「…堅いわね、こいつ」
破壊の魔力をまとっているルリエルがそう言う。
ルリエルの魔力で破壊された右腕から触手らしいものが生えてきて、高速で腕をもとの形に形成し終えた!!
体の至る場所の損傷も、高速で修復されて機能が衰えない…。
『
「光を放つ気よっ!全員回避!!」
ルリエルの指示と同時に全員が散開する!
カッ――!!
光が放たれる!その矛先は――。
「ルリエルッ!!」
誰が叫んだのかはわからなかった。でも、理解はしていた…。
――光線は、ルリエルに向けて放たれたのだと。
ルリエルは逃げもせず、そのまま巨大な光線へと一人で突っ込んでいく!!
破壊の魔力を身にまとっていても、悪魔は光に弱い。その光があれだけ巨大なら――。
――消滅。
私の頭をその二文字が過ぎる。
私…私たちはルリエルへ方向転換して接近しようと試みるが、距離がありすぎて間に合わない!
誰もが絶望しかけたとき、よく知る気が近くにいた……それは、ルリエルのところに急接近していた。
光線がルリエルに届く数瞬前に、その気をもつ影がルリエルの前に立ち、巨大なものを生みだしてルリエルを包み込んでいく……。
――刹那、光線が直撃するが…それはその前で食い止められていた!
熱風が周囲を包み込んでいくなか、私は歓喜の涙を流す。
「……リュースケ!」
私……ううん、ここにいる皆が同時に叫んだと思う。
そう、リュースケが…私たちのところに来てくれた!!
D×D
「……間一髪ってところか」
光線を須佐能乎の
光線が止んだ直後、俺は須佐能乎を解く。
正面では、大きく口を開く『
――炎を吐く気だな。
『主、我の力では限界がある。……だが、我の力を具現化させれば…搖動にはなるだろうぞ』
…そうか、俺にもある程度の仮説と計算はあったからな。
俺は木分身を一体作りだす。それは形を成すと地面に着地し、大きく姿を変えていく――。
――シャァァァァァァァァアアアッ!!!
八頭八尾の白い大蛇が眼下に出現する。黒いオーラで身を包み、『
そう、俺は木分身にムラクモの魂を移し、顕現させた。
ゴバァァァァァァァァンッ!!
『
――それなら、こいつで止めてやる!!
俺は素早く印を結び、火球を吐く!
――
ゴォォォォォォォォォオオッ!!
高出力、広範囲の火球を『
『我を忘れては困る!』
眼下にいるムラクモが六本の首で『
『私たちも!』
散開していたレヴィたちも属性の魔力やオーラを放ち、火炎球にぶつける!
『エクスカリバァァァァァッ!!』
高層ビルの屋上から、マリアが『
『深炎、闇に灯り、光を包み込む…焔よッ!!』
隣に立つ鬼姫の冴子が、深い青紫炎の火球を放つ!
「
その横に立つ天使化したカラワーナが、『堕ちた神剣』で生んだ焔を放つ。
「連続尾獣玉!!」
九喇嘛に尾獣化した奏が、尾獣玉を連射する!
「
花楓は天の滅竜魔法の空気砲を放つ!
「――噛み砕け、マスティコア!」
『最終詠唱を確認、徐かなる林の如く――』
『最終詠唱を確認した、前方へ衝撃波を発射する』
リエは『ふうりんかにゃん』と『ヴィネグレット』を同時に操作し、強力な真空派を放った!
『
『マヒトツ、一気に「
俺は内にいる十尾――『
『――別に、かまわない』
数瞬後、マヒトツから返事が返ってくると同時に――体の底から計り知れない力が沸き上がってきた!
ゴオォォォォォォォォォォォォオオオオオオオオオ!!!!!
火力を数十倍に増した『
『ゴギャァァァァァァァアアア!!!』
悲鳴を上げる『
バヂヂヂヂヂヂヂッ!!!
スパークノイズと共に、飛来する巨大な球体。その球体が目のひとつを焼き潰す!
ブバァァァァァァァアアッ!!!
青白く太い光線が目のひとつに刺さると、横に薙ぎ払われる!三つの目が一撃で潰れる。
俺は後方を振り返ると、そこには――。
「セルベリア、ヒルダ」
背にコウモリの羽を広げてホバリングしているヒルダと、烏の羽を広げたヤミと共に浮遊しているセルベリアの姿があった。そして、少し離れた位置に悪魔の羽を広げ、両手に魔力で作った槍を握っているアイムの姿も発見した。
「……ふぅ。何とか間に合ったみたいね」
ヤミが苦笑しながら溜め息を吐く。
「……安心するのは、まだ早いと思うけど」
花楓が落ち着いた声音で言う。
俺は『
「リエ!『
「できますよぉ~」
そう言うと、瞬時に『
「――俺も手伝うぞ」
声がするほうへ顔を向けると――低いビルの屋上に角都や飛段たちの姿がある。角都は右腕に四つの
「よし、射程角度から…右ひざを打ち抜けるな?やってくれ!」
「了解だ――地怨虞、最終射撃・改!」
ドォォォォォォォオオン!!!
