ハイスクールD×D 力ある者   作:塩基

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月光校庭のエクスカリバー
学園の表と裏


「おはよ~」

 

俺――兵藤 一誠は、リビングに朝食を食べに来た。

 

ここ最近、この家に住む人の数が急激に増えたため、兄さんが家の中の空間を歪めて広げてしまった。だから、外の面積は変わらず、家の中の面積が極端に広い……兄さん、出鱈目過ぎるよ。

 

そのせいで、朝食のテーブルが二台になってしまっていた。

 

「いただきます」

 

俺は並べられてある料理を皿に取っていく。

 

ここにいる女性の大半が料理を作るのに、キッチンを占領している。

 

しかも決まっているかのように、味噌汁とご飯は黒歌姉さん、卵焼きは春奈ちゃん、というより、春奈ちゃんは卵焼きオンリーなんだよね。和食が黒歌姉さん、冴子さん、理子ちゃん、奏さん。洋食がアーシア、夕麻ちゃん、カラワーナさん、ミッテルト、花楓ちゃん。その二つ+その他がカミュ、部長、アイム。

 

白音ちゃんと辰巳は、基本食べるのが専門なんだ。俺もだけど。

 

兄さんはたまに作るぐらい。その兄さんの料理は、天才の春奈ちゃんと肩を並べている。

 

……毎朝、五品以上出てくるもんだから、早めに起きないと食べる時間がない……が、こんなにおいしいものを食べてると、時間が過ぎてしまうことを忘れてしまう。

 

「龍介さん、少し頼みごとをよろしいでしょうか?」

 

「何?」

 

「今日、放課後にこの家でオカルト研究部会を行おうと思ってまして」

 

「いいぞ。移動しないのは楽だから全然かまわない。場所はこのリビングでいいな?」

 

「はい、ありがとうございます。この家は関係者ばかりで助かりました」

 

「確かにな」

 

こうして、この遠山家で今日の部活が開かれるようになった。

 

                    D×D

 

「で、こっちが小学生に入る前のイッセーにゃ」

 

「あらあら、お風呂場で……うふふ」

 

「ちょ!朱乃さん!って、黒歌姉さんも見せないで!」

 

俺――兵藤 一誠は、会議があるはずだったここのリビングで……顔を真っ赤にして阻止しようとしていた。

 

「イッセーくんの赤裸々な過去♪」

 

「夕麻ちゃんも見ないでえぇぇぇ!!」

 

やめて!俺の純真な精神がもう持たないよっ!!エロ精神は持つけど…じゃない!何とかして止めなければ!!

 

こうなったのは、黒歌姉さんが書斎から持ち出してきた俺の幼少期のアルバムだ。しかも、何故か俺の全裸が多いものばかり持ってきている。

 

「……小さいイッセー」

 

「(部長……幼少期のころの写真をそんなに見つめないでくださいよぉ!)」

 

ものすごく恥ずかしい!!俺の恥度のパラメーターがマックスになる勢いで上がり続けている!!

 

「レイナーレ……このイッセーもかわいいな」

 

「うんうん♪これもいいね!」

 

夕麻ちゃんの隣で別のアルバムをめくっているミッテルト。やっ、やめて!これ以上は俺が持ちそうもないぃ!!

 

「理子、これもらい!!」

 

「あっ!それなら、あたしはこれもらうもん!」

 

少し離れたところでは、理子ちゃんと春奈ちゃんが俺の写真を抜き取っていた!!それどうする気!!

 

「かわいい……小さいころの龍介」

 

「えぇ、私はこれもかわいいと思うぞ」

 

テーブルの上では、冴子さんとカラワーナさんが兄さんの写真を眺めていた。

 

「……幼いころのイッセー幼いころのイッセー幼いころのイッセー幼いころのイッセー……」

 

部長が何やら呟いている?……部長ってショタコンなの?聞いたことなかったんだけど…。

 

「私も何となく、部長さんの気持ちがわかります!」

 

「そうなのね、うれしいわ」

 

目を爛々と輝かせて手を取るアーシア。

 

完全に二人だけの世界に飛んでしまった……止めに行きづらい!

