬ!』

 

(……やっぱり防御力だけは最強ね。防御力だけ、だけどね)

 

『無駄口がいつ迄叩けるか見ものだなぁ!』

 

そうグランドキングは防御力だけが厄介なだけで、動きは緩慢で鈍い為ゼットンのテレポートで鉤爪などの接近攻撃は通用しないし、グランビームも回避出来る。ただどちらの攻撃も相手に通用しないだけ…ならば体力が先に尽きた方が負け。そういう意味では怨念であるグランドキングの方が勝算は高い。

 

 

ーーーギャアオオオオォォォ!!ーーー

 

一方キングギドラも顎から放つ引力光線や翼から放つ反重力光線、目から放つ反重力光線 デストロイド

・サンダーをデスギドラに放つがすぐに身体の傷が塞がってしまう。それもその筈。デスギドラは身体がマグマで構成されている為どんな攻撃も意味をなさないのだ。デスギドラは笑い声を上げながら火砕流撃弾や火龍重撃波をキングギドラへと放つ。

 

『ダッヒャヒャヒャ!そんな攻撃じゃあ俺には通用しましェェェーーん!!』

 

《煩いぞ小物。あの時の様に泣き喚いて死ぬがいい三下の雑魚が》

 

『……オッケェ、オマエブチ殺す!』

 

挑発するデスギドラだが逆にキングギドラに煽られて、その挑発に乗ってしまうデスギドラ。馬鹿なのだがその再生力は厄介…果たしてキングギドラはどうやってデスギドラの不死性を突破するのだろうか?

 

 

『フン!』

 

ーーーキィオォオォン!ーーー

 

ダークキラーは両腕のデススラッガーでギャラクトロンに斬りかかり、赤と青の斬撃がギャラクトロンを襲う。だがギャラクトロンも右腕のクローと左腕の巨剣で応戦する。

 

『ダークキラーシュート!』

 

ーーーキィオォオォォォォォン!!ーーー

 

ダークキラーは両手をカラータイマーに重ね、カラータイマーにエネルギーをチャージ。そこからティガのタイマーフラッシュの様に極太の怨念破壊光線をギャラクトロンへと放つ。ギャラクトロンも胸の赤いコアに膨大なエネルギーを収束、炎を吸い込む様にエネルギーをコアに集中させ破壊光線 ギャラクトロンスパークをダークキラーへと放つ。

 

ダークキラーショットとギャラクトロンスパーク。二つの光線が激突しその衝撃した余波だけで町の建物を破壊する衝撃波を生じさせるほど。ダークキラーショットが押したと思えばギャラクトロンスパークが押し返し、それをダークキラーショットが押し返す…それを何度も繰り返す。

 

『ハァァァァァ!!!!』

 

ーーーキィオォオオオォォォォン!!!!ーーー

 

ダークキラーとギャラクトロンは力強く叫びエネルギーを更に光線に送り込む。そして二つの光線は大爆発を起こしギャラクトロンとダークキラーを吹き飛ばした。

 

『ヌゥゥ……!』

 

ダークキラーは踏ん張りをつけて踏み止まりギャラクトロンを睨みつける。

 

『中々やるな、なら我も少しばかり本気を出すか』

 

そう言ってダークキラーは両腕をクロスさせる。そしてダークキラーの体が輝き紫の靄となって二つに分裂。そして紫の体色の邪悪な悪魔の様な風貌のスリムな形態と筋肉隆々な屈強な悪魔の形態へと分裂した。

 

『我はシャドー、ダークキラーシャドー。さあギャラクトロン。お前の正義を見せてくれ』

 

『我はマイト、ダークキラーマイト。さあギャラクトロン。お前の正義を見せてくれ』

 

紫の形態はシャドー、赤の形態はマイトと名乗り上げる。

 

『先ずは我の速さを見よ!』

 

シャドーは超スピードでギャラクトロンへと迫り、剣の様に鋭利となった鉤爪でギャラクトロンを何度も斬りつける。空間を泳ぐ様に飛び回りその高速の乱舞 ダークキラーシャドースウィムをギャラクトロンへと叩き込むシャドー。その余りの速さにギャラクトロンは反応出来ない。

 

ーーーキィオォオォン……!ーーー

 