火、風、雷、水の重なる射撃が、『
「行きますよぉ~」
ドンッ!!
リエが正面から『
「――仕上げだ。俺の全力を見せよう……!!」
メラメラメラ…ズズズズズ――
俺はマヒトツが流してくれているチャクラも利用し、須佐能乎を最強の段階へ成長させていく――。
成長が止まり、姿を留めた須佐能乎。
俺は須佐能乎の額の内にいる。
「――これが、最終形態の須佐能乎だ。完成体は過去に披露したが、最終形態は初めてだな」
ドフッ!!
背の羽を広げ、天高く飛び上がる須佐能乎。
『
「
須佐能乎が両手を前に突きだして構えると、巨大な霊盾が出現して……火炎球を打ち消す!
須佐能乎は霊盾を消すと、腰に提げてある太刀を鞘ごと抜く。
「こいつは破壊そのものの太刀だ。ここまで来れば、地上に影響は出にくいな」
須佐能乎は抜刀直後に納刀する。すると、『
再生しようと触手らしきものをいくつも延ばすが、その速度は徐々に遅くなっていく…。ムラクモの毒が効いてきているようだ。
「――リュースケ、避けて!!」
後方から叫ぶ奏の声が聞こえてくる。俺は後方を見ずに左へ大きく飛ぶ。すると、先ほどまで須佐能乎のいた場所を複数の螺旋手裏剣が『
余波に備え、須佐能乎は両手をクロスさせる。
刹那――、
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ!!!!
爆風と轟音が襲ってくる!
そこに『
その破片は消滅する前に、地上に落下してしまうほどの速度で飛んでいく!!
「――神威手裏剣!!」
須佐能乎は手元に出現させた手裏剣を、破片の一つ一つに向けて投げる。
高速で破片をとらえた手裏剣は、空間に渦を巻き――破片を飲み込んでいく…。
次々に破片を飲み込んでいく神威手裏剣。…だが、ひとつだけそれから逃れた破片があった!それは、奏たちのほうへ飛来していく!!
「しまっ――」
その直後、破片は渦を巻いて……消失していった。
「――ギリギリ間に合いましたね」
そこには、須佐能乎を出現させているヤミの姿があった。
俺は須佐能乎を消しながら、地上に降り立つ。
「ヤミ、須佐能乎を使えたんだな」
「この眼をもらったときから、使うことはできましたよ?負担が大きくてきついですが…」
ヤミが須佐能乎を消して下り立つと、そう言って苦笑する。
ふと上空を見ると、一面が赤く染まっていた。……イッセーだな?それにこの大きいオーラ…グレートレッドか。
大きいオーラはすぐに消え、イッセーの気が移動を始めていた。一緒に移動しているのは、オーフィスだな…。
俺はこっそりと力を使っていた龍巳のほうを見ると、明らかに表情でわかる。オーフィスが帰ってきたことを察知していることを…。
……そっと仙術で周囲を探知してみる。
…やはりか。一人戦闘不能の奴がいるな…気から察して、ヘラクレスか。
俺はゆっくり宙に浮遊する。すると、それに気がついた奏が訊いてきた。
「どこに行くの?リュースケ」
……はぁ。
「いまから、『
すると、奏が重明の羽根を広げて宙へ浮く。
「私も行く!」
そうしたら、流れ的に…。
『私たちも行く!』
こうなるのは、目に見えていたんだ…。
「はぁ…。なら、俺が説教してる間は…逃げないように周囲を囲む檻役だ。それなら、文句はない」
皆はそれぞれ顔を見合わせると――、
『オーケー!』
ものすごく笑顔になったぁぁ!
