「全員集まったか?」
俺――遠山 龍介はオカ研と遠山家の全員を部室に集めた。
「……大方予想はつくのだけれど、ドーナシークを倒しに行くのですね?」
リアスが答えにたどり着く。
「あぁ、あいつの根城に行こうと思う。2日後だ。俺にも準備期間がある」
全員が頷く。理解が出来てもらえたようだ。
「それとだが、当日は全員で行くわけではない。強襲と
は避けるためだ」
その言葉に全員が目を開いた。…たぶん最後に言ったやつだろう。全滅……俺もそこに含まれて
いるからな。
「兄さん、その間はどうすればいいの?」
イッセーが不安な顔で訊いてきた。
「いつも通りに仕事をしたほうがいい。あいつらにこちらの行動がバレると、先に動き出すかも
しれないからな。そうなれば、こっちも無事でいられない可能性が高い」
俺は冷静に話していく。リアスは「わかったわ。明日はいつも通りの部活動ね」と、俺の言った
意味を理解してもらえたみたいだ。
「今日は…仕事はなしね。みんな、自由にしてていいわよ」
リアスがそういうと、緊張していた雰囲気も解けて話し声が聞こえてきた。
あ~、もう一つ言っとくことがあったわ~。
俺は少し離れたところにイッセーを呼んだ。
「……なぁ、イッセー」
「何かな?兄さん」
「イッセー…お前の記憶が戻ってるなら、11年前……6歳の時のこと覚えてないか?神社の襲
撃事件」
その言葉に一瞬だが、リアスと話していた朱乃が反応した…ように見えた。
「ん~、それって……刀を持ってた男の人たちだったような………」
「そうだな。その通りだ。他に思い出したか?」
「ん~、あっ!全部思い出した。その神社にカミュの知り合いの巫女さんがいて、カミュが仕事
をしてる間その神社でよく遊んでた。…確か、巫女さんは『朱璃さん』だっけ?」
「そうだ。……そろそろ気づいてもいいところじゃないのか?」
「ん?何に?」
…鈍感すぎる。これじゃ原作より悪いな。
「はぁ……お前の幼馴染のことだよ」
「幼馴染…えっと、2人いたんだよね?」
「あぁ。ファーストの方だ」
「…確か、名前は朱「私ですわ」」
傍に来ていた朱乃が、イッセーに言葉を被せた。
「「「「「「えぇぇぇぇ!!!」」」」」」
やっぱり朱乃は聞き耳立ててた。ていうか、全員(アーシア、黒歌、辰巳、カミュ以外)が驚いて
いた。お前らも聞き耳立ててたんかい。
「し、知らなかったわ。朱乃とイッセーが幼馴染だったなんて!」
「僕もです。意外な真実ですね」
驚愕するリアス。木場は少し驚いてるな。
『…お兄ちゃん!幼馴染って、原作と違うんじゃ?』
花楓がテレパスで話してきた。
俺は返答に少し困ったが、こう答えた。
『…仕方がないだろ?ここは原作の世界じゃないからな』
『…そうだった。いろいろ変わっているんだったね』
納得するの早くない?もうちょっと粘ろうよ。
俺は心の中で花楓に突っ込みを入れた。
「はい。私とイッセー君は、幼い時からよく遊んでいました。母と、カミュさんが親しくて。で
も……」
「…そうだ。11年前、姫島家に襲撃があったんだよ。リアスは知っているはずだが?」
「そのことは朱乃と、朱乃の御両親から訊いたわ」
と、朱乃の横に立っているリアスは答えた。
「ちなみに、その時のイッセーは『いやだっ!朱璃おばさんと朱乃ちゃんは僕が守る!』って、
言って壁になってたな」
ボンッ!
俺がそう言うと、イッセーは頭から煙を上げた。
「ななななななな、何を――」
「…これ」
サッ
俺は暗部の面を付け、暁の装束を羽織った。
「俺は……うちはイタチだ…と言っても、思い出せないか?」
「そっ、それは!…に、兄さんがあの時の??」
やっと思い出したか。
「そうだ。俺があの時助けた張本人だ」
「でも兄さん。年齢が合わないんじゃ――」
そっちもあったな。
「……変化」
ボフンッ
「ケホッケホッケホッ……」
どうやら、変化の煙で咽たみたいだ。
「おいおい、せっかく教えてやってるのに何咽てるんだ?」
「何って、それは――」
声からして、リアスだろう。って、固まってる?
