Dream Shout   作:Re:GHOST

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お久しぶりです!レミリア親衛隊です!

他作品の後書きにも書いたように、紗夜の小説も書くことにしました!(他作品の方はもう1話上げるから、少し待ってて欲しいです)

今回は、シリアスチックでダークな雰囲気のお話となっております。

光があれば、影もある。どん底にいたって、諦めなければきっと道はある。そんなことを感じ取ってもらえれば、幸いです。



理想と現実

 

『お父様、お母様、先立つ不孝をお許しください』

 

 僕が初めて遺書を書いて感じたことは、哀愁だった。1文字1文字、遺書を書き進めていく度に、生への執着が消えていくのがわかる。いつしか、書き始め時には震えていた手が、スラスラと達筆で、字を書く事が出来るようになっていた。

 

『いじめなどではありません。ただ、生きる理由がわからなくなったのです。ただそれだけで、と笑う人もいるでしょう、でも私にとっては、死のきっかけとして充分すぎます』

 

 思えば、高校生活で僕の全部がぶっ壊れた。夢も希望も、あまつさえ生きる意味まで、彼女に奪われてしまったのだから。彼女のあの小説で全てを悟った。僕の努力は、ちっぽけなものだったと。本物の秀才には勝てないのだと。

 

 学校の屋上でそんなことを考えていたら、30分が経過していた。まぁ、これから自殺するって時に、直ぐに死ねたら、飛び降りなんてとっくにしている。

 

 つまり、僕は

 恐怖してるんだ。死の恐怖を感じているんだ。

 

 足が肌寒い。自殺者は飛び降りる前に靴を揃えるとネットで見た。だから、郷に入っては郷に従え.........ではないが、僕は靴を脱いでいて、今は裸足だ。靴下を履くのはなんだか、かっこ悪い気がして、脱いでしまった。今思えば、死後のことなんて知ったことじゃないんだから、脱がなくても良かったかもしれない。

 

 .........こんなことに頭が回るってことは、僕は冷静なんだな。恐怖なんてしてない、僕は自分にそう言い聞かせる。

 

「.........さて、飛ぶか」

 

 覚悟は決まった。後は、実行するだけ。

 

 手すりを乗り越え、数センチしかない縁に立つ。下を向いたら目がくらむほどの高さ.........なわけはないが、とても怖かった。普通に人が落ちたら死ぬ高さ、これが怖くないやつは異常者か訓練された者だけだろう。僕は前者でも後者でもない一般人なので、当然怖い。

 

 .........怖いが、もう後戻りは出来ない。両親への感謝はもうした。遺書も書いた。死ぬ前の準備は全部したんだ、だから、もう引けない。

 

 でも、もしわがままが許されるのなら.........

 

 本当に神様という存在がいるのなら、来世は.........

 

「クソッタレの神様へ、俺はあんたが大っ嫌いだったよ」

 

 幸せな人生を送りたいです。

 

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「追いつくなんて、そんな生半可な覚悟じゃだめ。追い越すくらいじゃないと.........」

 

 放課後、静寂に包まれた音楽室に、ギターの音が響き渡る。奏者は綺麗な美少女。

 

 この少女の名は「氷川紗夜」俗に言う、才能溢れる人間だ。学力はトップクラス。風紀委員も務め、ギターの腕前も一流と、非の打ち所のない、非凡な才能を持っている。

 

 そんな彼女が1人、何をしているのか.........それは、自主練だ。彼女は練習こそ、プロへの近道と考え、日夜、練習に励んでいる。

 

 .........でもそれは建前。本音は、妹に、自分に負けたくないという負けん気から練習しているのだ。練習量は日に日に増え、ハードスケジュールと言っていいほど、彼女の練習時間は多い。全ては、自分の存在を認めさせるため。自分の未完成な音を、完成させるため。

 

「私の音じゃ、誰も聞いてくれないの.........?」

 

 だが、彼女はまだ知らない。この孤独の旋律が、1人の自殺志願者を救ったことを.........

 

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「.........あ、帰るか」

 

 結果から言って、僕は死んでない。いや、死ぬ気はあったのだ。というか、「あれ」がなかったら確実に飛び下りていた。

 

「あれ」とは、飛び降りる瞬間に聞こえてきたギターの音だ。僕はそれに夢中なり、聞いていたら、もう夕方というわけだ。

 

 しかし、綺麗な音だった。さぞ演奏者も、綺麗な人なんだろうな。

 

 .........はぁ、なんかシラけちゃったし、死ぬなんて馬鹿なこと、やめよっと。録り溜めしてあるアニメも消化してないし。

 

 自分でも思うが、僕はこれほどまでに淡白な性格だっただろうか。小学生までは普通に明るかったと思うが.........まぁいいや、腹減ったし、帰ろ。

 

「人生について書きたいなら、まず生きなくてはならない.........か」

 

 .........なーんでこんなことも忘れてたんだろうな。

 

「よし、久しぶりに挑戦してみるか」

 

 僕は今日、夢の続きを追いかけることを決めた。ギターの旋律が、背中を優しく押してくれた気がしたから。




改めまして、レミリア親衛隊です!久しぶりの人はお久しぶりです!お初の人は、よろしくお願いします!

当作品では、BanG Dream!の氷川紗夜に焦点を当てていきたいと思っています。ひたむきに頑張る彼女の魅力をお伝えできたら.........なぁーんて考えてます!

では、今回はこの辺で。

お読みいただき、ありがとうございました!


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