深夜――。
俺たち転生者、暁、イッセーたちグレモリー眷属、生徒会メンバーは最寄りの駅に来ていた。
理由だが――ここに来いと襲撃した奴らから連絡があったからだ。
奴らの伝言とは、
『遠山白音、ギャスパー・ヴラディ、レイヴェル・フェニックスを返してほしければ、グレモリー眷属、紫藤イリナ、シトリー眷属、転生者、暁のみで地下のホームに来い』
というものだ……だが、メンバーのなかには指名されていない者もいる。そこは、暁のメンバーとして参加してもらっていたりするが。
地下のホーム…それはこの最寄りの駅の地下に設けられた、冥界へつながるルートのことだな。
ソーナが駅のエレベータ前でつぶやく。
「ここを指定されるとは思いませんでしたね。他の悪魔専用の地下空間はすでにスタッフの方が調査していますが……いくつかの魔法の痕跡はあったようです。一時的な潜伏先として利用されていた気配があります」
「地面を潜ってきて地下から侵入したってことですか?それとも冥界側――列車のルートから侵入した?次元の狭間を通って……」
イッセーがそう訊くが、ソーナは首を横に振る。
「いえ、どちらも違うでしょう。やはり、誰かが知らない間に利用された……?裏切りによって侵入を許したとは思えませんが……」
ソーナは難しい顔で深く思慮していた。
エレベータ前に集合する俺たち。ソーナが皆を見渡すように言う。
「この周辺を天界、冥界のスタッフが囲んでいます。冥界のグレモリー領にある列車用の次元の穴も封鎖しました。相手は何を考えているか、いまだに真意は判明しませんが……あとは指名された私たちが直接会いに行くだけです」
…そういうことだな。奴らは袋のネズミということになるうえ、確実に…な。
「グレモリーの指揮は誰が執る?」
ゼノヴィアがそう訊く。すると、ソーナが眼鏡をくいっとあげる。
「問題ありません。有事のため、生徒会、オカルト研究部の指揮は私が執ります。リアスにもそのように任されておりますから」
……ほう、そう来たか…まぁ、俺としては結構楽だな。
「『
『はい!』
イッセーたちグレモリー眷属は異口同音で応じる。
俺は足元に影がうごめいていることに気が付き、皆と少し離れた場所でしゃがむ。
「……どうだ?ダークライ」
すると、その影から黒服に身を包んだ少女が現れる。
「大丈夫です。皆の配置は指示通りに」
「そうか」
少女は一礼すると、影に潜り――物影へ消えていった。
俺は皆のところに戻る。…イッセーが恐る恐る大柄な男のほうを見ながら椿姫に話しかけていたところだった。
「あ、あの、そちらの大柄な男性は……?」
「ええ、こちらの男性は駒王学園大学部に在籍する大学生の方で――シトリーの新しい『
ほう…シトリーの新人の『
男は無骨そうな反応と言葉少なに、
「……ルー・ガルーと呼んでくれ」
そうつぶやいた。椿姫が続ける。
「私たちはルガールさんと呼んでいます。兵藤くんもそのように呼んであげてください。ルガールさん、今回は外でバックアップをお願いします」
「……ああ」
ルガールはそのままこの場を離れていく。
《マスター、周辺の準備は整ったようですぜ》
聞き覚えのない声がする…。俺は声のした方向――駅の天井を見上げた。
駅の天井からシトリーの魔方陣が出現していて、そこから逆さに頭が飛び出ていた。
――どくろの仮面を被った小柄の
「グ、
イッセーが天井に指をさして叫ぶと、ソーナが言う。
「こちらは私の新しい『
《……あっしはベンニーアと申します。……元
天井から小柄な
それと同時に仮面を外す
手に持つ
「
驚くイッセーにソーナはうなずく。
「ええ、ベンニーアは
「最上級
…匙が追加情報をくれる。
「俺はファーニアだと思ったんだが……」
《姉御は、上ですぜ》
俺が落ち着いた声音で言うと、ベンニーアはそう言って天井――俺の頭上を見上げる。
俺は頭上へ落下してくる気配を感知し、瞬時に二歩下がった。
《……やはり、バレてたな》
――すると、俺の眼前に小柄な
「……新しい『
ロスヴァイセも少女
…まぁ、普通に
椿姫が首を横に振る。
「いえ、『
《ハーデスさまのやり方についていけなくなったのでこっちに寝返ることにしやした。あっしと姉御を眷属にしてみませんかね?》
――と、交渉してきたという。
一瞬ハーデス側のスパイと思ったそうだが、そこまで大胆なスパイがいるのだろうかとソーナは首をひねりにひねったという。
