ハイスクールD×D 力ある者   作:塩基

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幕開け!!

――修行十日目――

 

今日は修行最終日。俺――遠山 龍介は今、白音の『白虎』を改良中だ。といっても、正確には

 

『装備の拡張』をしているだけ。単一仕様能力(ワンオフ・アビリティー)も強化できたし、結構魔改ぞ……改良できた。

 

「(あとはイッセーだけか)」

 

俺は同室のイッセーに声をかけた。

 

「なあイッセー、お前は勝ちたいか?」

 

「ん?……そりゃ勝ちたいよ。でも……」

 

自信か……。

 

「あまり考え込むな。今はそれでいい………そうだ、『ドライグ』と会話できたか?」

 

「ううん。やっぱり話しかけても返事がないんだ」

 

「潜ってみるぞ。俺の目を見ろ」

 

俺は万華鏡写輪眼でイッセーを見る。

 

「…月読!」

 

                    D×D

 

『……ここはどこだ?』

 

俺は真っ白い空間に佇んでいる。

 

『……兄さん、ここって…どこなんだろう?』

 

お前の中にある世界(空間)だろうが。

 

『――あら、お早いご登場ね』

 

第三者の声がした。声の方へ顔を向けると――。

 

『……女性!?』

 

『らしいな』

 

そこには……ウェーブのかかった長い金髪、スリットの入ったドレスを着こんでいる女性がいた。

 

『……凄いわね。ここは赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)の中にある一つの空間よ。所有者しか入れないんだけ

 

ど……』

 

『……気にするな。それより、ここが『一つの空間』ということは、他にもあるのか?』

 

『えぇ、他にもあるわ。どうしたのかしら?』

 

『……実は俺、ドライグに話があってきたのですが…』

 

『違うところに来ちゃったってことね?』

 

『はい』と答えるイッセー。

 

『……わかったわ。私が案内するわ…掴まって』

 

そう言うと、俺とイッセーに手を差し伸べる。

 

『あぁ』

 

『……』

 

俺とイッセーは差し伸ばされた手をとる。

 

『しっかり掴まっててね』

 

女性がそう言った瞬間、真っ白な世界から燃え上がる炎の世界へ移った。

 

『ここよ。ドライグは目の前にいるわ』

 

『……グゴゴ』

 

『寝ているわね』

 

『寝てるな』

 

『……っ!!』

 

ダッ!

 

何を考えているのか……俺には分からない。ただ言えることは……イッセーがドライグ目がけて

 

走り出したということだ。

 

ゴスッ!!

 

イッセーはドライグの顔面……眉間を殴った!

 

『……ってぇぇぇえ!!』

 

バカだ、バカがいたぞ。ドラゴンの鱗を素手で殴るやつがいるか!……ここにいたわ。

 

『……ん?…相棒か……』

 

のそりと起き上がるドライグ。

 

『はーい、久しぶりね。ドライグ』

 

『……エルシャか』

 

寝ぼけ眼のドライグが女性……エルシャという女性を目でとらえる。

 

『俺を無視すんなー!!!』

 

『……わかっている。何の用だ…相棒』

 

ドライグが足元にいるイッセーに言う……やっと本題に入ったか。

 

『ドライグ……俺を禁手(バランス・ブレイカー)に至らしてくれ!!』

 

『『『っ!!!』』』

 

その場にいた全員(俺も)驚愕した。当たり前だろ?こいつがこんなこと言うなんてさ!

 

『……残念だが、今の相棒では無理だ……だが――』

 

その言葉を聞いたイッセーは落ち込んだが、ドライグの話の続きを聞いて――。

 

『代償を払うなら、貸してやってもいいぞ?』

 

『え?えぇぇぇぇえ!!!』

 

絶叫した。

 

                    D×D

 

『時間がないぞ、イッセー』

 

俺――兵藤 一誠は、ただ今悩んでます!

 

理由?それはもちろん、『代償』のことだよ。

 

『どこでもいいんだな?』

 

『どこでもいいぞ。制限は全て同じだ』

 

『………………わかった。じゃあ、俺の左腕を差し出す!』

 

『交渉成立だ。ほれ』

 

ズズズズズ――

 

俺の左腕から赤い鱗と鋭い爪が生えてきて、完全に龍の腕と化した。

 

『これでなれるのか?』

 

『あぁ。本来は十秒限定なんだが……そこにいる相棒の『兄』のおかげで、十分は持つぞ…出力にもよるがな』

 

『十分!!?』

 

俺は腰を抜かしそうになった。だって十秒が十分になったんだぞ!?

