「〇〇君はもう少し人の気持ちを考えようね」
「人の気持ちを知らないで、、不愉快なんだよお前」
「あなたはもう少し相手の立場に立って考える努力をした方がいいよ」
小学生の頃から私は周りの人間に口々に似たような言葉を投げられた。
私はどうやら人の気持ちを察するのが下手な人間らしい。
そして23歳になった今、提督という肩書きがついたがその性格?は一向に改善はしていなかった。
現に今、、
(うーんわからない、、)
鎮守府内の病院、その病室のベットで気持ちよさそうに眠っている艦娘をよそにえらく神妙な顔をして考え事をしている提督が一人そこにはいた。頭を抱え、立ち上がり病室をぐるぐると回ると、また椅子に座り再び頭を抱えた。
そしてこの世の終わりのような絶望を含んだ深いため息をついた
5年ほど前、S鎮守府にこの提督が着任した。
『常に最前線で戦い、いつ死んでもおかしくないような環境に身をおく艦娘たちが少しでも幸せに過ごせる場所を作りたい』
そんな提督の心遣いもあり、S鎮守府は瞬く間に雰囲気を変えていった。
まず労働環境。
ローテーション制の無理のない出撃、遠征はもちろん、意見箱を用意し匿名での希望を出せることを可能としたことにより、常に彼女らの意見を取り入れ柔軟に対応ができる風通しの良さを実現した。
また休むことも労働の一部として、全鎮守府で初となる自由に行動ができる日、所謂、休日というものが週に二回導入された。
次に施設。
彼女らに休日を休日として活かせるよう、提督は様々な施設を建造し、外部の者を雇った。初めは居酒屋や露天風呂など元から鎮守府にある施設の延長線上のものが多かったが、周りの艦娘の要望を聞いていくうちに、マッサージルームやトレーニングルーム、図書館、バーなどありとあらゆる施設が建造された。
艦娘の能力は精神衛生が大きく作用されると言われている。
文句のつけようのない環境に艦娘たちは常に士気が最高の状態、加えて優秀な指揮能力を持つ提督によって艦娘の能力を飛躍的に上昇した。その甲斐あって着任してわずか2年足らずで2つの鎮守府が協力しても突破できなかった未開拓の海域をわずか五人の艦娘で突破することに成功。
その後も1隻の轟沈も出さずに劇的な勝利を積み重ね、初めは1桁ほどだった艦娘も功績とともに次第に増えていった。
当然、周りの鎮守府でも話題になり、艦娘たちの間では「日本で一番着任したい鎮守府」と称され、異動希望者があとを絶たなかった。
そのため周りの鎮守府もこぞって設備や労働環境を充実させ艦娘を囲もうとする異常事態が発生し、それを見かねた大本営が鎮守府全体の労働環境の水準を押し上げるほどの影響を及ぼした。
しかしそんな楽園のような鎮守府でありながら、先週、最大戦力の艦娘の一人がストレスからくるめまいを起こし倒れ、病院に担ぎ込まれた。
医者の診断によると、精神的に疲弊をしており落ち着くまではしばらく戦線に復帰は無理らしい。
おそらく普通の提督でも疑問符を浮かべてしまうこの事態に、よもやこの提督が理解できるはずもなく、神妙な顔をしたまま、再び深いため息をこぼした。
ーここから提督視点となります
「着任して今日まで、こんなことが起こらぬよう努力をしてきたつもりだったのだが、、」
私が考え込んでいると、ドアの開く音がした。
「提督?まだいらしてたんですか?そろそろ寝ないとあしたの執務に響きますよ」
「おお、もうそんな時間か、すまない考え事をしていてつい、、」
「提督はもっと自分を大切になさってください。あなただけの体ではないんですよ?ほら、帰りますよ」
明石に腕を引っ張られ、モヤモヤとした気持ちで病室を後にする。病室の時計は深夜の2時を指していた。
(日をまたぐ前くらいにきたと記憶してたが、、えらく考え込んでいたようだな、、)
考えこむと時間を忘れてしまう、また私の悪い癖が出たようだ。
そんな私の表情を見て何かを悟ったのか、引いていた腕をほどき正面に立つ明石
真剣そうに、だが少し悲しそうな表情をしながら私にこう言った。
