ハイスクールD×D 力ある者   作:塩基

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また家族が増えます!

「ぜーはーぜーはー」

 

「ほら、だらしなく走らないの。あとでダッシュ十本追加するわよ」

 

俺は息を切らしながら、早朝の住宅街を走りこんでいた。

 

「はぁはぁ……」

 

ゴールである公園に到着すると、俺は走るのをやめた。全身から汗が噴き出てるぜ……。

 

「お疲れ様。さて、ダッシュいくわよ」

 

                    D×D

 

「あなたの能力は基礎が高ければ高いほど意味があるのよ」

 

「ういっス……六十五……」

 

ダッシュを終えた俺は公園の広場で筋トレメニューとして腕立て伏せに臨んでいた。

 

部長は俺の背中に座っている。

 

べしっ!

 

「あうっ!」

 

部長にお尻を叩かれた……。幼いころに兄さんによく叩かれていたんだよな。

 

「邪念が入っているわ。腰の動きがやらしいわよ」

 

「……そ、そんな……六十八……。部、部長が俺の上に乗っているかと思うと……六十九……お馬さん根性がマックスになりますよ……七十!」

 

「腕立て伏せをしながらおしゃべりができるなんて、成長したわね、イッセー。もう百回追加しましょうか?」

 

死にますって。兄さん助けて!

 

「うーん、そろそろ来てもおかしくないんだけれど……」

 

「へ?誰が来るんですか?」

 

その時、「すみませーん」と聞きなれた声が耳に届く。

 

俺は腕を伸ばした体勢で、声の方へ顔を向けた。

 

「イッセーさーん、部長さーん!遅れてすみませーん……はぅっ!」

 

金髪少女――アーシアが見事に転んでいた。

 

                    D×D

 

俺――遠山 龍介は、白音から部に『はぐれ悪魔の討伐命令が下りた』と電話が入ってきた。正確

 

には、朱乃→部室にいた白音→俺の順に回ってきた。

 

これを聞いていた(盗み聞き→俺に見つかる)黒歌が『龍介が心配だから一緒に行く』と言い出

 

した。……俺はそこまで信用されてないのか?

 

あぁ~、そういえば、『はぐれ悪魔』の中に黒歌と白音の姉がいるらしい(帰国して聞いた)。

 

名前は『金華』と言っていたな。多分そっちが本命だろう。

 

そういう訳で、俺は黒歌を連れてある廃屋となっている建物物の前に来ている。

 

黒歌のみ連れてきた理由は……辰巳は家で用があるらしい。白音はオカ研の部室で待機。リアス

 

が不在だとオカ研は動けないらしい。本人のリアスはイッセーと朝のトレーニング中。カミュと

 

堕天使三人は朝食を買いに町へ行っている。花楓と奏はグッスリモード中。さすがに冴子たち姉

 

妹を連れてくるわけにはいかない。

 

以上の理由で黒歌のみを連れてきています。

 

「うっ、すごい血の匂いがするにゃ」

 

猫又の黒歌は…当然だが鼻が利く。入る前から物凄く警戒しているな。

 

「……中に一匹と一人いるな」

 

俺は白眼で中の様子を見ている。

 

スゥゥゥゥゥ――

 

白眼を写輪眼に変えて警戒態勢に入る。

 

中に入っていくと――。

 

グニュ

 

何かを踏みつけたらしい。

 

「何だ?……っ!!」

 

手に持っているLEDライトを点けると、そこにあったのは――。

 

「……死体にゃ。おそらく死後間もない仏さんにゃ」

 

俺の足元にあったものは死体だった。それも、服装や顔からしてまだ学生の身であると見た。制

 

服は駒王のモノではないな。

 

「可哀そうに……南無――」

 

俺が手を合わせて冥福を祈ろうとした時…。

 

「不味そうな臭いがするぞ?でも上手そうな臭いもするぞ?甘いのかな?苦いのかな?」

 

明らかに不気味な声だ。それに続いて…。

 

「姉さん、いい男がいるよ。少し遊んでもいいかな?横にいる女はどうでもいいけど」

 

「むっ、ちょっとイラついたにゃ」

 

額に青筋を立てている黒歌。

 

「はぐれ悪魔バイザーとその妹アイム、お前たちを捕縛する。抵抗するなら、容赦なく消えても

 

らう」

 

俺は少し予定外なことを言ってみた(捕縛とね)。

 