「おい、どうしたんだ?みんなして固まって」
「にい…さ…ん?」
「なんだよ、イッセー」
「何で小さくなってるの?!」
あっ!術の掛ける方向間違えた!
「確かに目線が低いな。……ほぼレッドゾーンだこれ…(解)」
ボフン!
「ケホケホ、また?兄さん、何してるんだよ!」
「ん?お前が年齢が合わないっていうから、当時の逆のことをして見せたんだが?」
「「「「「「「…………」」」」」」」
煙が晴れると、またも固まってやがる。
「…何故固まってる?」
「…いえ、人が化けたのは初めて見たもので……」
リアスが言うと、理由を知らないやつが頷いた。
仕方ないもんな。
「…暇だ。リアス、イッセーに契約の仕事出してくれ。俺もついて行くから」
D×D
俺はリアスに頼んで、イッセーに仕事を取り付けてもらった。
「イッセー、もっと早く漕げないのか?」
「これが限界だよっ!」
軽重岩で軽くしてるのに……何か…お兄ちゃん泣くよ……。
おっ!見えてきた。住所は…間違いないな。
契約者の家に着いた俺とイッセーは、自転車から降りて玄関前の門前に立つ。
「一軒家か。……何か変だな。何か感じるか?イッセー」
「俺には何も感じないよ。ただの広い一軒家しか――」
「お兄ちゃん!マズイよ、この中!」
いつの間にか隣にいた花楓に、驚いた俺とイッセー。
「…花楓、いつの間にいたんだ?」
「気配を消して、飛んできたの」
……マジっすか。全然気づかんかったぞ?!
「それより!家の中、人の気配が」
「はいはい、ちょっと落ち着いてろ……白眼!」
…これは――
「結構やばい状況だ!中に入るぞ!」
「「はい!」」
俺たちは家の中へ入っていく。
その先には――
「…これは、・・・・・・酷過ぎるな」
「っ!!花楓ちゃん、中に入って来ない方が――」
「…酷いよ、こんなの」
俺たちの目の前にあったのは、リビングの壁に逆十字で貼り付けらえてある男性の遺体だ。……
それは拷問にでもかけられた後みたいに、腹を斬られて内臓が飛び出ている。
「誰が一体…こんな――」
「キャア!!」
イッセーがそう口にした時、部屋の奥から女性の叫び声がした。
「っ!!
カッ!!
俺は『天体魔法』の一つ、光速で動ける『流星』で声のした部屋へ飛び出す。その部屋に入った
瞬間目の前には、女性と子供に光の刀剣を振り上げていた男がいた。
「ラアァァア!!」
俺は光速で、その刀剣を持っている男に(普通の)ラリアットを叩き込んだ。
「うぉぶらっ!!」
その男は、声にならない声を出して部屋の壁を突き破っていった。
「大丈夫ですか?!」
俺は流星を消して、女性と女の子二人に声をかける。
「はい。私とこの子たちは無事ですが、父が――」
「……その先は、言わなくていい」
俺はさっきの貼り付けにされている、男性の末路を目にした。たぶん、この女性と女の子たちの
父親なのだろう。そう思った俺は、その先を言わせなかった。余りに残酷だったから。
「お兄ちゃん!大丈夫…みたいだね!」
なんつーテンションの変わりやすい妹だ。
「兄さん、何がどうなって――」
イッセーが来ると同時に――
ガラガラガラ!!
