「カミュ、カラワーナ……」
そこに立っていたのは、カミュとカラワーナ。
「私も行く。最近はほとんど暴れていなかったからな」
カラワーナがそう言って、服装を戦闘用に瞬時に着替えた。
玄関を出ると、カミュが立ち止まる。
「ちょっと待って。私の背に乗るのよ」
そう言うと、カミュは灼熱のオーラを身にまとい……徐々に体を大きくさせていく。
私たちの眼前にいたカミュは――ドラゴンと化していた。
「私の背中に乗りなさい」
姿勢を低くしたカミュに私たちは乗る。
紅蓮に染まった鱗は…熱くはなかった。
イメージしていた姿とは全く別物のカミュの龍化。それでも、『
「いくわよっ!」
大きく羽ばたいて上昇を始めるカミュ。あっという間に空高く浮上してしまった…。
「リリスは……あっちね」
ゴォォ…と突風が吹き荒れそうなほど、強く羽ばたく。
私たちは首都「リリス」へ向かった。
D×D
ものの数分で首都の上空へ到着した私たち。
中央にそびえ立つ城の周囲を旋回する。
「…まだ、到達してないみたいね」
私はそう言った。
街を見下ろしてみると、あちらこちらで軍や上級悪魔と眷属らしい集団が避難誘導している最中だった。
しばらく周囲を見渡していると、ある集団が視界に入ってきた。
「カミュ、あそこ…」
私はカミュの耳元まで近寄り、指をさしていうと…カミュがうなずいて降下する。
その集団の近くまで接近すると、横を並走するように滑空するカミュ。
「にゃっほー」
私は手を集団へ振った。すると、その集団の一人がホバリングしてこっちを見る。
「黒歌……って、そのドラゴンは…もしかして、カミュ!?」
悪魔の翼――ルシファーの両翼を広げて静止しているルリエル。
「そうよ。…私たちは
カミュの問いに龍の翼を広げているアースが答える。
「私は戦うつもりでいる。避難は大方済んだことだし、久しぶりに大暴れしたいと思っていたところだったから」
不敵な笑みを見せるアース。
「私も…いや、私たちも同じことを考えていましたよ。そうでしょ、ルリエル」
レヴィがルリエルにそう問うと、ルリエルは口の端を軽く吊り上げた。
「確かにそう思っている。…今回だけなら、
最後のほうで、聞いてはいけないようなセリフが出てきたけど…。
「そ、そう…にゃ!?」
そのとき、不意に届いた連絡用魔方陣に驚いて声を上げてしまった。すぐに展開すると、リュースケが立体的に映し出された。
『――繋がったみたいだな。黒歌、いまはおまえ一人だけか?』
リュースケがそう訊いてきたので、私は首を横に振った。
「いいえ、私以外にもいるわ」
『そうか。なら、都合がいい。よく聞いてくれ。……さっき、サーゼクスの眷属が出陣した。直接、サーゼクスとグレイフィアから連絡があったからだ。二体のうち、東側の「
……あ、足止めって…。てことは、リュースケに何か秘策があるのかしら?
『…悪いが、秘策という秘策は持ってないぞ。黒歌』
私は心を読まれて、表情が若干引きつってしまった。
「そうなの…足止めと言わず、倒しちゃっていいかしら?」
持ち直してそう言うと、リュースケの表情が引きつる。
『む、無理だろ。さすがにあれが相手じゃ、並大抵の攻撃は通用しないぞ』
すると、アースが横から割り込んできて言う。
「私らは皆、本気で戦うと言っている。それに、おまえの出会ってきた奴は…皆、弱いか?」
アースのその問いかけに、リュースケは少しの間を持って答えた。
『……いや、決して弱くはない。だが、俺はおまえたちに無理をしてほしくはないんだ』
私たちはその言葉を聞いて、微笑み合って……同時に言った。
「「「「「「ありがとっ!!」」」」」」
『……ったく、何が「ありがとっ!」だ。はぁ…わかった。倒せるなら倒していい…。だが、誰一人として死ぬな。全員無事に帰ってこい!いいな!!』
リュースケの言葉に皆がうなずく。
『よし、俺は目の前の死人どもを片づけていく。通信は以上』
手元の魔方陣が消え、リュースケとの会話は終わった。
ベネチアが言う。
「…さて、西へ向かうわよ。早くあの『
「倒すんじゃないの?」
ベラナがそう言う。すると、アリスが言った。
「ルリエルもさっき、『解放する』って言ってたし…私も倒したいかな~」
「話をしている暇はないわよ…刻々と迫ってきているの。早く行きましょう」