「ギャラクトロン!?くそ、何で速さだ!」

 

ギャラクトロンは反撃と言わんばかりに雷撃や閃光光線を四方八方に放つが全て避けられてしまう。その隙にマイトがギャラクトロンに迫りその拳をギャラクトロンにぶつけギャラクトロンを吹き飛ばす。

 

『我の拳は如何なる敵も打ち砕く!』

 

ーーーキィオォオォン!?ーーー

 

ギャラクトロンを一方的に攻撃するシャドーとマイト。素早いが高いが火力がないシャドー、力が凄まじいが素早さが低いマイト。互いの欠点を補う様にタッグを組んで戦う二体はまさに無敵だ。

 

「パワータイプは動きが鈍い、スピードタイプは力が弱い。ティガから続くお約束だけど…二体に分裂して欠点を補うとか反則でしょ…」

 

アカネはダークキラーの狡猾さに内心で驚愕する。ダークキラーという敵の恐ろしさは凄まじい。単に強いだけでなく知能が高い為あらゆる対策を練って攻撃を仕掛けてくる。遠距離攻撃では魔法陣に防がれる。なら接近戦を行おうとシャドーとマイトの姿に変え、シャドーでギャラクトロンを困惑させマイトで一気に畳み込む。その頭脳の高さといい戦闘力といい…今までの敵の中でも上位に入る。

 

『さあ、これでトドメだ』

 

マイトは片手にエネルギーを集め、巨大な光弾を形成する。ギャラクトロンは回避しようとするが背後に現れたシャドーに羽交い締めにされ身動きを封じられた。

 

「ギャラクトロン!?」

 

【クッ………!】

 

ギャラクトロンは拘束を振り解こうとするがシャドーは離れない。その隙にマイトは巨大光弾 ダークキラーマイトシェルを形成し終えてしまう。

 

()ね!』

 

そう叫ぶと共に光弾に拳をぶつけ、光弾を未だに身動きの取れぬギャラクトロンに向けて放ったのだった。

 

 

『グハハハ!痛快痛快!地獄に落ちて身の程を知るがいい!』

 

ーーークウウウウゥゥゥ!ーーー

 

『デュハハハ!ギドラさんザッコ!マジで雑魚ですやん!』

 

ーーーギャアオオオオオォォォ!ーーー

 

グランドキングとデスギドラの猛攻にイリスとキングギドラは防戦一方だ。アンチ・プラズマ・フィールドでグランドキングのグランレーザーの軌道を逸らし、デスギドラの攻撃をキングギドラは虚空の王の力で軌道を捻じ曲げた。追い込まれたイリスとキングギドラは背中になる。

 

(……用意はいいギドラ?)

 

《ああ、行くぞイリス》

 

だがそれこそがイリスとキングギドラの秘策。イリスはジーン・スナッチャーを開けるとキングギドラをその中に吸収する。

 

『『な、吸い込んだ、だと!?』』

 

その事に驚くグランドキングとデスギドラ。その隙に二人は融合を終える。

 

その姿は全体的にはイリスに似ているが両肩からギドラの左右の首を生やし、背には翼の代わりである4本のテンタクランサーが小刻みに揺れる。単眼は爬虫類の光る双眸となっており、右はイリスのイエローアイ、左はギドラのレッドアイとオッドアイへと変化。二又の鋭利な尻尾が生えている。この姿こそイリスとギドラが融合した最強形態 天空超神龍 イーリスドラだ。

 

ーーークウゥギィヤオオオォォォゥゥッ!!ーーー

 

イーリスドラは誘導テレポートでグランドキングとデスギドラを自分の付近に転移、そして左右の首からオーバーブースト・プラズマと反重力光線 デストロイド・カイザーを融合させた光線 デストロイド・オーバーブースト・ハイプラズマを放ちグランドキングとデスギドラの身体に火花が散る。

 

『『ギャァァァァァ!!!?』』

 

叫び声を上げるグランドキングとデスギドラ。だがこれでは終わらない。テンタクランサーから紫の放電光線 デストロイド・オーバーブースト・サンダーを放ち二体の全身を電流で痺れさせる。

 

ーーークウゥギィヤオオオォォォゥゥッ!ーーー

 

