俺は階段を駆け上がる。
「『プロモーション』『女王』!!」
内の駒を『女王』へ昇格させる。
「…力が
ドンッ!
俺は勢いよく屋上のドアを開け放った。
その時――。
『リアス・グレモリーさまの『女王』一名、リタイア』
は?今なんて言ったんだ!?
……『女王』って、朱乃さんが?
「イッセーさん、今朱乃さんがリタイアって……」
屋上に出ると、近くにアーシアがいて…その近くには部長がいる。
アーシアは無傷なんだけど、部長は服がところどころ破けている。
対して、ライザーは無傷だ。
「アーシア、俺にも聞こえたぞ」
「……イッセー!」
部長が俺に気付くと、俺の名前を叫んだ。
……違う、部長の視線は……アーシアの前をとらえている。
俺は反射的にアーシアを引き寄せた。
ドオォォォォォンッッ!!
爆発が目の前で起きた!!
『……大丈夫かにゃ?』
爆発の中心にいたのは…黒歌姉さん。
片手を前に突き出している。
「俺とアーシアは無事です。それより黒歌姉さんの方こそ!」
『私は無傷にゃ。あのくらいの炎、そこにいる『鬼姫』のほうが上にゃ』
「鬼姫?」
俺は黒歌姉さんの指さす方へ視線を向ける。……そこにいるのは、冴子さんだ。
俺の視線に気が付いた冴子さんが話してくれる。
「…私は冴子の体を借りているモノだ。そこの猫又の言う通り、私は『鬼姫』と呼ばれている。……限界が近づいているな。あそこにいる焼き鳥を早く始末せねばなるまい」
『私もそろそろ限界にゃ』
そう言って、二人はライザーへ駆け出していった。
「(時間制限ありかなのか……)」
「部長、ご無事ですか?」
木場が部長に駆け寄る。
「えぇ、無事よ。祐奈こそ傷だらけじゃない」
「僕は『騎士』ですから。傷の一つや二つ、できて当たり前です」
「アーシア、部長と木場を回復してくれ」
「イッセーさんは大丈夫なのですか?」
体は重いし、傷はところどころにあるけど、部長に比べたらどうってことはないだろうな。
その時、目を疑う光景が視界に入った。
ゴオォォォォォォォォオオオッッ!!
遠く……体育館があった場所からほとんど離れていない場所、そこに途轍もない質量の『雷』が降り注いだ。
『ライザー・フェニックスさまの『女王』一名、リタイア』
ありえないアナウンスがフィールドに響き渡った。
「……もしかすると、『性質粘土』のせい…かな?」
俺はある一つの答えにたどり着いた。
兄さんから作らされた『性質粘土』の人形。あれのせいなら、今の『雷』と合点がいく。
多分、時差なのだろう。
『限界にゃ……』
黒歌姉さんが片膝をついてしまっている。
「黒歌姉さん!」
『来るにゃ!!私はもうすぐリタイアになると思うにゃ。……焼き鳥の気を乱しに乱してあるにゃ。多分、すぐに回復できなくなると思うか――』
黒歌姉さんは光に包まれて、退場していった。
『リアス・グレモリーさまの『戦車』一名、リタイア』
D×D
「黒歌姉さん……」
退場した後、俺はその場に佇んでいた。
ゴオォォォォオオッッ!!
大きな火の塊がこっちに飛んできた。
俺は避けられることなく、その火の塊に――。
ザンッ!
飲み込まれることはなかった。
「無事か?赤き天龍を宿すものよ」
目の前には『鬼姫』の冴子さんが立っていた。
「……私はもう、限界がきている。もうすぐ強制的にリタイアさせられるだろう。……赤き天龍を宿すものよ、お前の後ろにいる者たちを守れ。守り抜け。……私の最後の一撃だ!」
冴子さんがそう言うと、ライザーの方を向き直って炎の柱をぶつけた。
ライザーはダメージを受けた部分を修復したが、炎の翼がはじめよりも大分小さくなっている。
パアァァァアッ!!
一撃を放った冴子さんは、光を放って消えてしまった。
『リアス・グレモリーさまの『騎士』一名、リタイア』
D×D
「冴子さん……」
俺はまだ佇んでいる。
『……赤き天龍を宿すものよ、お前の後ろにいる者たちを守れ。守り抜け』
リタイアする直後に残した『鬼姫』の冴子さんの言葉。
「俺は……俺は――」
ライザーの火が塊が再度俺に向かって飛んでくる。
「イッセー!!」
「イッセーさん!!」
「イッセーくん!!」
部長、アーシア、木場の叫ぶ声が聞こえた。
俺は――。
D×D
ドォォォォオオン!!
