至高の夢は終わらない   作:ゲオザーグ

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ほんとは入れる予定なかったけど、少し前にコラボ目当てにやったアプリゲームで再燃してNPCから昇格して面々が出ます
何が大変だったかって実はキャラ名と折角のうるう年ってことで今日中に間に合わせることだったり
前者に関してはキャラ名そのままだと何か違う気がしたのと設定の方に熱が入っちゃってネタに悩んでました


永遠(とわ)を願い終焉を見据え

「引継ぎは全部済ませたつもりだったが、部外に行き届いていなかったとはな。おかげで余計な呼び出しを食らった……」

 

「あ、お父ちゃんお帰り。出番には間に合った様ね」

 

 『アインズ・ウール・ゴウン』の面々が『妖魔領域』でイースレイを相手に戦っている頃、『私情領域(プライベートエリア)』の円卓からいったん姿を消(ログアウト)していたガルバトロンが戻ってくると、戦艦棲姫が迎える。

 担当変更の連絡が送り先の不手際で届いなかったので、その説明をして戻ってきたが、見渡すと他にも何人か欠けていたり、空いていた席が埋まっていたりと顔触れが変わっている。

 

「バトさんお疲れぇ~。いやぁすいませんねえ。ちょっと見ときたい番組あったんで、録画した分フルで見てたら寝坊しちゃって……」

 

「あ、音蜜(おとみつ)さん達は妹さんの方が様態崩したらしくて、藤尾(ふじお)さん達はいつも通りでまだ遅れそうです」

 

 新たに来たメンバーで、N-WGIX/vの左隣に座る銀髪の2人組のうち、両サイドで纏めた髪が多数枝分かれし、先端が上に向いているのは、先に声をかけてきた妹の『深海鶴棲姫』。ロングヘアーを降ろした方が姉の『空母水鬼』で、アイオワ同様後発的に参入した。

 

「相変わらずあの姉妹はお盛んだな……残りはどうしてる?」

 

『空母水鬼、慣れんのはわかるがいい加減こちらではキャラ名で呼べ。私も先程戻ったんですが、知ってる限りだと『ウォースパイト』が帰郷命じてた親にブチギレてたんで、それに付き合わされるだろう『リシュリュー』共々もうしばらくかかりそうです。そしてお嬢ですが、どうも見知った顔見つけたらしくて、さっき『ビスマルク』連れて『自然領域』行きましたよ』

 

「『自然領域』?攻略放棄はわかるが、ログアウトしないで何やってるんだ?」

 

 N-WGIX/vが暗黙のルールと共に他のメンバーがどうしているか語るが、両肩に幼子(おさなご)――どちらもガルバトロンと戦艦棲姫の娘で、右に黒いゴスロリの姉『離島棲鬼(りとうせいき)』、左に白いワンピースの妹北方棲姫(ほっぽうせいき)――を載せたメガストームが尋ねる。しかしそれに誰かが答える前に、新たな来訪(ログイン)者の通知と共に、ガンッ!と円卓を蹴り飛ばす音が響く。

 

『相当荒れているようだな、ウォースパイト』

 

 先のルールに沿ってN-WGIX/vが呼んだ来訪者――肩と胸元を露出したセーラー服とオフショルダーのドレスローブを合わせたような象牙色の服で、女王然とした風貌のウォースパイトは、苛立たし気に足を組んで座り、やけ食いをしているのか何か持つように右手を掲げ、グチャグチャと激しく租借音をあげる。当然アバターの顔はそのままなので、非常にシュールな絵面となる。

 

「当然よ。いつも通り下らない縁談持ち出して『お前の将来や幸せを考えての判断だ』とか偉そうに言ってるけど、結局相手の家を持ち出して見栄(マウント)()りたいの丸分かりなんだもの。いくら富裕層だからって明日どうなるかもわからない今の世じゃ最早考えるだけ無駄だってのを全然理解してないし、もうちょっとマシな言い訳考えなさいよ……」

 

「貴女仮にもお嬢様なんだからもう少しマナー気にしなさいよ。子供見てるのよ?」

 

 「クチャラーだぁ」「マナー悪ぅい」とはしゃぎ立てる幼子2人の様子に戦艦棲姫が呆れるように苦言を漏らすが、当のウォースパイト――実は愚痴相手の親が欧州完全環境都市(アーコロジー)でもトップクラスの有力者と、ビオランテと並ぶメンバー随一の身分階級でもある――は全然気にした様子がない。

 