 

『すごいじゃない。私はしなかったけど、歴代の中では限定ありで最長よ!』

 

金髪の美人お姉さん――エルシャさんから賛辞をいただいた。

 

『そろそろ戻るぞ。数分後には集合だ』

 

『わかったよ。また来ますね、エルシャさん』

 

『がんばってね!見てるから!』

 

見てるの!?あぁ、俺の中だからそうなるのか。

 

『相棒、あの気に食わない焼き鳥のガキを吹っ飛ばして来い!赤龍帝の名に懸けて』

 

『了解!!行ってきます!』

 

俺は二人に敬礼をした。その直後、俺の意識は覚醒した。

 

                    D×D

 

「…ん…部長?」

 

俺が目を覚ますと、目の前に部長の顔があった。

 

「……イッセー?よかったぁ」

 

部長が……いや、周りを見渡すとみんなが集まっていた。

 

「龍介も起きたにゃ!」

 

どうやら、俺と兄さんはみんなに迷惑をかけてしまったらしい。

 

「……心配したのよ?起こしても目を覚まさないから」

 

「…すみません。ちょっと、赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)の中に兄さんと潜っていて」

 

そう言った途端に、部長たちが目を見開いた。だが、部長はすぐにいつもの表情に戻り、俺の頬

 

を撫でた。

 

「……潜るときは一言、言ってちょうだい。みんな心配したのよ?」

 

「…はい、すみませんでした」

 

その時、部屋の床に魔方陣が描かれた。

 

「(……グレイフィアさんだ)」

 

直感だけど、なぜかそう思った。時計を見ると二十三時四十五分だった。

 

光が収まると、思った通りそこにはグレイフィアさんが立っていた。

 

「……こんばんは、お嬢さま。転送前に伝言があります」

 

「…なにかしら?」

 

「はい、このゲームへ例の『僧侶』は欠場をするよう申し付けられました」

 

「……わかったわ」

 

「それともう一つあります」

 

「?…なにかしら?」

 

「代表者の参加の許可が下りました。特に制限はなく、眷属として扱ってよいと…」

 

「ありがとう、グレイフィア」

 

「最後に、両家の皆さまも他の場所から中継でフィールドでの戦闘をご覧になります。さらに、

 

魔王ルシファ―さま、レヴィアタンさま、ベルゼブブさま、アスモデウスさまも今回の一戦を拝

 

見されておられます。それをお忘れなきように」

 

「お兄さまが?……そう、お兄さまが直接見られるのね」

 

ま、魔王!!?部長のお兄さん、魔王だったの!!?

 

俺は内心焦っていた。だってよ、魔王の人たちが見てるんだよ?このゲームを!!

 

「イッセー、すぐに着替えてこい」

 

バッ!!

 

兄さんが俺の制服を投げてきた。

 

「……と言う俺も着替えないとな」

 

そう言って脱衣所に入った兄さん。

 

「(何故兄さんまで?)」

 

俺は頭に?を浮かべながら、脱衣所に入った。

 

――1分後――

 

「準備できたわね」

 

俺は『駒王学園』の制服を着ている。いや、眷属(メンバー)のみんなも着ていた。これが俺たちグレモリー

 

眷属の『戦闘服』なのだろう。

 

「……兄さん、その装束は?」

 

俺は気になっていた。兄さんの服装に。

 

「以前に話してなかったか?……これが俺の正式な服装だ」

 

兄さんの着ている装束には、赤い雲が描かれている。

 

「変わっているね」

 

俺は苦笑しながら話した。

 

「そろそろお時間です。皆さま、魔方陣の方へ」

 

部屋には三つの魔方陣。

 

「お嬢さまと眷属の方は右へ、龍介さま、花楓さま、奏さまは左へ、残りの方は中心へお入りく

 

ださい」

 

「行く前に、イッセー」

 

ちょいちょいと手招きをする兄さん。

 

「?…………痛でっ!」

 

兄さんの前に立った直後、俺は額を小突かれた。

 

「イッセー、今のは俺からの餞別だ。このゲームのみ使用できるからな」

 

「????」

 

わからない。でも、ミルたん(俺のお得意さん)もこれで力を得たわけだから、それと似たもの

 

なのだろう。たぶん。

 

俺が最後に部長たちの魔方陣に入ると、目の前が部室に変わった。

 

兄さんたちはいない。別の場所へ転移したのだろう。

 

『皆さま、このたびグレモリー家、フェニックス家の『レーティングゲーム』の審判役(アービター)担うこと

 

となりました、グレモリー家の使用人グレイフィアでございます』

 

校内放送だ!機械から声が聞こえるもん!

 

『さっそくですが、今回のバトルフィールドはリアスさまとライザーさまのご意見を参考にし、

 

リアスさまが通う人間界の学び舎『駒王学園』のレプリカを異空間にご用意いたしました』

 

レプリカ?それじゃ、これ壊してもいいってこと?

 

『両陣営、転移された先が『本陣』でございます。リアスさま本陣が旧校舎のオカルト研究部の

 

部室。ライザーさまの『本陣』は新校舎の生徒会室。『兵士』の方は『プロモーション』をする

 

際、相手の『本陣』の周囲まで赴いてください』

 

プロモーションか。陣の近くに来ないと出来ないのなら、その周りに罠を仕掛ければ効果抜群の

 

はず。……うまくいけば、相手の『兵士』八人をまとめて戦闘不能にできる!