 

「くすっ、小さいころのイッセーくんって、かわいいね」

 

「んぁ!やめてくれ!木場」

 

椅子に腰をかけている木場から、アルバムを取り返そうとして手を伸ばす。

 

「くすっ」

 

小さく笑うと、手に持っているアルバムを後ろに隠してしまった。

 

「ちょ、かえ――うわっ!」

 

「えっ――きゃ!?」

 

俺は取り返そうと足元を注意せずに踏み出したせいで、椅子につまずいてこけた。

 

「痛たたた……大丈夫か?」

 

「……うん、イッセーくん……」

 

「あふっ!」

 

俺は慌てて木場から離れた。

 

「……」

 

「わ、わりぃ。足元注意してなかった」

 

「……ううん、怪我してないから。イッセーく…ん…こそ……」

 

木場の様子が一気に変わり、床に散乱した写真のうち一枚を素早くとった。

 

「……イッセーくん、この写真に見覚えある?」

 

「…あぁ、俺の隣に映っている子はセカンドフレンドで、この人が持っているのは西洋剣の模造品じゃなかったっけ?」

 

「ううん、これは聖剣だよ。まさか、こんなところで見かけるなんてね……」

 

俺は見た。木場の憎悪に満ちた瞳を。

 

俺――いや、俺たちはこの一枚の写真が今回の出来事の始まりだったなんて気づく筈もなかったが、たった三人予期している者がいた。

 

                    D×D

 

カキーン!

 

晴天の青空に金属音が木霊する。

 

「オーライオーライ」

 

パシッ!

 

俺は飛んできたボールをキャッチした。

 

「ナイスキャッチよ、イッセー」

 

笑顔の部長からお褒めの言葉を貰う。

 

俺たちは旧校舎裏にある少し開けた広場で、野球の練習をしている。

 

「来週は駒王学園球技大会よ。部活対抗戦、負けるわけにはいかないわ」

 

部長が生き生きと力強く言う。

 

そう、もうすぐ学校行事の一つである球技大会がはじまる。

 

オカルト研究部も例外ではなく、文化系、運動系の部活は全員出場しないといけない。

 

「イッセー、キャチャーしてくれないか~?」

 

兄さんがブルペンを作って俺を呼ぶ。

 

ちなみにだが、あのブルペンは兄さんが()()()()()だから。

 

「今行くよ!部長、ちょっと兄さんの球を受けてきます!」

 

「わかったわ。しっかり受けてきなさい!」

 

兄さんは、野球部相手の時のみ出られる代表(助っ人)。それに代わり、バッターには黒歌姉さんが出る。

 

本来団体戦の場合、人数が少ない方に合わせなければならない。

 

配置が多くなる場合、生徒会公認のリザーバーをメンバーに加入して補うんだそうだ。

 

だけど、それもどうなるかわからない。ということで、部長が兄さんと黒歌姉さんの書類を持って、直々に生徒会長と話したらしい。

 

そして、限定つきで承認されてしまったのだ。

 

という流れで今の状況に至る。

 

カキーン

 

再び金属音が大空を駆ける。

 

俺は歩きながらボールの行方を追う。すると、ボールは木場の方へ自由落下していく。

 

俺は取れるだろうとさほど心配してなかった――。

 

ダッ

 

俺は駆け出した。気づいたんだ、木場はボールを見ていないことに。

 

「間に合えぇぇええ!!」

 

ザッ――ゴロゴロゴロ……。

 

俺は木場に飛びついて、地面を転がった。その時、俺は無意識に木場を衝撃から守るように頭を抱え込んで背中を抱き寄せていた。

 

「痛てててて……」

 

「大丈夫ですか!イッセーさん!祐奈さん!」

 

アーシアが急いで駆けつけてくる。

 

「俺は大丈夫だ。それより木場を診てやってくれ」

 

俺は木場から砂埃取ってやると、アーシアに任せて兄さんの待つブルペンへ走っていった。

 

