堕天使=可愛いの方程式が成り立つのである。
Roseliaのドラム担当も、今話題のスクールアイドルの子も。堕天使は可愛いのです。
なんだこの前書き。
では、本編どうぞ!
「あこ、この人怖い!」
「そんな事言わないでさ、ほら、おいで?」
「紗夜さーん!助けてー!?」
「何をしているんですか、西上さん.........」
底冷えするような、僕が恐怖を覚える声色で話しかけてくるのは、僕の大切な人。仲間であり恋人未満であり、好きな人だ。そんな紗夜がなぜ怒っているかと言うと.........正直言ってわからない。
まずRoseliaのドラム担当の子が勉強を教えて下さいと、紗夜に頼んだ。その話を聞いた僕が勉強なら任せろと意気込み、無理やりついてきた。ここまでいいな?それで、集合場所のファミレスに来たら、とんでもなく庇護欲を唆られる紫ツインテの子がいたからナンパ(僕としてはナンパという気持ちは一切ない。ただお話したかっただけだ)しようとしたら、紗夜に怒られた。事の顛末はこんな感じだ。まぁ、まだ事は終わってないから顛末と言うよりかは、プロローグという表現の方がいい気がするが。
「何してるって.........見てわかるとおり、見てわかるとおり?何してんだろ僕」
「何をしているのか分からなかったから、聞いたんですよ」
「紗夜さん!誰なんですか、この人!?」
「変態よ」
「変態なんですか!?」
「おい待て氷川。僕は変態じゃないぞ」
「どの口が言ってるんですか」
「この口だよ。ったく.........今日は勉強教えに来ただけなのに変態扱いされるなんて、あんまり過ぎるだろ」
この言葉を言った瞬間、天使ちゃん(命名は僕)の目の色が変わった。とても驚いた様子で僕の方をチラチラと見ているが、とても照れるので是非とも止めて頂きたい。
「勉強って.........もしかして、あこ。この人に教えて貰うの!?」
「そうよ、宇田川さん」
「え、氷川。Roseliaのドラム担当ってこの子なのか?」
「そうよ、変態さん」
実にこの差である。紗夜には後で、ベッドの上で泣きながら謝り倒してもらうとしよう。
「あこ、今日は数学の勉強って聞いてたのに、変態さんのお話聞かなきゃいけないの.........?」
元気そうな子なのに、後半は徐々に声量が小さくなり、遂には泣きだしそうになってしまった。涙が溜まっている紫がかった赤い瞳は、とても綺麗で魅力的だ。.........食べてしまいたいくらいに。
「あーあこちゃん.........だっけ?大丈夫だよ、お兄さん優しいから」
「ぐすんっ.........ほんと?」
「ああ本当だとも。ほら、氷川ともこんなに仲良し」
「触らないでください」
仲良しの証明として紗夜の肩に手を置いたら払い除けられてしまった。バシッと言う効果音が鳴りそうな勢いでやられたので、結構痛い。
「ほんとに仲良いのかなぁ.........」
「あ、あははははは」
泣いていたと思えば、次は疑いのジト目を向けてきた。随分と表情が豊かな子だな、紗夜とは大違い......では無いな。紗夜、怪人二十面相レベルで七変化するから。どんだけ変化するんだよ、カメレオンかよ。と、一人で元気にノリツッコミしないと平静を保てないくらい、この場に僕の居場所は無い。
「まぁいいや!あこ、ちょっとトイレに行ってくるので、その間に仲直りしておいて下さい、紗夜さん!」
「ええ、行ってらっしゃい、宇田川さん」
「あ、ああ行ってらっひゃい」
宇田川さんがトイレに向かい歩き始めると、僕の隣に座っていた紗夜が距離を詰めてきた。因みにさっきまで僕らの間にはマリアナ海溝程の、深い深い溝があった。
「ねぇ、分かっているの?」
「何がだよ」
「何がだよ、じゃないわ!」
「痛った!」
この野郎、ヒールで足踏んで来やがった!.........まぁ、からかった僕が悪いのだけれど。多分こいつは、嫉妬しているんだ。僕があこちゃんに現を抜かしていたから、ご立腹なんだろう。だから、この場は取り敢えず.........いや、全力で謝るとしよう。さっきまで紗夜を謝らせるとか言ってたのに、このザマ。これは流石に心にくるものがある。