胸のジーン・スナッチャーを開き、そこにエネルギーを収束。大技を放つ準備をするイーリスドラ。

 

『クッ……!調子に乗るな!』

 

『痛えなァ!ぶっ殺してやる!』

 

グランドキングは惑星を三つ貫けると言われるほどのグランレーザーを全力で放ち、デスギドラも炎龍旋風撃波を放ってイーリスドラを倒そうとする。だがイーリスドラはエネルギーのチャージを終え、胸から赤と黄金の二重螺旋状の必殺光線 オーバーブースト・デストロイド・エンドを放ち二体の必殺技を軽々と押しのけて二体を光線で飲み込む。

 

『ば、馬鹿なァァァァァァ!!?こ、この宇宙の帝王であるジュダがまたしても怪獣如きにィ!?』

 

『グギャァァァァァァァ!!!!?この俺様が、また負けるなんて…ち、チクショウがァァァ!!』

 

二体は光線に飲み込まれ断末魔を上げながら消滅、再び地獄へと帰った醜き者共の末路を見届けイーリスドラは勝利の咆哮を轟かせる。

 

 

巨大な光弾がギャラクトロンに迫る、シャドーに羽交い締めにされ身動き一つ取れず為すすべもない…だが、翔はバトルナイザーを強く握りしめ叫ぶ。

 

「負けんなギャラクトロン!」

 

【了………解!!】

 

『ムゥ!?』

 

相棒(ギャラクトロン)に叱咤激励する翔。その言葉を聞いてギャラクトロンは全身にエネルギーを送りシャドーの拘束を力で強引に解く。そして右腕をロケットパンチの様に切り離し雷撃を放って光弾を破壊、そのまま右腕をマイトの顔面に激突させる。

 

『グオォ!?』

 

顔面に拳を喰らい、顔を左手で押さえながら後方へと後ずさるマイト。

 

「今だ!パワーアップするギャラクトロン!」

 

【来い、ギャラクトロンカリバー】

 

ギャラクトロンは虹の聖剣 ギャラクトロンカリバーを手に取り、ギャラクトロンmk2へとバージョンアップ。後頭部に接続していた巨大な斧 ギャラクトロンベイルを切り離し左手で握りしめ、シャドーへとギャラクトロンベイルを投擲する。

 

『フン!』

 

シャドーは右腕を大きく振るいギャラクトロンベイルを弾き飛ばす。ならばとギャラクトロンはギャラクトロンカリバーのホイールを回し嵐のエレメントを解放し、必殺技を放つ。

 

【シュトゥルムキャリバーン!】

 

荒れ狂う雷撃纏し暴風をシャドーへと放ち、シャドーを暴風で包み込み空の彼方へと電撃を浴びせながら吹き飛ばす。

 

『グォォォォォォ!!!!?』

 

『ヌォォォ!!?』

 

シャドーを暴風で包んだまま上空から叩き落とし、マイトへと激突。暴風と雷撃、シャドーを同時に叩きつけられ流石のマイトも苦しげな声を上げる。

 

【フリーズコールブランド!】

 

ギャラクトロンは氷のエレメントを解放、剣を上空へ突き上げる様に振るい、巨大な氷槍の波がシャドーとマイトへと襲いかかる。

 

『氷塊如きで我を倒せるとでも思ったか!』

 

何本もの氷柱の槍を拳で破壊するマイト。シャドーは体勢を整え超スピードでギャラクトロンへと接近する。

 

【キャニオンカレトヴルッフ!】

 

岩のエレメントを解放。地面へ剣を叩きつけ、岩石をシャドーへと雨の様に降り注がせる。シャドーはそれを超スピードで回避し続ける。そしてギャラクトロンの懐に入り込み鉤爪を叩き込もうとしたその瞬間。

 

【イグニスカリブルヌス!】

 

『なに!?』

 

ギャラクトロンカリバーから二体の炎の龍が出現しシャドーに絡みつく。身動きが取れなくなったシャドーにギャラクトロンは無慈悲にも必殺技を放つ。

 

【ギャラクトロンハイパースパーク!】

 

胸のコアから放たれる極太のギャラクトロンスパーク。光の奔流はシャドーを飲み込み存在を消失させる。

 

『シャドー!?おのれ!!』

 

