ハイスクールD×D 力ある者   作:塩基

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不死鳥VS情愛者(中篇)

「ここで合っている筈にゃんだけど……」

 

俺たちは今、木場と合流するはずの地点に来ていた。

 

「イッセーくん、こっちこっち」

 

どこからか声が聞こえてくる。

 

「ここだよ、イッセーくん」

 

声の発生場所を探っていると、死角になっていた体育用具の小屋の物陰から木場が手招きしていた。

 

「わりぃ。全然わかんなかった」

 

「……そう。それはいいんだけど、その目はどうしたの?」

 

木場がコンパクトタイプの手鏡を貸してくれた。

 

「……兄さんと同じ目……」

 

そう、兄さんがよく使っている『写輪眼』が俺の両目にあった。

 

「何があったの?」

 

木場が心配そうに訊いてくる。

 

「えーと…試合前に俺、兄さんに小突かれただろ?あの時入れられたみたい」

 

「…そうなんだ。よかった」

 

「ん?何か言った?」

 

「ううん、何も言ってないよ」

 

「そう…?」

 

そこに黒歌姉さんが割り込んでくる。

 

「ねぇ、相手の動きはどうなっているの?」

 

「はい、今のところは一歩も動いてないですね」

 

……臨戦状態か。どうすればいいんだ?

 

その時、イヤホンマイクに連絡が入った。

 

『イッセー、聞こえてる?私よ』

 

「部長?どうしたんですか?」

 

『合流地点なんだけど……どこにいるの?』

 

……さっきの俺たちと同じことになっていた。

 

「こっちです。部長」

 

俺は部長がわかりやすいように、物陰から出て呼ぶ。

 

「ごめんなさい。……ところで、状況はどうなっているのかしら?」

 

部長が俺に気が付いて、アーシアと冴子さんを引き連れてきた。

 

「今は……まだ動いてないです」

 

「そうなの?あなたその目……」

 

「これですか?この目は――」

 

その時、部長の前に手のひらサイズの魔方陣が現れた。

 

『……繋がっているな?リアス、俺と一騎打ちしないか?』

 

「っ!!」

 

部長…いや、それを聞いていた全員が目を見開いた。

 

「……いやよ。と言ったら、どうするのかしら?」

 

『…その時は、容赦なくキミの眷属全員を燃やし尽くす』

 

それを聞いた部長は、唇を噛みしめた。

 

「……わかったわ。『僧侶』のアーシアも同行させてもいいかしら?」

 

『あぁ、構わないさ。……屋上で待っている。手は出さないように指示してあるから来い』

 

ライザーはそう言うと、魔方陣がふっと消えた。

 

「……皆、私とアーシアは校舎の屋上に行くわ。向こうからは攻撃されないと思うけど、警戒は怠らないでね!」

 

「「「「「はいっ!!!」」」」」

 

そう言い残すと、部長はアーシアを連れて校庭の真ん中を突っ切っていった。

 

「……大丈夫にゃ。隠れている奴ら全員、一歩も動いてないにゃ」

 

黒歌姉さんが猫耳をピコピコと動かしながら、そう教えてくれる。

 

部長とアーシアの姿が完全に見えなくなったころ――。

 

「私はライザーさまに仕える『騎士』カーラマイン!こそこそと腹の探り合いをするのは飽きた!リアス・グレモリーの『騎士』よ、いざ尋常に剣を交えようではないか!」

 

野球部のグラウンドに甲冑を装備した女性が堂々と立っていた。

 

「名乗られてしまったね。『騎士』として、隠れているわけにもいかないから」

 

そう言って用具小屋の物陰から野球グランドへ出ていく木場。

 

「……バカ」

 

だけど俺は、そんな木場の後姿を見て『かっこいい』と思ってしまった。

 

その後に俺たちも続いてグランドへ出る。

 

キンッ!!

 

出てくると、木場と相手の『騎士』が剣を交えていた。

 

「イッセー、黒歌さん、先へ行ってほしい。ここは私がこの『妖刕・紅桜』で、白音と二人抑える」

 

「…任せてください!兄さま、あの焼き鳥をぶっ飛ばしてきてください!」

 

やる気の白音ちゃん。

 

「出てこい!ライザー・フェニックスの眷属!私たち二人が全員を相手する!」

 

「…二人でだと?なめてるのか!」

 

相手の女性…もう一人の『騎士』が出てきて、怒りを露わにする。

 

「つれないな。そう言わずに全員できてほしいのだが…」

 

反対からは、半分の面を被った女性が現れる。

 

「にゃ」

 

「にゃにゃ」

 

……って、完全に取り囲まれてしまった。

 

「……これじゃ、抜け出せそうにないにゃ」

 

うわぁ……残りの眷属で俺たちを囲むとか、どうしても行かせたくないのかな?

