至高の夢は終わらない   作:ゲオザーグ

11 / 11
執筆中状態で5月からずっと放置してた・・・


()集結者達の喧騒

 『機甲領域』に到着した『アインズ・ウール・ゴウン』の面々と、門番とばかりに彼等の前に姿を見せ、早々に荒々しい歓迎で出迎えたボーンクラッシャーの前に、突如『傭兵領域』各所から上空へと転送され、降り注ぎ、積み重なった数百人に及ぶプレイヤー達。事態が事態なためか双方硬直(フリーズ)したまま動けずにいたが、互いにあちこち引っ掛かってシステム面でも干渉したのか、身動きが取れずギャーギャーと騒ぎ続ける様子を見ているうちに冷静になってきたのか、ウルベルトが操作画面(コンソール)を開いたのをきっかけに、他の面々も何人かボーンクラッシャーを気にしつつ眼前の塊を確認する。

 

「馬鹿みてぇに多いなと思いきや、総勢438人って相当な量だなオイ……」

 

「まぁだそんな残ってたのか……にしても規模もマチマチだなぁ……『アインズ・ウ()ール・ゴウン()』みたいにギルドや集団(クラン)の大半や総出ってのは勿論だけど、腕試し感覚だったのか、ごく小規模なパーティーや単身(ソロ)の人もいるし……」

 

 想定外過ぎてエラーでも起こしているのか、ボーンクラッシャーが一切動こうとしないのをいいことに、各員の内訳を眺める獣王メコン川が無謀極まりない編成のメンバーに呆れる横で、その装備や外装(スキン)も確認できるとあって、そちらに目を向けるたっち・みー。

 

「あ、これ装備してる外装(スキン)の元ネタも確認できるんだ……おぉ!まさか()()外装(スキン)を使っている者達がいるとは!!」

 

「あら、本当ね。でもギルド名が『チーム・オンドゥルズ』って……」

 

「あぁ確かに……構成(ビルド)見る限りだとしっかりガチ系ではあるけど、ギルド名(そっち)の方でふざけたか……」

 

 その途中突如興奮し、横から眺めたメグと何やら夫婦だけで通じるネタで話だし、白けたように落ち着いたのが気になり、モモンガが頃合いを見計らって話しかける。

 

「あの~、たっちさん?急にどうしたんですか?」

 

「あぁ、モモンガさん。いや、前々から話してた私の好きなヒーロー達の外装(スキン)を装備したプレ()イヤー()達が居て、つい興奮してしまいました……」

 

 どうやら先程降ってきたプレイヤー達の中に、彼の好きなキャラの外装(スキン)を使うプレイヤー達がいたらしい。

 

「お、それはよかったですね。俺も見てたんですけど、こっちは昔のエロゲのキャラ使ってる人達見つけましたよ」

 

「何見っけてるんですかペロロンさん……しかしこうもゴッチャゴチャだと、どこに誰がいるんだか全然わかりませんね……」

 

「ですねぇ……できれば他のプレイヤーと合わせて助けてあげたいんですが、ボーン()クラッシャー()がどう動行くか分からない以上、下手に動けませんから……」

 

「ってか、ちょっとサイズは違うけど、さっきから見たことある顔がこっち見てない・・・?」

 

「どっちかったら『見てる』ってよりは『向いてる』程度な感じでしょうね。上の人達が重しになってんのか、あの様じゃ満足に首動かすことも出来なそうですし」

 

 同じことをしていたペロロンチーノが発見したものに呆れるモモンガに対し、『誰かが困っていたら、助けるのは当たり前』が信条のたっち・みーとしては、なんならさっさと倒して『チーム・オ()ンドゥルズ()』を探しがてら、プレイヤーの山の解体に手を貸してやりたいところだが、悪名高き『アインズ・ウール・ゴウン』に助けられることを良しとしないプレイヤーもいるかもしれないことを考えると、そう手軽に何とかしてやることも出来ず、最早ボーンクラッシャーを完全放置で、未だ顔触れを確認し続ける仲間達と共に傍観せざるを得ない現状に、もどかしい思いをし続けた。