マイトはギャラクトロンへと拳を振り上げながら迫り来る。だがギャラクトロンは右手にギャラクトロンカリバーを、左手にギャラクトロンベイルを構えマイトの両拳とぶつかり合う。

 

『ヌン!フン!デャアッ!』

 

ーーーキィオォオォォォォォン!ーーー

 

ぶつかり合い、衝撃音を響かせる剣と斧、拳。肉体と武器の激突。両者共に一歩も退かぬ攻防。光線などの技は不要。マイトは拳で、ギャラクトロンは武器で互いを攻める。

 

『喰らえ!』

 

ーーーキィオォオォン!ーーー

 

マイトは拳にエネルギーを纏ってギャラクトロンを殴りつけようとする。ギャラクトロンはそれを剣でいなし、斧でマイトの身体を斬り裂き火花を散らす。

 

『ヌゥ…!』

 

「今だギャラクトロン!蹴り飛ばせ!」

 

ーーーキィオォオォン!ーーー

 

怯んだマイトに右脚で蹴りを放つギャラクトロン。マイトは対処が遅れそのまま蹴り飛ばされ更に後ろへと下がる。ギャラクトロンはそのままギャラクトロンベイルを投擲。

 

『フン!』

 

だが右拳でギャラクトロンベイルを明後日の方へ吹き飛ばされてしまう。だがギャラクトロンは剣を両手で握り上空へと跳躍。斧を吹き飛ばした事で安堵したマイトの一瞬の油断をついてマイトの身体を両断した。

 

【……リセット、完了】

 

ギャラクトロンはそう告げて爆散したマイトに背を向ける。

 

「ふぅ……勝ったな」

 

翔もダークキラーを完全に倒したと安堵し、息を吐いたその瞬間。アカネはギョッとした目で上空を見入る。

 

「まただよ内海君!ほら、上を見て!」

 

「なに…!?」

 

上空に何か黄金のリング、またはゲートの様な物体が形成されている。そして空は闇で覆われていた筈なのにいつの間にか黄金色の靄がツツジ台を覆っていた。

 

「な、なにが起こったんだ!?」

 

ーーーキィオォオォン!?ーーー

 

ーーークウウウウゥゥゥ!?ーーー

 

ーーーギャアオオオオオォォォ!?ーーー

 

当然の出来事にギャラクトロンもイリスもキングギドラも戸惑いを隠せない。

 

『……まだ、だ…』

 

「!?い、今の声は!?」

 

何処からか声が聞こえた。翔は空を見上げる。空の上に黄金の光が収束し何かを象ろうとしていた。

 

『もっとだ…』

 

形成されたのは鎧の如き外骨格と胸のカラータイマーが黄金に輝き、背部にはダークキラー時に両腕にあったデススラッガーで構成された翼が後光の様に輝いている。

 

『もっと…貴様達の正義()を見せてくれ!』

 

強烈な威圧感と神秘的な荘厳な雰囲気…相反する二つを重ね持つ存在。それは正に神。魔人(・・)ではなく魔神(・・)。思わず跪きたくなる様な神々しい存在だった。

 

『我はデルタ。ダークキラーデルタ。さあ、お前達の全てを示せ』

 

これぞダークキラー最強形態 デルタ。その強さは並みのウルトラマンでは相手にならない。その強さはウルトラマン ゼロに匹敵する。

 

(やっこ)さんも全力て訳か…よし!ギャラクトロンも必殺技をぶち込んでやれ!」

 

ーーーキィオォオオォォォン!!ーーー

 

ギャラクトロンは全エレメントを解放し、最強の必殺技であるシュープリームエクスミニアドをデルタへと放つ。その虹の奔流がデルタへと襲いかかるがデルタはカラータイマーにエネルギーをチャージ。極太の黄金の怨念破壊光線 ダークキラーデルタショットを放ち、シュープリームエクスミニアドとぶつけ…黄金の光線が虹の奔流を押し返す。

 

「「な!?」」

 

ーーーキィオォオォン!?ーーー

 

あのギャラクトロン最強の必殺技を押し返した。その事実に翔とアカネは目を見開く。そのまま虹を押し返し黄金がギャラクトロンの身体に命中し、ギャラクトロンは派手に火花を散らしながら吹き飛ぶ。