「怪しさは凄まじいものでしたが、ある一点で信頼することにしました」
イッセーがソーナに問う。
「あ、ある一点……?」
すると、ベンニーアはイッセーに色紙を突きだす。
《おっぱいドラゴンの旦那。あっし、旦那の大ファンですぜ。ほら、マントの裏はおっぱいドラゴンって具合です。サインをひとつお願いできませんかね?》
ベンニーアがマントを翻すと……鎧のイッセーの刺繍が施されている。
……ルフェイに続くファンか。
「俺のファン?」
《ええ、それにプラスしてクソ親父とハーデスさまのやり方が気に入らなかったんで家を飛び出してきたですよ》
…あぁ~、そういう事情か。
「『
ソーナがそう言う。…そうだな、確かに駒ひとつなのはお買得だ。
《あっし、母方の人間の血が濃いんで、大したことありませんぜ》
ベンニーアがそう漏らす……いやいや、癖は強いだろうな…姉妹で。
「…ということは、ファーニアはフリーになるのか?」
俺がそう言うと、ファーニアが答える。
《ウチの目的は別にあったんで…》
「…別?」
《姉御の目的は……》
《ベンニーア、それ以上言うな》
《………》
ベンニーアに睨みを利かせるファーニア。
ソーナがベンニーアに言う。
「ベンニーアもルガール同様、外でのバックアップをお願いできますか?」
《イエッサーですぜ、マスター。同期の大柄あんちゃんと共に外で待機してやす》
《ウチもベンニーアと外回りに行ってくる》
ファーニアは俺に向けてそう言う。
ソーナが小さく息を吐く。
「大事な作戦前に眷属の紹介になってしまって、申し訳ありませんでした……。こういうのは重なるものですね」
「いえ、作戦前に緊張がほぐれました」
イッセーがそう言う。まぁ、奪還作戦前にシトリーの追加メンバー+一名を紹介されて、俺も少し緊張が和らいだな。
……ファーニアはフリーということで、シトリーの残った未使用の駒は『
ソーナがイッセーに訊く。
「さて、イッセーくん。ドライグの具合はどうですか?」
「正直、あまり。たまに目覚めますけど、寝ている時間が多いです。いまも寝ていて、反応がありません。普通の籠手ぐらいなら出せますけど、本調子じゃないですね」
……ふむ、能力上はサポートに、か。
「つまり、
「面目ありません」
気落ちするイッセーにソーナは微笑む。
「あなたが謝ることなんてひとつもないわ、イッセーくん。あなたは冥界を救った英雄です。あなたが無理できない分、私たちがフォローすればいいだけよ。それにね、あなたは短期間にがんばりすぎた。本当、私たちの力不足が申し訳ないと感じるほどに」
ソーナだけではなく、シトリーの眷属の皆がうなずく。
「たまには俺たちに頼れよ、兵藤。ゲームじゃライバルだ。だが、実践じゃ仲間じゃねぇか。俺たちだって冥界や駒王学園を守りたいんだからよ」
にんまりと笑う匙。
俺はイッセーの髪をくしゃっと一撫でして、言う。
「そうだ。俺たちもいる…調子が悪くとも、いつもと違う手を使えばいい。俺たちは必ず応えているだろ?」
ソーナがイッセーの手を取る。
「だから、今日は私があなたたちを導きます。リアスではないけれど、いまだけは私の力を信じてください」
『はい、もちろんです!』
グレモリーの全員が改めて応じる。
ソーナが再度イッセーに訊く。
「ところで、譲渡はどれぐらい
「倍加の具合によって変動しますが、二十回ぐらいまでなら余裕でいけます」
二十か…そこそこだな。
それを聞き、ソーナはふむふむと考え込んだのち、イッセーに言った。
「よろしい。では、イッセーくんには――」
作戦が伝えれ、俺たちは駅のエレベータから地下へ降りていく――。
D×D
地下に降りた俺たちは、冥界息の列車用に建設されたホームを進んでいく。
広い空間を抜け、右に左に通路を進んでいくと――。
奥に複数の気配を感じ取った。……この先、通路を抜けた先に敵が待ち構えているのだろう。
俺たちは無言で視線にて確認しあい、突入の陣形を作り出す。
オフェンス――ソーナの指揮下の前衛はゼノヴィア、イリナ、匙、『
中衛にはイッセー、朱乃、ロスヴァイセ、椿姫、『
後衛はソーナ、アーシア、『
近接タイプを前衛、遠距離からの攻撃メンバーを中衛に、後衛は指示を中心としたサポート要員で配置されている。
俺の指揮下の前衛は奏、アイム、冴子、カラワーナ、マリア、リエ、ルリエル、レヴィ、サルベリア、ベネチア、マキア、ベラナ、アリス、アース、セルベリア、ヒルダ、ネグレリア、飛段、角都、柱間、マダラ、サスケ。