ケタケタケタケタ…………。

 

クスクスクスクス…………。

 

異様な笑い声と、ごく普通な笑い声が周囲に響く。

 

ぬぅ……。

 

すぅ……。

 

ライトの光に浮かび上がる二つのシルエット。それが今ハッキリと見えた。

 

片方は上半身裸体の女性だが……下半身が大きな異形の姿だった。

 

もう片方は、普通の人間サイズの女性。

 

「そっちがバイザーで、こっちがアイムだな」

 

「そうみたいにゃ。あの大きいのがバイザーにゃ」

 

「……先手必勝と行くか。黒歌、バイザーを()ってくれ。俺はアイムを相手する」

 

「わかったにゃ。無理は禁物よ?」

 

「黒歌もな」

 

ダッ!!

 

そう言ってバイザーへ駈け出した黒歌。

 

「さて、俺の芸術を披露しますか」

 

そう言って俺は懐から巻物を二つ取り出して広げる。

 

ボボンッ!!

 

巻物の表面から煙が出て、そこにあるのは――。

 

「傀儡の術。『赤砂のサソリ』、『ヒルコ』ここに降臨」

 

ナルトのサソリが使っていた二体の傀儡を俺は口寄せした。もちろんだが、これらは俺の自作で

 

あり、無機物を使って作っている。人は使ってないぞ?

 

「ちょこまかと!!すばしっこい小娘が!!」

 

「にゃはは!!遅い遅い。ちょっと遊んでやるにゃ!」

 

むこうは黒歌に圧倒されているバイザーの姿が見える。

 

「さてと、早く終わらせるか」

 

俺の五・六メートル先に立ち止ったアイム。

 

「あぁ、やっぱりいい男。私の好みだわ」

 

両手を頬に当て、悶えているアイム。

 

「それはどうも。……降参するなら、姉とともに捕縛するだけで済むが?」

 

俺の言葉にアイムは首を横に振った。

 

「降参はしないわ。私はあなたと一緒に踊ってもらいたいの」

 

「……それは、俺と戦闘(踊る)ということでいいんだな?」

 

「えぇ。そうよ」

 

タンッ!

 

アイムがダッシュをして初手をかけてきた。

 

キィィィィィン!!

 

俺は操っている『赤砂のサソリ』の折り畳み式プロペラを両肩から出して、アイムの槍を防ぐ。

 

だが、アイムは隙をついて俺を殺しにかかってきた。

 

「……加速(シングルアクセル)!!」

 

ヒュン!!

 

俺はアイムの攻撃を写輪眼で見きり、数メートル前方へ高速移動した。

 

「っ!!」

 

今のに驚いて動きが一瞬止まったアイム。俺はそこを見逃さなかった。

 

ビュンッ!!クルクルクル――。

 

サソリの腹の中にあるロープをアイムに向けて発射し、ぐるぐる巻きにして捕獲した。

 

「グゥ……!!」

 

身動きの取れないアイム。

 

「きゃあぁっ!!」

 

「っ!黒歌!」

 

黒歌が掌底を打ち損じてバイザーに弾かれた。しかも、バイザーが落下している黒歌へ槍を突き

 

刺そうと腕を振り上げていた。

 

「くっ!ヒルコ!!」

 

俺はサソリからチャクラ糸を切断し、ヒルコに接続した直後黒歌目がけて一気に飛ばした。

 

「くぅぅぅ!!!」

 

近くではアイムがサソリのロープから脱出しようとしている。

 

「間に合えぇぇ!!」

 

カチャカチャ……

 

俺はヒルコを上下逆さにして、腹にある『隠れ口』を開く。

 

ガシャン!!

 

黒歌が背中からヒルコの中に入ったのを確認し、『隠れ口』を閉じて正位置に戻した直後…。

 

ガガンッ!!!

 

ヒルコの背中にバイザーの攻撃が当たる。だが、ヒルコの甲羅の防御力は半端ない。何せ、アニ

 

メのより多少弄ってみたもんな。

 

バキッ!!

 

槍の耐久力はヒルコの甲羅より弱かったな。折れてしまっている。

 

「黒歌!!!ヒルコの前面に手を入れるところがある!!そこから気を送れ!!操れるはず

 

だ!!!」

 

俺はヒルコの中にいる黒歌へ叫んだ。

 

ガチャンッ!!

 

俺のすぐ傍にあるサソリからアイムが抜けだした。

 

キンッキンッ!!