「いいじゃない今日で全部終わるんだし。『好きなように生き、好きなように死ぬ』のが仮にも許される身なんだし、だからレズ姉妹のことも間に合えば笑って流してやればいいのよ」

 

 『それ『傭兵領域(うち)』のファットマン(やつ)のセリフな』と原典を指摘するN-WGIX/vを気にする様子もなく、グラスらしきものを持っているだろう左手を傾けると、いつの間にか隣に座っていたチューブトップワンピースにプラチナブロンドの美女――リシュリューも同様に右手を傾け、カチャン、と軽い音を鳴らしてから煽る。

 

「まぁ、だからって怒りのままにいきなりピザ頼んで、『あなたも付き合いなさい』なんて言い出しだ時はちょっと呆れたけど」

 

 それでもさすがに突発過ぎて、「奇行」と評さずにはいられない、と暗に物申すリシュリュー。彼女は元々、日本にウォースパイトが留学する際に秘書兼目付け役として同伴を命じられてきたのだが、元々生身では生存すら困難な環境と、極端な身分差社会に虚無感を(かか)えていたところに、同じく荒廃した世界に生きる希望をなくし、破滅願望を(いだ)いていたビオランテの思考に毒されたことで巻き込まれた苦労人でもある。尤も当人は清々し過ぎて呆れられる――アバターのデザインすら投げ出し、ウォースパイトと連動気味に決められたことそのまま受け入れるほど世間に無関心で、良くも悪くも全然気にする様子もないが。

 そして新たなログイン通知と共に、残る空席のうち連結した2つを埋めたのは、どちらも和風デザインのへそ出しノースリーブのトップスに、黒の超ミニスカートで、それぞれ黒髪で腰まであるロングストレートの方が姉の『長門』、茶髪で少し癖のあるボブカットの方が妹の『陸奥』。早くに親を亡くした結果、互いに頼りあううちに共依存となり、割と生々しい関係にまで至ったがために仲間からは散々な言われ様だが、当人達は一切気にする様子もない。

 

「遅くなってすまん。それとも『待たせたな』、とでも言っておくか?」

 

「まぁまだ出番じゃないみたいだし、大目に見てよ、ね?」

 

「確かにまだイースレイが相手してるとこだけど、だからってアンタ等2人の世界に浸り過ぎ……って言ってるそばからイチャつくな!」

 

 南方棲鬼の注意も聞かず、挨拶もそこそこに来て(ログイン)早々長門の肩へと寄りかかる陸奥と、その髪を優しく撫でる長門。いかに同性といえど、あまりに過度なスキンシップは本来ならアカウント停止になりかねないが、運営権限で特別に見逃されている。

 

「お待たせ、って、トイレ行ってる間に皆来てたんだ」

 

 そこに戻ってきたアイオワも合流するが、一斉に目を向けるメンバーの様子に、思わず「な、何よ」と動揺する。そこにN-WGIX/vが一言。

 

『あぁ、お前も席立ってたんだったな』

 

「酷い!?」

 

 

 

 

 

 

 一方その頃、ビオランテが向かった『自然領域』には、いまだ留まり、青々と生い茂る木々と共に現実(リアル)ではもう見ることの叶わない沈みゆく夕日を飛行(フライ)で上空に浮遊して眺める一団がいた。

 

「すっご……まさかここまで再現してるなんて……」

 

「何がすごいって、他の人なんてまず見ないだろうに、わざわざ内装にここまで凝ってるってことだよなぁ………ほら、『自然領域(ここ)』に残ってるのアタシ等くらいだってのにさ。軒並み『傭兵領域()』行っちゃったみたいで、再ログインしてからは他のプレイヤー全然見かけないし」

 

 着物やら露出過多の軽鎧(ライトアーマー)と統一感のない――大雑把にはほぼ「和装」と一括できるのだろうが――色とりどりな女性の一団の名は、集団(クラン)剣戟乱舞(けんげきらんぶ)』。

 アバターの元となったのは、かつて中毒者も出るほど人気だったが、社会と娯楽の変化に伴い衰退した賭け事(ギャンブル)の1種「パチンコ」のキャラで、集団(クラン)名もイメージソングの1つが由来になっている。

 彼女達はいわゆる「エンジョイ勢」と呼ばれる、戦果(スコア)戦績(ランク)を気にせず、ゲームを楽しむこと自体を優先したライト系プレイヤーで、今回参加したのも、「最後を惜しんで予定を合わせて集まることを決めたはいいが、特に何をするまでは決めておらず、暇を持て余すだけだったところにデカい爆弾(イベント)を仕掛けた奴がいたから、折角だしそのバカに付き合いがてら、運が良ければ帰る前に(ツラ)だけでも拝んでみるか」程度のノリで決めている。

