両者が転移されたフィールドは――広大な花畑。色彩鮮やかな花々が一面に咲き誇っている。
イッセーのバトルフィールドが花畑とは……。
警戒しているイッセーとサイラオーグの『
『第三試合、開始してください!』
合図で試合が始まる。
イッセーは籠手を出現させてその場を駆け出す。それに応じてサイラオーグの『
『やるわね、坊や』
淡々と言うサイラオーグの『
イッセーは氷の魔力をかわし、次々と襲いかかる魔力をやり過ごした。
『
立ち止ったイッセーが叫ぶと、赤い閃光が籠手から発生して体を包み込んでいく。赤いオーラが鎧を形成して、
『出ました!おっぱいドラゴンです!!会場では子供たちがさらに興奮の一途!!!』
『おっぱいドラゴ―――――ンッ!がんばって―――――ッ!!』
子供たちが乳龍帝と化したイッセーに大きな声援を送っていた。
瞑目していたイッセーが叫びだす!
『きたきたきた!!広がれ、俺の――』
イッセーが例のごとく女性の胸の内を聴くための技に入ろうとした直後だった――。
するり……。
『
…………。
イッセーは――『
俺は眉間に手を当てて大きくため息を吐いた。
女性は上着を一枚脱ぎ捨てた。次に――スカートに手をかけて脱ごうとしている……。
――そう、イッセーの弱点を突いてきたのだった…。
イッセーはこの展開に――攻撃の手を止めていた。
『おおっと!これは!バアルチームのコリアナ・アンドレアルフス選手が、突然脱ぎ出した!男性のお客さんも無言でガン見している状態です!アザゼル総督、これはいったい!』
「……………」
隣に座っているアザゼルもイッセーと同様にガン見していた!
俺は冷静に試合の進行を見守る。ここで興奮状態になってガン見でもすれば、あとでVIPルームで観戦しているツインテールの魔装少女および、暁の女性陣の集中砲火を食らいかねない…。さすがに痛いを通り越して『死』を見るのは見えているので、内側から出てこようとしている
『
イッセーは興奮を隠しきれないようだ…。女性の胸の内を聴く技を発動させた!
『へい!そこのお姉さんのおっぱい!!次は何をするんだい?』
イッセーが『
その声は技を発動しているイッセーのみにしか聞こえない。
イッセーは胸の内を聴いたのだろう、その場を動かずに『
――ブラウスのボタンを上からひとつひとつ外していくところだ。
『できませんッッ!だって、お姉さんのおっぱいは次に脱いでいく箇所を宣言していくんですっ!』
どうやらリアスから指示が飛んできているようだ……それに反したイッセー。
『それもできません、部長!だって……だって、いまから脱ごうとしているお姉さんを攻撃するなんてこと、俺には無理です!脱衣してくれているお姉さんを前にしてドレス・ブレイクで全裸って選択も俺のなかではありません!』
……まぁ、確かに男としてその想いは理解できる。
すると、いままで無言でガン見をしていたアザゼルが力説を始めた!!
『これがサイラオーグ眷属の用意したイッセーの技封じか!なんて、おそろしい術だ!胸の内は次に脱いでいく箇所を告げ、目の前で美女が一枚一枚脱いでいく。男にとっちゃ、目の前で一枚一枚服を脱いでいく女ってのは最高の状態だ。ストリップショーというジャンルが確立するほど、男ってのは服を取り払っていく女性に夢中になっちまう生き物だ。ドレス・ブレイクで一気に裸にするなんてことは愚行に等しい!スケベの心理を捉えた的確で正確な攻め手!これほどのものか、バアル眷属!!』
俺はアザゼルの言葉に内心『ヤレヤレ』と半分ほどお手上げ状態になっていた。
多分、医療施設でいまの試合を見ている白音が「……兄さま、最低です」と突っ込んでいるところだろうな…。
ついに、『
『ちなみに、このストリップショーですが、お子様も見ているので、そろそろ特殊な加工を施して放送しますのでご了承ください』
いいタイミングで実況が放送の説明を入れてきた。
もう、脱げる箇所が二つしかない『
『ブラジャー外してから、パンツでしょぉッ!!』
『『
怒りの声を上げたイッセーが、極大なドラゴンショットを『
『えっ!?ウソ!?キャァァァァァァァアッ!!』
完全に不意打ちだったようで、女性はドラゴンショットのなかに消えていった。
『サイラオーグ・バアル選手の「
無情な
…俺は「ズルッ」とイスから滑り落ちた。あまりにひどい試合の結果を見ていて。しかも、イッセーの性癖がブラジャー→パンツ派だということが判明してしまった……。
第三試合は……イッセーの性癖の細かな違いから、あっさりと勝負がついてしまった。
D×D
「酷い勝負だったよ」
陣地へ帰ってきた俺に最初に投げかけられたのは祐奈のそれだった。
舞姫さまは嘆息していた。
うーん、女性から言われると、何も返せないな…。
と、まぁ、次のダイスシュートだ。
合計の数字が発表される。その数字は――8!また8だ!
