『機甲領域』に到着した『アインズ・ウール・ゴウン』の面々と、門番とばかりに彼等の前に姿を見せ、早々に荒々しい歓迎で出迎えたボーンクラッシャーの前に、突如『傭兵領域』各所から上空へと転送され、降り注ぎ、積み重なった数百人に及ぶプレイヤー達。事態が事態なためか双方
「馬鹿みてぇに多いなと思いきや、総勢438人って相当な量だなオイ……」
「まぁだそんな残ってたのか……にしても規模もマチマチだなぁ……『
想定外過ぎてエラーでも起こしているのか、ボーンクラッシャーが一切動こうとしないのをいいことに、各員の内訳を眺める獣王メコン川が無謀極まりない編成のメンバーに呆れる横で、その装備や
「あ、これ装備してる
「あら、本当ね。でもギルド名が『チーム・オンドゥルズ』って……」
「あぁ確かに……
その途中突如興奮し、横から眺めたメグと何やら夫婦だけで通じるネタで話だし、白けたように落ち着いたのが気になり、モモンガが頃合いを見計らって話しかける。
「あの~、たっちさん?急にどうしたんですか?」
「あぁ、モモンガさん。いや、前々から話してた私の好きなヒーロー達の
どうやら先程降ってきたプレイヤー達の中に、彼の好きなキャラの
「お、それはよかったですね。俺も見てたんですけど、こっちは昔のエロゲのキャラ使ってる人達見つけましたよ」
「何見っけてるんですかペロロンさん……しかしこうもゴッチャゴチャだと、どこに誰がいるんだか全然わかりませんね……」
「ですねぇ……できれば他のプレイヤーと合わせて助けてあげたいんですが、
「ってか、ちょっとサイズは違うけど、さっきから見たことある顔がこっち見てない・・・?」
「どっちかったら『見てる』ってよりは『向いてる』程度な感じでしょうね。上の人達が重しになってんのか、あの様じゃ満足に首動かすことも出来なそうですし」
同じことをしていたペロロンチーノが発見したものに呆れるモモンガに対し、『誰かが困っていたら、助けるのは当たり前』が信条のたっち・みーとしては、なんならさっさと倒して『
そしてその傍らでぶくぶく茶釜が指さす先には、サイズこそボーンクラッシャーより1周り大きい程度――アバターとしては最大級だったものの、『市街領域』で対峙し、ビルごと多くのプレイヤーを踏み潰し、飛散する瓦礫や防衛兵器の残骸と共に各所の銃火器で猛威を振るったムゲンドラモンが、プレイヤーの山の下部に埋もれ、左側を下に横転した状態で、手足の指先と頭を出し、鰐合戦の指摘する通り虚空を眺めている。どうやらあれの
「ダディさん!ダディさんどこですか!」
「ちょっと上の人!パニクってるのはわかるけどあんま脚振らないで!顔蹴られる!」
「ケンジャキ!?多分お前より下だ!何か上にデカイのがいて動けねぇ!ってかアンタいい加減どけ!」
「……多分オタク含めてそれどころじゃないくらいの数に潰されてるんだが、どうすりゃいいんですかねぇ……?」
ビオランテが『折角残った面々が余計なトラブルで減らないように』と挑戦者達に対しセクハラBAN機能を停止した結果、強制ログアウトが発動せず、逆に身動きできない事態を解決から遠ざけられた彼等だが、たっち・みーが注目した『チーム・オンドゥルズ』の1人で、ギルド名の由来となった作品に登場したヒーローの
罵声と共にバシバシ叩かれることでようやっと反応し、影となった眼元に外皮と一体化したような歯のせいで、どことなく老人を思わせる顔をキョロキョロと動かし、自身の下にいる面々の方を見る。
「あぁ?あんだって?」
「いや聞こえてるだろ!あんたも少しは出ようとしろ!」
「聞こえねぇよぉ!」
「フジャケルナ!!ヒドォチョグテルトヴッドバスゾ!!」
わざわざ煽る様に聞き返してくるシムラに対し、遂にブチギレる余り
「とんでもねぇアタシャ神様だよ」
「おいシムラ今ネタやってる場合じゃ……」
「ダメだこのモーロクイカレてやがる!」
「いや長さんここは『いい加減にしろこのバカ!!』とかでも言わないと先に進みませんよ」
それどころか暢気にボケを重ねてさえ見せる様子に、うまいこと背鰭に挟まっていた仲間――右目に眼帯を付けたザンバラ髪の『イカリヤン』がコミカルにデフォルメされた怒り顔で窘め、そこに同じく挟まって割り込むように声をあげた、蝶を模した左目の眼帯と、オールバックの長い黒髪に赤いチャイナドレスを纏った
「ヌォア「ホわアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」」
他のプレイヤーの悲鳴をかき消さんばかりに響き渡るファイヤーパターンの絶叫をバックに立ち上がったシムラは、即座に
「誰がバカだってコノヤロウたたっ切って「空気読まないでネタに走り過ぎたオメェだよいい加減はよ降りろ!」」
そのまま
「あいっかりっやに♪あ
「「「はぁいいっかりっやに♪あ
しかし締める前に
「な、何だアイツ等!?飛行機がロボットになった「いいなぁカッケー!!