「祐奈、大丈夫?いつものあなたらしくないわよ?」

 

「……すみません、考え事をしていました」

 

その会話をバックにして。

 

                    D×D

 

次の日の昼休み。

 

お昼を食べたら、部室で球技大会最後のミーティングをするらしい。

 

「今日も部活か?」

 

松田がカレーパンを頬張りながら訊いてきた。

 

「そうだけど?俺たちは猛練習してますよ」

 

「は~。オカ研がボールかよ。……おまえんところの部って、全員身体のスペック高いよな」

 

「まあな」

 

そりゃ、悪魔や堕天使、猫又、妖狐、能力持ちの人間がいるもん。基本、一般人より強いさ。

 

「……イッセー、おまえな、変な噂が流れているから気をつけろよ」

 

いきなり、メガネを指で上げながら元浜が言い出す。

 

「な、なんだよ、その噂って……」

 

「美少女をとっかえひっかえしている野獣イッセー。四大お姉さまであるリアス先輩、姫島先輩、カラワーナ先輩、毒島先輩の秘密を握り、裏で鬼畜三昧のエロプレイを強制し、『ふふふ、普段は気品あふれるお嬢様方が、俺の前では卑しい顔をしやがって!このメ○○○どもがっ!』と罵っては乱行に次ぐ乱行」

 

「うぉぉぉぉぉぉぉおおおい!!!なんじゃそりゃぁぁぁぁぁあああ!!!」

 

な……何だと!?いつの間にそんな噂が!?

 

「まだ続きはあるぞ。……ついには学園のアイドルで妹の白音ちゃんと転校したてのマスコット的存在である春奈ちゃんとアイドルのミッテルトちゃんのロリボディにまでその毒牙は向けられる。小さな体を壊しかねない激しい性行為は天井知らず。まだ未成熟の体を貪る一匹のケダモノ。『……お兄さま……もう、やめてください』と切ない三人の声も野獣の耳には届かず。その貪欲なまでの性衝動は、転校したての二人の天使と四人の聖女にまで――。転校初日にアーシアちゃんへ襲い掛かり、『日本語と日本の文化、俺が放課後の特別補習で教え込んでやろう』と黄昏の時間に一人の天使を堕落させていく……。ついには自分の家へと天使二人と聖女四人を囲い、狭い世界で始まる終わりのない調教。鬼畜イッセーの美少女食いは止まらない――。とまあ、こんな感じか?」

 

ウソだろ……お、俺、そんなことしてないぞ!!

 

「まあ、俺たちが流しているんだがな」

 

「うんうん」

 

ガシッ!

 

俺は容赦なく、悪友二人の顔面を兄さん直伝『アイアンクロー』で締め上げる。

 

「……もう一つ情報だ」

 

「…イッセーとイッセーのお兄さんとのホモ疑惑も噂で流れている」

 

「……一部の女子に大変人気の噂です」

 

「…きゃー、受け攻めどっちぃ?」

 

ブツンッ

 

俺の中にある何かのひもが切れた音がした(気がした)。

 

ギリギリギリ――。

 

「ぬわあぁぁぁぁあ!!」

 

「頭が!頭が割れる……」

 

俺は二人が意識を失うまで締め続けた。

 

                    D×D

 

昼食後、俺はアーシアと理子ちゃん、夕麻ちゃんと部室に入った。

 

するとそこには兄さんたちを除く、俺たち以外のメンバーが顔を揃えていた……って、部員じゃない方もいらっしゃる?

 

『――っ!!』

 

ヒュンッ!!