「8か。私が出よう」
ゼノヴィアが一歩前に出た。
「ええ、そうね。そろそろゼノヴィアに任せようかしら」
部長も応じていた。部長の視線が祐奈、ロスヴァイセさんに行く。
「ゼノヴィアと共に行くのは祐奈か、ロスヴァイセが適任かしら」
そうだな。『
だが――、そこで恐る恐る挙手した者がいた。ギャスパーだった。
「……ぼ、僕が行きます。え、えっと、そろそろ
皆、ギャスパーの意見に目をパチクリさせていた。
確かにこいつの言う通りだと思う。強力な祐奈とロスヴァイセさんは後半の展開に取っておいたほうが得策だと思う。あえて
けど、ギャスパーの瞳は決意に満ちていた。
部長がフッと笑む。
「じゃあ、ギャスパー、ゼノヴィアをサポートしてくれるかしら?あなたの邪眼やヴァンパイアの能力でゼノヴィアをサポートして欲しいの」
「……ぼ、僕、男子だし、白音ちゃんの仇を討たなきゃ!」
全身を震わせながらもえらい気迫だった。
「うん、頼りにしているぞ、ギャスパー」
「は、はい、ゼノヴィア先輩!」
D×D
第四試合、バトルフィールドはゴツゴツした岩肌だらけの荒れ地だ。
そこに両者の眷属が転送されてきた。
リアス眷属からはゼノヴィアとギャスパーが出場し、バアル眷属からはひょろ長い体格の男と、不気味なデザインの杖を携えた小柄な少年が現れる。
『グレモリーチームは伝説の聖剣デュランダルを持つ「
『『『『うおおおおっ!ギャーくぅぅぅぅんっ!』』』』
実況の言うように観客席の一部からギャスパーに応援を送る大きなお友達がいた…。
逆にゼノヴィアのほうは男性客より女性客ほうが盛り上がっている印象だ。ただ、祐奈とは多少の違いがみられた。
『対するバアルチームは、なんと!両者共に断絶した御家の末裔というから、驚きです!「
実況に訊かれたアザゼルが答える。
「能力さえあれば、どんな身分の者でも引き入れる。それがサイラオーグ・バアルの考えだ。それに断絶した家の末裔が呼応したということでしょうな。断絶した家の末裔は現悪魔政府から保護の対象でありながらも一部の上役に厄介払いと蔑まれているのが実情。他の血と交じってまで生き残る家を無かったことにしたい純血重視の悪魔なんて上にいけばたくさんいますからな」
アザゼルが皮肉げにそうコメントしていた。実況もアザゼルの言葉に困り顔だ。
「ハハハハ、まったくその通りです」
ひょろ長い男『
『その通り。我が主サイラオーグさまは人間と交じってまで生きながらえた我らの一族を迎え入れてくれた』
『サイラオーグさまの夢は僕たちの夢』
少年……ミスティータ・サブノックも信念が固い。
バアル眷属の両者の瞳は使命感に燃えているようだ。
『第四試合、開始してください!』
ギャスパーは体を無数のコウモリに化かしてフィールド中に散らばり、ゼノヴィアは開幕早々に恒例の幾重ものデュランダルの波動を放つ!
バアル眷属の二人はその攻撃をかわし、『
『させません!』
フィールド中に飛び回る無数のコウモリが眼を輝かせて炎を停止させる。ゼノヴィアがそれを聖剣の波動で振り払って無力化していく。
実にいいコンビネーションだ、チーム戦の特訓をした結果を出してくれている。
『ラードラ!サイラオーグさまの指示が届いた!先に剣士だ!僕は準備する!』
『了解!』
『
そして衣服を破り捨てて守るように『
壁役にでもなるのか?と思ったときだった――。
ボゴッ!ドンッ!
『戦車(ルーク)』のひょろ長い体が突然盛り上がり始めたのだ。徐々に異質な体つきへと変化していく。その体は膨れ上がっていき、尾と翼が生まれ、口元から牙が剥き出しとなり、手の爪が鋭利になっていく……。
ギャオオオオオオオオオオオオオオオオンッ!