「び、ビックリしたぁ……そういやブルー・インパルスさん、戦闘機好きでしたっけね……名前も昔の航空部隊から拝借したって話してたし……」
それを見てウィッシュⅢの驚きを遮るようにブルー・インパルスが興奮して食いつき、そちらに意識を持っていかれていた弐式炎雷も、かつて彼女がそう語っていたことを思い出し、はしゃぎぶりを理解する。
「何よ、言ってくれてたらその分追加するくらい工面しといたってのに……それよりまだ来るわよ、おそらくあれが本命の
そんなやり取りを呆れた様に眺めながら、
その件についてある者は「何で今更」と疑問を抱き、またある者は事情を察しはすれど、彼女が
「呼んだ時はまさかのトラブルでどうなるか分からんかったが、ふざける奴がいるとは随分余裕の様だな……」
「いやコイツ等が空気読めてないだけだろ」
折角決めてるところに悪いが、とは思いつつも、思わずファイティングポーズを解き、仲間含む他の犠牲者と共に再度積み重なったシムラに親指を向けてツッコミを入れるのは、上にいた彼が蹴り飛ばされた拍子に下から抜け出し、ケンジャキ達と合流していたお陰で巻き込まれずに済んだダディ。しかしガルバトロンはその指摘を気にせず、そのまま続ける。
「まぁいい。本来ならあのまま退場願うところを折角なんで呼ばせてもらった訳だが、俺の相手はただ1人……貴様だコンボイ!!」
突き出した指を向けられるも、指名されたファイヤーパターンは
「貴様が何を思ってその姿になり、
いきなりガルバトロンの告げた取り決めにプレイヤー達は呆然となるが、ウルベルトが抗議の声をあげる。
「オイ!何勝手に決めてんだ!」
「悪いなアインズ・ウール・ゴウン、こっちにも事情ってもんがあるのさ。戦力は補充してやったんだ、幾らでも
「ここにきて一気に数で攻めてきたか!完全形振り構わなくなりやがった!」
「囲まれたらまずいな……自分先陣突っ切って蹴散らしますんで、後方担当の人達庇って続きながら両脇対処お願いします!」
「ちょ、余裕ないからって言うだけ言って置いてかないでくださいよぉ!」
それを一方的に黙殺したメガストームの号令を機に、ボーンクラッシャーを始め、先程空から降りてきた戦闘機や、駆け付ける自動車から変形したロボット戦闘員――『ヴィーコン兵』達トランスフォーマー、それ以外にも付近から多数の恐竜や獣を模した風貌の機械――『
当然攻撃魔法を放つウィッシュⅢやモモンガ、ウルベルトを始め、
「ええいとにかく奴等を倒すぞ!『岩の呼吸肆ノ型
「まずは尖兵の撃破だな……『水の呼吸参ノ型
「ど派手に吹っ飛べぇ!『音の呼吸伍ノ型
その中でも鮮やかなエフェクトと共に駆け抜けていくのは、『
「っしゃあ!まとめてぶった切ってやらぁ!」
「兄貴ー!お楽しみのとこ水差すようで悪いけどあんま離れないでくれ!」
「折角出たんだ!この数が相手だってんなら『近代火器禁止』縛り破ってでもコイツ使わしてもらうぞ!」
他にも片刃の大剣を振るい、敵陣に突撃するスラッシュエッジを援護するのは、近づく者を棘だらけの細長い砕棍で払い倒しながら、弓に切り替えて大量の火矢を放つ、似たデザインで色違いの蒼いチャイナドレスを纏った薄水色の長髪の美女『クラッシュエッジ』。
その隣では、異形の右腕に握った剣身の側面に目の付いた幅広の
「お前達!!今こそ先の醜態を晴らし、我等の力を見せる時!!この剣に懸けて、我等が空気の読めないただの間抜けでないことを証明するぞ!!」
「「「「「応っ!!」」」」」
「それでは加藤、音楽!」
「あいよっ!」
「皆、構え!!行くぞ!!あ突いて!!」
「「「「「あ突いて!!」」」」」
「あ押して!!」
「「「「「あ押して!!」」」」」
「あ払って!!」
「「「「「あ払って!!」」」」」
「「「「「「あ最後に斬る!!」」」」」」
イカリヤンの言う様に当人等も自覚している通り、先程から便乗して乗り込み、ふざけているようにしか見えない彼等――かつて1大ブームを巻き起こした伝説の
事実四散十二の『チンドン屋セット』から新たにかかった、気の抜ける
そうして攻撃する敵こそその都度変わりながら延々ループし、
「反応したから
その実行犯――右目の眼帯と、その上に刺さった角を思わせる破片が目を引く
「連中の狙いはアンタらしいから、前線は突っ込んでってる奴等に任せて、『
「その方がよさそうだけど、誰か余ってる銃器ない?