 そしてその傍らでぶくぶく茶釜が指さす先には、サイズこそボーンクラッシャーより1周り大きい程度――アバターとしては最大級だったものの、『市街領域』で対峙し、ビルごと多くのプレイヤーを踏み潰し、飛散する瓦礫や防衛兵器の残骸と共に各所の銃火器で猛威を振るったムゲンドラモンが、プレイヤーの山の下部に埋もれ、左側を下に横転した状態で、手足の指先と頭を出し、鰐合戦の指摘する通り虚空を眺めている。どうやらあれの外装(スキン)も配布されていたらしい。

 

 

 

 

 

 

「ダディさん!ダディさんどこですか!」

 

「ちょっと上の人!パニクってるのはわかるけどあんま脚振らないで!顔蹴られる!」

 

「ケンジャキ!?多分お前より下だ!何か上にデカイのがいて動けねぇ!ってかアンタいい加減どけ!」

 

「……多分オタク含めてそれどころじゃないくらいの数に潰されてるんだが、どうすりゃいいんですかねぇ……?」

 

 ビオランテが『折角残った面々が余計なトラブルで減らないように』と挑戦者達に対しセクハラBAN機能を停止した結果、強制ログアウトが発動せず、逆に身動きできない事態を解決から遠ざけられた彼等だが、たっち・みーが注目した『チーム・オンドゥルズ』の1人で、ギルド名の由来となった作品に登場したヒーローの外装(スキン)を身に着けたプレイヤー、『ケンジャキ』が、同作に登場する別のヒーローに由来する外装(スキン)を装着したギルドマスター『テンビンダディ』に呼びかけるが、その最中抜けようとして足をバタつかせた結果、それを顔に振り下ろされる形となる配置にいた『刀刃会(ブレイズ)』の1人、現実(リアル)ではすでに見られなくって久しい、桜の花を思わせる髪色の『蜜リン』が『表情反映(オートエモーション)』で現実(リアル)に合わせた泣き顔と共に叫ぶのに対し、ダディ達の上で周囲を気にせず硬直(フリーズ)したままなのは、叫び散らすテンビンダディに届かない前提で冷めた皮肉を放つムゲンドラモン――『ロボット三原則撤廃活動会』所属の『インフィニット・イビル』とほぼ同サイズで、巨木を思わせるゴロッとした深緑の巨躯に、太い四肢と尾を備えた『大怪獣シムラ』。

 罵声と共にバシバシ叩かれることでようやっと反応し、影となった眼元に外皮と一体化したような歯のせいで、どことなく老人を思わせる顔をキョロキョロと動かし、自身の下にいる面々の方を見る。

 

「あぁ?あんだって?」

 

「いや聞こえてるだろ!あんたも少しは出ようとしろ!」

 

「聞こえねぇよぉ!」

 

「フジャケルナ!!ヒドォチョグテルトヴッドバスゾ!!」

 

 わざわざ煽る様に聞き返してくるシムラに対し、遂にブチギレる余り外装(スキン)の元ネタよろしく活舌が酷くなるダディ。しかしシムラはそこまで怒りをぶつけられても全く動じた様子を見せない。

 

「とんでもねぇアタシャ神様だよ」

 

「おいシムラ今ネタやってる場合じゃ……」

 

「ダメだこのモーロクイカレてやがる!」

 

「いや長さんここは『いい加減にしろこのバカ!!』とかでも言わないと先に進みませんよ」

 

 それどころか暢気にボケを重ねてさえ見せる様子に、うまいこと背鰭に挟まっていた仲間――右目に眼帯を付けたザンバラ髪の『イカリヤン』がコミカルにデフォルメされた怒り顔で窘め、そこに同じく挟まって割り込むように声をあげた、蝶を模した左目の眼帯と、オールバックの長い黒髪に赤いチャイナドレスを纏った美女(ネカマ)プレイヤー――『刀刃会(ブレイズ)』の『スラッシュエッジ』がウンザリする様に手を当て、ダディの下にいた蜂の顔モチーフの胸部に、それを無理矢理人に近づけたような顔をした同胞、『四散十二』が対処法と罵声を浴びせると、それまでと打って変わってカッ!と見開いたかのごとく目を光らせ、どこからともなく鳴り出した尺八の音に合わせ、首や手を小刻みに震わせながらカクカク動かし始めたと思いきや、一気に体を持ち上げ、上にいたプレイヤー達を跳ね飛ばす。

 