こいつら、俺より性質悪いかもな…ある方面ではな。
俺が移動を始めると、それぞれが個々の移動手段で移動を開始する。
…あぁ~、なんか頭痛くなってきたぞ。
D×D
俺と龍巳が到着すると、そこでは兜を収納しているイッセーに泣きながら抱きついているリアス。泣きながらイッセーの頭を叩く匙。少し離れたところにはサイラオーグと…突っ伏しているヘラクレスがいる。
「あっ!」
声が上がったほうを見ると、ジャンヌが虚をつかれたような表情を浮かべていた。
「悪いね。イッセーくんの登場で隙だらけだったから、子供は解放させてもらったよ」
少し離れた場所で祐奈が子供を抱えていた。
「おー、よく隙をついて救出したな。祐奈、おつかれ。――さーて、どうする?ジャンヌ」
俺は祐奈に一声かけると、正面にジャンヌをとらえる。
すると、ジャンヌは懐からピストル――の形をした注射器と小瓶に入ったフェニックスの涙を取りだす。
「イッセーくん、龍介さん、気をつけて!あれは
祐奈がそう説明をしてくれる。……まぁ、大体は情報で入ってきてるからなぁ。わかってはいるとも。
ジャンヌは首もとに針を向ける。
「……二度目の使用は相当命が縮まるけれど、使わざるを得ないわ」
そう口にしたあと、ジャンヌは涙で傷を癒し、針を首に撃ち込んでいく。瞬間、ジャンヌの体が大きく脈動を始める。体から放たれるプレッシャーが増大し、顔に血管が次々と浮き上がっていく…。
ジャンヌは体を大きくよろめかせながらも笑う。
「……これでいいわ。力が高まっていくのがわかる!!」
ジャンヌが吼えると同時に足下から無数の聖剣が出現していく。そして、眼前に降臨したのは――聖剣で創られた一匹の巨大なドラゴンではなく、蛇だ。ただ、頭部にジャンヌが上半身だけ露出している状態だ。下半身は巨大な蛇と同化しているが…。
『うふふ、この姿はちょっと好みではないけれど、強くなったのは確実よ。曹操が来るまでの間、これで逃げさせてもらうわ!』
さーて、どう止めるかな…。……あぁ~、あの手があったわな。
「へい!そこのジャンヌのおっぱいさん!いったいこれからどうするんだい?」
イッセーが例の『
「――兄さん!ジャンヌは路面を壊して、下水道に逃げるつもりだ!!」
イッセーが飛び出そうとするのを引き留め、俺は笑顔で「見てろ」と言う。
ジャンヌが聖剣で作られた蛇腹を動かして軽やかに蛇の体を動かして行く――。一際大きい聖剣を創りだし路面に突き立てようとしたところで、俺は両手を勢いよく組む。
「
刹那――地面が悲鳴を上げ、ジャンヌを中心に地面から樹木が生えていき、あっという間に周囲は樹木の海と化した。
樹木に絡まれて逃げることができないジャンヌ。
『くっ!』
逃げようともがくジャンヌだが、もがけばもがくほど樹木の絡みは激しくなっていく一方だ。
「さてと、そろそろ力が抜けてくるころなんだがな……」
俺の言葉を聞いたジャンヌが驚きの表情を浮かべる。その直後、――パリンッ!と儚い音と共に蛇の下半身と化していた聖剣が散っていった。
『な、何をした!?』
ジャンヌはそれでも抜け出そうと必死にもがくが、浮上がっていた血管が静まるようにもとの流れに戻っていく。
「ん?何をしたかって?……あれを見ればわかると思うなぁ」
横に座った俺が指をさすと、ジャンヌはその方向を見る。少し離れた場所で地面に首を三本突っ込んでいる白い巨大な蛇……ムラクモの姿がある。
「さっきな、俺のなかにいたムラクモを『木分身』で顕現させた。この樹木は俺の木遁であり、顕現しているムラクモの体も俺の木遁でできている…。簡単に言えば、同じものなら、くっ付くことも離れることも容易ということだ。そして、ムラクモの能力には、触れている者の力を吸い取ることができる。わかっただろ?」
俺の説明にジャンヌは悔しそうな表情をしていた。
「私は……リュースケに勝てないの…?超えたと思っていたのに…」
その瞳からは、滴が一粒…また一粒と落ちていく。
「勝ちたいなら、力を借りても無駄だ。自身の力を信用し、日頃から鍛錬することなんだよ。――さてと、ジャンヌには眠ってもらおうかな…」
俺は写輪眼でジャンヌの目を直視する。しだいにジャンヌの目が細くなり、「あぁ…」と小さく声を漏らして意識を失った。
俺は樹木に指示を出し、俺とジャンヌをゆっくりと地面に下ろしてもらう。
印を組むと、樹木は地面に吸収されていくように潜っていった。
仰向けに寝ているジャンヌを一瞥すると、歩みだそうとして……前へコケた。
……格好悪いなぁ、俺。
俺は起き上がると、苦笑しながら額をさする。
イッセーたちのもとに戻ると、イッセーから「…兄さん、いまの笑えた!」なんて言うから、いつものように額を軽く小突いておいた。