「…アヒャヒャヒャ!!今のは効きましたねー!……おやおや!悪魔くーんもいるではあーりま
せんかー!」
俺は花楓に『3人を守れ』とだけ、ウインキングで合図した。花楓からは、『わっかたよ』とテ
レパスが返ってきた。
「その白い髪と神父格好からして、はぐれ神父『フリード・セルゼン』だな?」
「ヒャッハー!俺ってぇ、結構有名人!?ただの――」
「……お兄ちゃん。もうこいつ斃ってもいいかな?ちょっと不愉快なんだよね」
フリードが何言ってるかキレかけた花楓が俺の横で話してきたから、全然聞いてなかった。
「……殺すなよ?」
花楓はコクリと頷くと、俺の前に出る。
「……あん?ただの人間のビッチが、俺に何を――」
フリードは最後まで喋る事が出来なかった。何故なら、花楓が技を使ったから。
そう、花楓は時崎狂三の時間を止める『
「止まれ!」
パァァン――
D×D
「どうやら、フリードを止めたみたいたな」
光の剣を持って走り出そうとしているフリードが、銅像のようになっている。
「…よかった~。ちゃんと発動してくれたよ~。発動しなかったら、どうしようかって思ってた
~」
俺は今思いついたが、ほぼ不可能だろうと思われることを花楓に訊いてみた。
「…花楓、狂三の能力『
花楓は少し考える素振りを見せて、笑顔で答えた。
「うん、大丈夫。神様がこれをくれた時、オリジナルとは少し違う仕組みになってるって言って
た。だからさっき『
…初耳だ。そりゃ、俺だってオリジナルのものを合成したり出来たけど。
「…即実行と行きますか。……の前にリアスたち、そこにいるんだろ?」
今来たばかりのリアスたち三人と、黒歌と白音に声をかけた。
「にゃ~、見つけるの早いにゃ~」
「「「「……」」」」
これまた笑顔で入ってきた黒歌。空気が読めないんだか…。その後ろでは、無言で立っていたリ
アスたち四人。
「…花楓、あとは頼んだぞ」
「OK~。任せといて」
そう言い残して部屋を出て行く花楓。
俺は女性と女の子二人に声をかける。
「……えっとだな、今からここを移動する。必要なものを持ち出せる用意をしろ。わかった
な?」
「……わかりました。二人とも、部屋に戻って支度するわよ?」
三人は、俺の指示通りに必要なものを取りに行った。
「…!リアス、龍介さん、ここに堕天使らしき複数の存在が近づいてますわ」
すると朱乃が、何かを察知したのかそう言った。
「わかったわ。朱乃、すぐに帰還するわ。ジャンプの用意を」
「はい」
リアスに促され、朱乃が魔方陣を展開するために呪文を唱えだす。
「…リアス、イッセーを頼む。俺は花楓を回収し次第、黒歌たちと部室に転移する」
「わかりました。……無事に戻ってきてください」
……そうだな。全員無事に帰還するさ。
「イッセー、先に部室で待っててくれ。帰ったら…稽古付けてやるからな?」
「…了解――」
パァァァ――
イッセーの苦笑を見て、俺は黒歌たちに声をかけた。
「黒歌、お前はあの子たちの部屋に行って魔方陣を作ってくれ。次に白音、黒歌たちの護衛を頼
む。俺が花楓を回収しそっちに行くまでの間だ」
「「任せてにゃ!(ください!)」」
返事をした二人は女性と女の子の部屋へ向かい走って行った。
俺は花楓のところに行く。
パァァァァン
銃声が鳴り響く。
「…お兄ちゃん、何とか元の姿に戻ってくれた」
花楓が短銃を仕舞いながら、こっちへ歩み寄ってきた。
「そうか。……なるほど、杭を外してたから時間がかかったんだな?」
「ごめんね。抜くのに時間かかちゃった」
後方を見ると、生前の姿で仰向けに横たわっている男性。ただの安眠についている様な姿だ。
俺はその男性の亡骸を背負い、花楓と一緒に黒歌たちのところに向かう。
「遅いにゃ、準備はできてるわよ」
女性の部屋と思われる中央に、魔法陣が作られている。その中には黒歌たち5人が集まってい
た。
「悪いな。すぐに部室へ飛んでくれ」
「わかってるにゃ。飛ぶにゃ」
カァァァァァァア!!!
俺と楓が入ると魔法陣が輝きだした。
フワッ……
周りの景色が変わっていき、見慣れた部室の風景に変わった。
「……どうなっているんだ?」
見慣れたはずの部室なのだが、辰巳たちが外に向かって結界を張り攻撃を防いでいた。
「……兄さん、アーシアが…アーシアが……」
目の焦点の合っていないイッセーが言ってきた。
「どうしたイッセー。気をしっかり持って言え」
次の瞬間、俺は我が耳を疑う言葉を聞くことになった。
「…アーシアが連れ去られた」
俺はそのとき、怒りを覚えた。