「そうね。行きましょう……つかまって」
ベネチアの催促にカミュが大きく羽ばたく。羽根を収納して飛び乗ったルリエルたち。
私たちはカミュの背に乗って、『
D×D
「あ~、面倒くさい奴らが来やがったぜ…」
魔王領にあるルシファードでリアナたちと合流しようと思って、奏やサスケたちと分かれて旦那と走ってきたんだが……。
「ふん、蹴散らせばいいことだな」
俺と旦那は後ろにリアナや仲間、非戦闘民を庇いながら、奇襲をかけてきた旧魔王派の悪魔と相対していた。
「我ら、真なる魔王の意志を継ぎし者が――」
「さ~て、どこまで耐えられるか…一丁勝負だな!!」
俺は旧魔王派の悪魔どもが話していることを無視して、三枚の刃のついた大鎌を片手に突っ込む。
「おらおらおらぁぁぁ!!」
…『
「旦那、例の
「はぁ…おまえ一人で片づければいいものを……」
旦那がそう愚痴りながらも、右腕に火、風、雷遁の地怨虞を集結させている。
俺は旦那と間反対側――旧魔王派の悪魔どもを挟んだ位置に立ち、大鎌に付着している血を舐め取る。
「おまえら全員、死刑確定だ。覚悟しろよ!!」
俺の全身を黒と白の入れ墨が覆っていく。
「第二段階っと…」
手元に魔方陣を出現させ、それを地面に転写させた。
すると、辺り一面に儀式用の陣の文様が刻まれる。そこに手首を切って出血させた血を垂らすと、秘術の発動条件が揃うってわけだ。
「おまえら!この陣からは抜け出せねぇぜ!!」
それを合図に旦那から火、風、雷遁の合わさった打ち上げられ、俺へと降りかかって――。
「ちょ、待て待て待てぇ!!威力が大きすぎだろぉぉぉぉ!!!」
いつも以上の火力で、俺は撃たれた。
D×D
ドォォォォォォン!!!
『『『『『ギャアァァァァァァァッッ!!!』』』』』
爆音と共に一陣の風が吹き荒れた瞬間、旧魔王派の悪魔たちが断末魔を上げて消滅していった。
眼前で起きたそれは、私たちからすると次元が違うことがよくわかる。
「ふん、誰が手加減をすると言った?ぬるいな」
角都がそう言って踵を返す。私は慌てて翼をだして、飛段のもとへ飛ぶ。
「――痛ってぇ…、旦那の野郎…」
クレーターの中心に飛段が仰向けで倒れていた。
「だ、だいじょうぶ…よね?」
私が降りて訊くと、飛段はボロボロになった服を直しながら言う。
「どこが無事だってんだ。…ったくよぉ、いつも以上の威力で放ちやがって…。『
怒れるほど無事なのを確認した私は、ふっとため息を吐いた。
「ほら、早く行きましょう」
手を差しだすと、飛段はその手を取って立ち上がる。
「悪ぃな、リアナ。心配させちまってよ」
「いえ」
私は飛段を引き上げると、翼を展開して宙へ浮く。
ボロボロの状態で歩くのは辛いと思い、私は飛段に肩を貸した。
「…わりぃ。まあ、体が楽で済む」
そっぽを向きながら、そう言う飛段。私は顔が熱くなるのを感じながら、飛段のペースに合わせて移動する。
ゴォォォォォォォオオオ!!!!
少し先で火と雷の柱が上がり、治まったと思えば…再度、離れた場所で柱が上がっていた。
「無茶苦茶してんなぁ、旦那は」
呆れた表情で柱の上がっている方向を見ている。
「…相当、ストレスが溜まっているように見えますね」
飛段と同じでゆっくりとした生活を好んでいる角都さん。ここ最近、戦闘続きで休みたがっていたから…そのストレスを小型の魔獣や旧魔王派の悪魔にぶつけているよう…。
私と飛段はゆっくり皆が進んでいく方向へ移動していく。
D×D
…私は神威で移動後、海辺に生えている樹の影で人間の姿に化け、人目がないことを確認して暗闇を移動する。
しばらく歩くと、とある建物の裏手に到着した。
「
裏口から勝手に入り、下駄を脱いでなかに上がる。
物置になっていた裏口を進むと、従業員用の廊下に出る。
「――ほほほ、こんな時間に何の用かしら?」
突然かけられた声。その方を向くと、廊下の床の影が伸びて――。
「お久しぶり、ヤミ」
その影から浮き出てくる人影…中居の格好で立っていた。
「ヒルダ…久しぶりね。女将は?」
「こっち…何かあった?」
ヒルダが私の顔色を見て訊く。
幸い、いまは深夜。一般の客は寝静まっている頃…。
「これを…リュースケから預かったクナイ」
私が緋色に輝いている三叉のクナイを見せると、一つうなずいたヒルダ。
