Dream Shout   作:Re:GHOST

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今までの話の中で、一番鬱シナリオです。先に言っておきます、かーなーりーやばいです。でも、ここまで読んでくれた読書の皆様なら、ちゃんと読んでくれると信じてます!笑

では、本編どうぞ!!


僕がいるよ

「なん.........で?誰も見てくれないの.........」

 

「皆、死ねばいいのよ.........」

 

「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい」

 

 紗夜は時々、僕の家に泊まりに来ては、寝言で世界や妹を恨む。若干喋れているところを見ると、眠りが浅いのだろう。可哀想に、心から僕はそう思う。

 

 今、僕の腕の中で眠る彼女は、膝を抱え、苦しそうに震えている。そんな彼女を見ていれば、この小さい肩に期待やプレッシャーなどがのしかかり、とてつもない重荷になっていることは容易に想像出来た。そんな彼女に僕がしてやれることと言えば.........優しく抱きしめてあげることくらいだ。許しを乞う彼女を、赦してあげることくらいだ。

 

「大丈夫だよ、紗夜。僕がいるから」

 

「だ.........れ?」

 

「龍樹だよー。ほら、紗夜の事が好きで好きで堪らない、龍樹君だよ」

 

「たつ.........き?.........ぁあ!わたし.........ごめんなさいごめんなさい!」

 

 なぜ、紗夜が僕の家に泊まりに来ているか、まずそこから話そうか。紗夜は人に弱さや苦しさを絶対見せない子だ。そんな彼女が家で震えながら発狂なんてしたら.........当然、両親や日菜ちゃんは気づくだろう。そんな事になったら彼女のプライド的にも世間的にも、自殺してしまってもおかしくない。だから、僕はこう言ったんだ。「僕の家においで。大丈夫、紗夜が夜に怖くなっても、絶対一緒にいる。寒かったら暖めてあげるし、震えが止まらなかったら僕が抱きしめてあげる。だからおいで?」と。絶対に死んで欲しくなんてないから、僕と一緒に生きて欲しいから、家に呼んだんだ。

 

 .........まぁ、ここまでは良かった。問題はここからだ。

 

 結論から言って、僕は紗夜の事を舐めていた。

 

 多分、今僕が紗夜の事を抱きしめて撫でていなければ、泣きながら外を徘徊し、橋から川へダイブするだろう。本当に、誇張無しでこのレベルだ。僕は少し気になって、紗夜が寝ている間に腕を確認したが、自傷痕は全くなかった。紗夜は、本当に誰にも、この弱さを見せる気は無いのだ。

 

 前にテレビで、日菜ちゃんを拝見したことがあるが、素直そうですごくいい子だった。でも、裏では紗夜を傷つけている。誤解しないで欲しいのが、僕は日菜ちゃんを恨みなんかしていないし、本当にいい子だと思っている。紗夜がこうなってしまったのは、単純に運が悪かった。そう言うしかないだろう。

 

 同じような能力や容姿を持った双子がいても、どこかで差が生まれ、優劣がついてしまう。でも、その優劣を普通の人は受け入れ、飲み込み、切り替える。じゃあ何故、切り替えられるのだろう。

 

 .........それは、どこかで自分が勝っている点があるからだ。全体的に能力が低くても、突出した能力で勝っているからだ。だから、自分という存在を認め、価値を見出せる。

 

 ──しかし、彼女にはその「勝っている点」が無かった。全ての分野に置いて、後に生まれた筈の妹に追い付かれ、追い抜かれる。彼女にはそれが許せなかったのだろう。

 

 以前、彼女が言っていた。「日菜は私の真似事をして、色々なことを始める。そして、私を追い抜き、勝手にやめていく。そうしたら、私の方が先に始めたのに、日菜の真似をしていると言われるの。それが本当に許せない」と。これは、紗夜みたいにプライドや目的思考を高く持った人でなくても堪えるだろう。そして紗夜はこれを、血を分けた肉親に、ずっとやられ続けてきた。心が壊れるのも、無理はない。

 

「謝らなくてもいいよ。紗夜がスッキリするなら、いっぱい泣いて、いっぱい文句言って?僕は全部、受け入れるからさ」

 

「なんでそんなに.........優しいのよ.........」

 

「知らないのか?男の子は、惚れた子には優しくするルールがあるんだぜ」

 

 だから、僕は紗夜の壊れた心を直すと誓った。だって、僕がおかしくなった時、助けてくれたのは君なんだから。

 

「なんで.........日菜ばっかり」

 

「うん」

 

「どうして、上手くいかないの」

 

「うん」

 

「本当は死にたくなんてない.........」

 

「うん」

 

「本当は.................日菜と仲良く.........したい.........」

 

「うん」

 

 泣きながら、嗚咽混じりの声で、紗夜は本音を語ってくれた。この話を聞いた時僕は、いつも紗夜に抱いてる邪な気持ちや劣情は全く湧いてこなかった。僕はこの時、紗夜の隣で、近くに寄り添って支えていきたいと、そう強く思った。

 

「大丈夫。いつかきっと、笑い合える日がくるさ」

 

「.........本当に?」

 

「本当だとも。日菜ちゃんと喧嘩しても僕がいる。世間や世界が怖くなっても、絶対に僕がいる。安心して、僕は紗夜の、味方だから」

 

「.........ありがとう、龍樹.........愛して.........る.........」

 

 彼女はそう言うと、安らかな眠りについた。先程からしていた震えも止まり、気持ちよさそうに僕の腕の中で、眠った。

 




二人の愛はハッピーエンドとはいきません。そもそもハッピーエンドとは、誰目線で決めるものなんでしょうね。物語の当事者たちが幸せそうにしていたら?読み手側がこれは大団円だと決めたら?結局のところ、これの定義ってよくわかりませんよね。私も、わかりません。(なんじゃそりゃ)

夜中の寝れない勢いで書いたので、どうでしょうかねぇ.........自分では結構気に入ってます笑 これ前前々回の使い回しね。作者の怠慢ね笑

では、今回はこの辺で。

お読みいただき、ありがとうございました!

(指摘入るかもと思って先に言っておきますが紗夜死んでませんよ!?紛らわしい表現してゴメンねぇ、あんちゃん!(青キジ風))

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