では、本編どうぞ!
「紗夜、いい音になってきてるわ」
「うんうん。紗夜の音、いいね!」
「紗夜さんすっごくカッコイイ!」
「私も、そう思い.........ます」
メンバーから送られるのは賛辞の声。音が良くなってきているというのは、具体的にどういう事なのかは分からないが、きっとそれでいいのでしょう。音楽とは、心で感じるものなのだから。
今井さんに最近よく言われることは笑顔が多くなった、だそうです。あまり自覚は無いんですが、無意識の内に笑って演奏してるみたいですね。これも、龍樹のお陰なのでしょうか。
まぁ、私の成長がRoselia全体としてのレベルを底上げ出来てるのなら本望です。Roseliaの目標は頂点へ行くことですので、これからもこの調子で切磋琢磨していかなければ。
「ありがとうございます。私たちの目標は頂点を取ること.........妥協せずに行きましょう」
自分自身にも.........そして日菜にも、誰にも負けない。私は私なのだから。模倣品でも欠陥品でもない、「氷川紗夜」なのだから。
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「という事が、今日の練習であったのよ」
「お前、僕の家を自宅かなんかと勘違いしてないか?なんで僕が遠出して帰ってきたら、お前がギターのチューニングしてんだよ」
「チューニングは大切よ?日々のメンテナンスが最高のライブに繋がるのだから」
「.........いや、まぁそうだな。うん、一理ある。じゃあ自分の家でやれよ」
「私が家でやると日菜がついてくるの。た、頼られることは嬉しいのだけれど、やっぱり恥ずかしいのよ.........」
「乙女か。.........まぁ、精神状態が安定してるいい証拠なんじゃないのか?」
「そうだといいのだけれどね」
「.........隣、いいか?」
と、許可を取りながら座る僕。紗夜は目を細め、ジト目で僕を見つめてるがそんなものはお構い無しだ。二人分の体重でソファーが沈み込んでいくのが、なんだか安心した。なんで安心したかは僕にもよくわからないが、強いて言うなら今日も二人一緒にいることに対してかな。
「貴方はいつも強引ね」
「紗夜が積極性に欠けてるだけだと思うが」
「私はそんなこと.........あるわね。結局、日菜とはまだ話せていないし」
「それは追追やってけば大丈夫だろ。日菜ちゃんだってわかってくれるさ」
紗夜を安心させるように手を握ってあげる。紗夜の手はギタリストらしく、少し厚みがあって固い。しかし、女の子と特有の柔らかさはちゃんとある。つまり、ぷにぷにの可愛らしい手だという事だ。
「手、大きいのね」
「紗夜も指長いじゃん」
「それとこれとは別よ。.........なんだか、貴方の手は安心するもの」
すべすべすりすりと、紗夜が僕の手をさすってくる。嬉しいことには嬉しいのだが.........何だが触り方がエロい。必要以上に指を絡めてくるし、何より、繋いでいない僕の手を自分の太ももの上に乗せるのは本当に意味がわからない。そしてそれをこいつがさも当然のような顔をしているのもよく分からない。
「紗夜、僕達は高校生だぞ?こういうことはあまり.........」
「.........じゃあ、龍樹はやめるの?」
「.........やめない」
言えなかった。言える訳がなかった。ここで紗夜を否定したり突き放した場合、どうなるかわからないから。こうして僕はまた、紗夜の異常な愛を受け入れ許容し、それに愛で答える。また、泥沼にハマってゆくのだ。そして、それを楽しみ愉悦している僕も充分おかしいのだろう。
いつかは終わる関係なんだ、じゃあこの瞬間を楽しんだっていいだろう。僕の中の悪魔が叫び声を上げる。フィクションで良く出てくる、その悪魔に対抗し、反論する天使は僕の中にはいなかったようだ。
「紗夜、好きだ」
「私も.........どこにも行かないで、龍樹」
紗夜が僕にぎゅっと抱きつく。彼女の愛は思いが重い。故に愛されているという実感が湧くのだ。彼女が強く抱きしめすぎて、僕の背中側が赤く染まってしまったTシャツが、何よりの証拠だろう。
終盤の小話
「紗夜?痛い痛い!爪刺さってるからァ!?」
「んっ.........ちゅっ、んぅ」
「紗夜おおおおおお!?」
こんな感じです。龍樹君カワイソス。紗夜の爪、ギター指弾きしてるから超痛そう。頑張って、紗夜。
私事ですが、BanG Dream!7thライブ Roseliaの部に当選しました!これで小説のモチベ上げるぞぉ!三連休だし沢山あげられるやろ(適当)
では、今回はこの辺で。
お読みいただき、ありがとうございました!