艦娘満足度日本一の鎮守府で溢れる願い   作:マロンex

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疑念

『提督にとって艦娘ってなんですか?』

 

先ほどの金剛からの質問がぐるぐるとこだまする。その意図、真意はわからないがそれを話す金剛の顔が頭にこびりついて離れない。私にとって...?いや、提督として...ということだろうか...。どうして急に金剛がそんなことを...?

 

「あの...提督どうされました? さっきからずっと無言ですが...」

 

「ん?あ、ああ、すまない。先ほど金剛に妙な質問をされてな...」

 

「妙な質問?」

 

「ああ、私にとって艦娘は何か、と。真意はわからないが、とっさに答えることができなくてな...。考え込んでしまっていた」

 

「そう...ですか...。お姉様がそんなことを...」

 

その質問を聞いてから、榛名は俯いて、黙り込んでしまった。結局、食堂に着き、曙たちと合流するまでの間、榛名と言葉を交わすことはなかった。榛名も私と同じタイプで、考え込むと周りが見えなくなるタイプなのだろうか。

 

「おーい! 提督! 榛名さん! こっちこっち!」

 

食堂に入ると、先に席をとっていた時雨と曙から声をかけられた。丁度窓の外に鎮守府の正門が見える窓際を陣取っていた。

 

「ごめんねー。やっぱり混んでて、あんまりいい席取れなかったよ...」

 

「そうですか? 私はいい場所だと思いますよ? ここから見る風景は綺麗ですし」

 

「..僕たち的には問題なんだよね...牽制の意味で...はあ...」

 

「ああ...提督との食事....周りの艦娘に見せつけられるいい機会だったのに...なんでこんな地味な席に...」

 

「あー...そういうことですか...ふふっ」

 

「?」

 

私の知らないところで、何か納得した榛名。私には全くわからない。

確かに、広い食堂の奥ということもあり、受け取りカウンターの真反対という微妙な立地だ。だが、入り口の近くには海があり、心地よい風も入ってくる。景色を楽しみつつ、食事をいただけるいい場所だと思うのだが...。二人は(特に曙)は終始不満げに外を眺めては、軽くため息をついていた。

 

「まあまあ、お二人とも。気を取り直してお食事しませんか?」

 

「...それもそうね。うんと食ってやるわ!覚悟しなさい」

 

「僕は普段は食べないような高いやつ食べちゃおうかなあ」

 

「だったらこれ美味しそうですよ。新作のトリュフパスタ、ウニも入ってますよ」

 

「はーい! それ注文しまーす!」

 

「榛名さん、さり気なく私の財布にキラーパス入れるのやめてください」

 

本当に食べきれるのか不安になる量を、スナック感覚でポイポイと注文する曙、ウニ、フォアグラ、キャビアなど、単価の高い高級料理を惜しみもなく注文する時雨。まあ、惜しまないよね私持ちだし。まあ、だが予想の範疇だ。あとは榛名の注文によるか...

 

「私は今日はそんなにお腹が空いてないので」

 

「あ、そうなのか。まあ食える分でいい。好きにたの...え?なにこの注文量」

 

榛名が曙の2倍以上の量を笑顔で注文したのをみて、財布の中身を確認するのをやめた。お腹すいてないでこれなの...?金剛型おそるべし

 

その後、来た料理だけでは足りなかった榛名の尋常じゃない量の追加注文、それを見てなぜか負けじと頼み出す曙、じゃあ僕もと、高級食材料理を堪能する時雨の3連撃によりたった一回の昼食で1ヶ月分の給料レベルの金額を払う羽目になった。

 

「ふー! もう無理! お腹いっぱい。榛名に対抗してたら思ったより頼んじゃったわ。悪いわね提督」

 

「全く悪いと思ってないだろ...お前。ここ最近で一番いい顔してるぞ」

 

「人のお金で食べるご飯の美味しさを知ってしまったよ...。これは癖になりそうだ」

 

「すみません...控えめにしたつもりだったのですが気がついたら料理を注文してました」

 

「正直榛名の新しい一面が見られただけで十分だ。ま、まあその代償があまりに大きかったがな....」

 

「すみません提督ー!」

 

空っぽの財布を開き、苦笑いしている私に、心底申し訳なさそうに謝る榛名。まあ、こいつら3人の笑顔を見れたんだ。やす...くはないがいい買い物でもしたと思おう。

そんなことを考えながらふと、窓の外を眺めると見覚えのある艦娘が正門から外に出て行くのが見えた。

 

「む、あれは...金剛か?」

 

遠くてよくわからないが、金剛が正門を出て、タクシーをよんでいる姿がみえた。その声に反応して時雨と曙を外の様子を覗き出した。

 

「あー確かに! 金剛じゃないのあれ、何しに行くのかしら」

 

「あーそういえば午後は用事あるとか行ってたね、ずいぶんめかしこんでるみたいだけど...何しに外にいくんだろう」

 

「も、もしかして!デート!? あー!よく見たら手に花束持ってるし!間違いないでしょ!」

 

「なんだろう! 気になるね!尾行でもしてみる!?」

 

確かに言われてみれば手に花束を持っているようにも見える。正直金剛の素行はあまり把握していないので心配といえば心配だが...。

 

「ふむ...。まぁ、何か用事でもあるのだろう。無理な詮索はしてやるな」

 

「うわ!提督ノリ悪! つまんない男ね!だから友達少ないんじゃないの?」

 

「余計なお世話じゃ」ガッ

 

「あうっ」

 

「さて、そろそろいくぞ、食堂で長居するのも悪いしな」

 

「...」

 

クソだの、冷血漢だのうるさい曙をいなして、話を切り上げ食堂を後にした。その後午後非番の二人は間宮さんのところに向かうとのことで別れた。

別れ際、「特訓してうまいもん作ってやるから首、いや腹洗って待ってろ!」と捨て台詞を吐かれた。声にこそ出さないが二人ともさらっと榛名に優勝されたのが相当悔しかったのだろう。

その後、榛名も用事もないので部屋に帰るとのことだったので、話がてら部屋まで送ることにした。

 

「提督、今日はありがとうございました、とっても楽しかったです」

 

「ああ、また気軽に誘ってくれ、今度は金剛とも一緒に行きたいな」

 

「そう...ですね」

 

横を歩く榛名の表情が少し曇った。先ほどの謎の外出の件も関係してるのだろうか、それとも別の悩みが...? 杞憂だろうか。

 

「提督は気にならないんですか?...お姉様のこと」

 

「..まあ気にならないと言えば嘘になる。金剛のあんな表情初めて見たしな」

 

「だったらどうして...」

 

「こんな話、榛名の前で話すべきではないかもしれないが、私は金剛に距離を置かれているような気がしてな。情けないが原因もわからないまま金剛に近づくのが怖くなったというのが正直なところだ」

 

「...距離...というと?」

 

「もちろん、嫌われている...とは思ってない。ただ何か感じるんだ、壁というか...隙間のような...」

 

 

そう榛名に伝えると、しばらく無言の時間が続いた。その後「提督になら...」と榛名が話を始めた。

 

「提督、午後から少し、お時間いただけますか?」

 

「ああ、執務はもうほとんど終わってるし問題ないが...。どうした?」

 

「来て欲しいところがあります」

 

そういっておもむろに手を引かれた私はされるがままに榛名についていくのだった。

 




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