曙視点→提督視点と移りますので区切りがわかりづらかったらごめんなさい。
「曙、私と明日、遊園地にいかないか?」
唐突に提督が取り出した2枚のチケット、それは私が以前行きたいと言っていた遊園地のチケットだった。やっと落ち着いて考えごとができるようになった私はその行動で再び混乱してしまった。
(あいつが...私に...?どうして?ダメだ思考がまとまらない...)
「それ、女子に超絶人気でめったに取れないっていうネズミーランドのチケット..よね。他に使う相手が山ほどいるんじゃないの?それこそあなたご指名のそこの榛名さんとか...」
「も、もちろん、榛名と行きたいのであれば、私でなくてもいいんだ。気を使って申請書を書かなかったというならこのチケットを使って行きたい子を誘うといい。これは貰い物だが期限が切れそうなんでな、曙が使ってくれなくては逆に困るんだ」
「....なんか勘違いしてるし....。というかなんで最初に私を誘うのよ。こんな紙まで渡して遠ざけて、その上別の秘書艦用意するほど嫌いな艦娘と行くことになるのよ?」
「?いやいや、意味がわからん、第一私は曙を嫌いになんかなってない。....まあだが、確かに秘書艦など必要ないと豪語したはいいが回らなくて榛名に頼ったのは...その、お前の古参としてのプライドを傷つけてしまったかも知れんな、すまなかった。」
「ふん、やっぱり秘書艦いるんじゃないの。変なとこで格好つけてるんじゃないわよ全く、変なとこで男らしくならなくてもいいわよバカ。無理しすぎ」
「いやあ..その件に関しては面目次第もない。だがな、曙、何度もいうが俺はお前に対してそう思ったことはないぞ?一緒に行くことだってむしろ嬉しいくらいだ。」
「はいはい、そういうことにしといてあげるわ。まあいつも通りだしね、気にしてないわ」
普段の寡黙さからは考えられないほど饒舌に喋り出すあいつ。途中までは混乱していたが、精一杯の優しい言葉に私は確信した。
そうか、これもきっとあいつなりのフォローなんだ。榛名が居る手前、露骨にそんな態度とったらきっとこの鎮守府全体の士気が下がる。そりゃそうだ、古参である私を私的な感情で距離置いて居るなんて事バレたら、鎮守府のみんなは動揺してしまう。
(たとえ嫌いな相手でもこの鎮守府のためには建前でも...か。本当不器用なんだか器用なんだか。だったら)
「いいわよ、行きましょう。秘書艦の日に思いつきで休みとか言われたから困ってたとこだしね。ちょうどいいわ。」
「本当か!じゃ、じゃあ、明日鎮守府の門に10時集合にしよう...もちろん明日までに気が変わったらその子を連れてくるといい。その後に処理も気にするな。私が対応しよう」
(必死に代役立てるように誘導して....どうやら本当に来るとは思ってなかったみたいね。ふん残念ながらそんなことする気ないわ。最後くらい思いっきりわがままして困らせてやるんだから)
「わかったわ。ご丁寧にどうも。じゃあ明日楽しみにしてるわね、ふふっ。.....あ、榛名さんごめんね。私のせいで急に秘書艦なんてやる羽目になっちゃって。恨むなら無駄に見栄はったこいつを恨んでね。今日は秘書艦業務、私もやるわ」
「え?。それは..全然気にしてないですけど...いいんですか?....あーそういうことですか」
私も秘書艦をやるという提案に最初は困惑をしていた榛名だったが、少し考えたあと、何かを悟ったのか優しそうに微笑んだ。
「あー、そういう...。ええ!そうですね♪じゃあ早めにかたずけましょう。明日に備えたいでしょうし!」
「いやいや曙、だから榛名もいるしもう大丈夫だって」
「ゴタゴタうっさいわね!信用できないわよもう!やるっつてんだから素直に従いなさいよ!」
「まあまあ、提督。本人が乗り気なら無理に止める必要もないかと思いますよ。それに私も『伝説の5艦』の曙さんから色々と教わりたいですしね。」
「あ、曙がいいなら....。まあいいんだがな、休みたくなったらすぐに休んでくれよ」
