更新が滞ってしまい、誠に申し訳ございません。
ですが、何も告げずに更新終了ということは絶対にしないので、そこはご安心ください。
では、本編どうぞ!
「あぁー.........書けない.........」
先程から筆が進まないことをぼやき、シャーペンを机に置く。右手には、シャーペンの芯の跡がたっぷりと付いており、紙とにらめっこしていた時間が長かったことを物語っている。
いきなりで唐突だが、僕の夢は.........小説家だ。
こんなこといきなり言っても、人は鼻で笑うか、良くて苦笑いだろう。ある1人を除いては。
まぁ、そんな身の程知らずな夢を持った僕は、何もやることがなくて暇な、夜の空いた時間を使って執筆していた.........んだけどなぁ.........
「進まないぞ、これ.........登場人物の気持ちなんか、さっきまで自殺志願者だった僕にわかるわけないだろ」
どうやら僕には、小説を書くために大切な要素や感情が、欠落しているみたいだ。道端にでも落としたのかな?
気持ち、セリフ、背景。友達のいない僕には、無理難題レベルの要求だ。友達がいればこんなことには.........くっ、一生の不覚!
椅子に深く腰をかけ、足を組む。シャーペンは鼻の下に挟み、揺りかごのように椅子をギシギシと揺らす。まるでの〇太君のようなポーズを、僕は気怠げに行った。
「あのギターの音って、やっぱり氷川紗夜が演奏してたのかな」
ふと思い出すのは、自分の命を救ってくれたギターの事だ。さながら、オルフェウスの竪琴と言った所だろうか。詩的に表現するならば。まぁ、ギターはオルフェウスの竪琴とは違って7弦もないだろ、あんまり詳しくないけど。
でも.........あの氷川紗夜だったら7弦だろうが8弦だろうが、それこそ10弦くらいまでなら弾けてしまうのでは.........?そう思わざるを得ない。彼女のあの才能を目の当たりにしてしまったら。
「氷川紗夜ぉ.........どこまで神に愛されてやがるんだ.........」
才能、祝福、非凡、全て彼女を表すのにぴったりな言葉だ。ちなみに、さっき話した僕の夢を真剣に聞いてくれたのも、彼女だ。にも関わらず、僕の、氷川紗夜に対する印象は良いとは言えない。
それはなぜか。
成績優秀、頭脳明晰、スポーツ万能.........?まぁ、それは置いといて、とにかく氷川紗夜という少女は、優しくて美しい、ヒロインのような人間だ。
僕にはそれが、許せなかった。なんでも持ってる彼女が、恨めしかった。
ただの醜い嫉妬.........そう言われてしまえば、それまでだ。実際の所、その通りなのだから。
天は二物を与えず、天は人の上に人を造らず、人の下に人を造らず。どちらも有名な言葉だ。全く、天は嘘しかつかないな。バリバリ格差が生まれてるじゃないか。
「本当に、凄すぎだろ」
まぁ、仮に氷川紗夜に才能がなかったとして、その才能が僕にあったわけではないだろうが。結局、僕は自分の落ち度を認めず、人のせいにしたいだけなんだ。
なんだそれ、僕の方が完全に悪者じゃないか。100対0で僕が悪い、試合を行わずにゲームセットだ。
「はぁ.........考えれば考えるほど、惨めな気分だ.........」
右手で頭を抑え、自己嫌悪する。
「でも、あいつ.........」
「可愛いからなぁ.........」
実に手のひらドリルである。グルングルンに回転する高性能ドリルだ。
さっきまで好意的じゃない口ぶりだったが、彼女の美しさを否定することは、僕には出来なかった。
この作品は他の人とは違う作品を書きたい!というコンセプトの元、始めました。
主人公が、ヒロインに大して、最初からヘイトが高い作品なんて、あまり見たことないと思います。良く言えば独創性溢れる、悪く言えばルール破り.........と言ったところでしょうか。
まぁ、ぶっちゃけ私が書いてて楽しい作品じゃないと、長続きしませんからね、そこはご了承ください。
ちゃんと、読者様が楽しみにしている甘々展開にしますので、期待しておいてください。
では、今回はこの辺で。
お読みいただき、ありがとうございました!