 

「ギ、ギャラクトロン!?」

 

ギャラクトロンは吹き飛ばされながらもヨロヨロと起き上がる。デルタは形成した黄金のゲートの柱の上に立ち、ギャラクトロンを見下す。そして左手に火球 デルタクラスターを形成しギャラクトロンへと投擲。何とか魔法陣でガードするギャラクトロン。

 

ーーークウゥギィヤオオオォォォゥゥッ!ーーー

 

ギャラクトロンを支援する為オーバーブースト・プラズマや圧縮したブラックホール弾を放つイーリスドラ。それを両手から発生させた緑色の細かいシールドを収束させたバリアで防ぐデルタ。デルタは指で宙をトントンと突き、指で突いた空間から小さな火球を形成、それを地上にいるギャラクトロン達へと放つ。

 

《(【グッ………!!】)》

 

火球が地面に炸裂し、火花が飛び散り爆煙で街が覆われる。イーリスドラも融合が解け、元のイリスとキングギドラに戻ってしまう。それを見て翔は確信したデルタは先程のダークキラーやマイト、シャドー、グランドキング達の比ではない。下手をすればババルウに匹敵する力を秘めている。

 

「…確かにお前は強い。だけど俺達は負けない。そうだろお前ら」

 

ーーーキィオォオォン!ーーー

 

ーーークウウウウゥゥゥ!ーーー

 

ーーーギャアオオオオオォォォ!ーーー

 

確かに一体一体の力ではデルタには及ばないかも知れない。だがギャラクトロン達が力を合わせれば勝てる。三体は翔の言葉に頷くと空へと飛翔し上空の黄金のゲートを目指す。

 

『……来たか』

 

ゲートの端にある二つの柱の内の一本に不動立ちするデルタ。ゲートへとやって来たギャラクトロン達を見て不敵な笑みを浮かべる。

 

『最初はお前達を単なる手慣らしの相手と見ていたが……どうやらタロウやゼロにも劣らぬ強者だった様だ。前菜のつもりがメインデッシュを引いてしまったということか』

 

予想以上の強さを見せたギャラクトロン達に賞賛の言葉を送るデルタ。その言葉と共に胸にエネルギーを集中させ、再び光線の発射準備を行う。ギャラクトロンはデルタが佇む柱の反対側の柱に立ちギャラクトロンカリバーを構える。

 

『だが、もっとだ。もっと貴様らの正義を、光を見せてくれ』

 

【言われるまでもない…私達が正義の名の下に貴様を地獄に送り返してやる】

 

『やれるものならやってみろ!』

 

ギャラクトロンも再びシュープリームエクスミニアドを放つチャージを行う。そしてイリスは胸部のジーン・スナッチャーを開きそこから自分のエネルギーを、キングギドラは三つの顎から自身のエネルギーをギャラクトロンへと供給。一体の力ではデルタに敵わないのなら三体の力を合わせればいいだけ。

一人はみんなのために(ワンフォーオール)みんなは一人のために(オールフォーワン)。三体の力でデルタを倒そうとしているのだ。

 

『ほう…?』

 

デルタはそれを見て面白いものを見た様な顔をし…そのままダークキラーデルタショットをカラータイマーから放つ。ギャラクトロンも宙に弧を描き虹の奔流を剣先から解き放つ。黄金と虹。再び二つの光線が激突。

 

『ヌォォォォォォォォ!!!!』

 

ーーーキィィオォオオオォォォォォン!ーーー

 

その咆哮を轟かすデルタとギャラクトロン。黄金が押せば虹も押し返し、虹が押せば黄金が押し返す。そんな幻想的な破壊を齎す光線が織りなす応酬にツツジ台の人々は魅了される。先程と違いギャラクトロンのシュープリームエクスミニアドが押し返される事はない。イリスとキングギドラの力で威力が何倍にも増幅されているからだ。

 

『……素晴らしい、素晴らしい!これがお前の、お前達の光なのだな!眩しい、太陽の様に…だからこそ、我ら貴様らに勝つ!勝って今度こそ光の戦士達を倒す!』

 

【無駄だ…!貴様の野望はここで終わる!何故なら私の正義が…私達の正義がここで貴様という悪を絶つからだ!】

 

『ならばやってみせろ!』

 

そう力の限り叫ぶデルタ。その叫びと共に黄金の破壊光線の勢いが更に上がり徐々に虹の光線を押し返していく。

 

「負けんなギャラクトロン!お前の正義をあいつに見せてやれ!」

 

「負けないでギャラクトロン!貴方の力はこんなものじゃないんだから!」

 

(そうよ!だって貴方は一人じゃない!私達がいるんだから!)