「だったらコイツを使え。このバンダナとセットなら、弾切れも起きんはずだ」
「おぉ、誰か分からんがすまんな。俺の装備貸すつもりだったわ」
「じゃあ俺
そしてヘル・バーナーの提案の元集結し、チェルノ・アルファが防衛に名乗り挙げる横で、
そうして次々と様々なプレイヤーが
「
直後空に佇む巨大飛行船――『ガルバブルク二世』や、周囲の道路から、それまでの統一されたデザインのヴィーコン兵達とは違う、様々な色合いやデザインの戦闘機や戦車、更には汚染と共に姿を消した海洋生物を模した巨大な空中戦艦が出現する。
同時にメガストームも、戦車の要素を持った緑主体の人型から黒と紫の怪獣を思わせる形態――『ギガストーム』へと変化し、頭部をグルグルと回転させて口から吐く火炎『アンゴルモアバーン』と後頭部から発射する『ヘッドミサイル』、両肩の『ストームキャノン』を乱射し、四肢を振り回して蹴散らしていく。
「何じゃありゃ、見てるこっちの目が回りそうだわ」
「てーかアレ!どうやって倒せってんだよあのデカブツ!」
新たに挿した山頂から溶岩が流れ出る山を模したような『M』が描かれ、『マグマ』と鳴るガイアメモリの力を取り込み、右腕と共に溶岩を纏ったように赤黒い岩殻に覆われ、表面に走る亀裂から覗く赤く燃える剣身から煙と熱気を発する邪剣――『ソウルエッジ』を振るっていたBLUE-Dが、すぐ横を突貫していくギガストームを見送るが、その間も重装備で突撃してきたグランディス・ブラック、同じくパワーファイターで、得物のウォーハンマーを振り下ろす獣王メコン川、「パワーがダメなら」と機敏に背後を取り、双剣の手数で攻め立てようとした元ワールドチャンピオンのたっち・みーと、『アインズ・ウール・ゴウン』の猛者達をも眼中になく、ただただ邪魔だとばかりに跳ね退ける拍子に殲滅しながら突き進み、遂にはリーダーモモンガ達と対峙するかと思いきや、その真横を「コンボォイ!!出てこぉ~い!!」とガン無視で通り過ぎ、「えぇ~……」と呆然自失な様子の彼に見送られていく姿に、クラッシュエッジに呼び戻されたスラッシュエッジが声を荒げる。
そこに混ざるのは、ドラゴンの意匠が入ったバイクを駆る、黒いコートに、宝石の如き角ばった赤いマスクの『ハルトマン』と、赤いスポーツカーに乗った、それを模したようなヘルメットに、左肩から右脇腹にかけてタイヤを
「お、まさかガイアメモリ持ってる人がいるとはね。『
「あ?何だアンタ」
「おっと失礼、
「あ、ゴメン名乗り用意してなかった。まぁ『仮面ドライバー』とでも呼んでくれ」
「なんかあっちの親玉と似たようなこと言ってんじゃねぇか。これ使うのに何か文句でもあんのかよ」
「おいおい落ち着け。ただ見に来ただけで、別に喧嘩売りに来たわけじゃないんだから。ま、お互い健闘しようぜ。それじゃ、お邪魔しましたよ、っと」
それだけ言って去って行く2人に、「何だったんだよ……」とぼやきながらも、BLUE-Dは新たに口を開いた恐竜の顔をアルファベットの『T』に見立てたメモリを取り出し、「ティーレックス!」と鳴るそれを突き立て、ティラノサウルスの頭部の様に変化した右腕から、『
「助かった、礼を言う」
「気にするな!乱戦な分助けられただけマシに思っとけ」
一方上空から攻撃してくる『ベルサー』の海洋生物型巨大空中戦艦に対しては、スケールからして違い過ぎるとあって、辛うじて無尽蔵に放たれる弾幕や、BLUE-Dが放ったのとは比べ物にならない熱線――『バースト』を避けるくらいしかできずにいた。
「
機械の翼を広げ、四肢を様々な銃器に変えて対抗していた長髪の美女、『オオムラサキ』がキレながら視線だけで
「おいおい折角デカブツ呼び出したのにアイツ瞬殺されたぞ!」