押すに押して半ば強引に秘書艦業務を2人でやる流れを作り、私は榛名と共に書類を制し始めた。結局秘書艦2人という過去に例を見ない体制で普段よりも2時間以上も早くその日の業務の全てが終わったのであった。
少し早めの帰宅。
部屋に戻ると潮と漣に今日のはどうだったかと聞かれたが、逆に色々とありすぎて疲れてしまいなんて伝えればいのかわからなかったので
「うまくいったわよ。2人とも本当にありがとう。明日はあいつととデートに行くことのなったから早めに寝るわね、じゃあおやすみ」
とだけ言ってやることを終えると早々にベットに入ってしまった。呆然としていた2人だが顔を見合わせ驚いた声がこちらの部屋にまで響いてきた。
(ごめん、2人とも明日が終わったら正直に全部話すから)
チクチクと胸に残るモヤモヤはあるが、ようやくこの問題と決別できそうだと、久々にぐっすりと眠る私であった。
ー業務が終わった後、提督と榛名は曙が戻ったあと、急遽秘書艦をやったということで書かなくてはいけない書類を書きながら話していた。
「榛名、今日はありがとう。急に呼び出しておいて、こんなものまで書かせてすまんな」
「いえ、榛名は大丈夫です!お役になてて何よりですよ。....それにしても、提督は本当に曙ちゃんに好かれてますね。今日の様子を見ていたら羨ましい通り越して、少し嫉妬しちゃいましたよ2人に」
「いやいや!今日の様子見てどうしてそうなるんだ。それにあいつ、付き合いは長いが普段から素っ気ないし、俺に絡む時だけやたら口も荒っぽくなるしな。嫌われてはいても好かれているとはならないだろ」
「え?そうなんですか?てっきり提督もいつものノリというか、その...言葉は悪いですけど夫婦漫才的なものかと思ってましたよ、お互いに許しあってるからこそ見たいな」
「提督と艦娘いう立場だから指示には従えど、色々と不満があるからこその態度なんじゃないかと私は思っている。今回だって何か悩みがないかと聞いたら、『誰かと話す時間が欲しい』というから休日を与えたというのに...反抗したいだけなのかもな」
「あー、なるほど...そう思っちゃうんですね....。曙ちゃんも苦労してますね...。ていうかさっきから曙ちゃんのことばかりですけど提督自身は曙ちゃんのことどう思っているんですか?」
「苦労...?...私は...そうだな、曙は1人の艦娘として頼りにしている。昔から色々と助けてもらっているし感謝はしてもしきれない。掛け替えのない存在だ。....彼女、口こそ悪いかもしれんが本当に真面目で、仲間思いで世話好きで、そして何より優しい子だ。だが、だからこそ気を使って色々と抱え込えこむ傾向があるようだ。今回の一件もきっと色々と考えた末に感情が爆発してしまったんだろう...」
気がついたら私は榛名の前で長々と話してしまっていた。榛名は私が夢中で話す様子を真剣に時折笑みを浮かべながら聞いていた。
「ふふっ、曙ちゃんも提督も優秀なのに不器用ですね。そんなに思ってあげているならその言葉、明日会う曙ちゃんにも伝えてあげてくださいね。たとえ提督の見立て通り嫌っていたとしても少しは見直すかもですよ?」
「うむ...。そうだな。感謝は伝えたいと思っていたしな、頑張ってみるよ。....おっと勤務時間外なのに話し込んでしまってすまんな。あとは私が書いておくからもう戻っていいぞ。今日は本当にありがとう」
「はい、では明日、楽しんできてくださいね」
「まあ、あいつが楽しめるように努力するよ」
そう言って榛名を見送った私は引き出しから明石からもらったメガネを取り出した。
「明日はこれを使わないで平和に終わることを願うばかりだ....。」
残念ながら提督の願いは叶わず、次の日のデートではメガネが大活躍することになるのだった。
次回 曙編完結
はい、少し期間が空いてしまいましたが、曙編のラストが見える部分まで進めることができました。一応、後日談やら番外編やらをやることも考えてます。
来週から私情で忙しいのでもしかしたらまた期間空いてしまうかもしれませんが、ご了承ください。
何か感想ありましたら気軽にお願いします、ここまで見ていただきありがとうございました。