「ヌォア「ホわアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」

 

 他のプレイヤーの悲鳴をかき消さんばかりに響き渡るファイヤーパターンの絶叫をバックに立ち上がったシムラは、即座に操作画面(コンソール)から選び出した大太刀の柄を掴み、左手に鞘を持って引き抜く。

 

「誰がバカだってコノヤロウたたっ切って「空気読まないでネタに走り過ぎたオメェだよいい加減はよ降りろ!」

 

 そのまま啖呵(たんか)を切り出したシムラの背から転がり落ちたイカリヤンが、――システムの都合でダメージこそないものの――脇腹めがけて放ったドロップキックで突き飛ばし、ベシャリと地面にのびると、同じく解放された残りの仲間――短い手足と寸詰まりな体躯に反した長い尾の『あ、ライチュウ』、各所に炎の意匠が施された豊満な体躯をした『ヒデブー』、4足歩行の青い体躯に、段々状の金属を思わせる装甲と、鋭利な1本角の『この先工事中につき迂回お願いします』が四散十二と共に集まり、彼の纏う楽器の集合体の様な装備――通称『チンドン屋セット』の奏でる音楽に合わせて踊り出す。

 

「あいっかりっやに♪あ(おっこ)らっれた♪」

 

「「「はぁいいっかりっやに♪あ(おっこ)「わアアアアアアアアアアアアアアアアア!?」」」」

 

 しかし締める前にシムラとイカリヤン(残る2人)共々未だ動けずにいたプレイヤー達毎、先程まで彼等が浴びていた破滅の魔獣(デスザウラー)の荷電粒子砲を思わせる光線(ビーム)に呑まれ消滅した。動けるようになって浴びずに済んだプレイヤー達が放った先――まばらに雲が浮く上空を見上げると、彼等の視界を覆いつくさんばかりに巨大な飛行船が光学迷彩(ステルス)を解除し、その姿を現すと同時に、そこから数多の戦闘機が出撃し、人型ロボットとなってボーンクラッシャーの周囲に降り立つ。

 

「な、何だアイツ等!?飛行機がロボットになった「いいなぁカッケー!!ナザ()ック()にも欲しかったなぁあんなの!!」

 

「び、ビックリしたぁ……そういやブルー・インパルスさん、戦闘機好きでしたっけね……名前も昔の航空部隊から拝借したって話してたし……」

 

 それを見てウィッシュⅢの驚きを遮るようにブルー・インパルスが興奮して食いつき、そちらに意識を持っていかれていた弐式炎雷も、かつて彼女がそう語っていたことを思い出し、はしゃぎぶりを理解する。

 

「何よ、言ってくれてたらその分追加するくらい工面しといたってのに……それよりまだ来るわよ、おそらくあれが本命の階層支配者(フロアボス)でしょうね」

 

 そんなやり取りを呆れた様に眺めながら、()()()()()()()()()様に前に出るシャドウ・ウィドゥだが、終了発表から彼女の『ユグドラシル』に対する課金は収まりを見せず、上限(キャップ)開放で何体ものレベル100NPCを作ったり、ガチャでアイテムを貯め込んだりと、停止されるまでに目一杯使い倒していた。

 その件についてある者は「何で今更」と疑問を抱き、またある者は事情を察しはすれど、彼女が()()()()()()()()()から、「口を出すべきではない」と黙ったままでいた。それでも今更口を出したところでどうにもならないだろうが、長く共に活動してきた唯一の同性として、後者の1員だったこともあって、冷静になると同時に申し訳なさを感じるブルー・インパルスだが、他の面々と共に続けて降りてきた軍勢の先頭――ガルバトロンを見据える。

 

「呼んだ時はまさかのトラブルでどうなるか分からんかったが、ふざける奴がいるとは随分余裕の様だな……」

 

「いやコイツ等が空気読めてないだけだろ」

 

 折角決めてるところに悪いが、とは思いつつも、思わずファイティングポーズを解き、仲間含む他の犠牲者と共に再度積み重なったシムラに親指を向けてツッコミを入れるのは、上にいた彼が蹴り飛ばされた拍子に下から抜け出し、ケンジャキ達と合流していたお陰で巻き込まれずに済んだダディ。しかしガルバトロンはその指摘を気にせず、そのまま続ける。

 

「まぁいい。本来ならあのまま退場願うところを折角なんで呼ばせてもらった訳だが、俺の相手はただ1人……貴様だコンボイ!!