咆哮を上げる黒く巨大な怪物――ドラゴンがゼノヴィアとギャスパーの眼前に立ちふさがる。
サイラオーグの『
……俺と似た能力の持ち主、か。
俺は体を触れたものに変化させる能力を有している。
グラシャラボラス戦の記録映像では見せていない…いや、発現していなかった能力か…?
「ドラゴン変化は情報にも無かった!サイラオーグめ……、その眷属を鍛え上げて覚醒させたか!」
……やはり、修練で発現させたようだ。
隣のアザゼルのコメントでそう確信した。
『ギャスパー!!あれを撃つ!時間を稼いでくれないか!!』
ゼノヴィアがギャスパーにサポートを仰ぐ。…恒例のあれを放つ準備をするようだな。
ゼノヴィアが後方に下がり、ギャスパーのコウモリがドラゴンを包み込む。
『えい!えい!!』
ギャスパーはドラゴンと化した『
ギャスパーの攻撃をうっとうしそうにしていたドラゴンは口から大質量の火炎を吐くが、ギャスパーはうまく散って回避していく。
ゼノヴィアがエクス・デュランダルを天高く掲げ、パワーをチャージし始めたときだ。
サイラオーグの『
『ここだッ!!聖剣よッ!その力を閉じよッ!!』
その瞬間、『
不気味な光に包まれていくゼノヴィア。体に不気味な模様が浮かび上がり始める。
『……これはなんだ……。デュランダルが反応しない……!?』
ゼノヴィアの天然である聖剣使いの能力が発揮されない……、呪術の類か!?
サイラオーグの『
『……僕は人間の血も引いていてね。――
――やはり、呪術の類の
「『
アザゼルが隣でそう言った。。
「……なるほど、自身の体力などの全般を犠牲にしてゼノヴィア選手の能力を封じたのか。単一の能力者に対しては致命的な能力ですね。エクス・デュランダル一本のみで戦うゼノヴィア選手にとって天敵といえますね」
俺も納得気味に口を開いた。
『……くっ!!』
エクス・デュランダルを重たそうにしているゼノヴィア。
『……本当なら聖剣を封じた余波で、彼女自信にも聖剣のダメージを与えさせようと思ったんだが……。聖剣使いとしての才能は思った以上に濃かったようだ……』
サイラオーグの『
――そうだったな、ゼノヴィアは『悪魔』でエクス・デュランダルは『聖剣』。本来なら、適性の力を失った時点で聖剣からのダメージを受けていることになる。しかし、ゼノヴィアの天然の聖剣使いとしての力は、完全に封じられていないようだ…。
そこへドラゴンと化した『
ドォォォンッ!
誰もいなくなった地面にドラゴンの鋭い踏みつけによる攻撃が炸裂する。
コウモリに包まれたゼノヴィアは――どこかの岩陰に移動したようだ。
『……すまない、ギャスパー。だが、どうやら、私は役立たずになりそうだ』
ゼノヴィアがすまなそうに言う。
『そ、そんなことないです!!ゼノヴィア先輩のほうが僕よりもずっと部長のお役に立ちますよ!』
ギャスパーはゼノヴィアを励まし、腰の小さなポシェットから小瓶や、チョークなど、小道具を取りだした。
『ぼ、僕、この手の呪いを解く方法をいくつか知ってます!』
ギャスパーは手元に小さな魔方陣を展開させると、ゼノヴィアの体に当てる。魔方陣を通して、ゼノヴィアにかかっている
『逃がさん!どこだ!!』
ドラゴンが地響きを立てながら、岩場でゼノヴィアたち二人を捜し回る。
『……わかりました。はい、僕流の解呪方法なら手持ちの道具で何とかなりそうです』
リアスと連絡を取ったであろうギャスパーは、ゼノヴィアを中心にチョークで魔方陣を描きだしていく。
魔方陣を描き終えたギャスパーは、最後に小さな小瓶を手に持つ。
『いま描いた魔方陣にこのイッセー先輩の血を馴染ませることで、呪いは解けると思います。ただ、解呪できるまで少し時間が掛かりそうですけど……』
『ま、待て、ギャスパー。その血を使えば、おまえは――』
困惑するゼノヴィアにギャスパーは――満面の笑みを見せた。
『ゼノヴィア先輩、僕、役目を見つけました』
『ギャスパー……?』
訝しげに感じているゼノヴィア。魔方陣を完成させたギャスパーは岩陰から飛びだしていく。
『ぼ、僕が時間を稼ぎます!呪いが解けたら、そのままデュランダルをチャージしてください!』