 

《そうだ!我々は一心同体!共に歩む仲間なのだから!》

 

翔はバトルナイザーを力強く握りしめながらアカネと共に叫ぶ。仲間の叱咤激励を聴きギャラクトロンもシュープリームエクスミニアドの威力を更に強化する。

 

「頑張れロボット!俺達の街を守ってくれ!」

 

「負けないでメカドラゴンさん!」

 

「信じてるぞ、あの巨人から俺達を守ってくれた時みたいに今回も助けてくれるんだろう!」

 

「がんばってーロボットさん!僕達もおうえんしてるよ!」

 

大人が、子供が、男が、女が、老人が、ツツジ台の全員がギャラクトロンの勝利を信じていた。その応援が光となってギャラクトロンはシュープリームエクスミニアドに更にエネルギーを供給する。やがて虹が黄金を押し返し虹がデルタに迫り…黄金を完全に押しのけてデルタの身体にシュープリームエクスミニアドが命中した。

 

「「いっけっぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」」

 

ーーーキィオォオオオオォン!!!ーーーー

 

翔とアカネの叫びが木霊する。ギャラクトロンの眼が赤く光り力の限り咆哮をとどろかす

 

『……これが、お前達の……正義()…か。これは正しく…タロウ、達と同じ…ふ、つまり我はまた光の戦士に敗れたというわけか』

 

自嘲気味に呟くデルタ。そんな彼の目は血の様に赤く染まった目では無く…澄んだ海の様に鮮やかな青い目をしていた。

 

『……今回は我の負けだ。だが、次に蘇った時は…必ず勝つぞ。その時まで精々我以外に負けるなよ』

 

そう呟いてデルタは爆散。ツツジ台を覆っていた黄金の靄も消えていきギャラクトロンが立っていた黄金のゲートも消滅してしまった。

 

ーーーキィオォオォン……ーーー

 

ーーークウウウウゥゥゥ……ーーー

 

ーーーギャアオオオオオォォォ……ーーー

 

ギャラクトロン達は疲れ切った声を出しながらバトルナイザーへと光となって戻っていく。

 

「……いや、もう二度と蘇んな。本当マジで」

 

翔のそんな呟きはツツジ台の人々の勝利を喜ぶ歓声に掻き消された。

 

「お疲れさん。ゆっくり休んでくれよな」

 

翔はそうバトルナイザーを優しく撫でた後懐に入れる。そんな様子をアカネはニコニコと笑いながら見ていた。

 

「……やっぱさ、翔君て主人公ぽいよねぇ」

 

「いきなりなんだよ藪から棒に」

 

「いや別に?ただ改めて思っただけだよ。君だから私は勝てなかったんだな〜てね」

 

翔みたいな人物(ヒーロー)だからこそ、自分(ヴィラン)は勝てなかったのだ。改めてそれに気づいたアカネはにっこりと笑う。

 

「……まあ、お疲れさん。今日は私がご飯作ってあげようか?疲れてるだろうし」

 

「いや、俺が作るよ。頑張ったのは俺じゃなくてギャラクトロン達だしな。それにアカネの料理て見た目も味も最低じゃん。虫の餌以下だよあんなの」

 

「は?キレそう」

 

そんな激しい戦闘の後だとは思えぬ程の軽い会話があった。

 

 

 

『なんだ…ダークキラーはやられてしまったのか。折角光の国を攻めるのにいい手駒だと思ったのに…残念だ』

 

とある謎の空間…魔法空間にて紫のオーラに覆われて姿が視認出来ない謎の巨人がそうぼやいた。そう彼こそがあのダークキラーを復活させた張本人なのだ。

 

『それにしても内海 翔か…気に入らない。怪獣との絆だと?また絆か……反吐が出る。絆、絆、絆……煩いんだよ』

 