 

 突き出した指を向けられるも、指名されたファイヤーパターンは外装(スキン)のキャラ名で呼ばれ、「え、俺……?」と困惑する。

 

「貴様が何を思ってその姿になり、タワー(ここ)を訪れたかは問わん。だがその外装(スキン)で来たんだ。作品は違えど我が宿敵たるコンボイ(ソイツ)が来たとあっては、堂々と一騎打ちしかあるまい!そして残りの面々には、我が弟が指揮するデストロン軍団、並びにこの階層(フロア)に配備された防衛戦力達と遊んでもらうとしよう!」

 

 いきなりガルバトロンの告げた取り決めにプレイヤー達は呆然となるが、ウルベルトが抗議の声をあげる。

 

「オイ!何勝手に決めてんだ!」

 

「悪いなアインズ・ウール・ゴウン、こっちにも事情ってもんがあるのさ。戦力は補充してやったんだ、幾らでも復活(リスポーン)繰り返して挑んできな!デストロン軍団、総員攻撃開始!!コンボイ以外を押し下げろ!」

 

「ここにきて一気に数で攻めてきたか!完全形振り構わなくなりやがった!」

 

「囲まれたらまずいな……自分先陣突っ切って蹴散らしますんで、後方担当の人達庇って続きながら両脇対処お願いします!」

 

「ちょ、余裕ないからって言うだけ言って置いてかないでくださいよぉ!」

 

 それを一方的に黙殺したメガストームの号令を機に、ボーンクラッシャーを始め、先程空から降りてきた戦闘機や、駆け付ける自動車から変形したロボット戦闘員――『ヴィーコン兵』達トランスフォーマー、それ以外にも付近から多数の恐竜や獣を模した風貌の機械――『ZOIDS(ゾイド)』や『TEK恐竜』が襲い掛かる。

 当然攻撃魔法を放つウィッシュⅢやモモンガ、ウルベルトを始め、戦槌(ウォーハンマー)を振るい、無尽蔵に現れるヴィーコン兵を叩き潰す獣王メコン川、突撃槍(ランス)を構え、押し寄せる敵兵の壁に穴を開ける様に次々刺し貫くグランディス・ブラック、他にも手数を優先して普段の盾に代わり予備(スペア)の剣を構えたたっち・みーと並び、細槍(ジャベリン)を構えるメグ達『アインズ・ウール・ゴウン』以外にも様々なプレイヤー達が対峙し、戦闘を開始する。

 

「ええいとにかく奴等を倒すぞ!『岩の呼吸肆ノ型 流紋岩(りゅうもんがん)速征(そくせい)』!

 

「まずは尖兵の撃破だな……『水の呼吸参ノ型 流流舞い(りゅうりゅうまい)』!

 

「ど派手に吹っ飛べぇ!『音の呼吸伍ノ型 鳴弦奏々(めいげんそうそう)』!

 

 その中でも鮮やかなエフェクトと共に駆け抜けていくのは、『刀刃会(ブレイズ)』の中枢たる旧『柱合会議(ちゅうごうかいぎ)』の面々。原作ではあくまでそれぞれの奥義たる『呼吸』を極めた者が放つ気迫が形を成した幻影に過ぎず、直接的な効果はなかったが、『ユグドラシル』では攻撃判定や効果を有し、それぞれが当たったヴィーコン兵や、球状に体を収め回転して迫る蟹に似た風貌の『防衛ユニット』、人間大のジャイロヘリを思わせる『アタックドローン』を次々撃破していく。

 

「っしゃあ!まとめてぶった切ってやらぁ!」

 

「兄貴ー!お楽しみのとこ水差すようで悪いけどあんま離れないでくれ!」

 

「折角出たんだ!この数が相手だってんなら『近代火器禁止』縛り破ってでもコイツ使わしてもらうぞ!」

 

 他にも片刃の大剣を振るい、敵陣に突撃するスラッシュエッジを援護するのは、近づく者を棘だらけの細長い砕棍で払い倒しながら、弓に切り替えて大量の火矢を放つ、似たデザインで色違いの蒼いチャイナドレスを纏った薄水色の長髪の美女『クラッシュエッジ』。