大きな火球がイッセーくんを直撃した。
「嘘……!」
「そんな…イッセーさん」
イッセーくん……キミは――。
「リアス、もういいだろう。
「投了なんてしないわ!私はまだ健在しているのよ!これぐらいの怪我、どうってことはないわ!」
「僕もです。部長が立てるなら、僕も立つ!僕は部長の『騎士』ですから」
「…私もです。回復しかできませんけど、それでもお二人を最後までサポートします!」
「…ありがとう。二人とも、いくわよっ!」
「「はいっ!!」」
駆け出そうとしたその時、僕……いや、僕たちに聞こえた知っている機械音。
『
ドオォォン!!
真紅のオーラが爆発を吹き飛ばした!!
そこにいたのは、赤い『全身鎧』を着こんだイッセーくんだった。
「……わかった。それだけあれば、あいつを吹き飛ばせる」
誰かと話している?…僕には見えないし、聞こえない誰かと……。
『Boost Boost Boost Boost Boost Boost Boost Boost Boost Boost Boost Boost Boost!!』
全身鎧にはまってある宝玉から、さっきの機会音が連続して鳴り響く。
『Explosion!!』
イッセーくんが右手を前に突き出して叫ぶ。
「ドラゴンショットォォッッ!!」
ドッオォォォォォォォォォォォォオオオンッッッ!!!
特大のオーラの塊がライザーへ向けて放たれた。
ライザーは避けることなく、オーラに包まれた。
しかし…全部が消失している訳ではなかったため、体全体が再生されていく。
「……イッセーくん!相手は……ライザーは不死身なんだよ!大技でも限界が――」
僕は最後まで彼に伝えることができなかった。だって――。
「第三『生門』開ッッ!!」
ダンッ!
一瞬で僕の視界から消えてしまったから。
D×D
俺は――。
ドォォォォオオン!!
俺はライザーの火の塊に呑まれた。
「くぅ……熱い…」
俺の体が言うことを聞かない。
「(何でなんだ!何で俺の体が動かない!)」
『相棒、お前は今何を考えている?』
ドライグが話しかけてくる。
「どういうこと?」
『戦いか?名誉か?違うだろ』
「………わからない」
『…どうしようもないな……お前が今闘っているのは――』
次の瞬間、ドライグはとんでもないことを言いだした。
『好きな女を守るためだろう!』
「ちょっと待て、俺は部長を焼き鳥と結婚させないために――」
『…お前は変なところで正直だな。俺は『好きな女』と言っただけだぞ』
「……」
『お前が小さい時からずっと見てきた。あの堕天使と逢引した時もだ。お前の心の奥底には、お前の後方にいる『紅髪』の女がいた。…好きな女のために体を張って守って見せろ!相棒……兵藤 一誠!!』
…そうだった。俺は
『やっと思い出したか。……闘う理由はそれで充分だろう』
「…いや、それだけじゃないさ。」
『どういうことだ?』
「……部長は泣いていたんだ。あの修行の十日間、どれぐらい泣いてたかはわからないけど、八日目の夜……部長の部屋に行ったんだ。その時さ、部長はいつも通り接してくれたけど……泣いた後だったんだ。目を見てわかったよ。……だから、俺があいつをぶっ飛ばす理由はそれで充分だ」
『……あぁ、行こうか相棒』
「そうだな。こんなところで倒れるわけには……いかないしなっ!」
『二天龍の恐ろしさを見せてやれ!相棒!!』
「おうっ!!輝けっ!!俺のセイクリッド・ギアァァッッ!!!」
『
カッ――ドオォォン!!
俺は光り輝く中、決意した。
「(このゲーム、死んでも勝つ!!)」
――力が…ドライグ、おまえの力が流れ込んでくるぜ!
光が収まると、俺は全身に赤い鎧を纏っていた。ドラゴンの形を模した
『制限は十分だ。奇跡的に保ったが、使い方で時間が大きく減るぞ』
「……わかった。それだけあれば、あいつを吹き飛ばせる」
『Boost Boost Boost Boost Boost Boost Boost Boost Boost Boost Boost Boost Boost!!』
全身鎧にはまってある宝玉から、さっきの機会音が連続して鳴り響く。
『Explosion!!』
俺はライザーに向けて、右手を前に突き出して叫ぶ。
「ドラゴンショットォォッッ!!」
ドッオォォォォォォォォォォォォオオオンッッッ!!!
特大のオーラの塊がライザーへ向けて放たれた。
ライザーは避けることなく、オーラに包まれた。
しかし…全部が消失している訳ではなかったため、体全体が再生されていく。
「(……しぶといな)」
『相棒、あいつは不死身だ。だがな、不死身にも弱点がある。……精神力だ』
「(どういうこと?)」
『あいつは、精神力を削って体を修復している。…ならば、精神力が尽きたらどうなる?』
「(…回復できなくなる)」
『そうだ、あいつの精神をへし折ってやれ。ある程度はあの『黒猫』と『妖刕』がやってくれたがな』
「(…どうすれば、あの焼き鳥の精神をへし折れるんだ?)」
『…簡単なことだ。神の破壊力で吹っ飛ばすか、ひたすら攻撃を加えるかだ』
「(なら…後者だな。ドライグの力と、兄さん直伝の禁技を合わせればいけるだろ?)」
「……イッセーくん!相手は……ライザーは不死身なんだよ!大技でも限界が――」
木場の声を聞き流す。
「第三『生門』開ッッ!!」
ダンッ!