 

上手くヒルコの尾を使ってバイザーの攻撃を防いでいる黒歌。

 

タンッ!!

 

アイムは俺から離れ、バイザーの下へ向かう。

 

「……黒歌下がれ!!今から奥の手を使う!!」

 

そう叫ぶと、黒歌は尻尾で跳ね上がって跳躍し、俺の近くまで飛んで帰ってきた。

 

「そこから動くなよ、黒歌。さすがにヒルコが損傷するとは思えないが、念のためだ」

 

『…わかったにゃ』

 

アイムがバイザーの下に帰った直後、俺は例の巻物を取り出して広げた。

 

「……来い、三代目」

 

ボンッ!!

 

煙を上げて現れたのは、三代目風影。こちらも無機物を使用している。

 

「これで幕引きにしようぞ」

 

三代目にチャクラ糸をつなぎ、術を発動させる。

 

カシャ――ズズズズズズズズ!!

 

三代目の口が開き、なかから黒い物体が建物の天井へ登っていく。

 

『あれは何にゃ?』

 

「……砂鉄だよ」

 

俺は黒歌にそういう。

 

ズイ……。

 

あっちはこちらの行動を警戒している。見るべきはこっちじゃないんだな。

 

「…磁遁、砂鉄結襲(さてつけっしゅう)!」

 

天井に集められた砂鉄が大きな二つの塊へ形を変えていく。

 

ズィイ!!

 

完全に回避できるように体勢を整えるバイザーとアイム。

 

「(残念だが、これを落とすわけじゃないんだな)」

 

そう、これはあの術を発動させる準備動作……その術は――。

 

砂鉄界法(さてつかいほう)ッッ!!!」

 

ズオオオオオオオオオオオオオ――。

 

広範囲に広がる砂鉄の針。

 

ズザザザザザ――。

 

砂鉄の針がバイザーの体を貫いていく。

 

貫いたが、下にいたアイムにはとどかなかった。

 

「っ!!姉さん!」

 

「触れるなっ!体がしびれて――」

 

ドォォォオンッ!!

 

力が入らなくなったバイザーは、その場で膝をついて倒れた。

 

「バイザー、最後に何か言いたいことはあるか?」

 

「……妹は…アイムだけは殺さないでくれ…」

 

「…わかった」

 

バイザーはそう言い残すと、静かに目を閉じた。

 

「これを使え。お前は掠り傷を負っている、そこから毒が入っている筈だ。それを解毒するため

 

のもの」

 

懐からだした一本の解毒剤。

 

それをヒルコから出てきていた黒歌に渡すと、黒歌は急いでアイムにそれをうった。

 

「ッ……」

 

一瞬痛みに歪んだが、すぐに元の表情に戻る。

 

「これで無事解毒できたにゃ」

 

そう言ってこちらへ戻ってくる黒歌。

 

サァァァァ――。

 

バイザーの亡骸が粒子と化し、大気へ溶け込んでいく。

 

「アイム、お前は俺を殺しても構わない。俺はお前の姉の命を絶ったのだから。黒歌もそうして

 

もらっても構わない。これからどうするか、お前自身が決めろ」

 

俺はその場で後ろを向いた。いつ殺しに来てもいいように、目を瞑る。

 

キンッ!

 

後方で金属音が鳴る。恐らく、アイムが槍を擦った音だろう。

 

ギュッ!

 

隣にいる黒歌が俺の手を強く握りしめてくる。怖いのだろうな。

 

俺の後ろに気配を濃く感じる。真後ろまで来ているのだろう。

 

だが、次の瞬間予想を遥か斜めに行くことが起きた。

 

カランっ!!

 

「お、お前……」

 

いきなり地面に槍を落とす音がしたかと思うと、アイムが俺の背中から手をまわしてきて抱きし

 

められた。

 

「私は姉さんの遺言に従います。あなたは自分を犠牲に他人を守ろうとする人です。見てわかり

 

ました。……あの時、隣にいる人を姉さんの攻撃から身を守った時です。自分の周囲はがら空き

 

なのに、他人を優先した。私が攻撃していたらあなたはもう…だから、あなたを殺さず、姉さん

 

の遺言通り新しい主人として付き従います」

 

「……そうか、じゃあ帰るか」

 

ヒュン――。

 

俺は飛雷神の術を使い、黒歌とアイムを連れて(自室の別空間)へと帰還した。

 

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