 その隣では、異形の右腕に握った剣身の側面に目の付いた幅広の大剣(ツヴァイハンダー)が目立つ一本角の(ヘルム)と青い鎧の『BLUE-D(ブルーディー)』が、操作画面(コンソール)に正拳突きをした左腕を赤い籠手(ガントレット)――『赤龍帝の籠手(ブーステッドギア)』に換装し、更に側面にナイフと拳銃を立て掛けて表現された『A』の字が記載された大きめのUSBメモリ――『ガイアメモリ』を手にし、ボタンを押して『アームズ!』と機動音を発したそれを右肩に突き刺し、左腕をガトリング砲に変形させ、次々迫り来るヴィーコン兵や防衛ユニットを穴だらけにし、アタックドローンを撃墜していく。

 

「お前達!!今こそ先の醜態を晴らし、我等の力を見せる時!!この剣に懸けて、我等が空気の読めないただの間抜けでないことを証明するぞ!!」

 

「「「「「応っ!!」」」」」

 

「それでは加藤、音楽!」

 

「あいよっ!」

 

「皆、構え!!行くぞ!!あ突いて!!

 

「「「「「あ突いて!!」」」」」

 

「あ押して!!」

 

「「「「「あ押して!!」」」」」

 

「あ払って!!」

 

「「「「「あ払って!!」」」」」

 

「「「「「「あ最後に斬る!!」」」」」」

 

 イカリヤンの言う様に当人等も自覚している通り、先程から便乗して乗り込み、ふざけているようにしか見えない彼等――かつて1大ブームを巻き起こした伝説のお笑い芸人(コメディアン)を敬拝する『全員集合』だが、それでもレベル100(カンスト)プレイヤーだけあって、その実力自体は充分活躍できる水準には到達している。

 事実四散十二の『チンドン屋セット』から新たにかかった、気の抜ける音楽(BGM)に合わせた規則的(リズミカル)竹刀(しない)での攻撃は、防衛ユニットを刺し貫き、小型の機械恐竜、『TEKラプトル』を押し退け、アタックドローンを叩き落とし、ヴィーコン兵を両断する。

 そうして攻撃する敵こそその都度変わりながら延々ループし、音楽(BGM)と合わせて攻撃するペースを速めながら着実に前線を押し上げていくが、何度目かの「最後に」に合わせたかの如くどこからか降ってきた戦車が最後列のシムラの頭上に落下。騒々しい音楽(BGM)と共に周囲の敵ごと大爆発に呑まれてしまう。

 

「反応したからSuprise(サプライズ)requested(リクエステッド)呼んでみたが、何だあの音楽(BGM)……」

 

 その実行犯――右目の眼帯と、その上に刺さった角を思わせる破片が目を引く外装(スキン)のプレイヤー、『ケムイモア』が、本来かかる音楽(BGM)と違うことに(いぶか)しんでいると、付近にいた『ロボット三原則撤廃活動会』の面々も、リーダーのファイヤーパターンを名指しで狙われたとあって行動に移る。

 

「連中の狙いはアンタらしいから、前線は突っ込んでってる奴等に任せて、『ロボット三原()則撤廃活動会()』はなるべく後方支援に徹するか」

 

「その方がよさそうだけど、誰か余ってる銃器ない?このキャラ()近接機動特化だから、腰据えてブッパする飛び道具搭載されてなくて……」

 

「だったらコイツを使え。このバンダナとセットなら、弾切れも起きんはずだ」

 

「おぉ、誰か分からんがすまんな。俺の装備貸すつもりだったわ」

 

「じゃあ俺壁役(タンク)やるわ」

 

 そしてヘル・バーナーの提案の元集結し、チェルノ・アルファが防衛に名乗り挙げる横で、遠距離装備(飛び道具)を求めるB52に、殺戮者(スロウサー)が手持ちの銃器を差し出そうとした矢先、ケムイモアと接触していた所属集団(クラン)TEAM(チーム)KOJIPRO(コジプロ)』のリーダー、『NAKED(ネイキッド)SARU(サル)』が操作画面(コンソール)を操作し、足元に突撃銃(アサルトライフル)拳銃(ピストル)、ロケットランチャーを出現させ、彼の礼を背に、同じく右目に眼帯を付けた犬――『D-dog』を連れ、前線へと馬と走らせるケムイモアに続き、上空から投下された戦車に乗って進む。

