Dream Shout   作:Re:GHOST

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最近洋楽にハマったレミリア親衛隊です。OasisやTHE KILLERSが特にきました。心にダイレクトアタック!って感じです。皆さんもよかったら聴いてみて下さいね笑

では、本編どうぞ!


虹色と猫と夢

 星降る海に、煌めく砂浜。漣が聞こえる程、僕らと命の距離は近い。なにかしたい気分になったので、右手で砂を握りしめ海に向かって撒き散らす。指先の爪の隙間に砂が入り込んで、異物感を僕は感じたが、悪い心地はしなかった。こんな綺麗な景色を見て心が穏やかになる以外、有り得ないからだ。

 

 まるで海が星の器のように、流れ星が水平線へと吸い込まれていく。ミサイルのように、真ん中に向かって線を描きながら収束していくのだ。この「虹色」に輝く水の塊を海と定義して良いのかは分からないが、他に例えようがないので海としよう。海は色とりどりのインクやペンキをぶちまけたように、鮮やかでどす黒い。昔、夏祭りで食べたかき氷にシロップを混ぜすぎたみたいに、綺麗が混ざって汚く、鮮やかが混ざって黒くなっている部分がある。

 

 .........まるで、人間みたいだ。どんなに素晴らしい人間でも浅ましさは勿論あって、それに勝てなかった人は心を汚染される。真っ黒に心を染め上げられるのだ。仮にそうじゃなかったとしても、素晴らしい色を持つ個性同士が1度ぶつかってしまえば、その関係を修復するのに時間や労力がかかる。黒は何物にも染められないから。個性の色が合致していれば、その色は濃くなり増幅される。そうしたら後は、その強い個性を持って社会や世界に貢献出来るだろう。紗夜は妹とは色が違ったのだ。

 

「お前も大変だな」

 

 僕はいつの間にか擦り寄ってきていた白群色の猫を撫でながら、そう呟いた。色合いもそうだが、この瞳。真っ直ぐを見据えているが、どこか哀愁を漂わせているのだ。それが僕には、何処と無く紗夜に見えて仕方なかった。だから、この際全部言わせてもらおうか。紗夜に思っていることを、全部。

 

「一人で辛かったよな、ずっと傷を隠してさ」

 

「成績だって、誰も比べられたくないのに」

 

「紗夜はいつだって、頑張ってるよ」

 

「ほら、僕って口下手だからさ、猫になったお前相手じゃないと、中々言えないんだ」

 

「僕はいつだって紗夜が大切だし、困ってたら助けなきゃって思ってる」

 

「勿論、僕が困ってたら助けて欲しいし、僕もお前を一番頼ると思う」

 

「最初はお互いに利用し合ってる関係だったけど、今は違う」

 

「僕が世界で一番愛してるのは紗夜で、僕のことを世界で一番愛して欲しいのは、お前なんだ」

 

「ふみゃ〜お!」

 

 僕が紗夜に対する気持ちを言いたい放題していると遂に、猫が反応を示してくれた。先程までは隣にちょこんと座って海を見ていたが、今は僕の胸元の上で尻尾を降っている。なんだが.........ここまで来ると、この猫が本当に紗夜に見えてきた。

 

「何言ってるのよ、龍樹」

 

 .........ここまで来ると、この猫は紗夜だろう。だって、普通の猫は喋らないし、声も紗夜にそっくりだ。取り敢えず真偽を確かめてみようか、この猫が本当に紗夜なのか。

 

「.........お前、紗夜か.........?」

 

「当たり前じゃない、それ以外に何があるのよ」

 

「いや.........え?だって、どう見ても猫.........」

 

「それは龍樹の夢だからよ、私の事は紗夜にゃんと呼んで」

 

 前言撤回、こいつ紗夜じゃないぞ。僕が勝手に紗夜にゃんなんて呼び方したらぶっ叩かれるに決まっている。.........のにも関わらずそれを自分から呼び方を示唆するなんて、ありえない。

 

「君.........誰?もしかして、日菜ちゃんが真似してるの?」

 