……小瓶の血――おそらくはイッセーのだろう。それをゼノヴィアにかけられた術を解除するのに使い、自身の強化をせずに囮として時間を稼ぐ……、出会った当初のギャスパーだったら無理なことだろう…。それが、いまでは自身より数倍も巨躯なドラゴンの前に立ち塞がっているのだから。
ギャスパーは決意の満ちた表情で駆けだした。
『ダメですぅっ!ぼ、僕が時間を稼がないとダメなんですぅっ!部長が勝つにはゼノヴィア先輩の力が必要なんですぅっ!』
――ギャスパーの眼前にドラゴンとサイラオーグの『
『見つけた、ヴァンパイアめ。あの剣士は隠したか。だが、この周辺にいるのだろう?火炎をまき散らせば出てくるだろうか』
巨躯なドラゴンに迫られ、ギャスパーは全身を震わせる――しかし、逃げる素振りを見せず、手を前に突き出して攻防の態勢を取る。
『あ、暴れさせるわけにはいきませんっ!』
『単独で臨むか。その勇気、敬意を払うべきもの。たとえ、震えていようと勇気がなければドラゴンの前に立つことすらできないものな』
巨躯なドラゴンは――口元から巨大な火炎を吐きだす。
ギャスパーはそれを防御魔方陣で防ごうとしたが――。
パリッ――。
防御魔方陣にひびが入り、耐え切れず音を立てて儚く霧散する。
『うわああぁぁぁぁああがあっ!』
絶叫を上げて、防御魔方陣を破った火炎に吹き飛ばされていく。
火炎の攻撃で火傷を負いながらも、ギャスパーはフラつきながらも立ち上がる。
『……まだ。まだ大丈夫です!』
『ギャスパー!無理はよせ!』
岩かげに隠れているゼノヴィアが叫んだ。
『剣士の声?この辺にいるのか?剣士め、どこだ?』
ドラゴンがゼノヴィアの声を聞き、辺りを見回している。
『あああああああっ!!』
ギャスパーが悪魔の羽を展開して飛び出していき、ドラゴンの大きく太い腕に食らいついた。
『――ッ!離せ!いつでも倒せるおまえと違い、デュランダル使いはすぐにやらねばならん!あの呪いは有限だからな!』
ドラゴンは空いている手でギャスパーをつかまえ――激しく握りつぶしていく。……メキメキと骨の絞められていく音が周囲に木霊する!
『うわぁっぁぁああああぁぁぁっぁっ!』
ギャスパーが激痛に絶叫をあげる…。
握りつぶされ、気を失いかけていたギャスパーをドラゴンは地面に捨てる。
ギャスパーは激痛で息もできない状態でもがいていた。それでも――這って、ドラゴンに食い下がる。
『……痛い……痛いけど……。まだ……僕はグレモリー眷属の……男の子だから……。……ゼノヴィア先輩、待っていてください……』
後輩の覚悟を知ったのか、映像に映っているゼノヴィアはギャスパーの問いに答えず、自身の声と気配を完全に殺していた。…その目には涙が込み上げている。
ドラゴンに蹴られていくギャスパー。それでも、這いつくばる…。
『……グレモリー眷属男子……訓戒……その一……男は女の子を守るべし……ッ!』
衝撃と激痛に震える体を持ち上げ、ギャスパーは…立ち上がる。
その言葉は……部室でミーティングをした翌日に、奏と話しているときに話題として聞いていた。
『……グ、グレモリー眷属男子……訓戒……その二、男はどんなときでも……立ち上がること……ッ!』
手元に魔方陣を展開させようとするが――。
バキッ!!
サイラオーグの『
『諦めろ、キミでは我々には勝てない』
無情な一声。
その一声を聞いても、ギャスパーは岩につかまり、立ち上がろうとしていた。
『……グレモリー……眷属……男子……訓戒……その三……』
うわごとをつぶやきながら、ギャスパーは腫れ上がった顔を前に向けた。
「……何が起きても……決して諦めるな……ゼノヴィア先輩は……僕が守らないと――』
……あぁ、そうだ、ギャスパーはグレモリー眷属の……
ズンッ!
非常な一撃……ドラゴンの踏みつけが容赦なくギャスパーを襲う。
足をのけるドラゴン。ギャスパーは――ボロボロになっていた。とてもじゃないが戦える状態ではない、リタイヤが近いだろう…。
だが――、
『……ぼくは……グレモリーの……部長を……勝つ……勝たなきゃ……』
瀕死となったギャスパーの少し動く…。そして、這うようにその場から動こうとしていた。
『ギャスパァァァァァアアアアアアアアっっ!!!』
踏みつけの振動が伝わっていたのか、ゼノヴィアの絶叫がフィールドに響き渡った。