中衛は花楓、メイル、スバル、ユー、スコル、ハティ、エルシャ、ヤミ、美柑、アゲハ、時音、黒歌。
後衛はエール、千代女、フローラ、龍巳。
――アルセウスたちはここにいない…外回りを頼んでいるからな。
俺は前衛に立ち、中衛と後衛に一体ずつ分身体を配置する。
近接・変化タイプを前衛、中・遠距離攻撃と変則型メンバーを中衛に、壁、遠距離型を後衛に配置している。
チームの形が整い、全員が耳に通信用の冥界のアイテムを入れる。
俺たちは最終確認を目で合図し、通路を抜けていく――。
そこは初めて足を踏み入れる地下のひらけた空間だ。
ホーム以上にいっそう高い天井。広大にひらけた空間。
前方には、魔法使いの集団がわんさか…。
全員が魔術師用のローブを着こんでいる…ローブに統一性はない。
俺たちは距離を置き、奴らと対峙する。
……パッと見たが、百は優に超えている……かなり集めてやがるぞ。
中衛にいるイッセーが指を突きつけて言う。
「来てやったぜ?俺の後輩はどこだ?」
イッセーの声が地下に響く。魔術師どもはあざ笑ったり、肩をすくめるだけだ。
…魔術師の一人が前に出てくる。
「これはこれは、悪魔と転生者の皆さん。俺たちのために来てくれるなんて、光栄の限りだ」
ソーナが訊く。
「あなたたちの目的はなんですか?フェニックス?それとも私たちでしょうか?」
「どっちもですな。ま、フェニックスのお嬢さんは大事に扱っているんで。そうしろと、リーダーの命令なんですよ」
リーダーか…誰だ?
魔術師は続ける。
「フェニックスの件はOKなんで、あとはあなたたちとの件だ。――気になって仕方がないんですよ。メフィストのクソ理事とクソ協会が評価したっていうあなたたちの力がね。この思い、理解できます?できないですよね?ま、強い若手悪魔がいたら、試したくなるでしょ?魔法を乱暴に使う俺たちならね」
その魔術師が指を鳴らす。
刹那、この場にいる魔術師全員が攻撃魔法の魔方陣を展開し始めた!!
「やろうぜッ!悪魔と転生者さんたち!魔力と魔法の頂上決戦ってやつをよ!」
それが開始の合図となる!!怒涛のごとく、炎、水、氷、雷、風、光、闇、あらゆる属性の魔法が俺たちに向けて放たれる!使役している魔物の群れも突っ込んできやがった!
その無数とも思える激しい魔法の雨が降り注ごうとしているなか、ソーナと俺は全員に向けて通信を通して告げる。
『――では、見せてあげようではありませんか。若手悪魔の力を――。駒王学園の悪魔を敵に回したことを後悔させてあげましょう』
「――転生の力、とくと見せようか!俺たちを敵に回したことを思い知らせてやろう!!」
宣言を聞いて、ゼノヴィアと奏が飛び出す!
ゼノヴィアはエクス・デュランダルを大ぶりに振るい、奏は尾獣たちの性質を混ぜた剣で襲来してくる魔法の数々を叩き落としていく!
中衛のロスヴァイセも魔法のフルバーストを撃ち放ち、ゼノヴィアのサポートをする。
ネグレリアが大きく伸びをした直後、一瞬で姿を消し――。
パァァァァァァァァ!!!
空中に現れた瞬間に周囲の攻撃魔法に触れるだけで、無力化して霧散させていた。
魔物の群れもゼノヴィアとロスヴァイセ、奏、ネグレリアの攻撃を受け、消滅していく。
ほとんどの魔法と魔物が打ち落とされたが、漏れた魔法攻撃がこちらに届こうとしていた。
中衛の前方に柱間とマダラが立つ。柱間は木遁の印を結び、マダラは腕を組んでいるだけ。
「
「――
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ――。
その瞬間、地面が大きく揺れだし、柱間の足元から無数の腕を背後に携えた超巨大な千手観音を出現させる!!
一方、マダラは柱間の出現させた千手観音と同等の巨大な
千手観音は十数本ほどの腕を、
ドゴオォォォォォォォォォォォオオオンッ!!!
再び空間が大きく揺れ、地面には巨大なクレーターが一瞬で複数出現させてしまった。
その一撃で、こちら側に流れてきていた魔法はすべて消滅していた。
『あれはアザゼル先生からいただいた人口
イッセーたちのほうを見ると、『
『父さま、少しは加減してください!』
『時音さんの言うとおりですよ、お父さん!』
無線の向こう――柱間とマダラが娘の時音とアゲハに怒られていた…。
怒られた本人たちは、千手観音と
『――オフェンスに入ります』
「――攻撃開始だ!」
ソーナと俺の容赦ない指示に全員が進撃を開始する!!