 そうして次々と様々なプレイヤーが各々(おのおの)武器や四肢、魔法を振るい、無数に現れる戦力を蹴散らしていく光景に、ガルバトロン()の願望を邪魔されたメガストームが吠える。

 

(まとま)った挙句ファイヤーパターン(コンボイ)隠しやがって……こうなりゃ予定より早いが、俺も参加してフェイズ2だ!名前持ち(ネームド)デストロン!ベルサー軍団!攻撃開始!」

 

 直後空に佇む巨大飛行船――『ガルバブルク二世』や、周囲の道路から、それまでの統一されたデザインのヴィーコン兵達とは違う、様々な色合いやデザインの戦闘機や戦車、更には汚染と共に姿を消した海洋生物を模した巨大な空中戦艦が出現する。

 同時にメガストームも、戦車の要素を持った緑主体の人型から黒と紫の怪獣を思わせる形態――『ギガストーム』へと変化し、頭部をグルグルと回転させて口から吐く火炎『アンゴルモアバーン』と後頭部から発射する『ヘッドミサイル』、両肩の『ストームキャノン』を乱射し、四肢を振り回して蹴散らしていく。

 

「何じゃありゃ、見てるこっちの目が回りそうだわ」

 

「てーかアレ!どうやって倒せってんだよあのデカブツ!」

 

 新たに挿した山頂から溶岩が流れ出る山を模したような『M』が描かれ、『マグマ』と鳴るガイアメモリの力を取り込み、右腕と共に溶岩を纏ったように赤黒い岩殻に覆われ、表面に走る亀裂から覗く赤く燃える剣身から煙と熱気を発する邪剣――『ソウルエッジ』を振るっていたBLUE-Dが、すぐ横を突貫していくギガストームを見送るが、その間も重装備で突撃してきたグランディス・ブラック、同じくパワーファイターで、得物のウォーハンマーを振り下ろす獣王メコン川、「パワーがダメなら」と機敏に背後を取り、双剣の手数で攻め立てようとした元ワールドチャンピオンのたっち・みーと、『アインズ・ウール・ゴウン』の猛者達をも眼中になく、ただただ邪魔だとばかりに跳ね退ける拍子に殲滅しながら突き進み、遂にはリーダーモモンガ達と対峙するかと思いきや、その真横を「コンボォイ!!出てこぉ~い!!」とガン無視で通り過ぎ、「えぇ~……」と呆然自失な様子の彼に見送られていく姿に、クラッシュエッジに呼び戻されたスラッシュエッジが声を荒げる。

 階層支配者(フロアボス)(ガルバトロン)の方の様なので、武道と同じ形式なら対峙せずスルーしてくれる分には大助かりではあるものの、だからと言って先の宣言通りなら壁とも言える敵陣を突破し対峙したところで、相手するつもりはないようだし、後方で暴れる彼を放置できるかと言えば、現在進行形で周囲にばら撒いている流れ弾や、兄の危機を察して戻ってくる危険を考えると、どうしても不安が残る。

 そこに混ざるのは、ドラゴンの意匠が入ったバイクを駆る、黒いコートに、宝石の如き角ばった赤いマスクの『ハルトマン』と、赤いスポーツカーに乗った、それを模したようなヘルメットに、左肩から右脇腹にかけてタイヤを(たすき)がけに装着した『スピード・ブレイク』。『チーム・()オンドゥルズ()』と共に双方の愛車で駆け巡りながら武器を振るい、時にモチーフヒーロー達の代名詞たるキックでど派手な爆発と共に敵を撃破してきたが、BLUE-Dの持つガイアメモリに気づき、接触してきた。

 

「お、まさかガイアメモリ持ってる人がいるとはね。『チーム・()オンドゥルズ()』じゃ『2人で1人』が再現できないからいないけど、そんな使い方もあるのか」

 

「あ?何だアンタ」

 

「おっと失礼、ガイア()メモリ()の元ネタに縁があるもんで、ついね。ま、『宝石の魔法使い』とでも名乗っておこうか」

 

「あ、ゴメン名乗り用意してなかった。まぁ『仮面ドライバー』とでも呼んでくれ」

 