 

窓際に兄さんたちが現れた。……また、『飛雷神』の合体技使ったんだ。

 

俺たちは驚かなかったが、部員じゃない人たちは驚いていた。

 

そりゃそうだろ。何の前触れもなく現れたら、誰だって最初は驚くって。

 

「あ…あなたは……」

 

ソファーに座っている人物――駒王学園の生徒会長さまだ。って、えぇぇぇぇぇえええ!!何故に生徒会長さんがここに!というより、その後ろに控えているのは……生徒会の関係者らしき付添いの男。

 

「久しぶりだな、蒼那」

 

開口一番に兄さんが挨拶をした。

 

「はい、お久しぶりです。龍介さん」

 

……いや、俺はもう驚かないぞ。メンバーの皆も慣れ始めていて、驚く仕草はなかった。

 

付添いのその男は兄さんを睨んでいる。……俺は焦ったが、当の兄さんは全くの無視を決めていた。

 

そいつは目線を元に戻して俺を見る。

 

「何だ、リアス先輩、もしかして俺たちのことを兵藤たちに話していないんですか?同じ悪魔なのに、気づかない方もおかしいけどさ」

 

確か、書記として生徒会に追加された男子生徒だったっけ?

 

その男子生徒に生徒会長が静かに言う。

 

「サジ、基本的に私たちは『表』の生活以外では基本的に干渉しないことになっているのだから仕方ないのよ」

 

「イッセー、お前たちには言ってなかったかもしれないが、生徒会メンバー、オカルト研究部には上級悪魔のソーナ・シトリーと、同じく上級悪魔のリアス・グレモリーがこの学園を動かしている。細かく言えば、『表』は生徒会が、『裏』ではオカルト研究部が支配している訳だ」

 

兄さんが説明すると、書記のサジ?が頷いて再び口を開いた。

 

「よくわかってる人間さんじゃん……どこかのバカと違って。そう!会長と俺たちシトリー眷属の悪魔が日中動き回っているからこそ、平和な学園生活をおくれているんだ。それだけは覚えておいてもバチは当たらないと思うぜ?俺の名前は匙 元士郎。二年生で会長の『兵士』だ」

 

「おおっ!同学年で同じ『兵士』か!」

 

バカ扱いされたのはイラつくが、同学年に同じ駒を持っている奴がいるのは正直嬉しい。

 

「俺としては、変態三人組の一人であるおまえと同じなんてのが酷くプライド傷つくんだけどな……」

 

「なっ!なんだとっ!」

 

「おっ?やるか?こう見えても俺は駒を四つ消費の『兵士』だぜ?最近悪魔になったばかりだが、兵藤なんぞに負けるかよ」

 

「サジ!お止め――」

 

会長が匙を慌てて止めようとした時――。

 

ガンッ!!

 

匙の後ろ……部室の壁が大きく抉られていた。

 

「……あまりイッセーをバカにしないでくれるかな?もう次はないよ?」

 

カミュが腕に炎を纏って、一瞬で壁を殴りつけていた。

 

冷や汗を一筋額から流した匙。

 

「……遅かったですか…サジ、ここに来たのは新人の紹介をするためのものなのです。私の眷属なら、私に恥をかかせないでください」

 

「…カミュ、これ以上暴れるなら俺の制裁が飛ぶぞ?」

 

それを聞いたサジとカミュは、大人しく下がった。

 

「……サジ。今のでわかったと思いますが、今のあなたでは兵藤くんには勝つことができません。フェニックス家の三男を負かしたのは彼なのです。『兵士』の駒を八つ消費したのは伊達ではありません……それに――」

 

会長がおもむろに言葉を紡いだ。

 

「そこに立っている彼が兵藤くんの兄であり、師であり、今ここにいるリアスたちや私たちが束になってかかっても……全滅します」

 

それを聞いたサジが身震いした。

 

「ソーナ、流石に全滅は大げさだな。せめて『元の体には戻らない』の方が優しいと俺は思うぞ」

 

「……いえ、そちらの例えの方が酷いと思います」

 

兄さんっ!思いっきり怖いことを真顔で言うなよっ!!

 

「……話が変わるが、俺と黒歌の助っ人を許可してくれてありがとうな」

 

「…いえ、リアスが持ってきた書類で見た時は、他人の空似だと思っていました」

 

「…ハハハ、そう思われても仕方がないな」

 

その後は俺とアーシア、サジが新人眷属同士なので、お互いに挨拶(俺と匙は腕の握り合い)をした。

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