ハイスクールD×D 力ある者   作:塩基

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訪問と再会

ザァー――

 

学校に着くと、外は土砂降りになった。

 

朝の天気予報は昼からって言っていたのに……。

 

『本日の球技大会は、体育館で行われる部活対抗トーナメント戦のみになりました。朝礼後、各部活ごとに集合して整列してください』

 

放送で球技大会の案内が流れていた。

 

教室や廊下は不満な生徒の声がよく響いている。

 

「……兄さん、がっかりしているんだろうな」

 

あれだけ張り切っていた兄さん。あぁ、何か同情しそうだ。

 

「……イッセーさん、部活対抗戦がんばりましょう!」

 

気合充分のアーシア…相当楽しみのようだ。

 

                    D×D

 

「あぁ~、マジで楽しかったな」

 

「はい、私も楽しかったです」

 

「でも、何故かイッセーくんばかり狙われていたよね」

 

「(夕麻ちゃん、野郎どもの間で人気があるのにまったく自覚がないんだ……)」

 

俺――兵藤 一誠は、球技大会が終了した後、帰路を遠山家女子と歩いていた。

 

「……兄さん、ヘコんでいるだろうな――」

 

俺は兄さんのヘコんだ姿が見たくて、わくわくしながら玄関のノブに触れた瞬間――。

 

ゾクッ!

 

俺は以前にも感じたことのある悪寒に陥った感覚がした。

 

「(この感覚…教会で感じたものと同じだ!……まさか、フリード!!)」

 

俺が感じたものをアーシアも感じ取ったのか、俺の手を強く握ってきた。……後ろを見ると、全員戦闘態勢に入っていた。夕麻ちゃんたち三人は光の槍を、辰巳は黒い蛇を。冴子さんは竹刀ケースから軍刀『村田刀』を取り出して理子ちゃんに渡し、冴子さん自身は妖刕『紅桜』を取り出して抜き身を取っている。春奈ちゃんは……どこに隠してあったのか、ピンク色のチェーンソーを手に持っていた。白音ちゃんは白いガントレッドを装備する。奏さんは両手に深緑の刀を握っていて、花楓ちゃんは銀の胸当てと金色の翼を展開していた。

 

俺は頷いて合図を送ると、ドアを開けて突入した。

 

「兄さんっ!!」

 

俺たちは靴を脱いで、急いでリビングへ入る。

 

そこには見知らぬ女性が三人と、兄さんたちが談笑していた。

 

「これが小学二年の時のイッセーじゃ。海パンが破れたのに気付かず滑っての、大変だったのじゃ」

 

「おう、帰ってきたか。……お前ら、全員で何に警戒しているんだよ」

 

「……いや、悪寒が走ったから…つい」

 

「はうぅぅぅぅ。よかったですぅ」

 

安心たのだろう、ペタンと床に腰を下ろしたアーシア。

 

俺たちは肩の力を抜いて、手に持っていた武器を収納した。

 

三人とも見知らぬ女性。外国のお客さん?……胸にかけてある十字架を見たから、そう思った。三人とも俺とあまり歳の変わらない女性だろう。

 

栗毛の髪の女性と、緑色のメッシュを髪に入れている目つきの悪い女性。どちらもかなりの美人さんだ……もう一人はフードを被っていて、人相がわからない。ただ、胸元が膨らんでいて、綺麗な金髪の髪がお腹の辺りまで伸びている。……どこかアーシアに似ている。

 

――キリスト教会の関係者。

 

エクソシスト?なら、俺ら悪魔にとっての天敵だ。

 

「こんにちは、兵藤 一誠くん」

 

俺に微笑む栗毛の女性。

 

その隣にいるメッシュを入れた女性の傍らにある布に巻かれた長いものと、兄さんが今テーブルに置いた布で巻かれた細長いものからも途轍もない危険を感じる。恐らく、俺たち――悪魔を滅するための代物だろう。

 

「はじめまして」

 

俺は引きつる笑顔で挨拶をする。

 

「あれ?覚えてない?私だよ?」

 

俺の返事に眉を吊り上げながら、自分を指さす栗毛の女性。

 

「……イッセー、ほれ」

 

兄さんが薄いものを手裏剣のように投げてきた。それを俺がキャッチする。

 

「写真?」

 

「その写真を見て思い出せ」

 

兄さんが言う通りに写真を見た。そこに映っていたのは、セカンド幼馴染と俺だ。

 

「まさか…この子がそこにいる女性?」

 

「やっと思い出してくれた~。そうなの、私は紫藤 イリナよ」

 

ええぇぇぇぇぇぇぇぇええっっ!!!男の子じゃなかったのか!?

 

「お久しぶり、イッセーくん。男の子と間違えてた?仕方ないよね。あの頃、私ったら男の子顔負けにヤンチャだったから。もう一人幼馴染の子がいたような……まあいっか。でも、お互いしばらく会わない間にいろいろとあったみたいね。…龍介さんから聞いたけど。本当、再会って何が起こるかわからないものだわ」

 

俺の正体に気付いてる?って、兄さんが教えたんかいっ!!