「制空押されてるぞ!スターファイター発進急げ!」
「急ごうにも
それを眺めながら周囲に残った車を防壁にヴィーコン兵達の攻撃を防ぎ、手持ちの兵器を展開しようと難儀するのは、統一されたデザインにペイントで個性を出した装備の一団――『第332師団』。そこにファイヤーパターンを守りながら応戦し続けていた『ロボット三原則撤廃活動会』が偶然合流する。
「おぉ、どうしたアンタ等」
「ウゲ、
「だったら幾らかは何とかしよう。丁度
「折角だし付き合おうかい?火力なら負けまいと思うがね」
「できればアンタにゃリーダーの護衛頼みたかったが、そうも言ってられそうになさそうだ……上の連中を始末してくれ、前の連中は任せろ」
事情を聞いて前に出るのは、インフィニット・イビル。続けて名乗り出たヘル・バーナーにベルサーの巨大空中戦艦を頼むと、両手を地に着き背中の連装砲にエネルギーを送り込み、「見つけたぞぉ~!コンボォ~イ!!」と叫びながら複数の部下を引き連れ迫り来るギガストーム目掛けて発射態勢に入り、ヘル・バーナーも口にエネルギーを貯める。
「
「さぁとくとご覧あれ、これが荷電粒子砲の破壊力だ!」
直後サイズ差もあって『市街領域』で対峙したムゲンドラモンや、『傭兵領域』で彼ら自身に対し猛威を振るっていたデスザウラーに比べれば大きく見劣りするが、それでも十分光の濁流と呼べる光線が放出され、迫り来るヴィーコン兵やZOIDSを次々呑み込んでいき、ベルサーの巨大空中戦艦をも貫通し、撃墜していく。
「攻撃が止んだ!今のうちに機体を展開しろ!少しでも押し返せ!」
「やったぜ!これならアイツも「いや、ダメだ……」何だって!?」
「あぁいっそ収束させた方がまだ突破の可能性は高かったろうが、この戦力差では仕方あるまい。後は残りの皆に託すとしよう」
それに巻き込まれて姿を消すギガストームに『第332師団』の1人がガッツポーズで歓喜するも、直後放ち続けるインフィニット・イビルの発言に一転して驚愕する。よく見るとギガストームは道中捕らえていたのかシムラの首を右手で掴んでおり、彼を盾にする形でズンズンと突き進み、「お、お前それは」と掠れた抗議する声を続けさせずにインフィニット・イビルに叩きつけ、更に背後から雄叫びと共に必殺の飛び蹴りを決めにきた『オンドゥルズ』の面々目掛けて投げ付けたシムラごと自身の攻撃と共に『ムゲンキャノン』を撃ち込ませ、「怒っちゃや~よ~!」と先程続けられなかった抗議とは一転したかのような断末魔の絶叫を放つシムラごと彼等を葬り去り、そのまま抑えたインフィニット・イビルも、攻撃を分散させたことを悔いるヘル・バーナーと同士討ちさせる様に向かい合わせて双方の光線を爆発させ、相手の頭を消し飛ばしたことを確認した後、首をへし折って仕留める。
「イビルさん!?バーナーさん!?」
「嘘だろどっちもうちの火力筆頭だぞ……!?」
「俺が出る!こうなったらリーダー引っ込ますしかねぇだろ!アンタ等も少しは護衛協力してくれ!」
「お、おい待てアンタ!」
両者の敗北に驚愕するB52と
「オプ、ティ、マァアアス!」
「うわぁあ!?」
「ホオオォ!?」
「リーダー!?」
突如乱戦の中で行方をくらませていたボーンクラッシャーが、先程の流れで合流した『第332師団』の地上戦力を護衛に残る仲間と共に逃亡していたファイヤーパターン目掛け飛び掛かり、そのまま高架橋から諸共転落。遂に乱戦から彼を分断することに成功する。
「よくやったボーンクラッシャー!これでやっと一騎打ちに持ち込める!」
そして黙し戦況を眺め続けていたガルバトロンは歓喜の称賛を送り、『傭兵領域』から持ち出した鳥型兵器の1つ、『