そう憎々しげに呟く巨人。そしてふと背後に気配を感じ巨人は背後を振り返る。

 

『おや?まさかこんな所で貴方とお会いするとは…そういえば顔合わせは初めてでしたね』

 

そうその巨人がとぼけた様に話しかけた相手は銀色の巨人……初めて光の国から生まれた犯罪者でありジードの父 ウルトラマン ベリアル(アーリースタイル)だった。その背後には彼の部下であるジャタール達 ダークネスファイブも控えている。

 

『ふん、俺の次に生まれた犯罪者だからとどんな奴かと思えば…ナヨナヨした若造じゃねえか』

 

『ふふふ、貴方の方は見かけと同じ随分と育ちが悪そうですね』

 

ベリアルはウルトラマン キングから託されたかつての自分な武器 ギガダークナイザーを模した武器 ギガウルトラナイザーを肩に担ぎ巨人を睨んでいた。

 

『俺が罪を償う条件として出されたのはたった一つだけ。『もう一人の光の国の犯罪者を捉えてこい』

…つまりお前をとっ捕まえろて事だ。なあ、ウルト(・・・)ラマン(・・・) トレギア(・・・・)。ケンの息子 タロウの元 親友とやら』

 

『……タロウ(その名)を出すな』

 

ベリアルの言葉と共に闇のベールが剥がれ、頭部に青い仮面をつけ、全身に拘束器具を装着した青色の巨人 ウルトラマントレギアがその姿を現す。彼はタロウの言葉を聞くと不快感を露わにしベリアルを睨む。

 

『……ここで貴方とやり合うのもいいが、生憎私は残業をしない主義でね。帰らせてもらう』

 

トレギアは指を鳴らすと彼の背後に五個の魔法陣が展開されそこから五体の怪獣が咆哮を轟かせながら出現する。

 

『この怪獣達は……ヘルベロスにナイトファング、セグメゲル、ゴロサンダー、ギガデロス!?』

 

『陛下!あいつ逃げる気だぜぇ!?』

 

スライが怪獣達の名を叫び、グロッケンが慌てた様な声を上げる。デスローグもオロオロし始めジャタールとヴィラニアス、タイラントも怪獣達が現れた事に混乱する。

 

『では御機嫌よう』

 

『逃す訳ねえだろうが。スライ!ジャタール!ヴィラニアス!グロッケン!デスローグ!タイラント!ここは任せたぞ!』

 

『は!お任せください陛下!』

 

『ヒャホホホ!我らにお任せあれ!』

 

『我輩とタイラントにかかれば雷撃獣神なぞ恐るるに足らず!』

 

『ギャオオオォォォォ!(ここは任せて、ベリアルおじさん!)』

 

『了解!ここは任せて陛下はあの変態野郎を追ってくれ!』

 

『グオォォォォォ!!!』

 

ダークネスファイブ達に怪獣達の相手を任し、ベリアルは魔法空間から宇宙空間に逃げ込んだトレギアを追跡する。果たしてベリアルはトレギアを捕まえる事が出来るのか?それはまた別の話である。

 

 

 

こうして翔達の知らぬ所でも悪は動いている。もしかしたら…その悪は翔達が住む地球にやって来るかも知れない…だが心配は要らない。何故なら彼らが住む星には…正義の味方(ギャラクトロン)がいるのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




如何でしたか?ダークキラーだけでなくシャドーやマイト、デルタの様なマイナーな形態からかませ…デスギドラやグランドキングの再登場は?楽しんで読んでいただけたなら嬉しいです

そして一番重要なお知らせです!今日の9時…つまり一月一日の9時に僕の新作の大怪獣バトル物 「その日少女は怪獣に出会った」を投稿する予定です!原作は勇者であるシリーズの一つ「乃木若葉は勇者である」で、主人公はその登場人物の高嶋友奈ちゃん。そして相棒は皆大好きガメラです。この作品ではギャラクトロンの必殺技は光線主体だったので今度は格闘主体をコンセプトにしてます。つまりガメラがバニシング・フィストで怪獣を殴り倒す。勿論プラズマ火球も撃ちますよ!もし宜しければ見てくださいね!

では皆さん、新年明けましておめでとうございます!今年もよろしくお願いします!

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