 

俺が一人で考えてたところに朱乃さんが近づいてきた。

 

「イッセーくん、この通信機を耳につけてください」

 

周りを見ると、みんな耳にそれをつけているところだった。

 

「便利なアイテムですね」

 

「そうよ。これでみんなと連絡し合うの」

 

『開始のお時間となりました。なお、このゲームの制限時間は人間界の夜明けまで。それでは、

 

ゲームスタートです』

 

キーンコーンカーンコーン――。

 

鳴り響いた学校のチャイム。これが終始の合図か。

 

こうして、俺たちにとっての初『レーティングゲーム』の狼煙が上がった。

 

                    D×D

 

「始めからだけど、『性質粘土』の出番ね。相手の『兵士』をここに近づけないように、朱乃、

 

祐奈、黒歌、周囲に罠を仕掛けてきてちょうだい」

 

「わかりましたわ」

 

「はい」

 

「任せてにゃ」

 

俺は兄さんの言葉を思い出した。

 

「…ちょっと待ってください。ここの地図ありますか?」

 

俺がいきなり呼び止めたことに全員が驚いていた。

 

「…イッセーくん、地図だよ」

 

俺は木場から地図を受け取ると、急いで書き込んでいった。

 

「木場はこの五か所を順に、兄さんからもらったこの『禁』の札を設置して。朱乃さんは木場の

 

設置した範囲五メートルのところに誘導式の幻術結界を張ってください。黒歌姉さんは朱乃さん

 

の張った結界のさらに五メートルの範囲に相手の自己感覚を狂わせる幻術をかけてください。黒

 

歌姉さんの幻術で朱乃さんの結界の効果に気付きにくくなるはずです……はぁはぁ」

 

一気に話したから、呼吸がまともにできなかった。

 

「…だいじょうぶ?息が苦しかったんじゃ?」

 

木場が心配してくれる。

 

「…だいじょうぶだ。それとこれ、『この地図に書いてある四か所の札をはがしてね。もちろん

 

同時じゃないと、一生そこから出られないから♪』の張り紙を中心にあるポイントに貼っておい

 

てくれ。相手は思惑通りに罠にはまるはずだから」

 

「……それって、どんなものかしら?」

 

部長が訝しげに訊いてきた。

 

「なんでも、『剥がした本人と同等の分身体が出現する』らしいですよ?だから、このゲームが

 

終わるまで半分退場した形になりますね」

 

「……なるほど、だから同時に剥がすことが条件なのね」

 

「そういうことです」

 

俺は兄さんから教えてもらった知識を、今の戦略に混ぜてみた。

 

「…わかったわ。イッセーの指示通りに各自罠を仕掛けてきてちょうだい!」

 

「「「はい(にゃ)!」」」

 

三人は急いで罠を設置しに行く。

 

「イッセー」

 

ちょいちょい

 

部長が手招きで俺を呼ぶ。

 

「ここに横になって」

 

部長が指示した場所は……膝の上!!

 

「いいんですか!?」

 

こくり

 

部長は頷いた。じゃあ、遠慮なく――。

 

「…私もします」

 

右腕を白音ちゃんに引っ張られた。

 

「……だいじょうぶよ。『兵士』の駒の封印を解くだけだから」

 

「……わかりました。終わったら、私が膝枕します」

 

ぎゅうぅ

 

白音ちゃんがいっそ力を込めて、俺の腕を締めてきた!言っていることと、やっていることが逆

 

なんだけど…小さいながらも存在を主張する『おっぱい』が腕に当たって、俺めちゃ興奮して

 

る!!

 

「……仕方ないわね。そのままの姿勢でいいから、じっとしていて」

 

部長が俺の胸に手を当て、何やら魔方陣を操作しだした。

 

ドクンッ!

 

心臓が大きく脈を打った。

 

「…これでよし!力を解放したわ」

 

「す、すげぇ!」

 

体中に力が漲ってくる!!

 

「…時間がないので、帰ったら膝枕させてください」

 

そういうと、白音ちゃんは俺から離れた。

 

「わ、私も無事に帰ったら、イッセーさんを膝枕します!」

 

え?アーシアまで!?

 

「ふふふ、イッセーはモテているな」

 

冴子さんが刀を持ってこっちへ来た。

 

「そうですか?……ところで、その刀は?」

 

「これのことか?これは『妖刕(ようとう)紅桜(べにざくら)』と言うらしい。龍介が造ってくれたんだ」

 

「に、兄さんが?」

 

「うむ。確か、神器(セイクリッド・ギア)という代物で造ったみたいだ。よくわからないが……」

 

神器で造れるの!?あ、木場の例があった。

 

『部長、トラップの設置終了しました』

 

『私もですわ』

 

『私も準備完了にゃ』

 

「わかったわ。祐奈の作戦は変更、相手の出方を窺ってきて」

 

『はい、承知しました』

 

「あとは作戦通りよ。私のかわいい下僕たち、敵はフェニックス家の中でも有望視されている才

 

児ライザー・フェニックスよ。さあ!消し飛ばしてあげましょう!」

 

「『はい!』」

 

「イッセーさん!皆さん!がんばってください!」

 

後ろからアーシアが応援してくれる。俺たちは後ろに手を振って見せた。

 

俺たちの闘いの幕が今、切って落とされた!!

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