「悪かった、紗夜」
「何がよ」
「僕があこちゃんにデレデレしてたから気に入らなかったんだよな。それは本当に悪いと思ってる。僕が好きなのは紗夜だけだから」
「.........そんなこと言われたら、嫌いになれないじゃない。バカ」
紗夜が瞳を潤ませ、こちらに顔を近づけてくる。頬は紅潮し、吐息も心做しか荒い気がする。これが、僕しか見れない紗夜の劣情。他の人でも妹でもなく、僕だけが見れる、特別な物だ。これだけは、誰にも渡さないと誓える。
「んんっ.........んあっ.........ねぇ、龍樹。もっ.........とぉ.........」
──だから僕は、唇を重ねた。とてもとても甘い、果実の様な味がする。紗夜の声が、僕の本能に揺さぶりをかけて止まないから、僕も止まることが出来ない。
しかし、これは不味いだろう。少し奥まった所にある席とはいえ、ここは公共の場だ。そして、あこちゃんがいつ帰って来るかもわからない。中断しなきゃいけないのは頭ではわかっているのだ。でも、わかっているけど、出来ない。だって僕達は「悪い子」だから。発見されるリスクと快楽を秤にかけて、その状況を楽しんでいる「悪い子」だから。
(これじゃ、どっちが変態かわかったもんじゃないな)
「ふぁ.........んぅ.........」
だけど、そろそろ終わりの時間だ。あこちゃんに嫌われてしまってはこの後の勉強会どころか、その先の人生にも影響が出てしまう恐れがある。それは阻止しなければならないので、僕は紗夜に目配せで終わりを示した。
「はぁ.........はぁ.........家に帰ったら続きをお願い」
「それは、僕からもお願いするよ」
「あれ!さっきより近くなってる!仲直り出来たんですね、紗夜さん!」
僕達が唇を名残惜しそうに離してから、10秒ほどだろうか。トイレに行っていたあこちゃんが、帰ってきた。.........もしキスをやめていなかったらと思うとゾッとする。
「ええ、問題ないわよ、宇田川さん」
「良かったぁ.........じゃあ、勉強お願いします!え〜っと.........」
あこちゃんが僕の顔を神妙そうに見つめてくる。大方、僕の名前がわからなくてどう呼んだらいいか困惑しているのだろう。僕は基本的に、紗夜以外には意地悪では無いので、ちゃんと教えてあげる事にしよう。
「僕は西上龍樹。よろしくな、あこちゃん」
「龍樹さんですね!すっごいカッコイイ名前!あこ、そういうの憧れちゃいます!」
「あはは、じゃあ早速始めようか。勉強したいページ開いて?」
「わっかりました!」
こうして、勉強会.........というか、あこちゃんとの授業は、恙無く進行した。帰り際にあこちゃんが、「これで成績アップ!お姉ちゃんに褒められるぞー!」と喜んでいたので、概ね今回の目的は達成したと言えるだろう。
でも、僕は見逃さなかった。最後にあこちゃんが喋った時に、紗夜が苦しそうな顔をしていたのを。でも、前に二人組の女の子を見かけた時よりかは、幾分楽そうな顔をしていたので、少し進歩したと言えるだろう。
まぁ、これを支えてあげるのが、僕の仕事だ。紗夜が無事に、日菜ちゃんと仲直り出来るように、僕が寄り添ってあげないと。
そう決めた僕は、ゆっくりと紗夜の手を取り、強く握った。紗夜は少し驚いていたけど、優しく握り返してくれた。僕は、こんな幸せがずっと続けばいい.........なんて、子供じみたことをこの時、考えていた。
めっさ長くなってしまいましたね笑 Roselia登場とはあこちゃんの事でした!そのうち友希那は勿論、リサ姉とりんりんも登場します。てかさせます。
最後に紗夜が辛そうにしたのは、あこちゃんの巴に対する気持ちに、心がぐちゃぐちゃになってしまったということです。紗夜は姉と仲良くしているあこちゃんに、憧れなどを抱いているんですよね。(この小説では)
意外と細かい心理描写など心掛けているので、読み解いてくれたりなんかしてもらえたら、とっても嬉しいです!
では、今回はこの辺で。
お読みいただき、ありがとうございました!