 

「……仕方がない。これは王手で使いたかったのだが」

 

そう言って刀を抜く冴子さん。

 

ブワッ!

 

その瞬間、とんでもない風と悪寒が襲ってきた!

 

「……物凄い妖力にゃ!龍介はあんな危険なものを持たせたのかにゃ!」

 

珍しく冷や汗をかいている黒歌姉さん。

 

「…我、この力を欲する者。業火の炎を身に纏いし鬼姫よ。我にその力を授けたまえッッ!!」

 

ズオォォォォォォオオオッッ!!!

 

冴子さんの周りに突如出現した炎!物凄く熱い!

 

その炎の中で冴子さんが刀を掲げている。

 

「……ありえないにゃ…こんな妖力、今まで見たことがないものにゃ!」

 

黒歌姉さんが後ずさっている。いや、周りの皆も少しずつ後ずさっていた。

 

ブンっ!

 

冴子さんが刀を薙いだ。その風圧で渦巻いていた炎が吹き飛んだ。

 

「す、すげぇ!」

 

そこにいたのは、いつもの冴子さんではなく、白い着物を纏い、五本に纏められた髪の端には火が灯っている。燃えているんじゃなく、灯っているんだ。そして、額には小さくも二本の『角』が生えていた。

 

「……ハッ!!」

 

冴子さんが炎を纏った刀を薙ぐ。

 

「……っ!!」

 

ブオォォォォォオオオッッ!!

 

炎の柱が相手の『騎士』を飲み込む。

 

「……うそっ!!」

 

誰かが声を上げた。

 

『ライザー・フェニックスさまの『騎士』一名、リタイア!』

 

グレイフィアさんの声がフィールドに響いた。

 

い、一撃で仕留めた!?凄すぎるよ!

 

『…おい、相棒』

 

突然俺の中にいる『ドライグ』が話しかけてきた。

 

今取り込み中だ!

 

『今だから声をかけている!俺の指示通りに動いてみろ!』

 

……強引な天龍様だ。

 

「…わかったよ。で、何すればいいの?ドライグ」

 

『何、簡単なことだ。三回貯めて、両手を構えて魔力を集めてみろ』

 

は?たったそんだけ?

 

『あぁ、それだけの動作でいい。集め終わったら、撃ち出してみろ』

 

……何だかわかんないけど、やるだけやってみますか。

 

『Boost!!』

 

一回目の倍加だ。

 

『覚えているな?あの時の話を』

 

「なんのことだ?」

 

『覚えていないのか?イメージで魔力は形創られると』

 

「あぁ~、それがどうしたの?」

 

『Boost!!』

 

二回目の倍加だ。

 

『まだわからないのか。今からするのは、ドラゴン波だ』

 

なっ!ドラゴン波だとっ!

 

『…自分で言っておいて恥ずかしい。……そうだ、お前の好きなドラゴン波だ!』

 

『Boost!!』

 

三回目がきた!

 

『やれ!相棒。イメージしろ!ドラゴン波を!!』

 

『Explosion!!』

 

「ドラゴン――」

 

両手を上下に構えると、強大な力の波動が俺の両手に集まりだす。

 

撃ち出すイメージを強く、集まるエネルギーを一点に集中して…。

 

『……今だ相棒ッ!!撃てッ!!』

 

「――波ァアッッ!!!」

 

ドンッ!!

 

俺の手のひらから、特大の魔力の塊が飛び出した!

 

「っ!!しまっ――」

 

ドオォォォォオオンッッ!!!

 

魔力の塊は、相手の『戦車』を飲み込んだ。

 

『ライザー・フェニックスさまの『戦車』一名、リタイア』

 

グレイフィアさんの声がフィールドにまた響き渡った。

 

『Reset』

 

倍加の力が切れた音だ。

 

「私も開放するにゃ!」

 

ドンッ!