「なんかあっちの親玉と似たようなこと言ってんじゃねぇか。これ使うのに何か文句でもあんのかよ」

 

「おいおい落ち着け。ただ見に来ただけで、別に喧嘩売りに来たわけじゃないんだから。ま、お互い健闘しようぜ。それじゃ、お邪魔しましたよ、っと」

 

 それだけ言って去って行く2人に、「何だったんだよ……」とぼやきながらも、BLUE-Dは新たに口を開いた恐竜の顔をアルファベットの『T』に見立てたメモリを取り出し、「ティーレックス!」と鳴るそれを突き立て、ティラノサウルスの頭部の様に変化した右腕から、『赤龍帝の籠手(ブーステッドギア)』の発する『エクスプロージョン!』の音声と共に熱線を放ち、左腕からチェーンを射出し、先端に繋がった鉄球でケムイモアを、乗っていた『D-Horse』と呼ばれる馬ごと潰そうとした『スクラッパー』を射抜く。

 

「助かった、礼を言う」

 

「気にするな!乱戦な分助けられただけマシに思っとけ」

 

 

 

 

 

 

 一方上空から攻撃してくる『ベルサー』の海洋生物型巨大空中戦艦に対しては、スケールからして違い過ぎるとあって、辛うじて無尽蔵に放たれる弾幕や、BLUE-Dが放ったのとは比べ物にならない熱線――『バースト』を避けるくらいしかできずにいた。

 

STG(シューティングゲーム)のボスラッシュどころか一斉集結って、何考えてんの!だったらこっちもボスで対抗よ!」

 

 機械の翼を広げ、四肢を様々な銃器に変えて対抗していた長髪の美女、『オオムラサキ』がキレながら視線だけで操作画面(コンソール)を操作し、鳥を思わせる風貌の飛行兵器、『重飛行甲冑シームルグ』と『重飛行甲冑アンドレアルフース』、十字状に配置された4本の首を持つドラゴン、『生体兵器ヨルムンガンド』を召喚しけしかけるが、迫り来る1機――淡水魚の1種、ピラニアを模した『ハングリーグラトンズ』が放つ子機達が前面に広がり、一斉射で彼女諸共殲滅する。

 

「おいおい折角デカブツ呼び出したのにアイツ瞬殺されたぞ!」

 

「制空押されてるぞ!スターファイター発進急げ!」

 

「急ごうにもブリキ野郎(NPC)共の攻勢が激しくて、出したところで飛ぶどころか乗る前にやられちまうよ!誰か奴等の弾幕を少しでも止めてくれ!」

 

 それを眺めながら周囲に残った車を防壁にヴィーコン兵達の攻撃を防ぎ、手持ちの兵器を展開しようと難儀するのは、統一されたデザインにペイントで個性を出した装備の一団――『第332師団』。そこにファイヤーパターンを守りながら応戦し続けていた『ロボット三原則撤廃活動会』が偶然合流する。

 

「おぉ、どうしたアンタ等」

 

「ウゲ、(やっこ)さんが血眼で探してる連中かよ……(そら)なり(りく)なりを何とかしようにも、見ての通りで手持ちの兵器展開(だすの)が無理なんだよ」

 

「だったら幾らかは何とかしよう。丁度ギガストーム(アイツ)も、気付いてこっち来てるしな……」

 

「折角だし付き合おうかい?火力なら負けまいと思うがね」

 

「できればアンタにゃリーダーの護衛頼みたかったが、そうも言ってられそうになさそうだ……上の連中を始末してくれ、前の連中は任せろ」

 

 事情を聞いて前に出るのは、インフィニット・イビル。続けて名乗り出たヘル・バーナーにベルサーの巨大空中戦艦を頼むと、両手を地に着き背中の連装砲にエネルギーを送り込み、「見つけたぞぉ~!コンボォ~イ!!」と叫びながら複数の部下を引き連れ迫り来るギガストーム目掛けて発射態勢に入り、ヘル・バーナーも口にエネルギーを貯める。

 

最大出力(フルチャージ)で一発かますぞ……!『ムゲンキャノン』!