廊下を歩いて右に左に…階段を上って少し歩くと、ある一室の前にたどり着いた。
なかに入ると…味のある和室で、一角にある木製のテーブルの上で計算機とにらめっこしている女将がいた。
「おか…セルベリア、突然だけれど…このクナイをリュースケから預かってきたの」
私は女将――セルベリアの正面に座って、緋色に輝く三叉クナイを手渡す。
「……このクナイを持ってきたということは、リュースケに何かあったんだな?」
「そう、リュースケは現在進行形で、冥界に出現している魔獣の群れと戦闘してるの。しかも、相手は百メートルを優に超えている。……増援してくれる?」
私の問いにセルベリアは躊躇なく、はっきりと言う。
「あぁ。私も闘わせてもらう……ヒルダ、どうする?」
すると、ヒルダはどこから持ち出したのか…黒い駝鳥の小さな羽根を使ったセンスで口元を隠す。
「ほほほ、行くに決まってるわ。私――」
「それなら、支度をするとしよう」
ヒルダが台詞を言い終える前に、セルベリアが立ち上がって……壁にかけてある掛け軸の裏に手を入れた。
セルベリアが遮って全部言えなかったせいか、ヒルダは少し不機嫌になっていた。
掛け軸の裏から一本の鍵を手に取ったセルベリアは、反対側に置いてあるクローゼットの鍵穴にその鍵を差し込んで…開けた。
「ほら、急いで着替える」
サルベリアがヒルダに黒のゴスロリ服を手渡す。
対してサルベリアは……、どこかの国の女軍人が来ているような戦闘服。
着替えを待つこと五分……。
二人が着替え終わり、私は移動するために立ち上がる。
「支度はできた。移動を頼む」
私はサルベリアの言葉にうなずき、二人の肩に手を置いた。
「二人とも、武器は持ってるね。飛ぶよ」
私は両目を神威の万華鏡写輪眼に変化させ、二人を巻き込んで空間を転移していく。
D×D
俺は穢土転生の軍勢を二振りの大鎌で処理したあと、魔王領から西――俺たちが
所々で出現してくる人型魔獣を叩き潰したりしながら、走り抜けていた。
「リュースケ!!」
突然かけられた声。振り返ってみると、そこには――。
「奏…それにリエたちも」
声を発した奏を含めた転生者メンバーが、揃って俺の目の前で立ち止まった。
「……角都と飛段は?」
俺の疑問にリエが答える。
「お二人はぁ、ルシファードと言う都市に向かって行きましたよ~」
「そうか…。よし、二人がいないが、このメンバーでも十分に『
俺が「行くぞ」と言うと、皆がうなずいてついてくる。
…人数は少ないが、足止め以上になるのは目に見えている。
『ギュオォォォォ!!』
運が悪いようだ……。街の外れで動物型の『
「くそっ!時間がないときに限って、遭遇しちまうんだ…」
俺たちは戦闘態勢に入る。
「皆、行くよ!!」
奏が尾獣たちへ指示を送り…召喚、尾獣化する。
「木遁分身」
俺は九体の分身体を作りだし、尾獣に一体ずつ乗った。
「奏!俺の須佐能乎をまとわせるぞ!!」
奏がこっちを見てうなずく。
「分身須佐能乎!!」
俺の合図とともに、九体の分身体は須佐能乎を形成してまとわせていく。
「初撃は私から!!」
ドォォォォォォオオオオンッ!!!
龍巳が大きく腕を横に薙ぐと、『
「
霊装に身を包んだ奏が空中で巨大な弓矢を放つ。
ドゴォォォォオオン!!
そのバカげた破壊力で、『
「ニャーン!」
「行きますよぉ~」
『ふうりんかにゃん』が投身サイズになると同時に宙へ飛びあがり、リエは神速で『
ドゴッ!ゴスッ――ドォォォオオオン!!!
リエの渾身の蹴りで宙へ蹴り上げられた『
よろよろと起き上る『
『まだまだ行くよ!!』
奏の掛け声とともに、尾獣たちが走りだす。
『はぁぁぁぁあああッッ!!!』
ドドドドドドドドドォォォォォォオオオン!!!!
高く飛び上がって、勢いよく降下する。尾獣たちそれぞれが手にしている大太刀で、『
「サスケ、あの連携で行くぞ」
「あぁ」
スゥゥゥゥゥゥ――!!!
俺とサスケは半身体の須佐之乎をまとう。
俺の須佐能乎は勾玉を、サスケの須佐能乎は須佐能乎加具土命を同時に放つ。
二つは重なり、『
ドォォォォォォォォォオオオン!!!
轟音が木霊し、周囲に砂塵が舞い上がる。
しばらくして砂塵が収まると、そこには…全身がボロボロで再起不能となった『