艦娘満足度日本一の鎮守府で溢れる願い   作:マロンex

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今回から本格的に物語を書いていきます。基本は提督視点と艦娘視点を交互に書いていこうと思います。





曙の願い
決意


『秘書艦ローテーション制度』

この制度が我が鎮守府で普及し始めたのは3年前のことである

 

ー3年前 

我が鎮守府では艦娘の幸せが第一をモットーにしていたため、当時一般的であった秘書艦という制度は廃止し、全て私一人で業務を行っていた。しかし戦績に比例して増え続ける艦娘の出撃管理や遠征管理や、それに伴う事務作業等により日に日に業務量は増えていき、ついには勤務時間内では手に負えない量にまで業務が増えていた。しかしそれでもなおこの業務形態を貫き、連日にも及ぶ徹夜で処理をし増えた業務をカバーしていた。だがそんなもの長く持つはずもなく、ある日私は疲労でぶっ倒れてしまった。

 

日本一の人気を誇る鎮守府の提督が疲労で倒れた、という事実を重く受け止めた大本営は直々に秘書艦制度の復活を命じ、つけない場合は処罰の対象とするとの異例の手紙が送られてきた。仕方なく希望制という形で秘書艦をつけることにした。

 

(まあ、わざわざ私の手伝いをしたい物好きはそういないだろう。大本営の命令の手前、形骸的にでも制度としてあることを報告しないといけないしな。一応このような形にして今後も私ができるように考えなくては、、)

 

しかしそんな私の考えとは裏腹にこの通達を出した僅か30分後には執務室に秘書艦を希望する艦娘達の大群が押し寄せ、収拾がつかなくなる事態となった。

 

見かねた私が全艦娘の提督代理育成と事務能力の向上を口実に現在のローテーション制を発案した。艦娘の皆がこの意見に合意したためこの制度が取られるようになった。

 

秘書艦ローテーション制度は実に単純明快。提督が一ヶ月ごとにカレンダーの日付の下に艦娘の名前を書く。

そこの日付の下に名前が書いてある艦娘がその日の秘書艦となる。

月初めに執務室の前にそのカレンダーを張り出され、それを見て艦娘達が秘書艦を把握するというシステムだ。

 

このような経緯があり、我が鎮守府では独自の秘書艦制度が普及した。

 

ー執務室

カレンダーの本日の日付には「曙」の文字。彼女が本日の秘書艦だ。

 

「・・・なさいよ!。起きなさいってば!」

 

時刻は8時少し前、執務開始のギリギリに起こしにきた曙に足で踏まれ、ようやく私は目を覚ました。

 

「んあ?もう朝か、、くそ、、全然寝られなかったな、、」

 

気だるい体を無理やり起こし執務室の横についている洗面所で顔を見ると、私の目の下には大きなクマができていた。

結局明石と別れた後、私はまた時雨について考え込んでしまい、気がついたら明け方になっていた。

 

(7時前には寝たとは思うのだが、、記憶がないな)

 

まだ意識も定まってない私が顔を洗っていると、彼女は隣にたち、タオルを渡してくれた。

 

曙「ったく、、またなんか考え込んでたわけ?ひどい顔よ。、、どうせ先週の時雨の件でもうじうじ悩んでたんでしょ。シャキッとしなさいよ。朝食はあんたがグースカ寝ている間に持ってきたわよ。食べてから執務にしなさいよね」

 

タオルで顔を拭き、視線を机に移すと綺麗に海苔が巻かれたおむすび2つに、崩れかけの卵焼きと少し焦げた焼き鮭、そして具なしの味噌汁が湯気を立てていた。

 

「曙、これはお前が作ってくれたか?だとしたら悪かった。私が寝坊したせいでお前の手を煩わせてしまったな」

 

曙「、、、そうよ。朝の少ない時間をあんたなんかに割いたの。反省なさい」

 

そう言い終えた彼女の顔は次第に曇り、終いには黙ってその場に立ち尽くして考え事を始めてしまった。

 

(精一杯の謝罪をしたつもりだったのだがな、、。よくわからないが気まずい、、。空気を変えなくては)

 

「、、しかしよく私が悩んでいる内容がわかったな、流石としか言いようがない」

 

取ってつけたような褒め言葉であったが、再び彼女はいつもの調子で話し出した。

 

曙「ふん、何年ここにいると思ってるわけ?嫌でもあんたの行動なんてわかるようになるわよ。それより早く食べなさいよ、時間が押してるのよ」

 

彼女は横目で私を少し見つめると、すぐに目を逸らし、俯きながら私が朝やろうと思っていた書類の整理を始めた。

完璧な先回りである。どうやら私が執務前にやる行動を熟知しているようだ。

 

「うーむ、、曙にだけは隠し事できんな。あっこの卵焼きうまい、、俺の好みだ」

 

私は朝食を食べながら彼女を見つめ、小さく呟いた。

 

綾波型8番艦 曙。私が着任してまだ間もない頃から支えてもらっている超古参の艦娘だ。

2年前の未開拓海域の奪還作戦時も編成されていた五人のうちの一人でもあるため、周りの駆逐艦からは『伝説の5艦』として日々尊敬と憧れの対象となっていた。

 

そんな彼女だが気のせいか、年を重ねるごとに次第に元気が無くなっているように見受けられた。また2年前に比べ口数も減り、言葉に覇気がなくなったようにも感じる。よく行動を共にしている潮や漣にも聞いてみたが思い当たる節がないというし、当然私がわかるはずもない。なので現状はひとまず様子をみることにしていたのだが、、。

 

「ごちそうさま。とても美味しかった。後片付けは私がやるから先に書類に目を通しといてくれ」

 

「、、、わかったわ。早く帰ってきてよね、書類は山積みなんだから」

 

「もちろんだ、すぐに戻る」

 

そう言って私は執務室を出て、食堂に向かった。食堂で間宮に意味ありげに感想を聞かれた。

曙に申し訳なさを感じたが、美味しかった。とありのままを伝え、なぜか猛烈に怒られた、わからん、あとで謝るようにって言われたがなにを謝ればいいのか...。

 

食堂からの帰り道、先ほどのことを考え込んでいるとふとあの言葉が浮かんだ

 

ー今回時雨が倒れた原因はあなたです。

 

(そうか、、そうだよな。わからないなら聞くしかない。

今日から少しずつ頑張るって決めたじゃないか。)

 

食堂から戻り、執務室の扉の前で深く深呼吸をした。

 

(大丈夫、お前ならきっとやれる、、大丈夫、、)

 

ずっと避けてきた艦娘とのコミュニケーション。

今までの私なら無理であったがいまはこの不思議なメガネがある。

 

扉を開けると、曙は書類に目を通していた。ゆっくりと歩みを進め彼女の座る机の正面に立ち、勇気を振り絞ってこう言った。

 

「執務を始める前に少し話がある」

 

私は艦娘 曙と真正面から向き合うことを決めた。

 

 




結構短めにしたつもりが意外とプロローグと大差ない分量になっちゃいました。

秘書艦制度の説明をどこに入れるか迷った挙句、冒頭に入れるという暴挙に出ましたか見にくくないでしょうか?
こんな感じで進めていくので何かありましたら感想にお願いします。
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