 

「さぁとくとご覧あれ、これが荷電粒子砲の破壊力だ!」

 

 直後サイズ差もあって『市街領域』で対峙したムゲンドラモンや、『傭兵領域』で彼ら自身に対し猛威を振るっていたデスザウラーに比べれば大きく見劣りするが、それでも十分光の濁流と呼べる光線が放出され、迫り来るヴィーコン兵やZOIDSを次々呑み込んでいき、ベルサーの巨大空中戦艦をも貫通し、撃墜していく。

 

「攻撃が止んだ!今のうちに機体を展開しろ!少しでも押し返せ!」

 

「やったぜ!これならアイツも「いや、ダメだ……」何だって!?」

 

「あぁいっそ収束させた方がまだ突破の可能性は高かったろうが、この戦力差では仕方あるまい。後は残りの皆に託すとしよう」

 

 それに巻き込まれて姿を消すギガストームに『第332師団』の1人がガッツポーズで歓喜するも、直後放ち続けるインフィニット・イビルの発言に一転して驚愕する。よく見るとギガストームは道中捕らえていたのかシムラの首を右手で掴んでおり、彼を盾にする形でズンズンと突き進み、「お、お前それは」と掠れた抗議する声を続けさせずにインフィニット・イビルに叩きつけ、更に背後から雄叫びと共に必殺の飛び蹴りを決めにきた『オンドゥルズ』の面々目掛けて投げ付けたシムラごと自身の攻撃と共に『ムゲンキャノン』を撃ち込ませ、「怒っちゃや~よ~!」と先程続けられなかった抗議とは一転したかのような断末魔の絶叫を放つシムラごと彼等を葬り去り、そのまま抑えたインフィニット・イビルも、攻撃を分散させたことを悔いるヘル・バーナーと同士討ちさせる様に向かい合わせて双方の光線を爆発させ、相手の頭を消し飛ばしたことを確認した後、首をへし折って仕留める。

 

「イビルさん!?バーナーさん!?」

 

「嘘だろどっちもうちの火力筆頭だぞ……!?」

 

「俺が出る!こうなったらリーダー引っ込ますしかねぇだろ!アンタ等も少しは護衛協力してくれ!」

 

「お、おい待てアンタ!」

 

 両者の敗北に驚愕するB52と殺戮者(スロウサー)の横を走り抜け、『第332師団』の1人が止めるのも聞かず仇討とばかりに挑みかかり押し留めるのは、巨大なロボット怪獣『グランドキング』の外装(スキン)を纏った『カウンター・ベイト』。外装(スキン)入手後に開催されたイベント大会にて、会場が人間種に有利なアスガルズにも関わらず、最大の切り札たる原寸大化を温存したまま、プレイヤースキルだけで数々の搭乗者(パイロット)キャラの外装(スキン)保有者が駆るスーパーロボットを相手に勝ち進み、唯一原寸大化を使った決戦では相手の絶対防御壁を純粋なパワーだけで突き破って頭を挟み潰し、続く振り下ろしで真っ二つに割いて新たな『アスガルズの世界級優勝者(ワールドチャンピオン・アスガルズ)』に君臨してみせた能力から、「反撃の撒き餌」を意味する現在の名前を自ら冠した程の自他共に認める実力者であったが、それでもなお組み合ったまま超至近距離での飛び道具の撃ち合いに転じ、それぞれ互いに周囲の邪魔者たるギガストーム率いるNPC軍団と彼を撃破しようと集まる他プレイヤーを排除し合いながらもなお拮抗。全く勝負が見えないところで、唐突に部外で戦況が動いた。

 

「オプ、ティ、マァアアス!

 

「うわぁあ!?」

 

「ホオオォ!?」

 

「リーダー!?」

 

 突如乱戦の中で行方をくらませていたボーンクラッシャーが、先程の流れで合流した『第332師団』の地上戦力を護衛に残る仲間と共に逃亡していたファイヤーパターン目掛け飛び掛かり、そのまま高架橋から諸共転落。遂に乱戦から彼を分断することに成功する。

 

「よくやったボーンクラッシャー!これでやっと一騎打ちに持ち込める!」

 

 そして黙し戦況を眺め続けていたガルバトロンは歓喜の称賛を送り、『傭兵領域』から持ち出した鳥型兵器の1つ、『SCAVENGER(スカベンジャー)』を呼び出すとその足を掴んで向かわせ、着くと共に自らも飛び降りる様に対峙する。




()
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。