「.........悪かったわ、紗夜にゃんは忘れて頂戴。私は紗夜よ」

 

「あ、戻った。まぁいいや、それで.........何で紗夜がここに?」

 

「知らないわよ、貴方が勝手に私を呼んだんじゃない。今貴方と話している氷川紗夜も、貴方が作り上げた空想.........つまり、妄想に過ぎないのよ」

 

「じゃあ、この猫のお前は、僕の深層心理が作り出した偽物だと、そう言いたいのか?」

 

「ええ、それが事実という認識で大丈夫よ」

 

「それは.........わかったけ、ど。.........なんか、重くなってきた」

 

 いつの間にか紗夜は、猫ではなく人になっている。つまり、今の僕は紗夜に馬乗りにされているということだ。でも、僕はやっぱりこっちの方が好きだ。親近感が湧くし、何より暖かさが違う。人の温もりというものを、本当に感じることが出来るのだ。

 

「.........ふぅ、やっと戻れたわ」

 

「そりゃ、良かったな」

 

「良かったわ。猫は楽しいけれど、貴方と目線が合わなくて少し.........寂しいもの」

 

 そう言って、紗夜は楽しそうに笑ってくれた。僕と会話するのが心底楽しいと表現するように。

 

 ここから僕達は、沢山話をした。取り留めも無いこと、将来のこと、夢のこと。時間が許す限り、会話を続けた。でも、所詮夢は夢だ。何時かは覚めてしまう。だから僕は最後に聞くとこにした。紗夜が本当にしたいことは何かを。

 

「紗夜、夢から覚めたら何がしたい?」

 

「.........そうね、旅がしたいわ。そんなに長くなくていいから、学校もバンドも忘れて、しがらみから離れて旅をしたい。..................龍樹と一緒に」

 

「.........そりゃ、名案だな。丁度僕も、どこか行きたい気分だった」

 

「それじゃあ、約束ね」

 

「おう、.........またな」

 

 こうして僕は.........現実へと帰還した。

 

 

 

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「さ、さ、さ、.........あった!」

 

 僕が起床していの一番に行ったのは電話だった。何度も何度も何度も通話したあの人に、電話をかけることだった。この時の僕は相当焦っていたのだろう、着信履歴から探せば一発で見つかるのにわざわざ電話帳から探しているのだから。そんなこんなで見つけた「紗夜」の二文字。後は呼吸を整え、電話をかけるだけ。僕は震える手と心を押さえつけ、着信ボタンをタップした。

 

『どうしたの?龍樹。今、制服を着ている途中なのだけど』

 

 幸いにも紗夜は三コール目で電話に出てくれた。僕は夢で聞いた紗夜の願いを叶える為に電話をかけたんだ。紗夜に伝えよう、僕がしたいことと、紗夜が本当にしたいことを。

 

『紗夜!旅に出よう!』

 

 二人なら何処へ行ったって大丈夫だから。損することがあっても、きっと僕達なら笑えるから。制服なんて脱ぎ捨てて、動きやすい服装に着替えよう。だって僕達は今から、見たことない景色を見たり、行ったことない所を探検するんだから!

 

 反抗なんてしたことない僕達の、最初で最後の抵抗だ。学校なんてクソ喰らえ!家庭の事情なんか知ったこっちゃねぇ!俺と紗夜は、自由になるんだ!

 

 

 

 

 

 .................さぁ、始めよう、愛の逃避行を!

 

 

 




はい唐突な告知!


実は終わり近いです!3話以内には決着つけます!ここまで読んでくださった皆様には申し訳ないですが、自分で1番面白いと思うタイミングで終えるのが重要だと判断したので、Dream Shoutは終わらせます!更新停止ではないので気が向いたら上げます。だから、心配しないで下さいィ!

龍樹君の一人称が僕から俺になりましたね。実は一話目で一度だけ俺になってるんですよね、これ伏線でした。\_(・ω・`)ココ重要!

まぁ、まだ少し続くので後書きはこの辺で。

今回もお読みいただき、ありがとうございました!

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