 

黒歌姉さんの闘気が一気に増幅した。

 

その闘気に釣られるように、周囲からは黒く濃いオーラが集まりだした。

 

「にゃあぁぁぁぁぁぁああッッ!!!」

 

苦しそうに叫ぶ黒歌姉さん。

 

そのオーラが収まると、そこにいたのは二又の尻尾を生やした黒歌姉さん。

 

黒いオーラは黒歌姉さんの体に纏わりつき、姿を変化させていた。

 

「(指から伸びた長い爪、鋭い眼光を発する目……まるで――)」

 

俺の考えるのを止めた。黒歌姉さんの言葉を聞いたからだ。

 

『白音…私の意識が持たなくなったら、止めてちょうだいね』

 

意識が持たなくなる?それってどういうことなんだ!?

 

「……わかりました。そうならないためにも、ここを早く片付けましょう」

 

そう答えた白音ちゃん。すると、白音ちゃんの大太刀『雪刃』が白く光りだした。

 

瞬時加速(イグニッション・ブースト)ッ!!」

 

白音ちゃんが視界から消え、閃光の軌跡となって相手の『兵士』を貫いていた。

 

『……消えろ』

 

そう呟いた黒歌姉さんも漆黒の軌跡を描きながら、相手の『兵士』を切り裂いた。

 

パァァァア――。

 

相手二人の『兵士』は、発光して消えてしまった。

 

『ライザー・フェニックスさまの『兵士』二名、リタイア』

 

グレイフィアさんの声がフィールドにまた響き渡る。

 

『……相棒、あそこで戦っている『騎士』に譲渡してやれ』

 

またドライグが話しかけてきた。

 

「どうやればできるんだよ」

 

『相棒との契約で、これが(ブーステッド・ギア)第二形態へ移行し始めている。相棒の強い思いで、それが可能だ』

 

「…わかった」

 

俺は強く強くイメージする。仲間を助けたい!部長の役に立ちたいと。

 

「こいっ!俺のブーステッド・ギアァァァァアアッッ!!」

 

Dragon(ドラゴン) booster(ブースター) second(セカンド) Liberation(リべレーション)!!』

 

カッ!!

 

すると、左手にある赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)が輝きだす。

 

そして、徐々にその姿を変えていき……肘まで覆う籠手と化した。

 

「…変わった?これが第二形態か……木場っ!力を解放しろぉぉぉおおッッ!!」

 

俺は脳内に流れてきたこれの使い方を瞬時に把握し、木場の方へ駆け出す。

 

木場は当惑していたが、すぐに剣を地面に突き刺して叫んだ。

 

魔剣創造(ソード・バース)!!」

 

ギギンッ!

 

グラウンドが光り輝き、複数の剣が突き出してきた。

 

「ここだっ!」

 

俺は木場の傍で地面に手をついた。

 

赤龍帝からの贈り物(ブーステッド・ギア・ギフト)!」

 

Transfer(トランスファー)!!』

 

ギギィィィィンッッ!!

 

さまざまな形をした剣が、グランド全体を刃の海と化した。天へ向けて生えだす木場の魔剣。

 

「……バカな」

 

「……っ!!」

 

苦悶をあげて光り輝く相手二人。木場の剣に胴体を貫かれていた。……グロイ。

 

『ライザー・フェニックスさまの『騎士』一名、『僧侶』一名、リタイア』

 

グレイフィアさんのアナウンスを聞き、俺と木場はハイタッチをした。

 

バキバキバキッ!!

 

その音がして方を見ると、黒歌姉さんが爪で、冴子さんが妖刕で足元と周囲の魔剣を破壊していた。

 

「……傷一つつかなかったなんて、様子から見ると二人とも何かしたの?」

 

木場が驚愕しながら、俺に訊いてきた。

 

「……それは兄さんに訊いてくれ。俺も全く何が何だか」

 

俺は白音ちゃんたちが巻き込まれていないか、さっきいた場所を見てみる。

 

そこには誰の姿はなく、影が動いていた。

 

その影の持ち主を探すと……そこでは炎の翼を広げて、お姫様みたいなドレスを着こんだ美少女と、白い機体に身を包み、大太刀『雪刃』を構えた白音ちゃんが睨み合っていた。

 

『……気からして、恐らく焼き鳥の妹にゃ』

 

いつの間にか隣に来ていた黒歌姉さんがそう言う。……その隣には、冴子さんもいた。

 

二人の後ろには、バラバラにされた魔剣たち。

 

「(……本格的にモンスター並みになっているよね?二人とも!?)」

 

俺は心の中でそう思った。

 

焼き鳥娘と白い猫又娘……馬が合いそうもないな。

 

その上空で、馬の合わない二人の戦いが始まってしまった。

 

『……白音は放っといて、先を急ぐにゃ』

 

そう言って走り出す黒歌姉さん。俺たちもその後に続いた。

 

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