 それでも決して弱いわけではなく、実際『市街領域』では4連戦の2戦目で、隔離区域の地中から出現した『ブレイクドラモン』が周囲のスラム街や、そこを封鎖している巨大な外壁を破壊して襲い掛かってきたところを10人ほどで立ち回り、巨体を支える脚に集中攻撃で破壊して動きを封じ、油圧ショベルのバケットを思わせる巨大な腕や、尾の先端に付いたドリルを剥ぎ取って武器に使い、見事撃破して見せた。

 続くここ『自然領域』でも階層支配者(フロアボス)目前の最終戦力――Lv200の6体のうち、半数に当たる『ヘルクレスオオカブト』、『アクティオンゾウカブト』、『ギラファノコギリクワガタ』を始め撃破数最多を誇ったが、いざ階層支配者(フロアボス)の『ヘルクレスエクアトリアヌスブルー』と対峙するや『ジャベリン』の犠牲となっていくプレイヤーの姿に攻略意欲を失い撤収、。そのまま観光に転じ、「最後はどこかで適当に焚火でも囲むか、拠点作成アイテム『グリーンシークレットハウス』を設置してゲーム終了を迎えよう」となって、その場所を探しがてら森林浴を楽しんでいる。

 

「ただ惜しむべくは本来ここ、もっと広いみたいなことなんだよ……ほら、見えてはいるんだけどこの先進めないし」

 

 メンバーの1人――ビキニアーマーに赤毛をポニーテールにしたリーダー、『ブラック・スモーカー』が眼前をトントンとノックすると、何もないはずの空間に白い光が波打ち、そこに透明な壁があることを示す。

 

「『市街領域(最初)』の段階で想定より人数足りなかったみたいで、結構巻いてくみたいなこと言ってたからねぇ……余計なとこ行かないように、って壁張(メッシングされちゃ)ったのかな?」

 

 赤い甲冑をまとった緑髪ショートの女武者――『チヌーク』が嘆くように漏らすと、隅の方で突破せんと攻撃を続けていた小柄な2人――自身の身の丈とほぼ同等の大砲を、何度も撃ち続ける『燃える佐賀牛(さがぎゅう)』と、ひょうたん型の巨大なハンマーを同じく打ち付ける『お米改造』が疲れ果てたように攻撃をやめる。

 

あぁ~全然ダメだ!ってかさっきから静か過ぎない?普通だったらさっきの虫でも襲い掛かってきてもおかしくないってのに……」

 

「そこはもう突破されたから、わざわざ戦力割く意義もないってことなんじゃない?こっちとしてはその方が安心して過ごせるから、いいっちゃいいんだけど……っ!」

 

 前者の愚痴に返答したのは、丸眼鏡と切れ長の目から理知的な印象を受けるも、例に漏れず腹回りを露出した紫髪の『女豹(めひょう)』。ブラック・スモーカー共々集団(クラン)の中心部を担う彼女が直後苦無(くない)を構えた先に仲間達が目を向けると、一際巨大な転移門(ゲート)からビオランテが杯出てきたところだった。

 

「うっわ!何か一際デカイの出てきた!」

 

「チッ、ここで新手たぁね。あんまり消耗したくはないけど、折角だし貸すから好きに暴れな!」

 

 お米改造が慌てて立ち上がろうとするも、疲弊の余りハンマーを持ち上げる余裕もなかったため、うまく経てずに転んでしまう。ブラック・スモーカーも異様なほどに巨大なビオランテに対し戦力を出し惜しんでいては勝てないと判断し、目を離さず操作画面(コンソール)を操作し、所有する装備を仲間達に配布し、自身は虚空から現れたライオン型ロボット――ブレードライガーミラージュKS(カノンスペシャル)へと乗り込む。しかし眼前のビオランテは攻撃するそぶりを見せず、むしろ何かを確信したようにつぶやく。

 

「やっぱり、全部私がプレゼントした装備(アイテム)だ……」

 

「プレゼント……?アンタもしかして恵梨香(えりか)か!?