俺は超高速でライザーへ肉薄する。
「(ドライグ、翼を出してくれ)」
『構わん。俺が動かそうか?』
「(あぁ、頼んだ。それなら一気にけりをつけるっ!)」
『おう!!』
サッ!
「っ!!」
ライザーは俺のスピードについてこられない。
ドンッ!
俺はライザーを下から蹴り上げる。
ドンッ!ガンッ!ドンッ――。
俺は高速連体術でライザーをなぐり、蹴る。
……何発与えただろうか?
「アァァァァァァァァァアアアア!!!!!」
ドンッ!ガンッ!ドンッ!
ガァァァァァガンッッ!!
俺はライザーを壁まで吹っ飛ばし、頭を掴んで校舎の壁面を駆け下りた。
ズガガガガガガガガガガガガ!!!
ライザーの後頭部からは、炎が吹きだしているが……俺は構わずに駆け下りる。
このタイミングならと思ったのだろう、捕えることができた俺へ炎を浴びせてくる。
「痛くも熱くもねえ!!おぉぉぉおおらあぁぁぁああ!!!」
校舎の壁面を駆け終わると、次は校庭を駆けだす。
ズガガガガガガガガガガガガ――。
引きずる、引きずる、引きずる――。
ダンッ!!
俺は空中にライザーを放り投げ、また殴り蹴りだす。
ドドドドドドドドドドドドドド――。
周囲の奴から見ると、こんな感じに見えるのだろうか。俺はしている方だからわからない。
ライザーは……もう攻撃をするような力はない。近づいた瞬間、俺は確認した。
――気絶している。
俺は放りだしたライザーを追うのを止めた。これ以上は回復していないライザーは死ぬかもしれない……そう思ったからだ。
「――きゃ!」
バッ――ズザザザザザァァ
俺が放り投げたライザーを、地面すれすれでキャッチし、自らクッションになった人物がいた。
「……お兄さま!しっかりしてください!」
ライザーの妹だった。
気絶したライザーのクッションになり、勢いを殺したんだ。その証拠に、背中から炎が出て修復されていた。
「……投了しますわ。お兄さまの代わりに私が宣言します」
『ライザー・フェニックスさまの『
部長の勝利宣言がされた。
「……終わった」
瞬間、俺は力が抜けて後方へ――。
とんっ
誰かに優しく支えられた。
パアァァァアア
ちょうど鎧も解けて生身になった俺。
「……ありがとう、イッセー」
あぁ、声でわかったぞ。俺を支えてくれているのは部長だ。
「イッセーさん……手当てしますね」
アーシアが、俺の怪我を治療しようとしたところを俺は止めた。
「…アーシア、先にあいつの具合を見てやってくれ。俺はその後でいいから」
アーシアは俺の目を見つめた後、小さく頷いてライザーの怪我を治しにいった。
「……イッセーくん、だいじょうぶ?顔が真っ赤だよ?」
木場が心配そうにしている。
そうなのか?そうかもしれないな……体中が熱いから。
その時、視界の端に魔方陣が現れた。
「イッセー、今から緊急オペだ。治療室へ行くぞ」
現れるや、いきなりそう言う兄さん。
「「「っ!!」」」
ほら見て、みんな驚いてるよ。
「イッセー、早くしないと……死ぬ思いをするぞ?」
「……どういう…こと?……兄…さん」
「…………」
部長は俺と兄さんを交互に見ている。
ブチッ!ブチッ!
俺の耳に届いた音。その発信源は俺の中からだった。
「あぁ……があぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああっっっ!!!」
痛い!!死ぬほどに痛い!!
「どうしたの!?イッセー、イッセー!!」
「始まったか、術の後遺症がな」
「後遺症?」
「あぁ、こいつは禁技を使ったんだよ。ゲームでは制限自体がないやつのな」
「兄さま?大丈夫ですか!?」
「……た…すけ…て」
俺は死ぬぐらい痛い苦痛を受けながら、必死に口にした。
「兄さま、安心してください。私が何とかしますから」
白音ちゃんが手に白い気を纏わせる。
「無駄だぞ。自然治癒力を底上げしようと、筋肉の崩壊の方が早い」
「……」
「アーシア、ライザーの手当てが終わったら、イッセーのオペの手伝いをしてくれ」
「はい!わかりました!」
「さてと、こっち向いてろよ~。……月読!」
「ァァ……」
俺はそこで意識を落とした。