 

気づかれる筈ないもんな……この指輪をしている限り。

 

                    D×D

 

その後、部長が慌てて帰ってきた。

 

「無事でよかったわ。……表の部活動が終わってから、ソーナに呼び出されてそこで話を聞いていたの。この町に教会の関係者が潜り込んできている――と。しかも『聖剣』を手にしていると聞いたわ」

 

リビングの椅子に座ると、安堵の息を吐いてこの町の状況を教えてくれた。

 

「……それでだがリアス、さっき来ていた教会の使者たちが『悪魔リアス・グレモリー』と交渉がしたいそうだ」

 

「えぇ。私もソーナから同じことを聞きました」

 

「え?教会の信者が俺たちに?」

 

俺が聞くと、部長と兄さんは同時に頷く。

 

「つまり…依頼?」

 

「……どういうつもりかはわからないけど、明日の放課後に彼女たちは旧校舎の部屋に訪問してくる予定よ。こちらに対して一切の攻撃を加えないと神に誓ったらしいわ」

 

「信じられるんですか?」

 

「信じるしかないだろうな。あいつらが考えていることは大よそだが……いや、このことは明日だ。もう遅い時間だ…全員寝る用意をしろ」

 

「……兄さん、まだ夕方なんだけど」

 

「……夕食の準備でもするか」

 

「逃げた!!兄さん、今絶対逃げた!!」

 

「うるさいな。今日はこの件の話は終わりだ。明日にしろ」

 

何故か逃げた兄さんのせいで、このことは明日に回された……これが大きな出来事の一つになるなんて、誰もこの時は思いもしてなかった。

 

                    D×D

 

俺――遠山 龍介は、夕食後、自室の異空間に花楓を呼んで話をしている。

 

「花楓、創ってもらいたいモノがあるんだが……いいか?」

 

「いいよ?何かな?」

 

神器(セイクリッド・ギア)神滅具(ロンギヌス)魔獣創造(アナイアレイション・メーカー)だ」

 

花楓の神器(セイクリッド・ギア)なら…出来る筈。

 

「うん、花楓の禁手(バランス・ブレイカー)、『具現創造龍の加護(クリエイション・ディバイディング・アウラ)』と『永遠の命を与える龍の鎧(エターナル・ライフ・スケイルメイル)』で創れるよ」

 

「…頼んだ。それ(魔獣創造)と俺の神器を使って、『鮫肌(さめはだ)』を創る……この鮫肌が役に立つと、俺はそうふんでいる」

 

                    D×D

 

次の日の放課後。

 

俺たちグレモリー眷属+遠山家は部室に集められた。

 

部室に入ると、珍しく兄さんたちが先に来ていた。

 

ソファーには、部長と朱乃さん、兄さん――そして、例の女性三人が座っていた。

 

その様子を俺たちは片隅から見守っている。

 

部室に彼女たちが入ってきてから、肌寒い……悪寒を感じてならない。悪魔の本能が彼女たちの危険性を察知しているのだろう。

 

気まずい、隣にいる木場からは物凄い殺気を感じる。

 

部長に聞いた話で『祐奈は、聖剣――エクスカリバーの適応するための被験者だった』と聞いていた。そして、適応できずに数人の被験者と殺された……正確には、木場だけが瀕死で生き残ったと――。

 

……木場の過去を考えれば、キリスト信徒は殺したいほどに憎いんだろうな。

 

この気まずい空気の中、最初に話を切り出したのは――紫藤 イリナだった。

 

「先日、カトリック教会本部ヴァチカン及び、プロテスタント側、正教会側に保管、管理されていた聖剣エクスカリバーが奪われました」

 

「奪われたって……一つじゃなかったの?」

 

俺の言葉に、兄さんが答えた。

 

「イッセー、エクスカリバーは三大勢力の戦争で折れてしまっている。……確か七本だったな?」

 

「あぁ、話が早くて助かる。……今はこのような姿さ」

 

兄さんの質問に答えた緑色のメッシュを髪に入れた女性は、傍らに置いていた…布に巻かれた長い物体を解き放つ。そこから現れたのは一本の長剣。

 

「これがエクスカリバーだ」

 

ゾクッ!

 

俺はそれを見た瞬間に全身の毛穴が開き、体中に冷たいものが走るのを感じた。

 

悪魔を滅するアイテム。これに触れたら、ソッコーで死ぬぞ!

 

これが聖剣――。

 

「これが、折れた七本の一つ…『破壊の聖剣(エクスカリバー・デストラクション)』。カトリックが管理している」

 

女性は紹介し終わって、再び布でエクスカリバーを覆った。

 

イリナの方を見ると、何やら長い紐のようなものを懐から取り出す。

 

それがうねうねと動き出した。

 

それは形を変えていき、一本の日本刀と化した。

 

「私の方は『擬態の聖剣(エクスカリバー・ミミック)』。こんな風にカタチを自由にできるから、持ち運びにすっごく便利なんだから。このようにエクスカリバーはそれぞれ特殊な力を有しているの。こちらはプロテスタント側が管理しているわ」

 

自慢げに言うイリナ。

 

「イリナ…悪魔にわざわざエクスカリバーの能力をしゃべる必要もないだろう?」

 

「あら、ゼノヴィア。いくら悪魔だからといっても信頼関係を築かなければ、この場ではしょうがないでしょう?それに私の剣は能力を知られたからといって、この悪魔の皆さんに後れを取るなんてことはないわ」

 

自信満々に言うイリナ。

 

俺はふと思ったこと訊いた。

 

「あの…フードを被っている女性のこと、一つもわかっていないんですけど」

 

家にいた時もフード被っていたし、声を聞いたこともない。

 

「……失礼致しました。私はマリア、マリア・アルジェントです。私の使う聖剣はこちら、『祝福の聖剣(エクスカリバー・ブレッシング)』です。正教会が管理しています」

 

女性が紹介を終わる。……って、今聞いたことのある名前が出ていたような気がしたんだけど……?

 

カタッ

 

俺の隣で音がした。そこにいるのはアーシア。

 

何故かアーシアは口を手でふさぎ、両目には涙を浮かばせていた。

 

「……マリア…お姉ちゃん?」

 

「……久しぶりね、アーシア。大きくなったわね」

 

スッっとフードを脱いだ女性。その容姿はアーシアの面影がある。

 

そう、マリア・アルジェントはアーシアのお姉さんだった。

 

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