 

 予想外の相手の正体に驚くブラック・スモーカー。元々これらの装備や外装(スキン)は正規の課金ではなく、現実(リアル)にて偶々有していたコネで工面してもらい、多少無理矢理入手していた。その工面してくれたいけ好かないお嬢様が目の前に鎮座する怪物(ビオランテ)と同一だったとは思わず、つい名前で呼んでしまい、仲間達も同様に驚愕する。そこに新たな声が響く。

 

「まさか大人気バンドの『レジーナ』が揃って来てたとはね……まぁ、確か今はオフシーズンだったし、いてもおかしくはないか。にしてもアンタ、そのアバターみたいに顔がデカい、もとい広いとは思ってたけど、意外な伝手持ってたのね」

 

「悪かったわね。言っておくけどこれでも原作(オリジナル)からしたら遥かに小さいものだから。あまりデカくするとサーバーの負荷が酷いのよ……」

 

 ビオランテの足元に現れた、金髪ロングストレートと碧眼に灰色の軍服姿の女性――『暁の君臨者(エオ・ラグナンテス・クリプター)』最後の1人、ビスマルクが明かした『剣戟乱舞』の現実(リアル)の姿。それはジャンル問わず権利切れの既存曲をカバーして人気を博したバンドグループ『レジーナ』。ライブではどれほど広い会場でも満席が当たり前で、恵梨香(ビオランテ)も親族が度々パーティーに招いていたのを目にしていた。尤も彼女の反応があまりにも薄いせいで、あまりいい印象は持たれていなかったが、それでも羽振りの良さと手の広さから、運営に特権で工面してもらう程度に考えていたのが、まさかの黒幕だったとあれば、驚かざるを得ないだろう。

 

「まぁいいわ。とりあえずアンタ達は何するつもりだったの?」

 

「いいんかい。とりあえず『自然領域(ここ)』に残ったのは、出来凄かったからもうここで攻略止めて、強制ログアウトまで過ごそうかって思ったからよ。予定ないけど、迷惑だってんなら大人しく出てくから」

 

「それは光栄ね。別に出てかなくてもいいけど、どうせなら『私情領域(プライベートエリア)』にでもお招きしましょうか?『レジーナ』が来てたなんて聞いて嫌がるのはいないし、ちょうどいい見世物もあることだし」

 

 すでにライガーから降り、仲間に預けた装備も回収したブラック・スモーカーが呆れたように答えると、あろうことかビオランテは拠点(ギルドホーム)中枢へと案内する。

 

「いや、ちょっと、いくら外装(これ)工面してくれたからって贔屓すぎやしない?真面目に攻略してる人達に叩かれるような真似はしないでよ?」

 

「そっちは大丈夫でしょ、そっちが出しゃばらない限り気付かれることはないし。なんなら図書館区域で漫画でも読みながら適当にくつろいで過ごしててもいいだろうし、折角なら金庫で金貨の海でも泳いでみる?」

 

 衣装こそブラック・スモーカーに似るが、右前だけ紺色の髪を大きく垂らし、残りを鉢巻きで流し肩の後ろ辺りで揃えた『ティアマット』が警戒するのに対し、ビスマルクが余計に好条件を出すせいで逆に煽っていくが、腹を括ったブラック・スモーカーが頭をガシガシと掻きながら返答をする。

 

「もうわかったわよ。装備(これ)の対価ってことでアンタの誘いに乗ってやるわよ」

 

「え、いいの?ってか大丈夫なの?」

 

「だってこの調子じゃ断っても延々誘ってくるパターンよ」

 

 チヌークよりも赤身の強い鎧に、鬼の顔を模した額当てを装備した銀髪の『豪炎雷神(ごうえんらいじん)』の心配に、ブラック・スモーカーは「断り様がない」と疲弊した様子で返すが、ビオランテとビスマルクは満足した様子でまったく気にした様子がない。

 

「オーケイ、それじゃ正式に客分として招待するから、これ承諾よろしくね」

 

 ビオランテがブラック・スモーカーに送ったのは、「同盟の申請」。これを承認し合うことで双方のフレンドリィファイアや拠点(ギルドホーム)NPCの攻撃対象から排される等、様々な特典が付与される。操作画面(コンソール)に表示されたそれを乱雑に承認し、「『暁の君臨者(エオ・ラグナンテス・クリプター)』との同盟を締結しました」とあらたに表示された操作画面(コンソール)を閉じると、開き続けていた転移門(ゲート)に向き直ったビオランテを先頭に姿を消す。




()関係ないけど個人的に戦国無双の島津義弘の影響で『ギャンブル』より『博打(ばくち)』の方がしっくりきたり
まぁ中学までにメダルゲームで懲りたんでパチンコは一切やってませんが
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