眠れない夜はこの作品を執筆して心を落ち着かせます。深夜投稿が多いのは実はこんな理由もありました笑
では、本編どうぞ!
「おねーちゃん、いる?」
ガチャリと空いたドアの隙間から顔を出すのは、私の妹である日菜。休日に私の部屋を尋ねることはよくあることだが、平日に.........それも、夕方に来ることは珍しい。何か、相談事でもあるのだろうか。私はそう思ったが、こんな姉に聞くことなんてないだろう。暇つぶしという線が一番濃厚であることは間違いない。兎に角、思考を巡らせるのは後にして応対しよう。
「ここに居るわよ。それで.........どうしたのよ?」
「いや〜ほら、最近おねーちゃん家にいないから.........さ」
ハッキリとものを言うタイプである日菜にしては珍しく、どこか歯切れの悪い印象を受ける。私が家にいない理由を自分のせいだと思っているのだろうか、.........だとしたらそれは、早急にとかなければならない誤解だ。私は日菜があまり得意ではない。これは周知の事実だ、今更弁解する気なんてない。でも、だからといって家に居ないのはそれが理由ではない。ただ単に.........私が龍樹を愛しているだけ。日菜は全く関係ないから、気負う必要など全くないのだ。
「日菜、こっちに来て?そろそろ夏だとは言え、廊下にいたら風邪を引いてしまうかもしれないわ」
「おねーちゃん.........」
私は自分のベッドをポンポンと叩き、日菜を招く。まるで、貴方の居場所はここよ、と示してあげる様に。
一体何時ぶりだろうか、「ここ」に二人で座るのは。中学校に入る前に、私が苦手意識を抱いてしまって、そこからは二人で座ったことがないから.........実に、5年ぶりだ。
あの頃は毎日楽しかった。日菜より少し出来なくても、褒められた。両親も笑ってくれていた。学校に行くことが、日菜と一緒にいることが幸せだった。
「日菜、まずはごめんなさい。私は、貴方に苦手意識を抱いてしまっていたの。それも、自己中心的な考えで、勝手に」
だから、取り戻そう。失くしてしまった、大切な時間を。
「でも、今は違うの。家を空けてるのだって、日菜が嫌いだからじゃないの。.........大切な人が出来ただけなの」
「大切な人?」
「そう、大切な人よ。それで、その人に言われてしまったの。逃げるだけじゃダメだ、向き合わないとって。だから、一度日菜と話したかったの」
私の話を聞く日菜は、いつもとは違って真剣だ。いつもはおちゃらけて、笑ってるけど、今だけは私にそっくりだ。髪の毛の長さを揃えて、身長を合わせれば瓜二つと言っていいだろう。そのくらい、日菜は私に似ている。.........やっぱり双子なのね。
「.........おねーちゃんは今、あたしのことどう思ってるの?やっぱり、鬱陶しいかな」
「そんな事ないわよ。いつだって、私は日菜の事を愛してるわ」
これが、嘘偽りのない私の本当の気持ち。日菜の好意を曲解し、子供じみた態度をとったこともあった。でも、それでも日菜の事が私は大好きだ。何時でも隣に来てくれて、こんな私を姉と慕ってくれる、優しい日菜が大好きだ。
「おねー.........ちゃん。あたし、あたし!」
「ごめんなさい、言うのが遅くなってしまったわ」
「いいの!あたし、嬉しいから!おねーちゃんが好きって言ってくれて、本当に嬉しいから!」
日菜が私に抱きつきながら泣きじゃくっている。日菜の涙で濡れた私の服は冷たくて寒いはずなのに、私の心と体は暖かかった。これが、家族の温もりなのだろうか、こんなに暖かいなんて知らなかった。
「やっぱり日菜は優しいわね。.........ありがとう」
「おねーちゃんの方が、優しいよ。夜、布団掛け直しに来てくれてるの知ってるもん」
「.........知ってたの?」
「だって、おねーちゃんいっつもその時にあたしに謝るんだもん。そんな事されたら起きちゃうよ」
「それは、悪かったわ」
「また謝る〜!おねーちゃん、家族は迷惑を掛け合うものなんだよ?だから、謝らなくたっていいこともあるの!」
「.........ふふっ、そうね」
先程まで泣いていたのに、いつの間にか日菜は泣き止んでいた。瞳は少し赤くなっているが、可愛らしい綺麗ないつもの瞳だ。.........それにしても、日菜の優しさには、本当に頭が上がらない。いつも気遣ってくれていたのだろう、それにすら気付けなかった私は、どれほど切羽詰まっていたのか、想像に難くない。
「おねーちゃん、今日ね、お母さんがハンバーグ作ってくれるんだって!」
「日菜は母さんのハンバーグが本当に好きね」
「うん!でも、今日はおねーちゃんも一緒に食べるからもっと嬉しいよ!」
「.........そうなのね。それじゃあ、下に降りましょうか」
「わかった〜!」
なんだ、簡単なことだったじゃないか。こうやって、素直に謝れば最初から良かったのだ。一体、私は5年間も何をやっていたのだろう。世界は、日菜は最初からこんなに優しかったのに。自分に正直になって素直を歩み寄れば、昔に戻れたというのに。本当に私は、馬鹿だ。どうしようもない、妹が大好きな大馬鹿だ。
この大切な気持ちを思い出させてくれたのは.........龍樹、貴方なの。感謝してもしきれないくらい、貴方には救われているの。ありがとう、龍樹。
大好きな日菜と仲直りしても、私の心はあの人を想っていた。私が愛して愛してドロドロに溶け合って一緒に死にたい、あの人のことを。
紗夜さん仲直り完了!良かった〜というか時間かかってしまったです。本当は昨日の夜あげるつもりだったんですがスマホ握って寝落ちしてました!すみません!
Q 仲直りしても紗夜さんは元に戻らないの?
A 多少マシになりました。
紗夜さんが普通になるとこの作品の存在意義ががが。という訳で普通にまだおかしいです。
では、今回はこの辺で。
お読みいただき、ありがとうございました!