「これだけはいっておきます。今回時雨が倒れた原因は確実にあなたです。ですがそれと同時にあなたのせいではないんです。これだけは時雨が目覚める前に伝えます。あとは自分で答えを見つけてください。」
(おいおい、それは私が一番苦手としていることだぞ、、。勘弁してくれ、、)
冒頭でもいったように、私は大のつくほど人の気持ちに対して疎い。それを隠すように人一倍努力をし、知識や経験を蓄えたがこの問題だけは全く進展しない。私の悩みの種だ。
明石は今にも泣き出しそうな表情をしている私を見て、大きくため息をついたあと、にっこりと笑って、こう言った。
「まあ、昔からの付き合いですからね、提督に対して相当な無理難題を言っているのはわかっていますよ。ですので今回は私の方からお助けアイテムをご紹介します。これです!」
「これは、、メガネか?特に変なところは見当たらないが、、」
「ふっふっふー。ただのメガネじゃないんですよ。名付けて『願望メガネ』です!詳しい説明は面倒なんで省きますが、まあ簡単に言っちゃうと人の願望を覗けるメガネってとこですかね。そのメガネをかけて見た相手の頭の上ににいま一番やりたいこと、やってほしいことが文字として表示されるんですよ。例えば、、」
おもむろにメガネをかける明石。
「提督はいま、もっと艦娘と話したい、、ですか。意外ですね。」
「なっ!?何故それを、、。」
正直驚いた。明石が言ったこの願望は確かに私の本心であり、また着任してから誰にも言ったことのない内容だった。
人の気持ちに鈍感な私は人一倍コミュニケーションを避けてきた。なにかの拍子で彼女たちの心を傷つけまいか、溝を作ってしまわないか。長年の苦い経験から無意識に艦娘と距離を置き、積極的に関わろうとしなかった。そしてその現状を最善だとも考えていた。
だが心の奥底で、叶わぬとたかをくくっていたが確かにあった、話したい、と言う願望。それを見事に当てて見せたのだ、信じざるを得ない
「どうでしょう。少しはこのメガネのすごさわかっていただけましたか?」
「うむ、、しかし、、どうやってこんなものを、、?」
「ちょうど時雨さんが倒れた後くらいに、妖精さん達が突然作り始めたんですよね。普段は自主的に動くことなんてほとんどないのに、、。それで今日になってその様子を見に行ったら完成してたようで、渡されたんですよね。」
「渡された?頼んでいたのか?」
「いやいや、全く記憶にないです。妖精さんの開口一番に『やくにたつときがくるから。もっとくです。』って説明書と一緒に渡されただけなので仕組みもわからないんですよね、、」
「ふむ、、まあ少し解せないところはあるが正直助かるな。ちょうど時雨が倒れてから私も他の艦娘についてもっと知る必要があると感じていたからな。神のお告げかもしれない。明日からでも少しずつ頑張っていこうと思う。明石、ありがとうな。本当に感謝している。」
「気に入ってもらえて何よりです。はい、これメガネです。提督のことなのでないとは思いますがくれぐれも悪用は厳禁ですからね。後それから、、」
そう言いかけた明石だったが私の嬉しそうな顔を見て言葉を引っ込めたようだった。
(何か言いたげだったようだが、、まあ詮索しないのが無難だろう)
おやすみとお互いに別れの挨拶をした後、ふと明石がどんな願望を持っているのか気になり、悪いとは思うが背中越しに確認した。
(ううむ、、早くも故障だろうか、、それとも見間違いか?)
明石の頭の上には一言『愛されたい』と書かれていた
(ううむ、、早くも故障だろうか、、それとも見間違いか?日々の様子を見ても明石がそんなことを望んでいるようには思えなかったのだが、、)
私は深く考えずその場を後にした。
小説というものを初めて書きましたが、やはり思ったようにいきませんね。地の文と会話の構成とか、情景描写だとか、、。
ずっと読者側だったのですが、作者になって改めて読みやすい文章を書くって難しいって思いましたね。
でも熱意だけはあるのでこれからも書き続けます。
何か小説を書くコツのようなものがあれば教えていただけるとありがたいです。